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松山弁にくつろいで … バー「露口(つゆぐち)」(松山)

帰省後1軒目の酒場は、松山で45年以上続いているという老舗バー「露口(つゆぐち)」です。「昔はよく通ってたんだけど、勤務先が松山じゃなくなってから、10年以上ごぶさたしてるなぁ」という旧友の案内で、「露口」の入口をくぐったのは午後10時前。

われわれが店に到着する直前に3人組の男性が店から出てきていて、直線カウンターだけの店内は、ちょうどその3人分の席が空いている状態。これはラッキーですね。

席につくわれわれに、おしぼりを出してくれながら朝子ママが「あらぁ?」とちょっと考えるそぶり。「10年ぶりぐらいに来たんよ」と旧友。「そうじゃろ。どうも見覚えがある思たんよ」と朝子ママ。

店はカウンターの入口側にいるマスター(露口貴雄氏)と、こちら奥側にいる朝子ママの2人で切り盛りしている様子。直線カウンターの席数は全部で13席という、比較的こぢんまりとしたバーです。

「なに飲む?」「ハイボールください」「私も」と、まずはハイボールでスタートです。「は~い。なにしろ『元祖』じゃけんね」と朝子ママ。

この店の開店は、昭和33(1958)年8月15日。その当時は、なんと「寿屋(ことぶきや)チェーンバー(KCB)」(←現在の「サントリーチェーンバー(SCB)」の前身)としてスタートしたそうで、店内中央にもそのプレートが飾られています。ハイボールは、そのころからの自慢の一品。中野のサントリーバー「ブリック」が昭和44(1969)年の開店ですから、その10年以上前からハイボールを出し続けてるんですね。

飲み物はすべて、バーテンダーでもあるマスターが作ります。「はい。ハイボールです」。2人の前にハイボールが出てきました。ハイボールがトンと置かれた1枚板のカウンターは、あちこちに傷があり、やわらかくカマボコ型(凸型)にそりかえっていて、46年の年月を感じさせます。

グラスをちょいと持ち上げて乾杯し、ツゥーッとひと口。ほぉ。けっこう濃い口ですねぇ。「最近はハーフロック(1対1の水割り)なんかもあるぐらいですから」とマスター。たしかにこのほうがウイスキーの味はよくわかる。なにも銘柄指定せずに作っていただいたハイボールは、サントリー「角瓶」のダブルぐらいの濃さのハイボール(たぶん800~900円ぐらい)でした。

お通しとして出てきたのはポップコーンです。特に食べものメニューもなく、まわりを見ても料理を食べている人はいない。飲むことが中心のバーのようです。あ。メニューがないのは料理だけではなくて、お酒のほうもメニューはありません。

旧友によると、昔からこの店は冷蔵庫がなくて、ビールも置いていないのだそうです。「冷蔵庫は今もないの?」と聞く旧友に、「今もないんですよ」と朝子ママ。

ハイボールのおかわりをもらおかな。旧友は、2杯目として「スティンガー」を注文します。すると朝子ママが、「あ。思い出した。いっつもスティンガーを飲んどったお客さんじゃ。あぁあぁ。ほら、スティンガーのお客さんよ」とマスターにも報告。マスターも向こうでウンウンと笑顔でうなずいています。

そうかぁ。私自身、「スティンガー」というカクテルは彼から教えてもらいましたからねぇ。

13席しかないカウンターには、地元の放送局のアナウンサー氏や、新聞社の松山支局の人たちなど、マスコミ関係の人が多いようで、みなさんそれぞれに顔見知りの様子。なにしろこれだけしか席数がないから、何度か来るうちにわかっちゃうんでしょうねぇ。もともとが同業者だし。さらには京都からいらした染物の先生や、その同行者。そして、京都から観光でいらしたという御夫婦なども混ざって、ときに個別に、ときにお店全体として盛り上がっていきます。

京都のご夫婦は、太田和彦さんの本(「ニッポン居酒屋放浪記 立志編」)を見ていらしたのだそうです。「京都はサンボアもいいですねぇ」なんて話題も飛び出します。

そういえば、私も去年の6月、三条寺町の「京都サンボア」と、祇園の「祇園サンボア」の2軒に行きました。特に、「京都サンボア」の店の雰囲気は、ここ「露口」と似てるかもしれませんねぇ。

私自身、さっきの「ニッポン居酒屋放浪記 立志編」や、「京都大衆酒場」などを見ながら、見知らぬ京都の土地を歩いたのを思い出します。

旧友がモスコミュールを間にはさんで、本日3杯目のカクテルとなるスティンガーを注文するタイミングで、私もスティンガーをいただくことにしました。私はハイボール3杯のあと、4杯目となるカクテルです。ハイボールが濃いので、けっこう効いてきますねぇ。

つまみのほうは、ポップコーンが底をついてくると、カウンターの中からつぎ足されるので、つきることはありません。

カウンターの中のマスターや朝子ママは、常にしゃべりっぱなしの状態。それも、あっちに行っては話し、こっちに来ては話しと、まんべんなく店全体に気を配った話し方で、はじめていらした京都のご夫婦も、もちろん私も、疎外感はまったくありません。はじめてなのに、もう何度も通っているかのようにくつろげる。

そのくつろぎが、お客さんの長っ尻(ながっちり)にもつながっていて、みなさんなかなか席を立たないのです。そうだろうなぁ。だから、13席しかない店内は、いつも満席の状態。2人連れぐらいのお客さんが多いようで、2人が出ては、新しい2人が入ってくるといった感じです。

さて、次はなににしようかな。友人はここでハイボールに戻ります。私は…、「アレキサンダー」はありますか? 「クリームがないんですよ。冷蔵庫がないもんで」と、すまなそうにマスター。「カカオ系の味がよろしいようでしたら、ルシアンはいかがでしょうか。カカオが入るとルシアン。カカオの代わりにコーヒーが入るとブラック・ルシアンというカクテルになるんですよ」とていねいに教えてくれます。じゃ、その「ルシアン」を試してみましょうか。

ほぉ。ベースがウォッカとジンという、かなり強力なお酒なのに、カカオの甘さでまったく強さを感じさせないですねぇ。これは危ないカクテルです。

の~んびりと過ごしているうちに、もう12時ではありませんか。この店の閉店時刻は12時のはずなのに、ほとんどのお客さんはまだゆっくりとくつろいでいる。さっきなんか、いったん帰ったお客さん(年配の男性ひとり客)が、また来店しましたからねぇ。「お帰りなさ~い」なんて迎えられてました。

それじゃ、ラスト1杯ずつをいただきましょうか。なににする? 最後はカクテルの雄、マティーニにしようか。

こうして、ハイボールからスタートして、ラストのマティーニまで、ふたり合わせて13杯のカクテルをいただいて、今宵はふたりで12,000円。こんなにがぶ飲みしなければ、だいたいは2杯のカクテルをいただいて、ひとり2,000円程度という、とってもリーズナブル・プライスのお店のようです。そもそもカクテルを13杯も飲んだのに12,000円というのがリーズナブルの証し(あかし)とも言えますね。堪能いたしました。ごちそうさま。おやすみなさ~い。

店情報

《平成16(2004)年7月26日(月)の記録》

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コメント

お叱りを受けること、覚悟で一筆申し上げ候。

松山の露口さま、私は徳島生まれの露口哲治と申します。現在は東京都小金井市というまちの住人です、幼いころ徳島県鴨島町という地から父の仕事の関係で今の地に移り住んでおります。私は今53歳、ハイボールはウイスキィーを炭酸で薄めたものですか?・・・もしそうだとしたら私が初めて洋酒と出会った時の思い出として、とても大好きなお・さ・け・です。
ところが今は日本酒片手にキーボードなんです。つまみは・えびせん!

ご無礼申し上げました。

投稿: 露口 哲治 | 2005.05.27 23:10

>露口哲治さん
コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、ここで書いているハイボールは、ウイスキー(サントリー角瓶)を炭酸水で割ったものです。
私のほうは、数年前くらいから飲みはじめたところですが、今では大好物のひとつになっています。

投稿: 浜田信郎 | 2005.05.29 23:13

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