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変わったのは鍋ぐらい!? … 居酒屋「河本(かわもと)」(木場)

久しぶりに東京の南東部(深川方面)への出張です。仕事が終わるのを待って向かったのは、懐かしの「河本」です。前回行ったのが、平成13(2001)年の夏なので、実に3年ぶりになりますねぇ。女将さんのますみちゃんは元気なのでしょうか。

それにしても暑いですねぇ。店までの道中で汗だくです。なにしろここ3日間ぐらい、最高気温が35℃近いですからねぇ。昨日なんか35℃を超えたんじゃなかったっけ? 今日も相当暑いなぁ。

お。開いてる開いてる。変わってないなぁ、外観は。しかし、こうやって明るい中で見ると、相当ボロボロの建物ですねぇ。(失礼!)

「こんちは」「いらっしゃいませ」と答えるますみちゃんも、全然変わってないですねぇ。まずはひと安心です。横浜・野毛の「武蔵屋(むさしや)」の姉妹ほどではありませんが、ますみちゃんも、私なんかよりはグンと年上なのです。

期待すべくもないですが、店内はエアコンなし。その割りには涼しいなぁ。中央に煮込み鍋まであるのに、それほどモワッとした感じもない。

左右が逆の「リ」の形をしたカウンターだけの店内(客は「リ」の外側に座る。中はますみちゃんのスペース)には、長い側の中央あたりに先客がひとり。冷奴をつっつきながらホッピーを飲んでいます。私もその奥の、「リ」の字で言えば、一番右上(左右逆なので、実際には左上)のあたりに座ります。いや、この椅子も懐かしいですねぇ。四角い長方形の木の椅子で、長方形の部分を縦にして座る人、横にして座る人と、いろいろいるのです。丸い木の椅子もあります。

まず、なにはさておきホッピー(300円)でしょう。ここのホッピーは、まさに正統派(?)のホッピーで、氷は入れない。焼酎・ホッピー共にしっかりと冷やす。焼酎とホッピーは別々に出して客が自分で割る、という「ホッピーのベストの飲み方三カ条」(「下町酒場巡礼」より)がしっかりと守られているのです。

あぁ、うまいっ。まわりは暑いんだけど、ホッピーは冷たいっ!

先客として座っている初老の男性も、「エアコンも最初からないとなると、それはそれで過ごせちゃうんだよなぁ」と汗を拭いています。うん。言われてみればそうですよね。ときどき、窓のすき間からフッと吹いてくる風が妙に心地よかったりします。

それにしても、エアコンのない酒場というのも、もうここ「河本」と、先ほどの「武蔵屋」、そして神楽坂の「伊勢藤(いせとう)」ぐらいじゃないでしょうか。「武蔵屋」「伊勢藤」の両店が燗酒主体の店なのに比べると、ここはよく冷えたホッピーが主体なので多少過ごしやすいですけどね。(注:実は「武蔵屋」にはエアコンがあるんだけど、あまり効かせている様子はないのです。)

さてと。つまみは「かけじょうゆ」(400円)と、私もとなりの先客が食べている「冷奴(小)」(100円)をもらいますか。

「かけじょうゆ」。この名前がまた懐かしいですよねぇ。以前は、月島の「岸田屋(きしだや)」にも、「まぐろかけ醤油」(当時600円)という品があって、「牛にこみ」とならぶ人気のメニューだったのですが、オヤジさんが亡くなってから、メニューから消えたらしいのです。そんなこともあって、この「かけじょうゆ」の名前が残っている店も数が少ないのではないでしょうか。

小鉢にキャベツの千切りが入り、マグロのぶつ切りが5~6切れ。横にちょいとワサビが添えてあって、メニューの名前どおり、醤油があらかじめかけられています。

この店のメニューは10品ぐらいしかないのですが、この「かけじょうゆ」の400円というのは、その中で最高値です。また、生ものもこの一品だけ。マグロというのは、昔から東京の酒場ではつまみの華(はな)だったそうですから。創業以来70年というここ「河本」でも、歴史的に最高級品の地位を保ち続けてるんでしょうね、きっと。

一方、冷奴はというと、どかんと大きいこのひとかたまりが、サイズ的には「小」で100円。私は食べたことがないのですが、「大」(200円)だとまるごと1丁の豆腐なのだそうです。お皿には豆腐だけ。醤油皿のほうに刻みネギとショウガが入っています。

豆腐の一片を箸で切り取り、しょう油をつけてスルッとすすり込みます。うだるような暑さの中で、口の中に豆腐の冷たい感覚が心地よい。いえね。けっして豆腐を冷やしてあったりするわけではないんですよ。水の温度としての常温状態なんです。でも、まわりがあまりに暑いので、その常温を冷たく感じちゃうんですね。あ~、うまい。

あれ? なんにも変わんないように見えたんだけど、この煮込み鍋は妙に新しい。鍋、変えたんですか?

「春ごろだったかなぁ。穴が開いちゃってねぇ。昔だったら、鋳掛(いかけ)屋さんで直してもらうところなんだけど、今はないから、新しいのにしたのよ」とますみちゃん。「ポコッと丸~い穴が開いちゃったからねぇ」と、となりのお客さんもそのときの様子を話してくれます。へぇ~、そうだったんだ。なにしろ、毎日毎日煮込んでますからねぇ。

そこへ、ガラリと引き戸が開いて入ってきたのは、なんとFrさん! 「えぇ~っ!」「あ。どうもお久しぶりです!」なんて、びっくりしながらあいさつです。考えてみると、昨年の大晦日にお会いして以来です。

Frさんも、私のさらに奥側(ここが一番奥)に陣取り、黒ホッピー(300円)と煮込み(200円)を注文です。私も、ホッピー(300円)をおかわりします。

Frさんは、すっかりこの店の常連さんのようで、ますみちゃんからも「知り合いなの?」なんて聞かれています。

そのFrさんの話によると、この店は70年ほど続いていて、ますみちゃんは2代目の店主なのだそうです。チャキチャキの下町っ子風に見えるますみちゃんも、実は広島のご出身なのだそうで、12才のときにこちらに出てこられたのだといいます。この古い建物は、昭和21(1946)年の築ということですので、あと2年ほどで築60年を迎えるか、といったところなんですね。

奥の厨房で、「かけじょうゆ」なんかを作ってくれる男性は、ますみちゃんのご主人かな、なんて思っていたのですが、実はますみちゃんの弟さんなのだそうです。

「冷奴ですね。私も冷奴を塩辛で食べた話を読んで、この店でやってみたんですよ。うまいですねぇ、塩辛で食べる奴は」とFrさん。そうかぁ。この店の冷奴は、なにしろ豆腐だけが皿にのっているので、塩辛と合わせて食べるのもやりやすいですね。ちなみに、塩辛も200円です。先ほどの「かけじょうゆ」以外のつまみは、200円か300円なのです。

店には、以前来たときも見かけた常連さんたちが、ひとり、またひとりとやってきて、だんだんとにぎやかになってきました。

Frさんが黒ホッピーをおかわりし、私も3杯目に突入です。

ホッピーの焼酎は、コカ・コーラの1リットルビンで冷やされてるんですが、このビンも見なくなりましたよね。なにしろ、ガラス瓶ですからねぇ。棚の上には、2~3本の1リットルビンがスタンバっているのですが、よく見ると微妙に形状が違う。これも面白いなぁ。

その1リットルビンから、ちょっと目線を右にずらすと、ぶら下がっている木札に「真寿美」と書かれています。「ますみさんの名前は、この字なんですか?」「うん。そうよ」。へぇ、そうだったんだ。この「寿(ことぶき)」という字が入った「ますみ」という名前も珍しいんではないでしょうか。今日は発見が多いですねぇ。

「よ~し。じゃ、次に行きましょうか」と、Frさんとの話もまとまり、お勘定をしてもらいます。

「はい。それじゃ、こちらはイチ・ヨン・マルです」とますみちゃん。やぁ。懐かしい。そういやそうやってお勘定してもらってたなぁ。はい、1,400円ね。

今日は1時間ちょっとの滞在でした。そういえば、煮込みを食べようと思ってたのに、Frさんと話をするのに夢中になってて、忘れてました。また煮込みを食べにいかなきゃね。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月9日(金)の記録》

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