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カワイコちゃん一丁!? … 居酒屋「まるます家(まるますや)」(赤羽)

立ち飲みの「いこい」を後に駅前のバスロータリーを横切って「1番街」と書かれたアーケード街へ。向かう先は鯉とうなぎの「まるます家」です。さっきの「いこい」の朝7時開店ほど早くはないのですが、こちらも朝9時開店! どうなってんだ!? 赤羽の人たちは!(笑)

交差点の角を、斜めに切り落としたような形で建つ木造モルタル2階建て。店の表に向かって設置された焼き台からは、うなぎを焼く煙がもうもうと出ています。角を挟む両側にある入口の、駅に近い側から店内へ。すぐに店のおかあさんの「いらっしゃいませ!」という元気な声がひびきます。「おひとりさま、こちらへどうぞ!」と、入ってすぐのコの字カウンターの手前左側を指示されます。

まだ4時半なのに、ダブル「コ」の字カウンター+テーブル席3つ(40人くらいは座れそうかなぁ)の1階フロアは満席! おかあさんに指示されるまでもなく、開いている唯一の席がこの場所なのでした。

私のあとに続くように入ってきた男性3人連れは、入ってくるなり「いらっしゃいませ。お2階を見ていただけますか」と2階席へと回されています。開店時刻もさることながら、飲み始めるのも早いんですね、このあたりの人たちは! ま、「川名」(阿佐ヶ谷)なんかも、土日は4時半には満席になっちゃうから、似たようなもんか。

「はいっ。なんにしましょ」と微笑みながら、おかあさんが割り箸をもってきてくれます。それぞれのカウンターにひとりずつ担当のおかあさんがいるほか、両方のカウンターの付け根の中央部のレジのところに女将さんと思しき女性が立っています。その他に、フロアにも1~2人のおねえさんがいる。調理を担当しているのは男性陣で、店正面の焼き台のところに2人ほど、そして奥の厨房にも何人かいます。奥の厨房は、「金田」(自由が丘)と同じく、窓のようなすき間ごしにしか見ることができないので、正確な人数が把握できないのでした。

「じゃ、チューハイ(350円)お願いします」「はいよっ。食べものの決まったら呼んでね」と軽快に、元気よく、歌うように言って、カウンターの奥のほうへチューハイを作りにいきます。

といっても、ここのチューハイはいたって簡単。ニッカの「ハイリキ」という300ml入りの瓶入りチューハイの栓を開けて、ジョッキの上にひっくり返して乗せる。その間に、おかあさんはほかの注文を取りにいったり、できあがった品物をお客さんに届けたりということを、20秒ぐらいの間にやっつけてしまって、またジョッキの前に戻ってきます。空っぽになった瓶を、カウンター下の空瓶置き場に片づけて、ジョッキの中に氷をたっぷりと入れるとできあがり。「はいっ。チューハイお待たせ」と、これまた歌うように微笑みながら持ってきてくれます。

なぁ~んと。市販のチューハイじゃん。といったところですが、考えてみれば、ビールにしたって、日本酒にしたって、市販のものをそのまま出しているだけ。チューハイだけが自分のところで焼酎と炭酸を混ぜ合わさなければならないなんて道理はないですよね。たぶん自分のところで混ぜ合わせたほうが原価は安くなるんだろうと思いますが、なんだかちょっと、目からウロコでした。

ちなみに、チューハイは大瓶(1リットル入り)を注文することもできて、こちらは950円。普通瓶の3倍強の量が入ってるので、ひとりでも3杯以上飲む人や、グループのお客さんは大瓶をたのむと2割り近くお得になるようですよ。

さてと。つまみですね。この店の名物は、なにしろ店の表看板にも出ているとおり「鯉とうなぎ」です。まわりを見ても、うなぎの白焼きや蒲焼きをつまみながらお酒を飲んでいる人が多い。鯉の洗いなんかも好きなんですが、まだ昨年発生したコイヘルペスウイルス(KHV)病に対する蔓延防止措置が国のレベルで検討されていたりする段階なので、ちょっとやめとこうかな。農林水産省からは「KHVが人に感染することはありません」という報告はされてるんですけどねぇ。

「すみません」「はいよっ。ちょっと待ってね」とニッコリとおかあさん。この間髪を入れずという対応がうれしいですね。もちろん、大勢のお客さんを少ないおかあさんたちで切り盛りしているので、すべて同時に対応というわけにはいかない。しかし、声がかかると「はいよっ!」と元気よく答えて、「ちょっと待って」と歌うように伝える。この反応が大事なんですね。最近の大手居酒屋チェーン店では、忙しくなると、客の呼びかけが聞こえないふりをしながら、真横を通り過ぎていくなんてケースをよく見かけます。ぜひ、ここ「まるます家」や「大はし」(北千住)の客あしらいを見て、勉強してもらいたいですね。

「はいっ。なんでしょう」。おかあさんのニコニコ笑顔がやってきました。「うざく(450円)をお願いします」「はいよっ。うざく、いっちょ!」と尻上がりに軽快に、カウンター中央の女将さんと厨房とにいっぺんに注文を通します。女将さんはこれをレシートにつけて、厨房では料理の支度に入ります。

うざくは、キュウリとワカメの酢の物の上に、ザク切りにしたうなぎの蒲焼きが数切れのっかっています。冷たい酢の物の上に、温かいうなぎ。この取り合わせもおもしろくて、大好きなのです。メニュー上で発見すると、ついたのみたくなる一品です。

それにしてもこの店は品数が多い! 100品近くあるんじゃないかなぁ。店の壁をずらりとメニューの短冊が取り囲んでいるといった感じです。そのメニューを改めてじっくりと観察しながら、うざくをちびちび、チューハイをクイクイ。

あ。そうだったなぁ。ここはスッポンもあったんだ。なにしろスッポン鍋が750円ですからねぇ。ありますか、こんな値段で出す店! 今もメニューにのってるということは、夏場もあるんですね。でもやっぱり、冬場に食べたいなぁ、スッポン鍋は。もうちょっと涼しく、いや、寒くなってからまた来なきゃ。前もそんなことを思いながら帰って、結局、今日まで来れなかったんですけどね…。

とそのとき、おかあさんが「バラミポン酢どうですか? 待たずに食べられますよ。バラミポン酢!」と、カウンターのお客さんたちに手に持った小鉢をかざします。「ほい。こっちでもらおう!」と、ひとり客らしきおじさんの手があがります。「はいっ。どうもありがとう」と、小鉢が手渡されます。

この店では、だれかが注文した品物を、ちょっと多めに作ったり、あるいは厨房側でたまたま材料がそろったときにそれを作ったりしたものが、現物売り込みの形で出てくることがあるのです。前者は通常のメニューにある品物と同じものですが、後者はメニューにないこともあるので、注意して聞いておく必要があります。今まで聞いたことがある後者の例では、「スッポンの生き血(500円、2杯限定)」「ホウボウの潮汁(350円、5杯限定)」などなど。「スッポンの生き血」はだれかから注文があってスッポンをさばいたときにだけ、「ホウボウの潮汁」もホウボウをさばいてアラが出たときにだけしか作れない一品ですからねぇ。

それにしても、バラミポン酢ってなに? あらためて壁のメニューを確認します。ん~と。あった、あった。うなぎメニューのひとつか。なるほど、どうやらうなぎのバラ(お腹のまわりの小骨がたくさんある身の部分)の部分にポン酢をかけていただく一品のようですね。値段は350円。そういえば、「川二郎」(中野)でもバラの串焼きは人気の品だし、先日「竹よし」で食べたハモのバラやキモの唐揚げだってうまかったからなぁ。このバラミポン酢も、次回来たときのおつまみ候補ですね。今日はすでにうざくをいただいてるので、お酢っぽいものがかぶっちゃってダメですが…。

その間にも、おかあさんたちは大忙し。「はいっ、8番さん、うなぎ出たわよ!」「はいよっ。こちらおあいそね! 6番さん、おあいそ!」「はいっ。ジャンチューいっちょ! 15番さん!」と、まさに八面六臂(はちめんろっぴ)の大活躍です。ちなみに「ジャンチュー」というのが、チューハイ大瓶(ジャンボチューハイ)の通し言葉のようです。席にはすべて番号がついていて、その番号で注文を通したり、お勘定をしたりしています。

こんな忙しさなんだけど、けっして笑顔を絶やすことがない。また、声の調子も元気よくて明るい。カウンターという舞台の中でチャキチャキのおかあさんを演じている風情ですらあって、見ているだけで実に心地よい。

「はいよっ。12番さん、カワイコちゃんいっちょ!」 ぬわにぃ! いったいなにが出るんだ、と興味津々。あっという間に準備できたカワイコちゃんは、すぐに12番に座るおじさんの手に。このカワイコちゃんは、この店の日本酒「富久娘(ふくむすめ)」(350円)の符丁だったのです。お酒は普通には「金升」(300円)と「富久娘」の両方が選べて、なにも指定しないと「金升」になっちゃうようなので、こういう符丁が用意されたんですね。

ほかにも、にごり酒や生酒など、何種類かのお酒があるほか、焼酎も甲類が250円、乙類の芋焼酎(五代)が300円。さらにはウィスキー、ワインなどもあります。ただし、店内には「まるます家だけの決まり。酒類は3杯まで」の張り紙もありますので、気をつけましょうね。(一度出て、入り直すなんてことをしないように! ただし、午前中に1回3杯、午後に1回3杯なんてのはありかも…。)

となりのおにいさんがエビステーキカツ(400円)を注文します。そのメニュー、私も気になってたんだ。おかあさんがもう一度こちらにきたタイミングで「私もエビステーキカツお願いします。それとチューハイおかわり」「はいっ。エビステーキカツ、もういっちょ! 都合、2ちょおっ!」と厨房に通して、チューハイのおかわりを作りに戻ります。

今がちょうど5時ぐらい。ふと振り返ると、店の入口付近(つまり私のすぐ背後)には、何人かのお客さんが立って待っている状態。ひやぁ、まるで「魚三」(門前仲町)のような人気なんですねぇ。

ここ「まるます家」は、ライスやみそ汁などのメニューもあって、食事処(定食屋)としても楽しめるので、お酒を飲まないお客さんも来ているのです。だから、立って待ってても、比較的回転がはやいのかもしれませんね。この時間帯は、さすがに飲んでるお客さんのほうが多いようですが…。

「はいっ。エビステーキカツ、お待たせ!」 ほぉ。やや大きめの丸皿の向こう側にキャベツの千切り、そして手前側には横方向に4つにカットされたエビステーキカツが置かれ、湯気がほわんとあがっています。左にはタルタルソース、右には練りカラシが添えられ、タルタルソースで食べるもよし、ウスターソースをかけて練りカラシで食べるもよしといった状態になっているのがうれしいですね。

エビステーキカツは、エビのすり身を卵白でつないで、長方形に整形し、衣をつけて揚げたもののようです。すり身とはいえ、ところどころにエビの身そのものも混じり、エビそのものの歯ごたえや風味も味わえるようになっているのがいいところ。こういうつまみは好きですねぇ。

このお店の創業は昭和25(1950)年。今年で創業以来54年にもなる老舗なのです。初代の主人は昼間からふらふら飲みに出かけるような大の酒好き。それならいっそと自分で居酒屋を始めたのがきっかけなんですって!

やぁ、おいしかった。どうもごちそうさま。お勘定は、1,550円。ちょうど1時間の滞在でした。実に雰囲気のいい、居心地のいい酒場であることを再認識いたしました。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月7日(土)の記録》

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コメント

いつも楽しく読ませてもらっています。

一寸訂正、 チューハイはニッカの「ハイリキ」大瓶の符丁は「ジャンチュウ」ジャンボチュウハイの略だったと思います。

投稿: シュテンノ | 2004.08.28 18:18

ご指摘ありがとうございます。>シュテンノさん
さっそく、本文中も修正いたしました。

記事中の誤認部分あるいは誤字脱字等ありましたら、ぜひご指摘ください。ちびりちびりと修正を入れていきたいと思っています。>みなさん

投稿: 浜田信郎 | 2004.08.29 21:03

お言葉に甘えてもう一件。 鯉は佐久の業者から入れていて、代々自家繁殖で他の鯉を入れていないので感染の危険はありませんとのビラが以前出ていました。次回お越しの説はぜひ御賞味ください。 (赤羽の住民。)

投稿: シュテンノ | 2004.08.31 22:34

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