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店情報: おでん「いこい」(松山)

  • 店名: おでん「いこい」
  • 電話: 089-921-0875
  • 住所: 790-0002 愛媛県松山市二番町2-3-1
  • 営業: 17:00-22:30、日祝休
  • 場所: JR松山駅から、道後温泉行きの伊予鉄市内電車にのり、大街道(おおかいどう)下車。大街道の商店街に入り、2ブロックほど進む。左手の二浪証券と服部時計店の間の路地に左折し、次の角を右折。すぐ右側。
  • メモ: おでん各種 100円~、かんぱちの刺身 700円、ほごの煮付け 700円、カニの塩茹で 700円、サザエのつぼ焼き 600円、ほうたれ鰯の天ぷら 400円など。酒はすべて正一合で350円から。
  • HTML版(2003年以前): (02.08.02)(01.08.03)

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びっくり南蛮漬け … おでん「いこい」(松山)

私の生家がある町は、今でこそサラリーマン家庭が多いものの、昔は農業・漁業で生計をたてていた土地。今も、朝になると近所でとれた魚を、小さい手押し車にのせて売りにくるおばさんがいるのです。他の土地でなかなか食べることができないのが、こうやって売りにくる瀬戸内の雑魚(ざこ)ですね。

たとえば、今日の朝ごはん。小さいカレイ(ミスキガレイやウシノシタの小魚などが混ざったもの)を一部ムニエルにし、また一部はそのままみそ汁に。なにしろ体長6~8センチぐらいしかないカレイなので、中骨以外はそのまま食べられます(好きな人だと、中骨まで食べちゃうかも)。干して“デベラ”みたいにしてもうまいんですよねぇ。

夕食にはギゾを焼いたもの。ギゾというのは、こちらでの呼び方でしょうか。標準的にはベラとかキュウセン(求仙)、関西地区一帯ではギザミともいう、まるで熱帯魚のようなケバケバしい小魚です。焼いて、味噌をちょいと付けながら食べるとうまいのです。

さらにはタコです。一部はさっとゆでて刺身で。これが一番タコの味がよくわかります。瀬戸内海はエビ、カニ、貝など、タコの餌(えさ)になる生き物が多いので味がよくなるのだそうです。そして天ぷら。大きい部分はそのままタコ天に、小さいところは何切れかを寄せ集めて、かき揚げ風タコ天になるのです。熱いうちにハフハフと。なんで瀬戸内以外ではタコを天ぷらで食べないのかなぁと、この天ぷらを食べるたびに思います。タコの唐揚げの比じゃないですよぉ、天ぷらは!

これで“タコ飯”でも食べれば完璧だなぁ、なんて思っているところへ、友人から「今夜も行こう!」と飲みのお誘い。ホイホイと喜んで出かけます。今回は、会社の夏休みと子供たちの予定とがおり合わず、私ひとりで帰省しているので、フットワークがより軽いのです。(笑)

出かけた先は、昨日に引き続いて松山・二番町です。

松山の繁華街は、松山城の南側に、お城に近いほうから一番町、二番町、三番町と広がります。その三つの町を大街道(おおかいどう)という商店街が、ずどんと直角につらぬいているのです。中でも今向かっている二番町界隈は、夜になってますます繁華街になる感じの、まさに夜の街。派手なネオンと、呼び込みのおにいさんたちが道行く人々を誘います。ま、だいたいは誘われたい人たちが集まってきてるんですけどね…。

現在、午後8時。友人がまだ食事をとっていないというので、まずは食べものもある店をさがします。なにしろ、私は夏休みですが、友人をはじめ、みなさんにとっては普通の平日ですからねぇ。やっと仕事が終わって、これから飲むぞという時間帯なんですね。

「おでんのおいしい店があるよ」と、友人を連れて入ったのは、2年ぶりの「いこい」です。昨年は帰省できなかったからなぁ。間があいちゃったのです。

「こんばんは」と入ると、すぐ右手のカウンターの入口側には、以前と変わらず女将(ママ)さんがいて、なつかしい笑顔で迎えてくれます。いやぁ、この時間、左手の小上がりまで含めて、お客さんが多いですねぇ。L字カウンターの短辺のところだけがかろうじて空いていたので、2人でそこに座ります。

「生ビールをお願いします」と注文する友人に、「生ビールはアサヒとキリンがありますが」と女将さん。そうでしたねぇ。2銘柄あるところも変わっていない。「キリンで」と友人。「同じく」と私。まずはジョッキで乾杯です。

L字カウンターは、Lの縦の辺(長辺)に9人、横の辺(短辺)に3人の都合12人が座れますが、どうもいつ来ても短辺のところは人気がない。なぜかというと、この席からはカウンター中央部に掲げられた、本日のおすすめが書かれた黒板メニューが見えないからなのです。かわりに、紙に書かれたメニューを見せてくれるのですが、黒板のほうは、品がなくなった時点でどんどん消されていくのに対して、紙のほうは最初のままなので、やっぱりちょっと不便なんですね。だから、この席が最後まで空いてるんだと思います。

私はもう、ほとんど満腹の状態できてるので、おでんの玉子とスジ(牛スジ)の2品ぐらいにしとこかな。「はいはい」と、カウンター中央にふたつドンと据えられているおでん鍋から、女将さんが取り皿にとってくれます。そして、やわらかく溶いた辛子味噌を、お皿の空いてる部分にシャーッとかけ入れて「はいどうぞ」。

辛子味噌は、ホットドッグにケチャップやカラシなんかをかけるような、最近ではお好み焼きなどにマヨネーズをかけるような、とんがった口の容器に入れられていて、逆さにして絞り入れるようになっているのです。

友人も玉子とジャコ天というおでんからスタートです。

カウンターの上においてある大きな鉢のなかみは、南蛮漬けかな? メニューには「アジ南蛮漬け」とあり、友人がそれを注文します。

南蛮漬けというと、小さいアジを揚げて、玉ネギなんかといっしょに酢に漬け込んだものという印象がありますが、出てきたのはお皿いっぱいの大きな魚が2尾。しかし、いっしょに漬け込まれていた玉ネギがまわりに並んでいるところをみると、これが南蛮漬けなんですね。

1尾はアジ、もう1尾はキスのようです。ど~れ。私にもひと口ちょうだい。あまりにおいしそうなので、満腹にもかかわらずつい箸がのびてしまいます。

なるほどぉ。これだけ大きい魚なので、唐揚げではなくて、焼き魚にしてから漬け込んでるんですね。身はしっかりと肉厚。しかも酢のすがすがしさで、暑い中でも食べやすい。これはいいですねぇ。

「ここはねぇ。豆腐もおすすめだよ」と話すと、それじゃと友人は生ビールをおかわりして、豆腐とスジをもらいます。

そう。今私が食べている、このスジもうまいんですよねぇ。スジといいながらも、かなり肉肉した一品で、ボリュームもあるのです。

そして豆腐はこの店の人気の品。ちょっと深いお皿に取られ、カツオ節と刻みネギをたっぷりかけて出てきます。

カウンター中央付近に座っている若いおにいさんは、さっきから豚肉の生姜焼きや、炒め物などをたのんで、もりもりと食べています。なるほど、ああいう定食のおかず風のつまみもあるんですね。

さあ。腹ごしらえも終わったところで、次へ向かいますか。ちょうど1時間の滞在で、お勘定は、2人で3,000円でした。どうもごちそうさま。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月27日(火)の記録》

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ブランデーづくし … バー「露口(つゆぐち)」(松山)

おでんの「いこい」をあとに、昨日に引き続いて、またまた「露口」です。

「あらあら。いらっしゃいませ」と笑顔で迎えられた店内は5~6割の入りというところでしょうか。ちょうど9時を回ったところなので、最初のお客さんが一段落したのかな。先客のみなさんは、どういうわけだか手前のほうにかたまって座っているので、一番奥に陣取ります。奥にグループ客でもいたのが、一片に抜けちゃったのかな。

昨日は友人が右で、私が左だったのですが、今日は並びも変えて、私が右(カウンターの一番奥)で、友人が左です。友人は座るなりスティンガー(Stinger)を注文。じゃ、私もスティンガーをお願いします。

カウンターの入口側に座ってる6~7人のお客さんのうち、半分ぐらいは昨夜もお見かけした顔です。この店もご多分にもれず、二日とあけずやってくる常連さんたちがいるんですねぇ。

カンパ~イ。あれ? スティンガーの味が変わった?「今日はブランデーがマーテルです」とのこと。へぇ。こんなにあきらかに味が変わるんですねぇ。ちなみに、昨日のはサントリーのVSOPだったのだそうです。

一番入口側に陣取って、ときどき写真を撮ったりしている男女ふたり連れは、雑誌の取材の方なのだそうです。なるほど、雑誌の取材はこうやって普通のお客さんたちの中に混ざってできちゃうんですね。あ。そういえば、「全国居酒屋紀行」だって、テレビなんだけど、太田和彦さんがお客さんたちの中に混ざって飲んでるか。そのほうが臨場感があっていいんでしょうねぇ。見てるほうもおもしろいし。(雑誌はたしか「西の旅」だったと思います。9月の発売だそうです。)

友人は早々と1杯目のスティンガーを飲み終えて、2杯目には先ほどのマーテルを使ったブランデーのハイボールをもらっています。私も、今日はブランデーにするかな。じゃあ、スティンガーなんだけど、ミントを普通のグリーンミントに変えてもらって、それをロックスタイルでください。「はい。そのカクテルは、デビル(Devil)と言うんですよ。よくご存知ですね」と店主(マスター)。おぉ。すごい。あまり知ったかぶりして「デビルをロックで」なんて注文するのも恥ずかしいので、ちょっとまわりくどい注文の仕方をしちゃったのですが、それを聞いただけでカクテルの銘柄もサッとわかるんですね。さすがです。

2杯目を飲み終えた友人が、3杯目として選んだカクテルはブランデー・コリンズ(Brandy Collins)。これは、ブランデーにレモンジュースと砂糖をちょっと入れて、あとはソーダです。酔ってくると、ミントやレモンが心地いいんですよね。

マーテルのデビルは、どす緑色(!?)が一段と強くて、本当に「デビル」って感じですね。ロックスタイルにしてもらってるから、まだやわらかいですが、普通のショートスタイル(三角のカクテルグラスに入れてもらう形)で出してもらってたら、きっと強烈な色だったでしょう。

それじゃあ、私も3杯目はレモン系でいくかな。「サイドカー(Side-Car)」をお願いします。

友人はここで「バラライカ(Balalaika)」です。ブランデーからはいったん離れたものの、見事に私のサイドカーと連携をとってるところがおもしろい。サイドカーとバラライカは、ベースがブランデーからウォッカにかわっただけの兄弟カクテルなのです。このシリーズは兄弟が多くて、ベースがテキーラだと「マルガリータ(Margarita)」、ジンだと「ホワイトレディ(White Lady)」などなど。甘酸っぱい冷たさが、このシリーズの特徴ですね。

ずぅ~っとポップコーンだけだったつまみですが、何度目かのおかわりのときにクルミが出てきました。へぇ。こんなのも置いてるんですねぇ。

取材の人たちも帰り、夜が更けるにつれてだんだんと昨夜と同じような顔ぶれになってきました。

友人が、もう1杯スティンガーを注文し、チビチビとやり始めたところへ10名ぐらいの団体が入ってきます。「あらぁ。○○先生、お久しぶり」なんて、朝子ママもあいさつを交わしています。こちらに仕事でやってきた演出家の先生と、その関係の人たちだそうで、松山に来るたびに顔を出してくれるのだそうです。座れる人だけ座って、あとはうしろの壁際においてあるベンチのところに腰をおろします。

時間も11時半。ちょうどいい頃合いなので、われわれはこれで引き上げて、うしろのみなさんに席をゆずりますか。どうもごちそうさま。今日はカクテルが8杯で、ふたりで9,000円でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月27日(火)の記録》

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店情報: 居酒屋「富屋勧商場(とみやかんしょうば)」(北条)

  • 店名: 居酒屋「富屋勧商場」(とみやかんしょうば)
  • 電話: 089-993-3522
  • 住所: 799-2430 愛媛県北条市辻1387
  • 営業: 17:30-24:00(23:30LO)、月休
  • 場所: JR予讃線・伊予北条駅から徒歩約10分。
  • メモ: 「花へんろ」(早坂暁著)の舞台となった店を、居酒屋として復刻。
  • HTML版(2003年以前): (99.07.27)

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地酒でいただく地の魚 … 居酒屋「富屋勧商場(とみやかんしょうば)」(北条)

楽しい夏休みも、もう週半ば。水曜日になってしまいました。仕事のときも、1週間、1週間が飛ぶように流れさりますが、休みのときも速いですねぇ。仕事のときは、1日1日がとっても速い感じ。休みのときは1日1日はけっこうのんびりゆったりなのですが、振り返ってみると「もうこんなに経っちゃったか」という感じです。

「今日は近場に行ってみよう」と、友人と連れ立って出かけた先は、「富屋勧商場(とみやかんしょうば)」という居酒屋です。

「こんばんは」と店に入ると、店の人はもとより、店に来ているお客さんたちから、友人に声がかかります。なにしろ小さな町なので、この町で暮らしている友人は、どこへ行っても知り合いばかりなのです。

店内は、左手に直線のカウンター席、まんなかにまるで中の島のような小上がり席があり、さらに右手にも小上がりの座敷があります。われわれは入口のすぐ左手、カウンター席の一番手前に陣取ります。

ここはちょうどおでん鍋の前。ここ松山・北条界隈に限らず、四国地方のうどん屋さんや食堂、そしてもちろん居酒屋にはおでんを置いてあるところが多いのです。われわれも「生ビール2つね」とビールをたのみ、まずはおでんでスタートします。「玉子とぉ、チクワとぉ…」と思い思いに注文。夏でもおでんは人気ものです。

この店の名、「富屋勧商場」というのは、早坂暁の私ドラマ(?)「花へんろ」に出てくる商店の名前です。「勧商場」というのは「百貨店」のこと。元々は普通の商店だった「富屋」さんが、大正15(1926)年に木造建築3階建ての、今でいう百貨店に建て替えるのにあたって付けた名前が「富屋勧商場」。実際に、この場所に存在していたお店の名前なのだそうです。

私が子どものときには、ここにこんなお店はなかったような気がするのです。子どもだから、お酒を飲む場所が目に入らなかっただけなのかなぁ。もしかすると、これがいわゆる「バカの壁」?

せっかくの北条なので、魚を食べようよ。イカ好きの友人は、まず「みずいか糸造り」(700円)を注文。そんならオイラは「たこぶつ」(500円)だい。夏場の瀬戸内のタコは、毎日食べても食べ飽きないんだから。あとはぁ。「青ぎぞ活造り」(700円)と「どんこ活造り」(600円)! どうです! こんなの食べたことないでしょ!?

なにしろ、私自身「青ぎぞ」や「どんこ」を刺身で、それも活造りでなんて、生まれてこのかた食べたことがありません。

子どものころ、この辺の海岸で釣りをするとあがってくるのが、このギゾやドンコ。あ。もうひとついた。カラコギという、赤い小さい毒をもった魚です。あんまり「食べたい」って魚じゃなかったし、食べなかったよなぁ…。

まず出てきたのはミズイカとタコです。ミズイカの正式名称はアオリイカ。「イカの中で一番おいしい」という人も多いイカで、うまみ、甘みが味わえます。

そして青ギゾとドンコ。活造りというだけあって、どちらもまだピクピクと動いています。青ギゾの正式名称は、ベラ科のキュウセンです。メスは赤色、オスが青色で、このオスのほうが青ギゾと呼ばれます。実にサッパリとした刺身ですねぇ、これは。感覚的には、小さいヤガラの刺身に似てるかなぁ。ドンコはハゼ科の魚。これもほとんどクセのない白身です。

お酒も、地元の「雪雀(ゆきすずめ)」に切りかえます。

向こうの男女ふたり連れがつついている「にし貝刺身」(800円)もおいしそうです。

この北条という土地は、昔は愛媛県風早郡(かざはやぐん)北条村から、明治30年に愛媛県温泉郡(おんせんぐん)北条村に編成替えとなり、昭和33年の市制施行により、現在の愛媛県北条市になりました。来年度には松山市との合併により、愛媛県松山市北条になるのだそうです。時代の流れとはいえ、風早という名前がなくなり、北条も市でなくなってしまうということには一抹の淋しさを感じますね。昨日乗ったタクシーの運転手さんは、「この北条の白い砂浜が松山市の一部になると思うと、うれしいですねぇ」と話してましたが…。

愛媛といえば、高校野球の盛んな土地。私も昼間は親父といっしょにビールを飲みながら高校野球を見て過ごしていたのですが、昨日、(愛媛県大会の)決勝戦も終わってしまいました。一昨日の準決勝が「済美(10) VS 宇和島東(0)」と「新田(7) VS 松山商業(0)」。そして昨日の決勝が「済美(4) VS 新田(2)」(それぞれカッコ内は得点数)と、どの学校が代表になっても知名度が高い中、春の選抜大会優勝校である済美高校がみごとに代表の座についたのでした。

済美の上甲監督が、もともと宇和島東の監督として選抜で優勝していたり、新田の監督が、松山商業出身であったりするところも、なにやら因縁めいておもしろいですね。それにしても、準決勝がそれぞれ10対0、7対0と、古豪・宇和島東、松山商業をそれぞれコールドゲームで打ち負かしての決勝ですからねぇ。私立高校同士の決勝戦は、愛媛大会はじまって以来、はじめてのことだそうです。

済美高校は、私が高校生だったときは女子校だったのです。というか、明治34(1901)年にその前身である「松山裁縫傳習所」を開設以来、平成14(2002)年に共学に移行するまで、100年間の間、ズゥ~ッと女子校。だから今年度になって、やっと男子の3年生ができたところなんですね。それなのに春の選抜に優勝したり、夏の代表校に登りつめたりできるというのもすごいですよねぇ。

そんな地元話で盛り上がりつつも、「さぁ、今夜もちょっと露口をのぞいとこうか」という話がまとまり、席を立ちます。お勘定は2人で6,000円。ちょうど1時間の滞在でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月28日(水)の記録》

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三夜連続! … バー「露口(つゆぐち)」(松山)

三夜連続となるバー「露口」です。午後11時の店内は7割がたぐらいの入り。空いていた奥から3番目、4番目あたりに陣取ります。初日と同じ場所ですね。

友人は例によってスティンガー。私はハイボールでスタートです。

一番奥に座っている人は、大手家電メーカーの松山支所長さん。インターネットでこの店を知って来てみたのだそうです。プリントアウトした記事も見せてもらったのですが、なんと、「吉村喜彦のトリスバー探訪」にここ「露口」が載ったんですね。7月26日に載ったばかりなので、まだ二日ぐらいしかたっていない。よく見つけましたねぇ。

その支所長さんは、仕事柄ということもあるのでしょうが、店内一番奥の天井にぶらさがっているJBLのスピーカーにとっても興味があるようです。「ツイーター(高音を出す部分)が分かれてるのが珍しいなぁ」。へぇ、そうなんだ。

支所長さんの飲んでいるカクテルは「ラスティーネール(Rusty Nail)」。スコッチと、ドランブイという蜂蜜と薬草系の甘いリキュールを混ぜたカクテルで、労働者に好まれて飲まれるのだといいます。「ラスティーネール」というのは「錆びた釘」という意味。色合いがそんな風に見えるからかなぁ。

日本でも「直し(なおし)」とか「柳蔭(やなぎかげ)」といって、焼酎を味醂(みりん)で割って(場合によっては蜂蜜や氷砂糖なども加えて)冷やしたものを暑気払いで飲んだりしてたらしいので、洋の東西を問わず、甘いお酒は労働者に人気なんですね。

今日は約1時間であっさり目に飲んで、ふたりで2千円。閉店時刻を過ぎても、まだまだ毎日やってきている常連さんたちでにぎわいの続く店をあとにしたのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月28日(水)の記録》

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店情報: 焼き鳥「世渡(せと)」(今治)

  • 店名: やきとりの店「世渡」(せと)
  • 電話: 0898-31-1614
  • 住所: 794-0037 愛媛県今治市黄金町1-5-20
  • 営業: 17:00-23:00(22:30LO)、月休
  • 場所: JR予讃線今治駅から徒歩10分
  • メモ: 皮焼(350円)、センザンギ(4個1人前で400円)、せせり焼、手羽先(各3本1人前で350円)、とり酢、白身焼、キモ焼、砂ズリ、ピーマン焼(各3本1人前で300円)、玉ねぎ焼(280円)、モモ焼(700円)、鳥天、チキンステーキ(各450円)、山かけ豆腐(380円)など。ビール(大)(600円)、生ビール(大)(800円)、(中)(550円)、お酒(400円)、チューハイ(450円)。焼にぎり(170円)、めし(200円)、茶漬け(400円)。

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やきとり天国 … 焼き鳥「世渡(せと)」(今治)

わが生家から、JR予讃線で南西に向かうと松山に。それと同じくらい北東に向かうと今治に出ます。この今治が、知らぬ間に「やきとり」シティになっているのです。

火付け役は愛媛県今治市在住の土井中照氏。その著書「やきとり天国」(平成11年4月1日発刊)の中で、「今治市が焼鳥日本一である」ということを述べて以来、こういう状況になってきたようなのです。この図書の内容は、土井中照氏のホームページ「モンドえひめ」の一部である、「やきとり天国」上にも公開されていますので、興味ある人は見てみてください。

今治の焼き鳥の特徴は「鉄板で焼く」ことと「センザンギ」と「生キャベツ」。

一般的に焼き鳥というと、「紀州備長炭使用」なんてことが看板に出てたりするぐらい「炭火焼」の店が多いものですが、今治の焼き鳥は「鉄板で焼く」のです。鉄板の上に串刺しの焼き鳥などを置いて、上からプレスという重しで押さえて焼く。これが、今治の焼き鳥なのです。今治の人はせっかちなので、注文したものがすぐに焼きあがるように、こういう焼き方を考え出したのだそうです。

次に「センザンギ」。これは鶏の唐揚げのことです。土井中氏は、中国語で骨付鶏の唐揚げのことを示す「軟炸鶏(エンザーチ)」が転じて「センザンギ」になったのではないかと推測されています。

そして「生キャベツ」。大阪の立ち飲み串カツ屋さんで、おかわりし放題の生キャベツが出てくるそうですが、今治の焼き鳥屋さんでの「生キャベツ」も同様らしいのです。

この3点が守られていることが、「今治の焼き鳥」の条件であると言えそうですね。

件の「やきとり天国」によりますと、今治に現在のような鉄板焼き鳥の店が誕生したのは昭和36(1961)年のことなのだそうです。センザンギのほうは、戦後すぐからあったらしいので、「鉄板で焼く」というほうがあとからできたんですね。この「鉄板で焼く」をはじめたのが「五味鳥(ごみどり)」(0898-32-3753、今治市旭町1-5-20、17:00-23:00、日休)です。

当時、「五味鳥」の前には人の列がとぎれることがなく、その人気に刺激されて、続々と鉄板焼鳥屋が誕生したそうです。それらの各店が研鑽を重ね、昭和40年代には「五味鳥」「無味」「八味鳥」「鳥林」が、焼鳥四天王と称されたのだそうです。それぞれ「甘くてうまい」「むつこくうまい」「上品でうまい」「深くてうまい」という特徴があるそうです。これらのうち、「無味」はもう今治に店がないそうで、「世渡(せと)」がその味を継承しているとのことです。

  • 「八味鳥」(0898-22-1127、今治市常盤町4-3-23)
  • 「鳥林(とりばやし)」(0898-32-1262、今治市南大門町1-6-21、17:00-22:00、木休)

さて、どこに行ってみようかとやや迷ったのですが、「鳥林」は残念ながら、今日木曜日は定休日。両親も一緒に行く予定なので、店内がきれいといううわさの高い「世渡」にしてみましょうか。

「世渡」に到着したのは、開店時刻の午後5時をちょっと回ったころ。正面に駐車場まである店は焼き鳥屋さんというよりは、ちょっとした料理屋さんのよう。のれんをくぐり、入口引き戸を開けます。

「いらっしゃいませ」。正面右手のカウンターの中にいる店主らしき男性から声がかかります。「3人ですけど」「お好きなところへどうぞ」。

右手に回ると、カウンターの後ろ側にテーブル席と、小上がり席がそれぞれひとつずつあったので、その小上がり席に陣取ります。6人ぐらいは座れるところに3人なので、とってもゆったりですね。

店内は、入口を入って左手側に行くと、個室風の座敷席が何個かある造りになっていて、かなり大勢入れそうです。

まずはビール(キリンラガー、大ビン、600円)をもらって乾杯し、ちびちびと飲みながら、なにを注文するか選びます。

鉄板焼きの焼き鳥の中でも、特におすすめなのが「皮焼き」(350円)らしいので、これははずせませんね。2人前ぐらいもらっときましょうか。すると、店主が「皮だけはぜひ1人前ずつ食べてみてください」とのことで、3人前もらうことにしました。「焼き鳥は、それぞれ3本が1人前ですから」と店主。じゃ、「キモ焼」(300円)2人前と「砂ズリ」(300円)1人前をお願いします。それと、「センザンギ」(4個1人前で400円)も2人前ね。

すぐに出てきたのは「皮焼き」です。鉄板の上で、肉もついた皮の部分を焼いて、上からプレスで押さえつけるので、余分な脂が抜けています。「キャベツもこのタレにつけて食べてください」と、小鉢に盛られたキャベツが各人に出てきます。皮自体は塩焼きなのですが、お皿には甘いタレがたっぷり入っていて、それをつけて食べるのです。

「砂ズリ」は、砂肝のことですが、1串に3個刺さっている中で、砂肝は両側の2個。中間の1個は、なんと心臓(鶏ハツ)です。これは塩焼きでとってもいい味です。鉄板がやや傾いているのか、焼いているときに出た脂は流れ落ちるようなのです。

「キモ焼」も塩焼き。これはちょっと、いかにも鶏のキモという味でした。最近、都内の焼き鳥屋などでも地鶏をあつかうお店が増えています。地鶏を、鉄板焼き鳥にすると、とってもおいしいのではないかと思いました。

6時が近くなると、店主の奥さんや、手伝っているらしいアルバイトの男子学生もやってきます。お客さんも、ひとり客、ふたり客と入ってきて、カウンターでやっぱり「皮焼き」から食べ始めます。

われわれもビールを1本追加し、燗酒(1合、400円)をひとつもらいます。燗酒は、今治の地酒「山丹正宗(やまたんまさむね)」の普通酒です。

「センザンギ」が来ました。ほぼ同じぐらいの大きさの唐揚げがずらりと並んでいます。骨はあったりなかったり。

注文はいっぺんにしているのですが、カウンターの中の店主が、われわれの食べるスピードを見ながら、前のを食べ終わると、次のが出てくるというように出してくれているのです。焼き鳥や唐揚げは、熱々の状態をいただきたいので、この心配りはとてもありがたいですね。

「センザンギ」がなくなりかけたところで、店主のおすすめにしたがって「ピーマン」(3個1人前、300円)を2人前追加しましょうか。このピーマンはつくねを中に詰めて、いわゆる肉詰め焼き状態になっているのだそうです。

このほか、注文していないけど気になったつまみは、「せせり焼」(くびの肉、350円)、「鳥酢」(300円)、「チキンステーキ」(450円)などなど。でも今度は、四天王のほかのお店にも行ってみたいですね。

午後7時前まで、約1時間半の滞在で、3人で5,550円でした。

店情報

《平成16(2004)年7月29日(木)の記録》

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エビマヨとホウタレイワシ … おでん「いこい」(松山)

台風10号が、あろうことか東から近づいてきてるのです。台風といえば、南西からやってきて北東に進むもの。ずっと昔からそう思い込んでいたのに、まさか東京のほうから四国に台風が近づいて来ようとは!

現在すでに太平洋上を紀伊半島に向かって、歩くぐらいのゆっくりとしたスピードで進みつつあり、明日の午後にはこのあたり(松山付近)にやってきそうです。本当は明日の夜行バスで帰る予定だったのですが、急きょ予定を変更して今日の夜東京に向かうことにしました。

今日は金曜日なので、旧友たちが何人か集まってくれる予定だったのに残念です。

発行済のチケットは、現地窓口でないと変更ができないということで、早めの夕方にバス乗り場に出かけ、今夕出発の夜行バスに変更します。今日も松山はカンカン照り。ものすごく暑い1日です。本当に台風は近づいてるのかなぁ。

無事にチケットが変更できたあとは、午後7時過ぎの出発時刻までに腹ごしらえです。新宿思い出横丁の大衆食堂「つるかめ」で腹ごしらえをして、東京を出発したのがつい昨日のようです。さあて、今日はと。そうだ。先日お腹がいっぱいで、あまり食べることができなかった「いこい」にもう一度行っときましょうかね。

時刻は5時ジャスト。ぴったり開店時刻です。のれんをくぐり「こんにちは」と店内に入ると、店内はまだゆったりと開店準備中の様子です。おでん鍋の中のタネをちょいちょいとつつきながら、「いらっしゃいませ」と女将さんの笑顔に迎えられます。にっこりふくよかな女将さんは75~6才になったのではないでしょうか。いつも笑顔のイメージです。

先客はだれもいなくて、私が第1号です。東京あたりだと、開店を待ちわびるように呑んべが集まってくるのですが、ここはそこまでの出足はないんですね。住宅街じゃないからなぁ、この辺は。

カウンターのまんなか、ちょうどおでん鍋の前あたりに陣取ったところ、「そこは熱いよ。ふた~つぐらい入り口側に寄ったほうが涼しいかもしれん」と女将さん。そうかそうか。おでん鍋のまわりは熱いんだ。

女将さんのすすめにしたがって、少し入り口側にずれて、まずは生ビールを注文します。キリンのほうをくださいな。生ビールはアサヒとキリンが選べるのです。

ゴクゴクっと、ジョッキの3分の1ぐらいを一気に飲んで、ひと息つきます。バス乗り場の松山市駅前から、ここ二番町の「いこい」までは歩いて15分ほど。夕方5時とはいえ、まだまだ相当暑くて、汗をかきかきここまでたどりついたのでした。

「メニューがまだ昨日のままやからちょっと待ってね。おでんはもう全部できとるよ」と女将さん。「もうちょっと汗がひいてからたのむね」と私。おでん以外のメニューはカウンター内の壁、中央付近にある黒板に書き出されるのです。

小上がりの机を拭いたりしていたおねえさんたちもカウンターのほうに集結してきました。なるほど。若いおねえさんたちが3人と、それよりは年上のおねえさん(もちろん女将さんよりは若い)がひとり。若い3人はアルバイトのようです。

私のほうも、生ビールを3分の2ぐらい飲むころには暑さも落ちついてきて、まずは目の前のおでん鍋の一番近いところにあるジャコ天をもらうことにしました。「このジャコ天は八幡浜のよ。こっちが宇和島」。へぇ。ジャコ天も2種類あるんだ。じゃ、両方入れて。

八幡浜のほうは色が濃くて、1枚のジャコ天を1.5センチぐらいの幅にスライスして、串に刺してあります。いっぽう宇和島のは白っぽい色で、小判型に近い四角形。こちらはスライスしないで、1枚まるごとです。プリッとした身のおいしさの八幡浜のジャコ天、そして砕けた小骨の歯応えも心地よい宇和島のジャコ天。どっちもそれぞれにうまいですねぇ。カラシ味噌ともよく合います。

さあ、今日のメニューもできあがったようです。「マリちゃん、書いてくれる」と女将さん。マリちゃんがやってきて、黒板に書きはじめます。「マリちゃんは背が高いから、そのまま書けるんよ」。なるほど。それがマリちゃんが呼ばれた理由でしたか。たしかに黒板は少し高いところにあって、身長が低い人だと書きにくそうです。

じゃ、メニューの中からエビマヨをお願いします。「は~い。エビマヨ通しといて」と、女将さんが奥の厨房に向かって注文を通します。何人かの男性が奥の厨房で働いている様子が、ときどきかいま見えます。

そこへ、サラリーマンらしき背広姿の男性客が入ってきます。「あとでもうひとり来るけんの」といいながらカウンターの奥のほうへ陣取り、生ビールを注文します。「豆腐もらおかぁ」とお客さん。そう、このおでんの豆腐がうまいんですよね。私にも豆腐ください。

豆腐は、アルバイトのおねえさんが用意してくれます。おでん鍋から、少し深めのお皿に豆腐を移し、その上にカツオ節と刻みネギをたっぷりとのせ、おでんのダシをかけて完成です。こう書くと簡単そうですが、実は豆腐がトロンととろけるほどやわらかいので、それをくずさずに取るのがものすごく大変。女将さんが横で見ながら、気をつけなければいけないポイントを伝授しながらの作業なのです。

あぁ、うまいっ。この豆腐は、本当にうまいですよねぇ。女将さんによると、さすがに冬のほうが人気があるとのことですが、おでん鍋の中にも豆腐がずらりとスタンバイされているところをみると、夏でもかなりの数は出る品なんですね。

新しい男性客がふたり続けて入ってきました。ひとりは先ほどのお客さんの同僚のようで、そのとなりに座ります。もうひとりはちょっと年配のお客さんで「3人になるけど、あとは○○さんと、××さんよ。」「そしたら、奥の小部屋にする」。どうやら3人とも常連さんのようです。「そろうまで、ここで飲みよったら」と女将さん。「そうしょうわい」と、私のすぐ近くに座り、生ビールの小ジョッキ(アサヒ)を注文します。

女将さんに「前に、大学院にいってる女の子がいましたよねぇ」と聞いてみます。「あぁ。あの娘(こ)は神戸の大学院におって、同じ学生のご主人と結婚したらしいから、学生、奥さん、アルバイトの三役よ。がんばるねぇ。郷里(くに)に帰って先生になるんやて」。へぇ。そうだったんだ。

「今の娘(こ)らは、みんな地元の娘よ。ユカちゃんは宇和島の南の方。もうひとりのユカちゃん、ほんとうはユカリちゃんなんやけど、この娘は松山。ご両親は八幡浜じゃけどね」と女将さん。え。こっちもユカちゃんで、こっちもユカちゃん!? ふたりがこっちを向いてニコッとほほ笑みます。「最初は、別の曜日に来てたから、ま、いいかと思とったんじゃけどね。いつの間にか一緒の曜日になって、ユカちゃん同士になったのよ」。

「ええ娘(こ)ばっかりよ、ここの娘は」。私の横で生ビールを飲んでいる年配のおじさんから合いの手が入ります。「今の時代には珍しいぐらいええ娘らじゃ。ママさんの教育がしっかりしとるけんのぉ」と感心しています。そうかぁ。横浜の「武蔵屋」と同じ感じなんですね、この店も。

「エビマヨ、お待たせぇ」と、エビマヨが出てきました。なんと。注文したときの私のイメージとしては、ゆでたエビをマヨネーズで合えた、洋風にかっこよく言えばシュリンプ・カクテル風のものが出てくるのかと思っていたのですが、さにあらず。これは、フリッターと言うんでしょうか。裸の小さいエビを、ひとつひとつうす~く衣がついた天ぷら風に揚げて、その揚げたての熱々に、ちょっとやわらかめのマヨネーズがかけられている。その熱いのをホフホフとほおばります。うまいなぁ、これも。てっぺんには、彩(いろど)りのためかオクラのフリッターもひとつ添えられています。

ここはひとつ酎ハイをもらいましょうか。普通、酎ハイというと甲類焼酎で作ることが多いのですが、ここのはなんと「いいちこ」(乙類、麦焼酎)の酎ハイです。エビマヨともよく合いますね。

となりのおじさんが、おでんのジャガイモを注文したのですが、そのジャガイモのホクホクとでかいこと! なんだか、見るおでん見るおでんのすべてがおいしそうですねぇ。

しかし、もう6時を回っているので、そろそろ個人的にラストオーダーかな。最後は、なにしろ瀬戸内なので、ホウタレイワシの刺身をもらいましょうか。ホウタレイワシというのは、カタクチイワシのことなのですが、「頬(ほお)がたれるほどうまい」ので、この辺ではホウタレイワシと呼んでいるのです。

待つことしばし。長方形の刺身皿に5~6切れ(1尾が1切れなので5~6尾分)の輝く刺身が出てきました。「ごめんねぇ。新鮮すぎて、骨がうまくとれんのよ」とおねえさん。ほんと。身の回りに小骨が少~し残っている。しかし、もともとが小魚なので、大丈夫ですよ。横に沿えられているスダチ(徳島原産の小さい酢みかん)をちょいと絞って、しょうが醤油をちょいとつけて。…。おぉぉぉ。なんちゅう旨さよ。小さいのに、いっちょまえに脂がのって! ホントに頬がたれそう!

「美味しいですねぇ、この刺身は!」「ホウタレの酢漬けもあるけと、食べてみる?」「食べる食べる」「酸っぱいから、ちょっとだけにしとこうね」と、女将さんが小皿に2切れ(=2尾)のホウタレ酢漬けを入れてくれます。へぇ。見た目の輝き具合は岡山のママカリに似てるんだけど、表面の酢の部分がうっすらと濁っていて、いかにも脂たっぷりといった感じ。ど~れ。はぁぁ。これもまた酸っぱ旨いですねぇ!

本当は、日本酒をもらいたいところだけど、残念ながら時間がない。夜行バスは7時過ぎの出発だから、そろそろバス乗り場に向かいますか。どうもごちそうさま。1時間半の滞在で、今日は2,800円。女将さんの、あったかい笑顔に見送られながら、店をあとにしたのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月30日(金)の記録》

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はじまりも終わりも … うどん「かめや」(松山)

おでんの「いこい」をあとに、高速バス乗り場に到着したのは、午後6時50分。バスの出発は7時10分なので、最後にもう1杯うどんをいただいて帰りますか。こちらに着いたときにも行った「かめや」に再訪です。

おりょ。前回着たときには気づかなかったけど、「今週のうどん」なんて張り紙がある。「今週のうどん」に指定されたうどんは、通常よりも50円引きになるのだそうで、今週の「今週のうどん」はきつねうどん(普段350円が、今週は300円)です。じゃ、そのきつねうどんをくださいな。

ところで、松山でうどんといえば有名なのが、鍋焼きうどんの「アサヒ」と「ことり」。どちらの店も、うどんメニューは鍋焼きうどんしかない。したがって、客も席に座って、いなり寿司を追加するかどうかを注文するだけなのです。

実は先日もバー「露口」で、この2店が話題にりました。他所(よそ)から来たお客さんに、松山のうどんのことを聞かれたのに対して、朝子ママがこの2店の話をしたのでした。場所的も、メニューも、そして味も(さらには定休日や営業時間までも!)非常に近い2軒ながら、松山の人たちの間ではきっちりと人気が二分されているのだそうで、アサヒ派の人たちと、ことり派の人たちがいるんだそうです。「私はどっちかというとことり派かな」と朝子ママ。

これら2店にも行ってみたかったのですが、なにしろどちらも午後6時までの営業なので、なかなか時間が合わないのでした。

  • 店名: 鍋焼きうどん「アサヒ」
    • 電話: 089-921-6470
    • 住所: 790-0012 愛媛県松山市湊町3-10-11
    • 営業: 10:00-18:00、水休
    • メモ: アルミ鍋で出される鍋焼きうどん430円、鍋焼きうどん玉子入り480円、いなり(2個)180円が全メニュー。昭和22(1947)年創業。支払いはうどんが出たとき払い(キャッシュ・オン・デリバリー)。

  • 店名: 鍋焼きうどん「ことり」
    • 電話: 089-921-3003
    • 住所: 790-0012 愛媛県松山市湊町3-7-2
    • 営業: 10:00-18:00、水休
    • メモ: アルミ鍋で出される鍋焼きうどん430円、いなり(2個)220円が全メニュー。こういうメニューなので、注文するのは「いなり寿司」をたのむときだけ。昭和24(1949)年創業。支払いはうどんが出たとき払い(キャッシュ・オン・デリバリー)。映画「がんばっていきまっしょい」にも出た店。

昔は人気絶頂だった、ここ「かめや」も、今はそれほどでもない様子。なんでかなぁと思っていたら、なんと全国展開中の「はなまるうどん」が松山市内にも展開していて、たとえばこのすぐ近くだけでも銀天街店、大街道店という2店があるのです。

「かめや」も安くてそこそこのうどんが食べられるのが魅力だったのですが、「はなまるうどん」はそれよりも安いですからねぇ! たとえば「かめや」の(素)うどんが300円なのに対して、「はなまる」のほうは中サイズで210円。小サイズなら105円なのですから!

タネものになると、たとえば肉うどんだと「かめや」が400円、「はなまる」(中サイズ)が504円と、「かめや」のほうが安いものもあるんですけどねぇ。

いずれにせよ、うどんの世界も、居酒屋の世界同様に、地元で昔からやっていたお店のお客さんを、全国展開の大規模チェーン店がうばっていっているようです。経営効率がいいので安くなったり、ある程度のサービスレベルが確保されるという点ではいいかもしれないのですが、その土地その土地の特徴などがじょじょになくなっていくのが寂しいですね。

お。7時だ。さぁ、バスに乗りますか。どうもごちそうさま。

当初の予定であれば、ちょうど今の時間(午後7時)から、旧友たちと二番町の割烹「志季(しき)」に集まって、瀬戸内の夏の魚“アコ”などをつつきながら楽しむ予定だったのに、実に残念です。幹事役としてみんなを集めてくれたTさん、そして集まってくれたみんな、ごめんね。次回はぜひ!

本当に台風は来てんのかなぁ、なんて感じで乗りこんだ高速夜行バスでしたが、東へ向かうにつれて風が強くなってきて、瀬戸大橋(児島-坂出ルート)の上では大きなバスが(大きなバスだから!?)ゆらりゆらりと煽られるほど。

後日談にはなりますが、翌朝には瀬戸大橋が通行止めになったので、この夜のうちに東京に向かったのは、結果としては大正解だったのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月30日(金)の記録》

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店情報: そば「かめや」(新宿)

  • 店名: そば・うどん「かめや」
  • 電話: 03-3344-3820
  • 住所: 160-0023 東京都新宿区西新宿1-2-10
  • 営業: 24時間営業(土は ~03:00)、日休(祝は営業)
  • 場所: 新宿駅西口の思い出横丁の中。
  • メモ: 「元祖 天ぷら・温泉玉子そば」の店。そばは打ちたて、ゆでたて。天ぷらは揚げたてがモットー。かけ、もり(各230円)、たぬき、玉子(各280円)、とろろ昆布、わかめ、きつね(各290円)、ざる(300円)、天ぷら、天もり(各320円)、天玉、天玉せいろ、冷やしたぬき、冷やしきつね、冷やし天玉そば(各370円)。玉子(温泉玉子)50円。大盛りは各100円増し。

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終わりのはずが、また「かめや」!? … そば「かめや」(新宿)

高速夜行バスに揺られること(台風10号接近中の中での移動でしたので、文字通り揺られました!)12時間。新宿バスターミナルに到着です。

思えば松山は、到着直後の「かめや」の肉うどんにはじまり、昨夜、出発直前の「かめや」のきつねうどんに終わりました。ところが! ここ新宿にも人気の「かめや」があるのです!

場所は、「つるかめ食堂」と同じ、新宿・思い出横丁の中。しかも、ちょうどどまん中の、横丁がカクンとクランクするところ。横丁を歩くと「天玉そば」と書かれた行灯看板が目に飛び込みます。

「そばは自家製麺のゆで立て。天ぷらは揚げ立て」というのがこの店のセールスポイントで、24時間営業ということもあって、昼夜はもちろんのこと、平日の朝から朝食がわりにそばを食べる人たちでにぎわうお店なのです。

半熟卵が入った人気の天玉そば(370円)を食べようかと思ったのですが、なんと小銭が350円しかない。あとは1万円札だけです。こんな朝っぱらから1万円をくずすのもなぁ。松山の「かめや」と違って、こっちの「かめや」はしょっちゅう来れるので、今日は天ぷらそば(320円)にしときますか。

「はいよっ。天ぷらそばね」と2人いる店員さんの1人から、元気のいい返事が返ってきます。もう1人は、次々と天ぷらを揚げている最中で、続々と天ぷらが揚げあがっていきます。

まずは大きな丸皿にのせられている何玉かの麺のひとつを深ザルに入れて、湯であっためたうえで、湯切り。天ぷらを1枚と、刻みネギをのせたら、ダシをそそいでできあがりです。

あぁ。うまい。四国の、ドンブリの底まで見えそうな薄いダシのうどんもうまいですが、この、1センチ先も見えないぐらい色濃いダシのそばもいいですよねぇ。天ぷらも、しっかりと野菜の味が味わえるし。

私のあとからも、何人かのお客さんが来て、大皿の上の麺も少なくなってきました。すると、奥の木箱に並べられた生麺を何個か取り出して、鍋の中に投入です。こうして、必要に応じて何玉かずつ麺をゆでて、それを大皿の上に並べてスタンバイしてるんですね。

「お客さんが来て」と書きましたが、この店は、店の外と内の境目がはっきりしていなくて、L字型のカウンターの外に7つだけならんだ椅子に腰掛ければ、その人がお客さん。しかし、その椅子のすぐうしろは、思い出横丁の通りそのもので、どんどん人が行き来してるのです。

私自身はこの店しか知らないのですが、実はこの「かめや」もチェーン展開しているらしいのです。ここ新宿思い出横丁が本店で、あとは神田に2軒、新橋に2軒など、全部で7店舗あるそうですよ。他もみんな、似たような感じなのかなぁ。

やぁ、うまかった。どうもごちそうさま。

店情報

《平成16(2004)年7月31日(土)の記録》

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店情報: すし「花すし(はなすし)」(阿佐ケ谷)

残念ながら「花すし」は平成16(2004)年12月30日をもって閉店いたしました。

  • 店名: 持ち帰り「花すし」
  • 電話: 03-3338-9870
  • 住所: 166-0001 東京都杉並区阿佐谷北4-25-13
  • 営業: 11:00-21:30、年中無休
  • 場所: JR阿佐ヶ谷駅と、西武新宿線鷺ノ宮駅のちょうど中間あたり。どちらの駅からも徒歩約15分程度。中杉通りと早稲田通りの交差点近く。
  • メモ: 持ち帰り専門の寿司屋で1パック10貫が500円。他にカッパ巻、納豆巻、カンピョウ巻、鉄火巻、タクアン巻などの巻物(100円)が何種類かある。店内カウンターでの立ち食いも可。

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持ち帰り専門。10貫500円! … すし「花すし(はなすし)」(阿佐ケ谷)

うちの近所に不思議な寿司屋があります。基本的には持ち帰り専門ですが、持ち帰りを待つためのカウンターで立ち食いすることもできる。

おどろくのはその値段で、1パック10貫で500円(もちろん税込み)なのです。

10貫の内容は、マグロ(インドマグロ)が5貫(トロが3貫に赤身が2貫)に、エビ、タイ(真鯛)、イカ(モンゴウイカ)、玉子、穴子が各1貫。何度かの変更をへて、最近はこの内容で安定してきているようです。

店は早稲田通りに面していて、アルミサッシの入口の店舗は、電光掲示の「持ち帰り寿司」の表示がなければ、とても寿司屋とは思えない。入口には、「1人前(10ケ)500円」と書かれた怪しげな張り紙まであるし、なんだかとってもうさんくさいのです。

そのアルミサッシの引き戸をガラリと開けて店内へ。店に入るとすぐに持ち帰り用のカウンターがあって、その奥が寿司の握り場兼、店主の生活の場(?)になっています。

店主は、たいていは握り場の奥にひとつ置かれたひとり用のソファーに座って、テレビを見ています。そして、お客さんが入ってくると、おもむろに「いらっしゃいませ」と腰をあげて、右手側にある水道で手を洗い、握り場にやってくるのです。

さっそく2人前をお願いします。

冬場は握り場のところにタネが置かれていることもあるのですが、さすがにこの季節は握り場下の冷蔵ケース内に置いていて、握る直前に出してきます。なにしろ、(よく言えば)オープンキッチンなので、やってることが良く見えるのです。

そして、この店主は話し好き。握りながら、たいていの場合は、この店のお寿司の自慢話を聞かせてくれるのです。(笑)

自慢のマグロは、インドマグロ。この値段でトロが3貫入ります。さらには赤身も2貫入って、マグロだけで1人前10貫の半分を占めるのです。なにしろ、東京地方ではマグロがとってもありがたがられますからねぇ。

そしてタイは活ジメの真鯛。「お客さん、活ジメってわかりますか?」と店主。「えぇ、なんとなく」とあいまいに答えると、「活きてる魚をスパッと締めて血抜きしたもので、市場でも上ものなんですよ」と説明してくれました。

「エビはね」と店主。「自分のところでゆでて作ってます。今どき、自分でゆでる寿司屋も少なくなってるんだけどね。サッとゆでてるから、いいエビの味が楽しめますよ。この玉子焼きもそう。自分で焼いてるんですよ」と、でっかい玉子焼きを取り出して、スイィ~ッと1人前を切り取ります。

こうやって、まずはタネの部分を10貫×2人前分、握り場の上に用意した上で、おもむろに握りはじめるのです。

「この米だってねぇ。魚沼産のコシヒカリで、5キロで5千円するものなんですよ。ワンコイン(500円玉のこと?)で出してるんで、変なものを使ってるように思ってる人もいるみたいだけど、全部いいのを選んでるんですよ」。

いつ来ても、だいたいこんなような会話をくりひろげながら、最後にパックに詰められた寿司が出てくるのでした。(笑)

子供といっしょに行ったりすると、「待ってる間にこれでもつまんどきな」なんて、1貫サービスで出してくれたりする、憎めない店主なのです。

はい、じゃ2人前で千円ね。「どうもありがとうございます」という声を背に受けながら、店をあとにしたのでした。実におもしろいお寿司屋さんです。でも、おいしいですよ!

店情報

《平成16(2004)年7月31日(土)の記録》

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店情報: 居酒屋「丸山(まるやま)」(阿佐ケ谷)

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  • 店名: 居酒屋「丸山」(まるやま)
  • 電話: 03-3339-4030
  • 住所: 167-0022 東京都杉並区下井草1-1-18-103
  • 営業: 17:00-03:00、水休
  • 場所: 中杉通りと早稲田通りの交差点から、中杉通りに沿って西武線鷺ノ宮駅方向へ徒歩30秒ほど。左手。
  • メモ: 生ホッピー(370円)の飲める店。店の表の看板に、本日のおすすめニューが書き出されるので、店に入る前におすすめの品がわかる。カウンター5席、テーブル18席。
  • HTML版(2003年以前): (02.07.05)(02.04.23)(02.04.14)

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生ホッピーで鹿シチュー … 居酒屋「丸山(まるやま)」(阿佐ケ谷)

8月に入りました。今日で1週間の夏休みも終了です。いろいろと酒場をまわった1週間でしたが、締めの今日は、ごくごく近場で夕食前の居酒屋散歩といきましょうか。

実は昨日、「花すし」に寿司を買いに行ったときに、近くの居酒屋「丸山」の店頭にある、本日のおすすめメニューが書かれた行灯看板に「鹿シチュー」とあったのが気になっているのです。

「丸山」も前回行ってから、もう2年ほどごぶさたです。店の前はよく通るのですが、この店も今やかなりの人気店で、いつ見てもお客さんでいっぱいで、入れなさそうなことのほうが多いのです。

現在、午後5時半。この店は5時開店なので、この時刻ならまだ大丈夫かな。ガラガラと引き戸を開けて店内へ。「いらっしゃいませ」の声に迎えられます。

うん。さすがにこの時間なら大丈夫ですね。先客は2名。テーブル席にひとりと、カウンター席の一番奥にひとりです。私もカウンター席の一番手前に陣取り、さっそくホッピー(370円)を注文します。

店内は、左手が直線のカウンター席になっているのですが、カウンターの長さは、店の奥行きの半分ぐらいしかなくて、5人分の席しかありません。どっちかというと主力は右手のテーブル席で、手前から4人、4人、6人、4人と、全部で18人座れるテーブル席が店の奥まで続いています。テーブル席は、2人用のテーブルをくっつけて4人掛けのように使っているものも多く、グループの人数によっては、くっつけたり離したりして融通がつけられるようです。

左手のカウンター席のさらに左側が、ひかくてき大き目の厨房スペースになっていて、店主はここで調理を担当しています。注文を取ったり、料理を運んだりしているのは、手伝っているらしい若いおにいさん。そのおにいさんが、ホッピーとお通しを持ってきてくれました。

ホッピーは、ジョッキに入ってすでにできあがった状態。ん? と思って、壁のメニューを見直してみると、なんと久しぶりの生ホッピーです。生ホッピーは、度数も軽くて、味もマイルド。これはこれで、ググゥ~ッと飲んだりするときにはおいしいですね。

お通し(200円)は、ソーセージ(スライスしたもの)とキャベツの炒め物の小鉢です。なんでもない料理なのに、生ホッピーにもぴたりと合って、なんだかうれしい。

ん~と。シマアジ刺(600円)、カンパチ刺(600円)、マグロ刺(630円)などの本日の刺身類も並んでいますが、なんとなく生ホッピーのスッキリ感は刺身と合いそうにないので、まずはイイダコ串焼き(400円)をもらいましょうか。

イイダコは、1串に3個ずつ。それをじっくりと焼き台で焼いたものが2串。長方形のお皿にのって出てきました。砂糖しょう油の、とろりとした甘辛いタレがかけられています。ありゃりゃぁ。イイダコの卵が楽しみだったのですが、卵は入ってないようですねぇ。これは残念。

ホッピー(370円)をおかわりして、いよいよ満を持して鹿シチュー(600円)をいってみますか。

「はぁい。鹿シチューですね」と返事した店主。大鍋から1人前の鹿シチューを移して、温めます。待つことしばし。ちょっと大き目の深いスープ皿にたっぷりの鹿シチューが出てきました。鹿肉もたっぷりですが、ジャガイモもまるまる2個分がどかんとはいっていて、ボリュームもたっぷり。

シチューは、ボルシチと同じような、トマト酸っぱいスープ。そして、よく煮込まれた鹿肉は、まるで鯨の大和煮のように、口に入れるとほろりとくずれる食感です。

「この鹿は?」と店主にたずねてみたところ、「エゾシカです。去年の12月に、北海道の知り合いから、エゾシカのモモ肉を生のまま送ってもらいまして。なにしろ生だったので、刺身でたっぷりと楽しんだんです。その残りを冷凍しておいたものがこれなんです」という返事。なんとねぇ。居酒屋さんでエゾシカとは。しまったなぁ。去年の12月に来てみればよかったなぁ。

たっぷりのシチューに、ホッピー(370円)もさらにおかわりです。

この店のつまみは、冷やっこなどの250円クラスからはじまって、ポテトサラダ(420円)、トマトサラダ(470円)などなど、居酒屋の定番メニューがずらりとならびます。そのほかに、本日の刺身や、この鹿シチューのようなスペシャル品が500~650円ぐらいで10品ほどラインナップされているのです。定食物もあるので、夕食がわりに来る人も多いんでしょうね、きっと。

約1時間。生ホッピー3杯に、つまみを3品(お通し含む)いただいて、今日は2,310円。いやいや、このシーズンに鹿シチューが食べられるとは思いませんでした。どうもごちそうさま。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月1日(日)の記録》

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脂ののった三者三様 … 居酒屋「竹よし(たけよし)」(都立家政)

なんと、私が愛媛で楽しい夏休みを過ごしている間に、かの中島らも氏が酒に酔って階段から転落し、脳挫傷、外傷性脳内血腫のため、7月26日に死去されてました。52歳という若さでした。

らもさんは『大阪の釜ヶ崎に「ジャンジャン横丁」っていう、立ち飲み屋がずらーっと並んでいる労務者の街があるんですよ。以前、そこで飲んでいたときに、横でパチンという音がした。振り向くと、カウンターに200円おいてあって、酒がすーっと出されたんです。それからおれは別のことを考えていてふと振り向くと、その客がもういない。だから、約20秒ぐらいで1合飲んで、出ていってしまったんでしょうね。

おれの飲み方はそれに近い。17、8歳ぐらいから飲んでますけど、ドラッグとしてアルコールを採ってましたから。酔う過程より、酔ってからのほうが大事。酔うための道具として酒を飲んできたから、ある意味シャブと一緒です。一緒ですよ』(「男を上げる!正しい酒の飲み方」より)と語っています。

以前、そばが好きな人には「そば好き」と「そば屋好き」が存在するのと同じように、酒が好きな人にはおいしいお酒が好きな「酒好き」と、お酒の味よりもむしろ酒場のもつ雰囲気が好きな「酒場好き」がいるということを書きましたが、実は酒が好きな人にはもう1タイプ。とにかく酔ってフラフラしている状態が好きな「酔い好き」という人が存在するんですね。

このタイプは、酒の味や、酒を飲む雰囲気なんてさておいて、なにしろ一刻も早く自分を酔った状態にもっていきたい。夕方になると、立ち飲み屋までたどりつくこともガマンできず、駅のキオスクなどでワンカップをクィ~ッ、クィ~ッと続けざまに2本ほど飲み干しているおじさんたちが、きっとこの代表格ですよねぇ。この飲みっぷりは、見ていて実においしそうです。

「麻薬(まやく)」が、「麻酔作用をもち、習慣性・耽溺(たんでき)性を生じやすい薬物の総称」であるならば、お酒も確実に麻薬の一種だと思います。サァ~ッと、軽い麻酔状態に入って、フゥ~ワリフワリと幽明(ゆうめい)の境をさまよう。これもまたお酒の大きな楽しみのひとつですね。

昨年出版された中島らもさんの「せんべろ探偵が行く」の中で、この「居酒屋礼賛」ページのことが紹介されていることなどもあって、以前よりもうんと親近感をもって活躍を見ていただけにとっても残念です。合掌。

らもさんの訃報を悲しみつつも、夏休み後の1週間の勤務を終えて、横浜から自宅へ。

実は、今日、明日と家族がサッカーの合宿に出かけているので、自宅に帰っても、寮と同じく私ひとりなのです。そんなわけで、横浜からの帰り道、夕食もかねて自宅近くの居酒屋「竹よし」に向かいます。

「こんばんは」と「竹よし」の入口をくぐったのは午後8時半。「いらっしゃいませ」という店主(マスター)の声にかぶさるように、「あら。こんばんは」とカウンターの奥側に座っているTA奥さんから声がかかります。「あ。ごぶさたしてます」と、TAさんご夫妻とあいさつ。手前には、この近くに住んでいる大学教授ご夫妻の奥さんが座っていて、帰り支度に入っています。どうやらちょっと前までご主人(教授)もいらした様子です。

「それじゃ、私はお先に」と席を立つ教授夫人と入れかわるように、カウンター中央部に腰をおろします。いつものように瓶ビールを注文しようと思ったところへ、TA奥さんから「生ビールおかわり!」の注文。じゃ、私も生ビール(500円)にしてください。

生ビールは飲み口がいいし、「泡があっておいしそうな間に飲まなきゃ」なんて思いもあって、ついグイグイと飲みすぎてしまうのです。ま、いいか。金曜日だし。

今日のお通し(200円)は、酢の物盛り合わせの小鉢です。

TAさんご夫妻と、ごぶさたの間の状況報告や、常連さんたちの動向などを話しているうちに、案の定、1杯目の生ビールはアッという間に飲み干してしまいました。じゃ、次はチビチビと瓶ビール(スーパードライ、中ビン、500円)をお願いします。

それと、つまみは…と。う~ん、今日も迷いますねぇ。迷ったときには刺身の盛り合わせ(1,000円)をお願いします。なにしろここの刺盛りは間違いなくうまいですからねぇ。「うちもお刺身の盛り合せをいただいたんですよ」とTA奥さん。

TAさんご夫妻は、実は大学の推理小説同好会の先輩・後輩だったのだそうです。今はお子さんも大学生になられて、ときどきご夫婦で飲みに出たりされている。今日も、すでに1軒行ってこられて、ここが2軒目なのだそうです。先ほどの教授夫妻もそうでしたが、子供から手が離れるぐらいになってから、ご夫婦でゆっくりとお酒が楽しめるというのもいいですね。ただし、TAさんご夫妻、特に奥さんのほうは、とても大学生のお子さんがいるような年齢には見えませんが…。

さぁ。刺身の盛り合わせが出てきました。今日の盛り合わせは、カツオ、トロ、カンパチに、手前にはホッキ貝と、アカエビです。赤を基調としたグラデーションある色合いも美しいではありませんか!

まずはカツオから。ど~れ。うわぁ。すっごい脂がのってますねぇ。まるで戻りガツオみたいです。「そうねぇ。この時期になると、もうだいぶ脂ものってきますねぇ」と店主。

まだビールも1杯分ぐらい残ってますが、ここはいっちょ、日本酒をいきますか。カツオだからっちゅうことはないんですが、土佐の「酔鯨(すいげい)」(特別純米酒、500円)をいただきましょうか。

次はトロです。わ! すごいですねぇ、これ! 「今日はいい本マグロが入りました」。そうかぁ、本マグロだったんだ!

カンパチ刺身そしてカンパチ。カツオ(戻りガツオ風)、本マグロのトロと、脂がのった刺身が続きましたが、なかなかどうして、このカンパチも見るからに脂がのっています。身もしっかりプリッとしていて、いいですねぇ。

こうやって並べて食べると、三者三様に、それぞれ脂のうまみが違うのがよくわかります。

その中にあって、ホッキ貝はさすがにさっぱりとしています。身(足?)が厚くて、食べ応えがありますねぇ。

エビはアカエビなのだそうですが、けっこう大ぶりで、見た目はまるでボタンエビ。ぷりっとした身の弾力がいいですねぇ。

TAさんご夫妻は、最後にお味噌汁を作ってもらって終了です。「それじゃまた。お先に」と席を立たれるご夫妻を見送って、私のほうは、さらにお酒(酔鯨、500円)をおかわりです。

さっきから、メニューの中央付近に掲げられている「真鯛かぶと蒸し」(600円)に惹かれているので、これをいただきましょうか。どういうわけだか、愛媛に帰っているときには真鯛を食べなかったのに、帰ってきてから活ジメ真鯛の寿司を食べたり、今日かぶと蒸しをいただいたりと真鯛づいているのでした。

大きい真鯛ですねぇ、これは。頭の部分とカマの部分が、丸皿からはみ出さんばかりに盛られています。横にはポン酢醤油の小鉢が添えられ、チョイチョイと骨ぎわから取り出した身を、さっとポン酢醤油をくぐらせていただくのです。

そこへ、新しいお客さんの登場です。カウンターの入口近くに座り、生ビールとカンパチの刺身を注文します。あ。思い出した。このお客さんは、前に活締めのヒラマサを食べていた方ですね。いやぁ、やっぱり今日のカンパチは見た目も美しいですねぇ。

やぁ、おいしかった。どうもごちそうさまでした。今日は午後11時半まで、ゆっくりとくつろいで、3,800円でした。

最後に、「ちょっとこれを食べてみて」と、シメサバのにぎりを2貫ずつ、私と、入口側のお客さんに出してくれたのですが、そのシメサバのシメ具合のいいこと。生過ぎず、酸っぱ過ぎず。実に絶妙のシメサバです。そうかぁ。これも自慢の一品だったんですね。

さらにさらに、最後の最後で、さっきTAさんご夫妻に作っていたお味噌汁も1杯いただいちゃいました。出汁のうまさのみならず、たっぷりと入れられた野菜の甘みもよく効いて、おいしい味噌汁でした。そういえば、夕食会のときはけっこう汁物が出てくるのに、普段はほとんど食べたことがなかったですねぇ。

ところで、今月は第2土曜日が8月14日、第3日曜日が8月15日と、連続する上にお盆に重なってしまうので、夕食会は中止だそうです。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月6日(金)の記録》

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エアコン故障中!? … バー「ピュアー」(野方)

竹よし」を出たのは、そろそろ日付けが変わろうかという午後11時半。しかし、なにしろ他の家族が合宿中なので、もう1軒酔って…、いやいや寄って帰りましょうか。

西武新宿線の踏切を渡り、都立家政の商店街を南下。バー「ピュアー」に向かいます。

あれ? なぁ~んでバーなのに、のれんみたいなのがはためいてるんだぁ!?

「こんばんは??」「あ。いらっしゃい」とマスターのいつもの笑顔。「エアコンが壊れちゃって、大変な状態なんですよ」とマスター。なるほど。それで入口を開けっ放しにして、それじゃ店内が丸見えになるので、のれん代わりの布をかけたんですね。

先客は、入口近くに女性客がひとり。じゃ、私は奥のほうへ、と奥へ向かったところ、マスターから「奥は暑いですよ」と警告が発せられます。それはいけませんねぇ。すぐに入口近くに取って返し、女性客のふたつ分ぐらい奥に座りなおします。

8月になったんで、おすすめのカクテルメニューも変更になったんですね。じゃ、リストの1番の「マジィルージュ」(スイカとウォッカのカクテル、630円)を飲んでみようかな。「スイカのカクテルも今月までですからね」とマスター。おぉ。危うく飲み逃すところでしたねぇ。スイカのカクテル、飲みたい人は今月中ですよ!

お通し(310円)はクラッカーにのったチーズ。ミニトマトも添えられています。

「エアコンがないと大変ですねぇ」と聞くと、「なにしろ古いエアコンですから。部品がないらしいんですよ。1週間ぐらいはこの状態が続きそうです」とのこと。それはまたとんでもない事態ですね。「でも。おかげで私はこの店に入れたんです」と入口近くの女性。「いつも気になってたんですけど、扉を開けてはいる勇気はなくて…。今日はのれん越しに店の中が見えたので、入ってみたんです」。

そうかぁ。たしかにそれはありますね。私なんか、もうすっかりすれちゃいましたから、はじめてのお店でも「入っちゃえ!」なんてドンと踏みこみますが、若いうえに、女性ですから、敷居はもっともっと高いんでしょうね。たまにはこういう状態にしておくのもいいかもね、マスター。(笑)

そこへ、またひとりお客さん(男性客)が入ってきて、私と同じで奥へ行こうとするのを、マスターに「そっちは暑いよ」と引き戻されて、私のふたつ奥ぐらいに着席です。「注文の品物、入りましたよ」と、マスターがカウンターの中から取り出したのは「ラガヴーリン(Lagavulin)16年」です。アイラ・モルトと呼ばれている、アイラ島で造られるモルトのひとつで、「ジョニーウォーカー・ブラックラベル(Johnnie Walker Black Label)」を構成しているモルトのひとつとしても有名です。

へぇ。普段置いてないお酒も、事前に注文しておけば入れてくれるんですね。

このおにいさんは、すでに「ボウモア(Bowmore)」(同じくアイラ・モルトのひとつ)はすでにキープしていて、それもある状態でこの「ラガヴーリン」も入れたようです。となると、目的はひとつ。飲み比べですね。ふたつのショットグラスを並べて、両方のウイスキーを注ぎ、ちびりちびりと味わっています。

それじゃ、私も次の飲みものをもらいましょうか。赤いスイカのカクテルではじめたので、今度も赤にしましょうね。「ヨコハマ(Yokohama)」(630円)をロックでお願いします。

ヨコハマは、オレンジジュースやグレナデン(ざくろ)シロップが入っているので、赤くて甘い味わいの飲みやすいお酒ですが、実はジン、ウォッカ、アブサンまで入っているのです。

入口近くの女性客は帰り、入れかわるように男性客。そしてちょっと遅れて連れの男性客が入ってきます。

じっくりゆっくり飲むうちに、もう1時半。私はこの辺で引きあげますか。どうもごちそうさま。「今日はエアコンが壊れてるから、カクテルは3割引き。1,190円です」。いやぁ、それはどうもすみません。

でも、もともとバーの造りとして、入口側1箇所しか開口部がないから、こうやって空調設備が壊れちゃうと、とっても弱いんですね。まったく風が通らない状態になってしまいます。早く直るといいですね。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月6日(金)の記録》