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木場の猫屋敷(?) … 居酒屋「河本(かわもと)」(木場)

土曜日の今日は「よじかわ」です。普段の「よじかわ」は「4時に「川名」で」の合い言葉なんですが、今日の「よじかわ」は「4時に「河本」」。実は昨年のうちから「深川的日常」のTakahashi-iさんから「新年には「河本」でミニオフをやりましょうね」と誘っていただいていたのが実現したのでした。

地下鉄木場駅まで迎えに来てくれたTakahashi-iさん夫妻、荻窪から参加のhopperさんと連れ立って4人で「河本」へと向かいます。店に着いたのは4時ちょっと前。まだ店は開いてません。「このあたりでちょっと待ちますか」とすぐ近くの運河にかかる橋の上で開店待ち。

Takahashi-iさんは、このごく近くに住んでらっしゃって、「河本」からは徒歩10分もかかんないくらい。われわれにとっての「川名」なんかと同じ感じなんですね。うらやましいなぁ。私も、職場が豊洲だったころはときどき「河本」にも出向いていたのですが、今やフラリとは寄れないくらいの距離になってしまいました。

4時過ぎたのに開かないなぁとTakahashi-iさんが店の様子をのぞきに行きます。「大丈夫です。入れますよぉ」と向こうで手まねき。ほんと。よかったよかった。

店に入ると真寿美さん(この店の女将さん)ともうひとり女性。Takahashi-iさんによると、この女性は厨房を担当している真寿美さんの弟さん(常連さんたちは“アンチャン”と呼ぶ)の奥さんなのだそうです。そのふたりが、「まだお客さんも来ないだろうと思って、中でしゃべってたのよ。入ってきてくれればよかったのに」と笑顔で迎えてくれます。今やすっかり常連さんのTakahashi-iさんは、のれんを出したりするのを手伝っています。単にのれんを出すだけかと思いきや、強い風に飛ばないように竿を大きい輪ゴムで固定したりと、これはこれでなかなか大変なようです。

店内は「フ」の形のカウンターなんですが、その先っぽのところが厨房との行き来用に開いてるので「ン」の字とも言えます。その「ン」の上側の部分は大常連席。われわれ4人は「ン」の下のほうにかたまって陣取ります。

やっぱり「河本」に来たらホッピー(300円)でしょう。全員でホッピーをお願いします。

名著「下町酒場巡礼」(大川渉・他)にもここのホッピーが次のように紹介されています。『おかみさんは、コーラの1リットル瓶に入れて冷やした焼酎を厚手のガラスのコップに注ぎ、それを客の目の前のグラスにさっと移す。その手つきの素早いこと。年季を感じさせる』。そしてこの焼酎とは別にホッピーの瓶の栓がポンッと抜かれて、ジョッキの横にトンと置かれます。氷なしで、ホッピービバレッジの規定どおりの量で作られたホッピーは、ホッピー瓶をトクトクッと注ぐとジョッキの残りの部分にぴったりになるのです。

「カンパ~イ」と4人で乾杯して飲みはじめます。

Takahashi-iさんはおでん(300円)を注文。「豆腐を入れてあと適当にお願いします」。この店は煮込み(200円)が有名なのですが、冬場のおでんも人気の品。「私も同じく、豆腐を入れてあと適当でお願いします」。おでんは適当に5個くらい盛り合わせてくれるほか、自分であれこれ選択することもできるのです。

カラシをお皿の縁にちょいとつけていただきま~す。ん~。このあったかさがいいですね。冬はやっぱりおでんです。

われわれの後からも何人かお客さんが入ってきて、「ン」の右下のほうのカウンターはいっぱい気味になってきました。みなさん4時になると吸い寄せられるようにやってくるんですね。

ガタピシ…(←「深川的日常」表現)と入口引き戸が開いて入ってきたのは吉田類さんです。実は今日「河本」でのミニオフをすることになったので、「河本」の大常連さんでもある吉田類さんにもご連絡したところ、お忙しい中にもかかわらずご一緒していただけることになったのです。「今日はわざわざすみません」とごあいさつ。ニコニコとあいさつを返してくれる吉田類さんは、真寿美さんや奥のアンチャンにもあいさつをして回ってからとなりの席へ。さっそくホッピーからスタートです。

さらにガタピシと引き戸が開いて入ってきたバンダナのおにいさん。今日はバンダナで見えないものの、この人が大常連のモヒカン刈りのおにいさんなのです。続いて入ってきたのはこれまた大常連の男性ひとり客。“モヒカン刈り”のとなりに座り、「おぉ。類ちゃん。元気?」と吉田類さんにあいさつ。

ひとしきりあいさつをした後で、吉田類さんが「彼が“天然モヒカン”なんですよ」と教えてくれます。

吉田類さんの近著「酒場歳時記」の中で、ここ「河本」のことは10ページほどのスペースを割いて、じっくりと紹介されています。全体で190ページほどの本ですので、その実に5%にもおよびます。その中に件のふたりも登場しているのです。『同じカウンターの隣には、モヒカン刈りの男がラフなサファリ風ファッションでタバコを大事そうに吸っている。五十歳の年齢に達したそうだが十歳以上は若く見え、他人の領域を侵さず静かに飲む』。『ロボットのペットを愛玩している夫婦の亭主は、映画プロデューサーという不安定な業界人。髪の毛が額の両側から極端に深く後退して禿げ込んでいるため、髪が縦に一筋残った状態だ。当人は正統派モヒカン刈りに対して天然モヒカンヘアを自称している』。このふたり以外の常連さんたちも次々に紹介され、そしてその常連さんたちが織り成す店内でのドラマへと発展していくのです。その登場人物のおふたりが目の前にならんでいるのが不思議な感じです。

それにしてもやっぱり吉田類さんは人気者で、この後も、来る客、来る客から「やぁ、類ちゃん」と声がかかっています。「なんだよ。しばらく来なかったじゃねぇか」とか、「オレたちも出演料もらわなきゃな」なんてみんなのいい話題の種になっています。

吉田類さんは今は山の手のほうにお住まいですが、少し前まではこの界隈に住んでいた。そしてここ「河本」をはじめ、門前仲町~木場~東陽町にかけてのいわゆる深川エリアの数々の酒場に出没されていたそうなのです。

銀座の酒場 銀座の飲り方」など酒場の図書を数多く出版されている森下賢一さんもこの近所にお住まいです。残念ながら、今日は所用で埼玉のほうへ出かけられているそうで、ご一緒することができませんでした。前回、森下賢一さん、吉田類さんとの飲み会を設定してくださった青地さんも、今日はお仕事のため残念ながら参加いただけなかったのでした。「よろしく伝えておいてくださいとのことでしたよ」と吉田類さんから伝言をいただきました。

さてと、2杯目のホッピー(300円)をもらって、つまみにはニコタマ(煮込み玉子入り)を注文します。煮込みも200円なら、煮込み玉子入りも200円。どちらも同じ小皿に盛られます。したがって玉子が入ったほうは、その玉子の分だけ煮込みが少ないのです。「大はし」の「牛にこみ」と「肉とうふ」の関係と似てますね。

Takahashi-iさんの奥さんは「らっきょさん」(300円)を注文。これも以前から気になってたつまみなんですよねぇ。ど~れ。ちょっと1粒ちょうだい。な~るほど。普通の酢ラッキョなんですね。でもこれが不思議とつまみになる。横浜の「武蔵屋」で、一番最初に玉ネギの酢漬けが出されますが、それと近い感じですね。

そこへ「寄り道Blog」の寄り道さんも到着。彼は土曜日も仕事のため、さすがに4時には来ることができず、今の時間になってしまったのでした。ひとしきりごあいさつのあと、寄り道さんもホッピー&ニコタマでスタートです。

吉田類さんは、先日の高知の酒場取材に続いて、来週は京都の酒場取材なのだそうです。「酒場放浪記」も最初は都内の大衆酒場を対象としていたのですが、このところだんだんと太田和彦さんの「居酒屋紀行」風に全国区になってきましたね。東京地区以外で見てる人もけっこう多いようですもんね。

3杯目のホッピー(300円)に合わせてもらったのは湯豆腐の小(100円)。「河本」の豆腐は大が200円で、小が100円。大がちょうど豆腐1丁分。小はその半分。これが夏場は冷奴として、冬場は湯豆腐として供されるのです。この豆腐もまた「河本」名物のひとつで、とっても人気があるつまみなのです。

このころになると、「河本」にたくさんいる猫たちもじわりじわりと姿を見せはじめます。これらの猫にはそれぞれ名前がついていて、常連さんたちからもかわいがられているのです。そういや吉田類さんのところにも猫がいるんですよね。「そう。吉田カラシ。なにしろこのカラシの色に似てるからカラシという名前にしたんですよ」と目の前のおでん用のカラシを指差しながら笑う吉田類さんです。

そうこうしているうちにそろそろ午後6時半。さぁ、夜は長いし、深川界隈だし。ボチボチ次に向かいますか。ごちそうさま。

「みんな一緒? それとも別々に計算する?」と真寿美さん。「えっ。別々なんて計算できるの?」とみんな。「できるよ」といいながらチョークを取り出した真寿美さんは、端っこからそれぞれのカウンター上に残ったホッピーの瓶などを数えながら順に、しかもこっちからちゃんと読めるように金額を書いていきます。ひゃぁーっ。こんな技も持ってたんだ。

私の分は1,500円。久しぶりの「河本」をたっぷりと堪能いたしました。

(「寄り道Blog」、「深川的日常」にも同じときの記録がありますので、あわせてお楽しみください。)

店情報 (前回)

《平成17(2005)年1月22日(土)の記録》

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