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元祖・餃子にニンニク!? … 中華料理「珉珉羊肉館(みんみんやんろうかん)」(渋谷)

渋谷マークシティ(井の頭線・渋谷駅)の北側に残るいかにも闇市の名残といった飲み屋街(旧・大和田マーケット)の一角に、いかにも怪しげな古い一戸建ての中華料理屋があります。店の名は「珉珉羊肉館(みんみんやんろうかん)」。以前から気になってはいたのですが、あまりの怪しさになかなか踏み込むことができずにいたのでした。

「怪しさ」を感じる原因は、見た目はいかにも中華料理屋っぽいのに、店の名前には「羊肉」なんて入っていて、もしかするとモンゴル料理かジンギスカン屋さんなのかと思ったりもする。あまり飲み屋風にざわついているようでもないのに、長いこと着実に商売を続けているようであり、入口引き戸の中の世界は容易に想像がつきにくい、などなど種々の要素がからまりあっています。近くの腸詰の「細雪」なども同じような「怪しさ」を感じるお店です。そういえば、このところ腸詰の「細雪」はずっと閉まってるようなのですがどうしたんでしょうね。

出張帰りの午後5時半。そんな「珉珉羊肉館」に思い切って突入してみました。店内は入口すぐ右手に、2階へ上がる階段があり、左手には大型の冷蔵庫などが置かれている。その先にやわらかく「く」の字(左右は逆)に曲がったカウンター席があり8~10人ほど座れそうです。先客はカウンターの奥側に男性ふたり連れがひと組。私は手前のほうに陣取ります。

「いらっしゃいませ」と迎えてくれた店のおにいさんがパウチ加工されたメニューを手渡してくれます。それを受け取りながら、まずは入口横の冷蔵庫の中に並んでいるサッポロラガービール(大瓶、550円)をいただきます。

メニューは両面にずらりと30~40種類ほど並んでいて、店の外観どおりやはり中華料理です。とても気になったのはメニューの中の「人気メニュー」コーナーに載っている「モツ炒め」(900円)や「三種モツ炒め」(1,330円)、「豚足の煮込み」(890円)、「レバ唐揚」(1,330円)など。そして店名のとおり「ひつじのお料理」というコーナーもあって、「羊のジンギスカン焼(二階席)」(850円)、「羊とニラ炒め」(820円)、「羊の辛しチリソース炒め」(1,330円)という3種の料理が載っています。

「これからこちらのお客さんの餃子を焼くところですが、いっしょに焼きますか?」とおにいさんが声をかけてくれます。「あ。はい、お願いします」。同じメニューの「点心」コーナーに「焼餃子」(6ヶ、530円)、「水餃子」(6ヶ、530円)、「スープ餃子」(6ヶ、700円)、「腸詰」(1本、820円)、「ザーサイ」(200円)などもあって、この「焼餃子(やきぎょうざ)」も目についていたのでした。

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店の外観 / ビール / 焼き餃子

カウンター奥側のおじさん二人組は「焼餃子」のほかに「豚足の煮込み」(890円)もたのんでいたらしく、大皿に盛られ、とろみのついた煮汁がテラテラと輝く豚足が出されます。これがまた見るからにトロントロンに仕上がっていて、「わっはっは」と楽しそうに笑いながら、ボトルの紹興酒を進めあっているおじさんたちの口の中に次々と入っていきます。あっという間にお皿の上には骨が残っているだけとなりました。

私がちょうど「焼餃子」を食べ終わったタイミングで、呑んだフルさんが合流。我われもおじさん二人組になりました。呑んだフルさん用に「焼餃子」(530円)をもう一人前追加し、やはり羊肉も食べなきゃいかんでしょうと「羊とニラ炒め」(820円)を注文。できあがるのを待つ間のつなぎとして「ザーサイ」(200円)もいただきます。

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ザーサイ / 羊とニラ炒め / 小皿に取って

店はおにいさんと、調理を担当している男性2人の計3人で切り盛り中。ちょうど目の前にいたおにいさんに聞いたところでは、このおにいさんのお父さんが中国から引き上げてきて、昭和23(1948)年にこの店を開き、昭和25年頃にこの場所に移ってきたのだそうです。その後、お父さんが亡くなり、現在はお母さんが二代目の店主(オーナー)であり、このおにいさん(三代目)もここで働いているのだそうです。

06040700餃子は白菜とニンニクがたっぷりと入っている。おにいさんによると、中国から引き上げてきたお父さんが店を出すのにあたって、中国と同じように豚肉を仕入れようとしたのだが、終戦直後ということもあって豚肉は貴重品で非常に高い。安い肉だといい味が出ないのでどうしようかと悩んでいたところ、羊毛を取ったあとの羊肉(マトン)ならば、良質の肉が安価に手に入れられることがわかった。そこでまず餃子の肉のほうは羊肉でいくことに決定し、その羊肉の臭みを押さえるためにニンニクを入れることを考えついたのだそうです。「ニンニクはマトンの匂いをごまかすために、日本に帰ってきてからオヤジが工夫したもの。だから本場中国の餃子にはニンニクが入ってないんですよ」とおにいさん。そうだったんですねぇ。とすると、ここが餃子にニンニクを入れた元祖だったのか。ちなみに「今は餃子には豚肉を使っています」とのことでした。

そこへ、いかにも常連さんらしき男性ひとり客がふらりと入ってきて、カウンターの奥のほうに座りながら「ビールとヤンローね」と注文。またもうひとり入ってきて、今度はカウンター中央部に座り「ヤンローください」と注文します。ふむ。この「ヤンロー」なる料理が名物なのか。なんだか気になるなぁ。

観察しながら待つことしばし。「お待たせしましたぁ」と出されたのは、なんと我われが食べてるのと同じ「羊とニラ炒め」でした。なるほどなぁ。これを常連さんは「ヤンロー」と呼ぶわけですね。店の名前が「珉珉羊肉館」と書いて“みんみんやんろうかん”と読むことを考えあわせると、「ヤンロー」というのは羊の肉のことなんですね、きっと。

おにいさんに「中国の人はヤンローにラー油をたっぷりかけたり、胡椒をこれでもかというほどかけたりして、とても辛くして食べる人が多いんですよ」という話を聞き、私もちょっとやってみました。辛いほうが食欲は増しそうですね。でも個人的にはオリジナルのままでいいかな。(笑)

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カウンターの様子 / 2階テーブル席 / ジンギスカン鍋

お手洗いは2階にあるとのことだったので、トイレに行くついでに2階も見学します。2階には大きなジンギスカン鍋が作りつけられた8人くらい座れるテーブル席がふたつ。そして、階段を上がったところから見ると奥、ちょうど1階の入口の真上に当たる位置に小上がりの座敷席もあります。

メニューに「羊のジンギスカン焼(二階席)」(850円)とあったのは、この2階テーブル席だけで食べることができるメニューなんですね。ちょうど2階のお客さんに料理を運んできたおにいさんに「この席はグループで来ないと使えないんですか?」と確認してみたところ、「ジンギスカン焼は2人前から注文を受け付けてますので、おひとりでも2人前以上召し上がれればいいですよ。大きなジンギスカン鍋ですが、火は4分割してつけられるようになってますので、おひとりでも少人数でも大丈夫です。この鍋にスリットが入っているのが特徴で、余分な脂(あぶら)が下に落ちるんですよ」とのことでした。

ここらでH氏から「間もなく渋谷に到着します」という連絡が入り、河岸を変えることにします。1時間半の滞在はふたりで3,330円(ひとりあたり1,665円)でした。どうもごちそうさま。今度はぜひ大勢(4~8人くらい)でやって来て、2階の大きなジンギスカン鍋のテーブルで、ジンギスカン焼きやいろんな料理を食べてみたいですね。

店情報

《平成18(2006)年4月7日(金)の記録》

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コメント

いわゆるオリジナル珉珉東京なんだそうです。
大阪珉珉系の店は中野にもありますね。
ビールが赤星、餃子もまあまあ、肉細切り入りラーメンとご飯を食べたらおいしかったです。
最近ラーメンは井の頭よりの博多天神(500円)をご愛用です。

投稿: Ebisu | 2006.04.23 23:46

珉珉、いいですねぇ。
東京に在住していたときはよく行きました。
2階のジンギスカンは焼き方にコツがあって、野菜を下にひいてその上に肉をのせて(皿から平行移動)、蒸すように焼くんですよね。
あと、細雪のもいいですが、ここの腸詰も好きでした。つまみでは腐乳もありました。

投稿: PONTA | 2006.04.29 08:11

四半世紀前、大阪での新入社員研修の時に、大阪出身の同期に珉珉に連れて行ってもらったのを思い出しました。つまみで焼き餃子を一人当たり5人前頼んだのにビックリしたものです。「大阪ではみんなこうやって飲むんやでー(とか言ったような?)」と言われて美味しく何杯もビールを飲みました。中野に珉珉があるのですね!!今度行って見ます(年取ったので、餃子はせいぜい2人前程度が限界ですが、、、)

投稿: HAPPY | 2006.04.30 17:27

>Ebisuさん
先日は吉祥寺でお世話になりました。オリジナル珉珉と大阪系珉珉の2系統があるんですね。知りませんでした。
そうそう。「珉珉羊肉館」近くの「博多天神」には、とんこつ味噌ラーメンがあるんですよね。このメニューは、数ある「博多天神」の中でもたぶんこの店だけではないかと思います。

>PONTAさん
なるほど、『野菜の上で蒸し焼き風に』ですか。次の機会には2階のジンギスカンもぜひ食べてみたいと思ってます。
それと「細雪」。ネットで調べてみると、やはり閉店してしまってるようでした。以下のブログ記事が詳しいようです。
http://blog.livedoor.jp/umeyakan/archives/50141056.html

>HAPPYさん
中野の珉珉は、中野駅北口のサンモールをまっすぐに進み、ブロードウェイ入口のところで右に曲がった先、左側にあります。駅からは5~6分といったところでしょうか。
http://www.nakanohito.com/mt/archives/2006/03/minmin.html

投稿: 浜田信郎 | 2006.05.03 14:58

はじめまして。
以前から、直々拝見していましたが、御挨拶が遅くなって申しわけありません。
先日、こちらの眠眠羊肉館を妻とはじめて訪れました。
浜田さんの情報が前もってあったため、比較的すんなり入ることが出来ました。
餃子も頼んだのですが、その時「餃子にニンニクを使われたのは、こちらが元祖なんですってね?!」と浜田さんからの請け売りで恐縮ながら、それをお店の方に話し掛けたことが元で、楽しく過ごすことが出来ました。
本当にありがとうございました。
mariruu

投稿: mariruu | 2006.05.21 21:41

>mariruuさん

はじめまして、なのですが、ここっとさんのブログのコメントでよく拝見していますよー(^^)。こちらこそよろしくお願いします。
外観はいかにも怪しげな「眠眠羊肉館」ながら、中に入ると店のおにいさんもホスピタリティあふれていていいですよねぇ。今度はぜったい2階でジンギスカンを食べたいと思ってます!

投稿: 浜田信郎 | 2006.06.04 21:54

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受信: 2007.01.04 16:01

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