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昭和23年創業の老舗 … 大衆酒場「明星(あけぼし)」(板橋)

赤羽を出てJR埼京線でふた駅。はじめて降り立つ板橋駅です。この地にとっても濃い酒場があるという。「明星」(みょうじょう)と書いて、実は「あけぼし」と読むらしい。「酔わせて下町」の「大衆な風景」のページにある「明星」の写真を見ると、店先ののれんまでボロボロに破れていて実にいい味を出しているのです。(あ。ほめてるんですからね!)

えーと。場所的にはこのあたりだけどなぁ。わっ。なんだ。のれんがきれいになってるじゃん。ま、しかし。いかにも大衆酒場といった感じのすばらしい店構えであることよ。のれんにもくっきり「大衆明星酒場」と大書されています。

060430jそののれんの奥。こちら側の壁にあたる部分全体がアルミサッシ風4枚引き戸の入り口になっているのですが、どういうわけだかど真ん中の一番開けやすそうな2枚の引き戸の中央部にプランターが置いてあって非常に邪魔になる。そうか。きっとこれは左右のどちらかから入れってことなんだな。じゃ、左からよいしょっと。「こんばんは」。

うわぁーっ。これはまた本格的に正しき大衆酒場ですねぇ。店内は奥に長いコの字なんだけど、一方の辺は途中までしかないためJの字といったほうがいいようなカウンターのみ。10人も入ればもう満席になるほどのこぢんまりとしたお店です。そして、なにしろ本格的らしいところは、いかにも地元の人らしい年配のひとり客が多い。しかもおじいちゃんだけでなくて、おばあちゃんのお客もいる。

私の個人的な感覚かもしれないけれど、地元の年寄り客が多い酒場は、まず間違いなくいい酒場が多いんですよねぇ。ほかにそういう地元の年寄り客が多い酒場というと、私の地元近くだと、たとえば「川名」や「バクダン」、「金ちゃん」、そしてありし日の「鳥芳」などがそうです。地元の年配客のみなさんは、ほぼ毎日やってきますからねぇ。安くていい店じゃないと毎日続かない。だからそういうお客さんたちが集まっている店は間違いがないように思うのです。

「いらっしゃい」と迎えてくれるのは女将さんというほどの年齢ではない女性。だいたいこういう“正しき大衆酒場”という店は、お客もさることながら店主側も年配者であることが多いのに、ちょっと意外でした。店はこの女将さんひとりで切り盛りしているようです。

「チューハイ」(280円)を注文すると氷とレモンスライスの入ったサワーグラスに焼酎を入れてくれて、それとは別に炭酸ひと瓶が出されます。炭酸は強烈な泡立ちで有名なニホンシトロンのもの。サワーグラスに普通に注いだだけでシュワワワワァーッとあふれんばかりに泡がわき立ちます。

ックゥゥーッ。

効きますねぇ。口の中であばれる感じのシュワシュワ感がニホンシトロンならではの持ち味です。

さてつまみ。なんにするかなぁ。短冊メニューを確認すると刺身は東京の大衆酒場の定番・マグロ(400円)のみといさぎよく、他には煮込み(320円)、玉子焼(250円)、納豆(300円)、らっきょう(300円)などなどと、品数こそそれほど多くないものの、大衆酒場定番のメニューが並びます。さっとまわりを見渡してみると、どういうわけだか小鉢に盛られた肉ジャガ(320円)を食べてる人が多い。お。短冊メニューの中に板ワサ(350円)を発見。これをもらいましょう。

060430kちょっと名の通ったそば屋で板ワサを注文すると600円ほどでほんの二切ればかりの蒲鉾が出てきたりするのですが、ここはさすがに大衆酒場。長方形のお皿にずらりと並んで出てきた板ワサは、板付き蒲鉾丸々1本分です。なにしろ練り物好きですからねぇ。たまりませんなぁ。

横に添えられた練りワサビ入りの小皿がまたいいではありませんか。これを醤油皿にして刺身のように板ワサをいただこうということですね。

今でこそ刺身はいつでも手に入るようになってきましたが、流通や冷凍・冷蔵技術が今ほど発達していないころにはそうはいかない。その代用品として魚肉の練り製品である蒲鉾を、刺身と同じようにワサビ醤油で食べたんじゃないかなぁ。そんなことを思わせる一品です。

060430l店内に年配客のひとり客が多いことはすでに書きましたが、年配客だけじゃなくて比較的若いお客さんも混ざっている。店の一番奥の上部にテレビが置かれていて、NHK総合テレビにチャンネルが合わされています。うーむ。昔、おとうさんが家に居るときの茶の間のチャンネルはいつもNHK総合テレビだったなぁ、なんて思いながら、居並ぶみなさんとともにテレビを観賞します。そう。みなさんテレビで放映中のクジラの番組(「ダーウィンが来た!」の「サンゴ礁にクジラが歌う」)を見ながら、「へぇ、そうなんだ」と相槌を打ったり、テレビの話題から派生して別の話題で盛り上がったりと、いい意味でテレビが話題づくりに貢献しています。

テレビを見ながら話に盛り上がるお客さんたちをよそに、女将さんはフライパンでジャージャーとなにやら炒めはじめました。できあがったところで短冊メニューをテレビの下にペタリと貼り付けます。「きんぴら 320円」。

「きんぴらができたの。じゃひとつもらおうか。」「じゃ、こっちもきんぴらね」とお客さんたちから注文が飛びます。こうしてできたてのきんぴらがお客さんたちの前へ。なるほどなぁ。肉ジャガを食べてる人が多かったのも、これと同じような状況だったのかもね。

060430z31杯目のチューハイを飲み終え、炭酸がまだ残っているので「焼酎(ナカ)」(170円)だけおかわりすると、女将さんがカウンターのところにチョークでなにやら印をつけます。まわりを見てみると、他のお客さんたちの前にも印がある。これでなにを何杯飲んでるのかがわかるようになってるんでしょうね。

私の正面に座っているおにいさんは独身らしく、まわりのお客さんから「ちゃんと女の子とつきあったりしてるのか?」などとつっこみが入ります。「大丈夫ですよ。ボクは技のデパートといわれるくらい多彩な技を繰り出してますから。押し倒したり、はたき込んだりとそれはもう大変ですよ。……。でも、一番多いのは勇み足かな…」。これには店内も大爆笑。

笑い声が絶えない店内というのはお酒を飲んでても気持ちがいいですね。

あまりの居心地の良さに、気がつくと1時間半ほど過ごしてました。お勘定はなんと800円。どうもごちそうさまでした。

店情報

《平成18(2006)年4月30日(日)の記録》

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コメント

あらら、オイラもついこないだ「明星」デビューしたばかりだよ、と見てたら・・・、日付が4/30でねぇすかぁ!?
オイラが行ったのが5/6、惜し・・・、くもないな。
う~ん微妙(笑)

ココはホント良い酒場ですね。
常連さん達との会話も“込み”になってる感じですね。
あのカウンター、目の前のお客さんと話すのにちょうどいい距離感なんですよねぇ。
σ(^◇^;)

投稿: キャスバル坊や | 2006.06.06 13:14

>キャスバル坊やさま
「おぉ、キャスバル坊“主”さんも明星に行かれたんだぁ」(爆)なんて思いながら拝見しましたよー。「12人の優しい板橋人・・・ 明星@板橋」( http://blog.livedoor.jp/itaita3/archives/50556442.html )。
まさに【ザ・昭和】と言った感じのいいお店ですねぇ。というよりも【ザ・昭和】をたっぷりとかもし出してくれている客層がいいのかな。楽しいお店でした。(^^)

投稿: 浜田信郎 | 2006.06.11 21:16

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