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江戸前の魚で一献 … 居酒屋「三番瀬(さんばんせ)」(千葉・船橋)

ゴールデンウイークの9連休も3日目に入り、今日から5月です。「地域を広げよう。西へ、東へ、まん中へ」のテーマにそって、今日は“東”。下町エリアも通り越し、江戸川も越えて、おとなりの千葉県は船橋まで行ってみようと思います。

船橋でぜひ行ってみたいと思っていた筆頭が、船橋漁港で捕れる江戸前の魚を出すという居酒屋「三番瀬」です。

ここは人気のお店ながら、14人ほどしか入れないほど小さいらしい。出遅れると絶対入れないだろうと思い、開店時刻の午後5時をねらって船橋にやってきたのでした。それでもその日の漁によっては開いてるかどうかわからないお店。店に着くまでとても不安です。

駅前の大通りから路地に入った小さい商店街の端っこに、店頭に大漁旗が掲げられた「三番瀬」がありました。のれんも出て営業しているようで、まずはひと安心。そののれんをくぐり、入口引き戸を開けて店内に入ると、先客は誰もおらず、本日口開けのお客になってしまいました。店内はまだ開店準備中といった雰囲気で店主らしき男性と、その奥さんらしき女性のふたりがカウンターの内外で料理の準備をしたり、テーブルをきれいにしたりしています。

店内は入り口左手の直線カウンターに6人。入り口右手の4人がけテーブル席2つに8人で全14人となります。あとでわかったことですか、2階にもほぼ同じ形の予約客専用スペースがあるそうなので、1、2階を合わせると最大30人ほど入れるようです。

060501bその直線カウンターの一番奥の席に陣取り、瓶ビール(キリンラガー中瓶、550円)をもらって、お通しのフキと大根の煮付けをつつきながら、カウンター上部のホワイトボードにずらりと並んだ魚メニューを確認しつつ開店準備が整うのを待ちます。

準備が整ったらしきところで店主に「ナヨシってなんですか?」と確認。メニューにずらりと並んだ品々のなかで、これだけがなんだかわからないのです。「ナヨシはボラのことです」と店主。なるほど、ボラは食べたことがないけど、ひとつそれをいただいてみましょう。ナヨシの刺身(700円)をお願いします。

060501c出されたナヨシの刺身は、ちょっと朱が入った白身の刺身で予想外に美しい。ひと切れ取って口に運ぶと、これはもうまさに極上の白身の刺身。「いやぁ。ボラって臭いんだと思ってましたけど、ぜんぜん臭くないですねぇ!」と店主に話すと、「お客さん。これまでボラの刺身を食べられたことがありますか?」と店主。「いや。実はこれがはじめてなんです。」「そうでしょう。ボラはキ水域に棲んでいて川底・海底の泥といっしょに苔などを食べる魚なんで、その餌の味がそのまま身の味になってしまうんですよ。コイなんかと同じですね。一時、東京湾がものすごく汚れたときに、ボラもたしかに臭くなった時期があった。ただ、東京湾は化学的な汚染は少なかったので、工業排水などをやめることによってよみがえってきたんです。だから、今お出ししているような活ジメのボラはうまいんですよ。残念ながらまだまだ『ボラはまずい』という定説は蔓延していて、市場でも安い魚です。市場で安いから漁師もボラがとれても大事にしない。ボラがとれてもすぐその場で活ジメにしたりして市場でいい評価を受けるようにしないんです。そんな悪循環が、ますますボラの品質を悪くしてしまってるんですね」と熱く語る店主。

そんな店主が店に置いている魚は、冒頭でも書いたとおりほとんどが地元・船橋港にあげられたものばかり。「マグロなどはさすがにだめだけど、沿岸で捕れるような魚はほぼ全種類が東京湾で捕れるんですよ。その数が少ないことは少ないんですけどね」と続ける店主。そうやって地ものばかりで商売をしているため、漁がなかったりすると店を閉めざるを得ない状況になるのだそうです。したがって定休日は決まってなくて、不定休。

「魚は数日は大丈夫なんですが、貝はダメですね」。じゃ、このあとバカ貝のヌタ(ばかぬた、800円)をたのもうと思ってたんですけどそれもダメですね。「そうですねぇ。昨日、今日と強風のために漁がなかったんで、貝類は入ってないですね。でもそれでいいと思ってるんですよ。自然が相手の漁なんで、ある日があれば、ない日もある。いつも同じものが同じように食べられないといけないなんて思うから、魚も野菜も不自然になってると思うんです」。たしかに。その日たまたま捕れたものをおいしくいただくというのが一番自然ですよね。

店内にはBGMとして、ずっとビートルズの曲が流れていて我われの世代には懐かしく心地好い。ビールを飲み終わったところで燗酒(500円)とコノシロ酢物(600円)を注文します。燗酒は「白鹿 灘仕込 からくち」(普通酒)。店内には各種の地酒や焼酎類もそろっています。

060501dコノシロは江戸前の寿司ネタとしておなじみのコハダの成魚。体長にして15センチくらいを超えるとコノシロになるのだそうです。コノシロももちろん東京湾で捕れたものだそうです。羊の肉(ラム→ホゲット→マトン)と同じように、コノシロ(新子→コハダ→コノシロ)も成長すればするほど、独特の風味が出てくるようです。個人的にはこの魚は小さいほうが好みかな。コノシロよりはコハダが、コハダよりは新子がいいなと思ってしまいます。

コノシロ酢物をつつきながら燗酒をちびちびとやっているところへ「やぁ。疲れた、疲れた」と言いながら入ってきたのは、この近くで働いているらしきサラリーマンふたり連れ。「3人になるからね」と言いながら入口右手のテーブル席のひとつに座ります。このふたりはいかにも常連さんっぽい感じで、席に座るのも待ちかねるように「今日はバカ貝ある?」と店主に確認します。「いやぁ、こんな天候で昨日から漁がなかったのでバカ貝はないんですよ」と断り、今日できる刺身類を列挙する店主。ふたり連れはその中から2~3品の刺身を注文し「それとシジミ汁もね!」とシジミ汁(300円)も注文します。

シジミ汁もうまそうですねぇ。私もそれをひとつお願いします。はじめての酒場に行ったときは、常連さんが注文するものをまねして注文するのが一番間違いがないんですよね。

060501eシジミ汁は注文を受けてから作り始め、ちょうどコノシロを食べ終わって、燗酒もおかわりをしたところでできあがってきました。大きなお椀に盛られたシジミ汁のほかに、「こちらは殻入れですね」と深皿が出されます。なるほど殻入れが出されるということは、「シジミの身も食べてください」ってことですね。お椀の中にはたっぷりのシジミが入っています。「いや。私は子供のころからシジミの身は食べないんですけどね」と店主。ありゃ、そうなんですか。「身を食べるお客さんもいらっしゃるので殻入れもお出ししてるんです」とのこと。

シジミをひとつ取り出して身を食べてみるとうまい。これはいいや。私は身も食べることにしましょう。シジミによっては泥臭いものがあったりするのですが、このシジミはそんなことはありません。身そのものも、チマチマとしてはいますがいいつまみになります。

たっぷりのシジミ汁で燗酒をいただいて終了。2時間弱の滞在は3,600円でした。

店情報

《平成18(2006)年5月1日(月)の記録》

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