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安心の再々開 … 酒亭「武蔵屋(むさしや)」(横浜・桜木町)

「武蔵屋さんが休んでるらしいけど、どうしたんだろう?」野毛の酒場ファンを中心に、そんな噂が広がったのは7月下旬頃のこと。それ以来、何度行ってみても入口引き戸のところに「しばらく休業致します」と筆字で書かれた紙が張り出されているだけで、ちっとも状況がわからず「武蔵屋」ファンはやきもきするばかり。

その「武蔵屋」が3ヶ月以上の休業期間を経て11月8日に再開。このニュースもあっという間に「武蔵屋」ファンの間を駆け巡りました。

この店は共に80代の老姉妹ふたりに、アルバイトの若い人が1~2名で切り盛りするお店。その老姉妹のお姉さん(女将)が病気療養のため一時休業したのが平成16(2004)年末から翌年春にかけてのこと。さらにその年(平成17年)の夏にも休業があって、今回が(私が知っている範囲では)3度目となる休業。

いつも「細く、長くやっていこうと思いますのよ」とおっしゃっていた姉妹なのですが、なにしろお年もお年なので、ちょっと長い休業になるとやっぱり心配です。

再開したというニュースで、すぐにやってこようと思っていたのですが、再開して1週間ほどたった今日、やっと来ることができました。

ちぇるる野毛」の裏の路地に入ると、「武蔵屋」の灯りが見えます。ここ数ヶ月、何度のぞいても真っ暗だったこの路地に灯りが戻ってきたのがうれしいですねぇ。

ガラリと引き戸を開けて店内に入ると、店内はほぼ満席。しかし、カウンター中央部にひとり分の空席がありました。こういうとき、ひとりだとたいてい入れるんですよねぇ。

「いらっしゃいませ」という言葉はないのもいつもの「武蔵屋」流。でもカウンターの中で働いている姉妹おふたりの様子は以前のまんま。ちっとも変わりはありません。まずはよかったよかった。

今日、お手伝いに入っているのはベテランのアミちゃん(←宝塚系美女)と学生アルバイトのヒロシ君のふたり。そのアミちゃんから「お酒でいいですか?」と確認が入ります。

この店は別名「三杯屋(さんばいや)」とも言われていて、「桜正宗」を3杯まで飲むことができることでも有名なお店なのです。どんな常連さんだって4杯目はダメ。きっちりと3杯と決まっているのです。(とはいえ、3杯目を飲んでるときに、女将さんが他の人にお酒を注ぎに来たついでにチョロッとサービスしてくれたりはしますが…。)

しかしながら、最初にビールをもらうことはできて、これはお酒3杯とは別カウントになるのです。私自身、夏場などにはビールからスタートして、そのあと燗酒に移ることが多い。そこで「お酒でいいですか?」と確認してくれているわけですね。

今日、店に入ったのは午後8時ごろ。この店は9時までの営業なので、あと1時間ほどしかない。自分のペースで飲むと、お酒3杯で1時間はかかるので、今日は最初からお酒でいったほうがよさそうですね。

すぐに日本酒用のグラスと、湯飲みに入った塗り箸が出され、アミちゃんが土瓶に入った燗酒をツツゥ~~ッ、ピタリッと表面張力まで注いでくれます。この店でお客さんにお酒を注ぐことができるのは女将さんのほかには、アミちゃんだけなのです。

1杯目のお酒とともに出されるつまみはタマネギ酢漬けとおから。そしてお客さんが来てから用意し始めるタラ豆腐が入店から10分後くらいに出されます。

お酒3杯が定番なら、つまみも定番。1年中いつやってこようが1杯目に3品、2杯目に1品、3杯目に1品と、合計5品の決まったつまみが出されるのです。したがって、このタラ豆腐も冬場だから出されたわけではなく、夏の暑い盛りにやってきてもやっぱり供される1品なのでした。タラ豆腐は、チリメンジャコと刻みネギに七味唐辛子がかけられ、やわらかく味つけされたもの。タラの火のとおり具合がちょうどよくて、ふんわりとやわらかいのです。

先週すでにやってきた人たちの話によると、今回の休業は妹さんの膝(ひざ)が悪くなって、人工関節をつけるための手術をしたためなのだとか。その妹さんの様子はと、以前どおりカウンター内の厨房で料理を担当している姿を拝見すると、以前はカウンターの下に潜り込んじゃうくらい腰が曲がっていたように思うのに、今はその腰の曲がりが減って、背が高くなったように感じます。いやぁ、かえって以前よりもお元気そうな!

2杯目のお酒を注いでくれたのは女将さん。カウンターの入口側に座っている人から順に、私のグラスにもツツゥ~ッと注いでくれます。でも、注いでくれる手は左手。あれっ!? 女将さんは左利きだったっけ?

さっそく確認してみると「右手がちょっと上がりにくくて、左手で注いでるんですよ」とのこと。左手でも同じように表面張力ピタリでつげるんですね! これはすごいや! カウンターのお客さんたちとしきりに感心していると、「だって武蔵ですから!」と女将さん。そうかぁ、宮本武蔵ばりの二刀流だったんですね!(笑)

2杯目の肴もこれまた定番の納豆です。あらかじめ味つけされてきちんと練られた納豆のうまいこと。おから、豆腐、納豆と大豆3兄弟のつまみにお酒も進みます。

「これもどうぞ」とおきゃくさんみんなに出されるお皿はキヌカツギ。ここではお決まりの5品のほかにキヌカツギやコハダ酢、煮貝などのメニュー(各400円)を追加でいただくことができるのですが、ときどき雨の日などにキヌカツギなどがちょっとサービスで出されることがあるのでした。再開店から間もない今もサービスで出してくれているのでしょうか。

3杯目を注いでくれたのは再びアミちゃん。3杯目のお酒にはお新香がついてきます。小皿にダイコン、タクワン、キュウリ、菜漬け、紅ショウガの5点盛り。

「ここのお酒は本当においしいねぇ」という常連さんに「私(わたくし)も1杯くらいいただけるといいんですけどねぇ」と女将さん。「なんだよ。1杯くらいはいけるだろうよ!」と常連さんが切り返すと「あら、昔からアルコールと男性には弱いからダメなのよ」という返事に店内は大爆笑です。

数ヶ月におよぶ休業期間なんかまるでなかったような「武蔵屋」の雰囲気にたっぷりとひたった1時間。お勘定はちょうど2千円でした。あー、本当に良かった良かった。

「わざわざありがとうございました」「なるべくまっすぐ帰ってくださいね」という、これまた変わらぬ姉妹の笑顔に見送られながら店を後にしたのでした。

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再開した「武蔵屋」 / 1杯目はタマネギ酢漬けとおから / タラ豆腐

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2杯目は納豆 / 今日はキヌカツギもサービス / 3杯目はお新香

店情報前回

《平成18(2006)年11月15日(水)の記録》

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金曜午後8時の「武蔵屋」。いっぱいかなぁ、と思いながら引き戸を開けると左手テーブル席に1席分の空きがあり、そこに相席で座らせてもらいます。目顔で「どうする?」と感じでこちらに顔を向けてくれるアミちゃん(店を手伝っている宝塚風の女性)に「小瓶のビールをお願いします」と注文。今日はビールから行ってみましょう。 すぐにキリン一番搾りの小瓶とビアタンが用意され、ビール用のつまみの落花生が出されます。 ここ... [続きを読む]

受信: 2007.01.21 10:09

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