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串焼きをおまかせで … 焼鳥「だるま」(横浜・日ノ出町)

横浜発祥のものは数多くありますが、串焼き(焼き鳥)も横浜が発祥らしい。その元祖とも言える串焼きを、大正13年生まれ、今年で83歳という親父さんが出してくれるお店があると聞いてやってきたのは日ノ出町。目ざす「だるま」は、まさに日ノ出町駅の目の前、地番で言うと日ノ出町1丁目1番地の鋭角の角地にありました。

のれんをかき分け「こんばんは」と入ると、コの字カウンター13席程度のみの小さい店内に、先客は3人。ネットには「店内はいつも満席」という情報が多かったので心配していたのですが、平日(木曜日)の午後8時過ぎあたりはけっこうチャンスかも!

店は件(くだん)の親父さんと、それを手伝う若いおにいさんのふたりで切り盛り。そのおにいさんが「飲み物は?」とたずねてくれつつ、お通しのキュウリの漬物(1品目)と、焼きあがった串焼きを置くための銀色の丸皿を出してくれます。

店内にはメニューは一切なし。ビールは絶対に置いてるだろうな、と思って注文すると、キリンラガーの大瓶が出されます。串焼きは特に注文しなくても、基本的におまかせで出されるらしいのです。

そのビールを飲みながら待つことしばし。まず出されたのは銀杏(ぎんなん)の串焼き(2品目)です。野菜物はあらかじめ仕込んで置いてあって、お客が来るとおにいさんが焼き始める様子。そして、肉類は親父さんがその場で下ごしらえして、串を打って焼くスタイルのようです。

今、親父さんが下ごしらえしているのはボンボチ(鶏の尻尾)のようです。その準備が終わって、焼き台を担当するおにいさんに渡し終えると、次に冷蔵庫から取り出したのはラム肉。左手には滑り止めの軍手をはめた親父さんが、そのラム肉をがっちりとつかみ、右手の小ぶりの包丁(ナイフ)できれいに整形していきます。サクサクサクっと何気なく切ってるようなのに、串に刺すとあ~ら不思議。大きさのそろった肉がきれいに並ぶのです。これぞ練達の技ですなぁ。

そんな様子に見とれているうちに、さきほどのボンボチが焼きあがってきました。「ミサキです」と出してくれるおにいさん。へぇ。ミサキって言うのか。尻尾の先っぽだから、もしかすると“身先”って書くのかもしれませんねぇ。(3品目)

もう一皿、ミサキとほぼ同時に出された小皿には蒸した椎茸(4品目)です。この椎茸が、口に含むとジュワァーッとおいしい汁が広がって、ものすごい旨さです。

ラム(5品目)も焼きあがってきました。1品出されるたびにおにいさんが「ラムです」と、その品物を説明してくれるのでわかりやすい。私の左どなりに座っている男性ひとり客は、私とほぼ同じころに入ったらしく串焼きの進行が私とまったく一緒。向こう側に座っているカップルは、ひとしきり食べ終わったのか、ワインを飲みながらおしゃべり中です。

まな板の上に出てきたのは、大きな牛の舌! しぇーっ、この状態から串焼きのタンを下ごしらえしていくんですね。ちょっと厚切りにスライスされた大きなタンは、串に刺すために細かく切られていきます。向こうのカップルの男性から「牛タン、こちらも2本お願いします」と注文が入ります。なるほど、ひとしきり食べた後でも、自分の好みのものが下ごしらえされはじめたら便乗注文していいんですね。

牛タン(6品目)とほぼ同じタイミングで、別皿で出されたのは大きなピーマン(7品目)。「中に肉ミソが入ってますから」とおにいさんが説明してくれます。

とそこへ、男性ふたり連れが入ってきて来ました。この店によく来ているのか、なんのためらいもなく「ビールください」「ボクはお酒の熱いの」と注文して、カウンターの一角に腰をおろします。お酒は丸っこい黒ジョカ風の酒器に注がれ、そのまま焼き台で燗付けられます。これはおもしろいなぁ。私も燗酒をいただくことにしました。

私と一緒のペースだった左どなりのひとり客は、ここでお勘定です。なるほど途中でやめることもできるんですね。

新しく入って来たふたりにはキュウリの漬物が出され、銀杏が出されと、私がたどったのと同じコースが順番に用意されていきます。まな板の上ではそのふたりのミサキ(ボンボチ)を準備中。ミサキはさすがに大きなかたまりからではなくて、ミサキだけを袋詰めしたものがあるんですね。

そのミサキの準備が終わると、次の袋からコロコロと出てきたのは…。やったーっ! これは大好物、鶏ハツですね。袋から出された鶏ハツも、先ほどのミサキ同様、小さいナイフできちんと下ごしらえされて串に刺されていきます。くぅ~っ。うまそう。早く焼きあがってくれーっ。

焼きあがった鶏ハツ(8品目)を幸せにいただいていると、目の前では次なる豚バラ肉(9品目)の準備です。こうやって下ごしらえをするところから見えるのが、次への期待を膨らませますねぇ! あとで知ったんですけど、この豚バラ肉もこの店の名物のひとつなんですね。間に大葉がはさまれていて、ポン酢醤油風の専用ダレでいただきます。

そして焼きなす(10品目)。よくあるような丸ごとではなく、1センチ厚さくらいにスライスして焼いたものが2枚。それぞれ頭のところに切り目がふたつついていて、そこからピィーッと割くと、ちょうど1センチ×1センチくらいの棒状の焼きなすになるのです。ニンニクと練りガラシが添えられた醤油の小皿が一緒に出され、それをつけていただきます。

しばらくすると、最後に来た二人組の焼き物もすべて終わったのか、親父さんもおにいさんも、他のお客さんたちと一緒になってカウンターの奥にあるテレビを見たり、お客さんと話をしたりとゆったりモードです。

燗酒を飲み終わったタイミングでお勘定をお願いすると、私に出たものが書かれているらしい紙を、親父さんが手に持ってしばらくにらんだあと「ちょうど4千円です」。すごいっ。暗算だ。

1時間ちょっとの滞在は、キュウリの漬物から始まる10品と、ビール大瓶と燗酒で4千円でした。どうもごちそうさま。

070208a 070208b 070208c
「だるま」 / ビールとお通しのキュウリの漬物 / 銀杏

070208d 070208e 070208f
下ごしらえ中の店主 / 身先(みさき)と蒸し椎茸 / ラム

070208g 070208h 070208i
牛タン / ピーマンの中には肉ミソ / 燗酒は黒ジョカで

070208j 070208k 070208l
鶏ハツ / 名物・豚バラ肉 / 最後は焼きなす

店情報

《平成19(2007)年2月8日(木)の記録》

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コメント

「ミサキ」は、三崎と書きます。わかりますね。

投稿: 粋狂師 | 2007.03.11 10:06

 「だるま」の味を楽しめて良かったですね。私は山田さん(親父)と約20年の付き合いになり、以前は仲間と温泉によく行きました。大変に人情が厚く聡明な方です。
 小生は都合の為、ここ数年出掛けていませんが季節の便りと電話で元気な様子を伺っています。
 高級な料理店や流行のには無い「温かい風情」があの店には有ります。店何卒、今後も「だるま」を御贔屓にお願い致します。

投稿: sendai-no-tomo | 2008.05.12 10:31

「ミサキ」は岬や三崎(突端の意)を表し、「ボンボリ」とも云います。またの名を「アブラツボ」と云い、通好みのその美味さは油壺の名に因み、
洒落者達の間ではその様に語り継がれています。
 小生の好みは丸焼きした鶏の肩からミサキへ掛けての皮が好物です。足の塩茹でもおつな味がします。

投稿: sendai-no-tomo | 2008.05.12 10:59

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