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昭和30年創業の一軒家 … おでん「江戸源(えどげん)」(銀座)

サラリーマンのメッカといわれる新橋・神田。たしかにそのふたつの街には数え切れないくらいの酒場があるのですが、古くから続く老舗酒場は、その両街の間、銀座から京橋を通って八重洲・日本橋あたりに多いのです。

今日は、昭和30(1955)年創業という銀座の老舗おでん屋「江戸源」に来てみました。

コリドー街の近くの路地の角に、ウソ!と思うような古風な2階建ての一軒家。元は芸者の置屋だったというその建物は、実に古びていて(←ほめ言葉!)いい味を出しています。暖簾(のれん)の横には「江戸源」と書かれた提灯。その横の壁に張り出された「おでんいろいろ、それぞれ150円」という張り紙も、そしてその値段そのものも、なにやら懐かしい昭和の風情ですねぇ。銀座のまん中で「おでん1品150円」というのもすごいなぁ!

暖簾をくぐり、入口引き戸を開けるとワーンと響いてくる店内の喧騒。店内は7席程度のL字カウンターと、8~10席程度のテーブル席ひとつしかないという小規模なものですが、金曜午後7時半というゴールデンタイムとあってほぼ満席に近い状態。特にテーブル席を埋めている女性も含めた10人ほどの団体さん(同じ会社の人たちらしい)が大いに盛り上がっていて、この喧騒となっているようです。

入口脇の椅子に腰をおろしていたのは大正8(1919)年生まれ、今年で88歳(米寿)という、この店の名物おばあちゃん(大女将)。ゆっくりと立ち上がりながら、
「おひとり? カウンターにどうぞ」
と声をかけてくれます。入口横の階段下にカバンと脱いだコートを置いて、指し示されたカウンターの角あたりの席に座ります。

「ビールにする?」とおばあちゃん。
「ええ。瓶ビールをお願いします」
「2本?」
「いえ。1本で!」ひとりだからまず1本で十分ですよぉ。(笑)
おばあちゃんはカウンター背後の冷蔵庫から瓶ビール(サッポロ黒ラベル中瓶)を取り出して栓を抜き、
「ふん」と、こちらの背中をその瓶で小突くようにして渡してくれます。
あははは。マイペースで気風のよい接客や、ときどき居眠りをされたりするようすが紹介されたりしている名物おばあちゃんですが、これはまた聞きしにまさるおもしろさですねぇ。

くぅ~っと1杯目のビールを飲み干す頃合いで、カウンターの中にいる店主(おじいさんだけど、大女将の息子さんか!?)からお通しが出されます。店は大女将(おばあちゃん)、店主(おじいさん)、そして奥の厨房との間を行き来して、お酒や料理をテーブル席に運んだり、お酒を出してくれたりする女性の3人で切り盛りしているようです。

お通しは刻みネギとシメジがのった玉子豆腐と、鰹節たっぷりの春菊のおひたしの2品。とろけるようなやわらかさと、絶妙な出汁の味の玉子豆腐、そして春らしい軽い苦味を感じる春菊をいただいただけで、この店の料理のレベルが相当高いことがわかります。

「おでんをお取りしますか?」と店主。L字カウンターの角の内側に四角いおでん鍋が据えられていて、やわらかく湯気が立っています。
「えーと。玉子とちくわぶ、それに厚揚げをお願いします」
おでんはよく出汁の効いた薄味。汁までおいしくいただけるタイプです。

値段のわかりにくいおでん屋で食べる場合は、トウ・コン・ダイ・チクと言って、豆腐、コンニャク、大根、ちくわあたりをたのむと、それほど高くつかないのだそうです。最近は大根が高い店もあるのでちょっと注意が必要ですけどね。この店では牛スジ、大根、ハンペン、いわしつみれ、ロールキャベツ、がんもどき、さつまあげ、さといも、じゃがいも、いか巻、ごぼう巻、ちくわ麩、ぴりから、こんにゃく、玉子などがすべて150円均一なので、どれでも安心して食べることができます。

店はおでんの他に季節料理もあって、横長の紙に手書きで今日の一品料理が書き出されています。しめ鯖(1,100円)、ぶり刺(1,000円)、やりいか(800円)、牛わさび(1,000円)、筍の煮物(700円)、茶わんむし(600円)、生子酢(600円)、空豆(500円)、丸干し(500円)。品数こそ9品と少な目ですが、実に呑んべ好みのする品々が並んでますよねぇ。

燗酒をいただいて2巡目のおでんとしてハンペンと里芋を注文すると、里芋が小さいからと、小さめのじゃが芋も1個サービスしてくれました。芋などの煮崩れやすいものは、四角いおでん鍋のとなりにある丸鍋で煮込まれてるんですね。里芋もじゃが芋もそちらの鍋から入れてくれました。

テーブル席の女性がトイレに行こうとすると、おばあちゃん(大女将)から
「女の人は2階のお手洗いに行ってね。1階は男性用しかないから」
と声がかかります。おぉ。このあたりも、古い大衆酒場らしい風情ですねぇ。2階には座敷席もあるようです。

プクンとした歯応えのハンペンを楽しみつつ、手酌で燗酒をチビチビとやっていると、店主から
「お店からのサービスです。どうぞ」
と小皿に盛ったお新香が、みんなにサービスされます。大入り満員の店内なので、もしかすると大入袋代わりなのかも。お新香はナスのぬか漬とタクワンに、珍しいのはゴボウの漬物。甘めの味つけのゴボウ漬物が歯応えもよくてお酒にもよく合うなぁ。

おばあちゃん(大女将)の昔話を聞きながらゆっくりと、なんて考えていたのですが、このにぎわいではとてもゆっくり話など聞けそうもない。また日を改めてやってくることにして、今日はこの辺でお勘定をしてもらいましょう。

午後8時半まで1時間の滞在は2,620円でした。どうもごちそうさま。

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店は2階建て一軒家 / 入口あたり / ビールと玉子豆腐、春菊おひたし

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玉子、ちくわぶ、厚揚げ / じゃが芋、里芋、ハンペンと燗酒 / お新香

店情報

《平成19(2007)年3月2日(金)の記録》

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コメント

間を行き来しているのが女将、カウンターにいた人は使用人。
大女将はご覧になったようにいまやマスコットガール?

投稿: 粋狂師 | 2007.03.25 20:45

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