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洋酒の森に分け入って … バー「赤坂グレース」(赤坂見附)

「北島亭」を出て、タクシーでビューンとやってきたのは、赤坂見附交差点のすぐ近くにあるバー「赤坂グレース」です。ここは「無いものは無い」と言われるほど洋酒の品ぞろえがいいお店。ここも、旧友が30年近く通っているお店の1軒です。

「これから4人で向かいます」と旧友が電話していたので、店についたときにはロングカウンターの中央部に4人分の席が用意され、さらに旧友がキープしているボトルの数々が、目の前にずらりと用意されて迎えてくれます。

店主の久保村さんは、ホテル・オークラのバーから独立して、この店を開いた方。常に超一流を目指すという精神でやってこられていて、店も超一流、置いているお酒も超一流というのが、この店の方針です。

だから店の入口から、ズーンと伸びる直線カウンターも、ひとりひとりの席がゆったりと作られていて、大の男がずらりと並んで座っても、まったく圧迫感はありません。右手から奥にかけて並ぶテーブル席も同様で、すべてがゆーったりと、くつろぎサイズなのです。

そしてなにしろ圧巻なのが、そのボトルの数。バックバーはもちろんのこと、フロアの壁や、店中央部(カウンター席とテーブル席の中央)にもボトルがストックできる場所があり、ところせましと洋酒のボトルが並んでいるのです。

これだけでも「うわぁーっ」となるほどですが、実はこの店のボトルストックは、店内だけには入りきらず、それらのお酒をストックしておくために、近くにそれ専用のマンションまで持っているというんだから驚きです。まさに「無いものは無い」、「洋酒の森」のようなお店なんですね。

そんな「洋酒の森」でいただく、今日の1杯目は、シングルモルトの華、ウイスキーのロールスロイスとも言われている「ザ・マッカラン」です。

「同じ1966年のビンテージでも、18年ものと、17年もの。1年違いで味がうんと変わるんだよ」と、旧友がキープしている1966ビンテージの18年ものに加えて、店の1966ビンテージの17年ものを1杯入れてくれる久保村さん。うーん。なるほど。どちらも単品で飲めば、ものすごく高いレベルに完成したウイスキーながら、両者を並べて飲み比べると、確かに18年もののほうが味に深みがあるように感じます。

しかしまぁ、これとてF1同士の競争を見ているようなもの。ものすごーいもの同士を比較して、「こっちのほうがすごい!」という判定を下してるような大贅沢です。

同行のT島さんが、
「先日、アルケミストというウイスキーを飲んで、おいしかったんですよ」という話をしたところ、
「あぁ、ありますよ」と、バックバーに何本も並ぶアルケミストのウイスキーのうち2本が、目の前にトントンと出てきます。1本は「ザ・グレンリベット」、もう1本は「マッカラン・グレンリベット」。なるほど、アルケミストというのは、ボトラー(蒸留所からウイスキーを樽で買ってきて、瓶詰し、自社のオリジナルラベルで販売する業者さん)の名前なんですね。

「そういえば、おもしろいウイスキーがあるけど、飲んでみる?」
そう言いながら、久保村さんが出してくれたのは、なんと「サントリー・リザーブ」。うそぉ、なんで「赤坂グレース」で「サントリー・リザーブ」なの、って顔をして久保村さんのほうを見ると、
「1970年のリザーブなんだけどね。この時代のリザーブは、ちゃんと薫製の香りがするんだよ」と久保村さん。どれどれ、とさっそく1杯いただいてみると、あぁ、本当だ! 強いというほどじゃないだけど、燻製の香りがします。

サントリーのウイスキーというと、長期熟成・高級麦焼酎と言ってもいいんじゃないかと思うくらい、スコッチ・ウイスキーでは当たり前の燻蒸香がないのが特徴。だから和食とも合わせられるんですが、このころのリザーブは違ってるんですねぇ。

旧友と私とは、同級生ながら、私が早生まれなので生まれ年が違います。友人は昭和33(1958)年生まれで、私は昭和34(1959)年。
「1959年のワインはおいしいんだけど、1958年のはあまりパッとしないんだよ」なんてことを友人が話していると、
「その1年前、1957年と1958年ということで言うと、こんなのもあるよ」
そう言って、久保村さんが2本のマッカランを並べます。一方が1957のビンテージ、もう一方が1958です。
「ラベルを見てごらん」と久保村さん。

あぁーっ! 1957のラベルは「MACALLAN」とだけ書かれているのに対して、その翌年、1958のラベルは「The MACALLAN」となっています。この年から「The」が付いたんですね。「The」を付けていいのは蒸留所の所有者が、自らボトリングするものだけ。つまり、日本語で言えば「元祖」みたいな響きなんですね。

そうかぁ、「元祖マッカラン(The MACALLAN)」は昭和33(1958)年からはじまったんだ。

さぁ、それじゃ、そろそろ「アードベッグ」行きますか!

この店においてあるのは、アードベッグ蒸留所に他社の資本が入る前の、白いラベルの「アードベッグ」。以前、この白ラベルの「アードベッグ」と、現在の黒ラベルの「アードベッグ」を飲み比べたことがあるのですが、これはもう先ほどの「ザ・マッカラン」18年と17年との違いなんてものじゃなくて、明らかに違うと分かるくらい味も香りも違ってて、驚いたものでした。

そう、その「ザ・マッカラン」も、ここに置いているのは、他社(日本の会社)の資本が入る前の「ザ・マッカラン」なのです。

とはいえ、そんな昔の「アードベッグ」や「ザ・マッカラン」が無尽蔵にあるわけではないので、近い将来、必ずなくなる日がやってくるんですね。

日本酒や焼酎が、ぐんと進化して、とても洗練された味や香りになってきたように、スコッチの世界も、過去の名品を越えるような味や香りのウイスキーを産み出してもらいたいものです。日本酒や焼酎と違って、答えが出るまでに最低でも4年くらいの貯蔵・熟成が必要なので、むずかしいのでしょうか。

最後にコニャック(ボルドリー)を1杯、ゆっくりといただいて、本日終了。今日もまた、とっぷりと「洋酒の森」を愉しんだなぁ。どうもごちそうさま。

070526h1 070526h2 070526h3
「グレース」 / ずらりとキープボトル / ザ・マッカラン1966の2本

070526i1 070526i2 070526i3
お通し / アルケミスト社のボトル / サントリー・リザーブ1970

070526j1 070526j2 070526j3
ザ・マッカラン1957と1958 / アードベッグ白ラベル / ボルドリー

店情報前回

《平成19(2007)年5月26日(土)の記録》

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「このワインは〔ペトリュス〕の1980年物。〔ロマネコンティ〕がキングなら、このワインはクイーンかな」  と説明してくれるのは、故郷(いなか)から上京してきた、ワイン好きの旧友T。なるほど。たしかに、あまりワインのことを知らない私が飲んでも、『これはうまいっ!』と感じるワインですねぇ。  ちなみに〔ペトリュス〕はフランス・ボルドー地方の、〔ロマネコンティ〕はフランス・ブルゴーニュ地方のワインだそう... [続きを読む]

受信: 2009.07.23 19:29

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