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“おふじさん”の日に … 大衆酒場「斎藤酒場(さいとうさかば)」(十条)

 赤羽をあとに、埼京線で1駅。十条です。駅を降りてみると、そこらじゅう色とりどりの浴衣のおねえさんたちで、あふれ返るような状態です。なんだ、なんだ!?

 駅のポスターなどによると、今日は地元では「おふじさん」の名前で親しまれている「十条富士神社大祭」とのこと。江戸時代に、本物の富士山にのぼることはできない庶民たちが、日光御成道(岩槻街道)の脇に、富士の溶岩で「十条富士塚」という塚を築いて、毎年山開きの日に、この塚を富士山に見立てて参詣していたのがはじまりで、現在に続いているお祭りなのだそうです。

 ものすごい人波をかきわけるようにして、目指す「斎藤酒場」まで行ってみると、なんと店の前に行列ができているほどの繁盛(はんじょう)ぶり。いやいや、さすがにお祭りの日ですねぇ。界隈をひと回りして、出直してきますか。

 十条駅(埼京線)と東十条駅(京浜東北線)を結ぶ通りが十条中央商店街。この通りに大衆酒場「田や」や、讃岐うどんの「すみた」、大衆演芸場の「篠原演芸場」などがあって、ふらふらと眺めながら通るだけでも楽しいのです。

 商店街を抜けて、東十条駅の先にあるのが、もつ焼きの「埼玉屋」。午後6時過ぎのこの時間、すでに、のれんが店内に入ってますねぇ。「土曜日は開店前から大行列ができ、開店と同時に店内は満席になり、のれんが仕舞われる」という噂を聞いているのですが、噂は本当だったんですね。

 すぐ近くの「新潟屋」も、入口の内側に待ち行列ができています。普段から込むところへもってきて、今日はなにしろ「おふじさん」の人出ですから、いつにも増して人が多いようです。

 東十条駅の北側(赤羽側)に抜けて、階段沿いに飲み屋が立ち並んだ通りを抜けると、目の前がカラシ焼きと刺身2点盛りでおなじみの「みとめ」です。ここも長らく来てないですねぇ。

 このあたりは、町並み全体が昭和レトロ風。こういう町だからこそ、いい酒場も多いんでしょうね。再び十条駅近くに抜けて、ものすごい人の流れにもまれるように、露店の建ち並ぶ商店街を駅へと向かいます。

 再び「斎藤酒場」の前にやって来たのは、午後6時半。よし。今度は行列がないぞ!

 のれんをかき分けて、開けっ放しの入口から入ると、テーブル席だけの店内はほぼ満席模様。「いらっしゃいませ。おひとり?」と聞いてくれる店のおねえさんに、「ええ、そうです」とうなずき返すと、「じゃ、こちらにどうぞ」と、左手奥のテレビの横を指し示してくれます。なるほど、そこにポツンと一人分の空席があります。

 この店にの自然木でできた、いろんな形のテーブルが5~6卓あって、1卓に10人ほど座れます。お客は、これら各テーブルの空いているところに、入れ込み式に案内されていくのです。

 まずビール(サッポロ黒ラベル大瓶、470円)を注文すると、そのビールとともに、落花生3個が入った小皿が、お通しとして出されます。

 この店の名物は串かつ、カレーコロッケ、ポテトサラダの3品で、それぞれ200円。この値段ながら串かつは1皿2本、カレーコロッケも1皿2個出され、さらに「ミックスで」と注文すると、串かつ1本、カレーコロッケ1個を1皿に盛って200円で出してくれるそうなのです。今日は、ぜひそのミックスを食べてみようとやってきたのですが、店のおねえさんから、

「ごめんなさいね。コロッケとポテトサラダは売り切れました」

 と先手を打たれてしまいます。なんと、なんと。串かつは、まだあるとのことで、串かつ(200円)を注文します。目の前に座っているカップルのところには、ポテトサラダもカレーコロッケも出ているので、ちょっと前まではあったんですね。残念!

 店内は土曜日ということに合わせて、お祭りの日ということもあって、普段とかなり客層が違うようです。平日は、年配のひとり客や、サラリーマンの2~4人程度のグループ客が多いのですが、今日はカップルや家族連れ、若者のグループが多い。「キャーッ!」という、若い女性の嬌声(きょうせい)が響くというのも「斎藤酒場」では珍しいことですよねぇ。なんだか、違う酒場に来ているようだ。(苦笑)

 ビールもなくなったところで、ちょいと手を挙げて合図をすると「はぁーいっ」と、すぐに来てくれる店のおねえさん。いつも満席近い状態ながら、注文をするのにストレスを感じたことはありません。これが名店の証(あかし)なんですね。そのおねえさんに燗酒(清龍、160円)と月見芋(250円)を注文します。

 燗酒は、この値段(160円!)ながら、徳利(とくり)と猪口(ちょこ)で供されます。同じお酒を冷や酒(室温)や、冷酒(冷蔵)としていただくことも可能(同じ値段)です。

 月見芋(つきみいも)は、おろした山芋に生卵(全卵)をのせて、刻み海苔をちらし、わさびを添えたもの。サッと醤油を回しかけて、グリグリと箸でかきまぜると、ねっとりと粘り気のある、とろろのできあがりです。この器に唇をつけて、ゾゾゾッとすすり込んでは、燗酒をちびり。んーーーっ。ごはんに合うものは、日本酒にもズバリと合うんです!

「おにいさん、この店にはよく来るの?」

 となりで、ひとりで飲んでいたおじさんが、急に声をかけてきます。

「いや。家が中野のほうなんで、めったに来れないんですよ。いい店ですよねー」

「そうなんだよ。オレも先月こっちに越してきたばかりなんだけどね。それから1ヶ月の間に、もう20回以上来てるんだよ。ここはいいよ。安いし、人情味があるよなぁ」

 ほぉ。1ヶ月に20回以上とは、よほど気に入ったんですねぇ。

「私たちは、月に1度くらい、練馬からウォーキングを兼ねてやってくるのよ」

 と話してくれるのは、そのおじさんとは逆どなりに座っている、中年のご夫婦ふたり連れ。毎月、トコトコと歩いてきては、この店でお酒を飲んで帰るのを楽しみにしているのだそうです。

 月見芋を食べたら席を立とうかと思っていたのですが、同じテーブルでの話もはずみ始めたので、もうちょっと飲んでいくことにします。燗酒(160円)をおかわりし、つまみには、これまたこの店の名物のひとつ、マグロブツ切(250円)です。マグロブツ切は、四角いお皿に、刺身といってもいいくらい大きなブツ切が8切れほど。いつも思うことですが、これで250円は安いよなぁ。

 そんなわけで、2時間弱の滞在は、ビール(大瓶)1本に、燗酒を2本、料理が3品(+お通し)で、1,490円でした。どうもごちそうさま。同じテーブルのみなさん、お先に!

070630g 070630h 070630i
「斎藤酒場」 / ビール大瓶とお通しの落花生3個 / 串かつ

070630j 070630k 070630l
月見芋 / 燗酒と、混ぜた後の月見芋 / マグロブツ切

店情報前回

《平成19(2007)年6月30日(土)の記録》

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コメント

斎藤酒場、名店ですよね。
私も一回だけ行ったことがあるのですが、メニューの素晴らしさと共に、お店の人たちがきびきびしていてストレスが発生しない。これが重要と思います。

投稿: SH | 2007.07.28 07:53

斉藤酒場 本当に名店ですね。
仕事先(御徒町)から東十条(自宅は日暮里)までの定期券を買って(半年で6千円強の自己負担)平均一月に8回程通いました。いつか、少し、酔っ払って入ったら、おかみさんに「飲んでるから今日は帰りなさい」と帰されました。不思議にムッとはしませんでした。おかみさん優しいものなぁ

投稿: ☆GのQoo | 2007.08.20 22:13

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 赤羽(あかばね)からトコトコと歩いてやってきたのは十条(じゅうじょう)の町。赤羽~十条はJR埼京(さいきょう)線で一駅区間で、歩いてもあまり無理なくやって来れるのです。  十条で行きたいお店は、昭和3(1928)年創業の老舗、「斎藤酒場」です。「斎藤酒場」は、午後4時開店。まだ少し間がありますので、近くをまわってみることにします。  赤羽から京浜東北線で一駅の東十条(ひがしじゅうじょう)は、十条... [続きを読む]

受信: 2008.08.03 14:43

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