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初夏の高級珍味イナダ … 居酒屋「やまだや」(築地)(3/3)

 そこへ出てきたのは、伊予水軍という地鶏の、モモ炭火焼(1,260円)。身がとてもしっかりとしていて、一所懸命、噛みしめながら食べなければなりませんが、その頑張りに、きっちりと応えてくれる肉の旨みです。

「この鶏、どうですか?」

S1100573 そう言いながら、席に現れた店主が説明してくれるところによると、この伊予水軍は、愛媛の今治(いまばり)で飼育されているのを、店主が現地まで見に行って、仕入れたんだそうです。通常は地鶏の飼育では、鶏だけを放し飼いにする。ところが、この伊予水軍は、他の動物たちも一緒にして、共生状態で放し飼いされているのだそうです。オスはものすごく大きくなり、肉も硬くて、普通に焼いたのでは食べられないほど。そこで、ここでは、そのオスの肉を、すき焼(2,625円)として出しているんだそうです。その伊予水軍の、いろいろホルモン焼(997円)をもらうと、レバー、白レバー、スナギモなどの4点盛り。このモツ(内臓料理)がまた、ものすごく旨いっ!

 さらには自家製カマスのスモーク(787円)と、鳥取産・サバのへしこ(787円)。カマスのスモークもさることながら、薄くスライスした大根の上に置かれたサバのへしこの塩辛さに、焼酎が進んで、進んで。さっきからもう、何回おかわりしたかわからないほどです。

 こうなると、欠点であったはずの飲み物の出の遅さが、飲み過ぎ防止のための、とてもいい緩衝材の役目を果たしてくれます。

 めかぶと山芋とオクラの冷製(787円)は、小さなグラスに、3種の食材が3層になって出されます。この姿を、しばらく愛でた後、スプーンでグルグルとかき混ぜて、一体化した状態で、ズズズッといただきます。

「これを食べてみてくださいよ」

 そう言いながら、ニコニコ顔の店主が持ってきてくれたのは、お皿に盛られた、ちょっと厚めの削り節のようなもの。どれどれ、と口に入れて噛むと、その濃厚な味わいは、削り節や、スルメ、カンカイ(コマイを干したもの)をも凌ぎます。旨みのかたまりですねぇ。

 これはイナダと言って、ブリをカラカラに乾燥させた、能登あたりの、初夏の高級珍味なのだそうです。

「ちょっと味見したら、すごく美味しくて、思わず買っちゃったんですよ。ところが、この半身1本で、1万5千円近くしました」と苦笑する店主。

 イナダと言えば、関東地方でのブリの小さいのの呼び名(関西地方でいうハマチ)ですが、それとは違う「イナダ」という名称の干物なんですね。この記事を書くのにあたってネットで調べてみたところ、イナダの天日干しは、加賀藩三代藩主・前田利常のころ、加賀から江戸に送るために塩干しをしたのが始まりで、夏場の保存食としても重宝されていたのだそうです。昔は台所の隅に天井から細いひもで吊るされていて、それを尾の方から包丁で削りとって食べていたんだそうですよ。これまた、お酒がグングン進む逸品です。

 午後11時過ぎまで、じっくりと4時間以上楽しんで、お勘定は4人で34,420円ほど(4で割ると8,600円ほど)。

 これだけの料理をいただいて、何杯飲んだか分からないほど黒ヂョカ焼酎もいただいて、この値段というのは、ものすごいコストパフォーマンスですねぇ! 予約が取れないお店というのも、十分に納得できます。いい店をご紹介いただき、ありがとうございます。>築地王・小関さん

 小関さんご自身が、広告代理店に勤められているということもあり、本を出版される場合も、押さえるべきツボに関しては相当きびしいご様子。近著の「東京・築地 五つ星の味、極上の逸品」にしても、気にいらない写真は、もう一度撮り直しに行ったりして仕上げたんだそうです。

「この写真。最初は全然おいしそうじゃなくてねぇ。撮り直しをしてもらって、やっと思ったとおりの画像になったんですよ」

 目の前で、そのページを開けて、説明してくれる小関さん。プロならではの厳しさを感じます。

 現在、小関さんと、東京書籍のYさんとが組んで企画中の本についても、お話を聞かせてくれました。その内容は、グルメではない私が聞いても、思わず「へぇっ。それはすごいですねぇ」と感心してしまうようなもの。すでに原稿は出そろっている状態らしいので、間もなく、公にアナウンスされるんじゃないでしょうか。楽しみです。

 1食もおろそかにしない小関さんは、私自身が行きたくて行けていない「深化した居酒屋」系の店もよくご存知。次回は、そんな中のおすすめの1軒で、ぜひまた、よろしくお願いします!

 帰りは新橋までビューンとタクシーで出て、同じ帰宅方向の、くにさんとともに電車に乗り込みます。こういう場を設けてくれた、くにさんに深く感謝しながら、帰宅の途についたのでした。

店情報 (同じときの「くにろく 東京食べある記」の記事

《平成19(2007)年8月3日(金)の記録》

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