« 特長はダシに絡む細麺 … うどん「一心(いっしん)」(呉)ほか | トップページ | 故郷の酒場に集まって … バー「露口(つゆぐち)」(松山)など »

まさにオールインワン … スナック「幸(さち)」(呉・安芸阿賀)

Dvc00071

 呉での仕事を終えて、松山へとフェリーで渡るため、となり駅である安芸阿賀(あきあが)までやってきました。フェリーの時間(午後7時発)まで、1時間ほどあります。もうちょっと時間が取れるようなら、さらにとなり駅の広(ひろ)の「あわもり」にも寄りたかったのですが、残念ながらそこまでの時間はありません。この近くで軽く飲んで、フェリーに乗り込むことにしましょう。

 とはいうものの、このあたり、まったく土地鑑がない。なにしろ車が主体のフェリー乗り場なので、パッと見たところ、まわりには店らしきものはないのです。こういうときは聞くに限りますね。フェリーの切符を買うついでに、売場のおじさんに聞いてみます。

「この近くに、軽くビールが飲めるようなお店はないでしょうか」

「1軒あるんじゃが、開(あ)いとるかのぉ」

 そのやり取りを聞いていた、奥のおじさんが、

「幸(さち)のことじゃろ。たぶん6時から開いとるはずじゃけ、行ってみんさいや。その道を突き当たるまで行ったら信号があるけぇ、その左向こう側じゃ。定食もあるし、料理もうまいよー」

 と教えてくれます。

 言われたとおりに進んでみると、まわりは民家だけで、お店も何もないような場所に、ポツンと「幸」が出てきます。

 大衆酒場とか、そうでなくても小料理屋のようなお店を想像していたのですが、目の前にある「幸」は明らかにカラオケスナック。大丈夫かぁ!?

 いかにもカラオケスナック風の入口扉を開けて店内に入ると、店内も明らかにカラオケスナック風。ボックス席が主体で、正面に5席分程度のカウンター席もあり、左側にちょっとしたカラオケステージがある造り。しかも、本当に開いたばかりのようで、店内にも誰もいないし。(爆)

「こんにちはー」

 声をかけながら、カウンターのまん中あたりに座ったところへ、

「いらっしゃいませ。ごめんなさいね」

 中から、ママさんと思しき女性が出てきます。

「フェリー乗り場で教えてもらったんですよ。次のフェリーまで、少ししか時間がないんだけど、ちょっとだけ飲ませてもらえますか」

「あら、そうでしたか。それはどうもありがとうございます。どうぞ、どうぞ」

「それじゃ、なにはともあれ、まずビールをお願いします。瓶があれば、瓶で」

「はいはい、ちょっと待ってくださいね」

 そう言いながら、すぐに横の大きな冷蔵庫から瓶ビール(アサヒスーパードライ中瓶)を出してきて、「はい、どうぞ」とお酌してくれます。おっとっと、こりゃどうも、ありがとうございます。

 ッカァーッ、生き返った。仕事のあとの最初の1杯がたまりませんなぁ。

「はい、これはお通しです。サービスで出してますからねー」

 そう言いながら出してくれたのは、小鉢に盛られた豚肉と大根の煮物です。カウンター上段にずらりと並ぶ大皿には、煮物や煮魚、焼き魚などなど、いかにもママさんの手料理といった酒肴が、それぞれたっぷりと盛られています。まだ店が開いたばかりなので、すべてが全部そろった状態。この準備をするだけでも大変そうです。いやぁ、それにしても、この里芋の煮付けがおいしそう。

「瓶ビールをもう1本と、里芋の煮付けをください」

「はいはい」と返事したママさんは、ころりと丸い小芋を5個、お皿に盛り付けてくれます。あぁ、見た目の予想どおり、これもうまいや。フェリー乗り場のおじさんたちが「料理もうまいよー」と言ってたのは、本当ですねぇ。

「近所の人からのもらいものなんですけど、トマト食べますか?」と、お皿に5個のプチトマトを出してくれます。畑で赤くなるまで育った夏のトマト。うれしいなぁ。

 ママさんと話しながら飲むうちに、もうそろそろフェリーの時刻です。

「どうもごちそうさま。お勘定をお願いします」

 ポケットから財布を取り出しながら、そうお願いします。スナックという業態は、大体において、きちんとした単価設定はないように思えます。ひとりで入って、飲んで、歌って、地域によって3千円から6千円といったところ。今日は歌ってもないので、3千円くらいかなぁ、と思いながら千円札を何枚か用意していると、

「ありがとうございます。1,300円です」

 とママさん。へっ!? それって、本当に大衆酒場的な値段じゃん。中瓶ビール1本が500円、里芋の煮付けが300円という感じの単価設定なんだろうなぁ。おどろき!

 そういえば、フェリー乗り場のおじさんが「定食もある」という話をしていました。この界隈にポツンと1軒しかない、この酒場。カラオケスナックはもとより、大衆酒場としての役割も、大衆食堂としての役割も、そして地域の集会所としての役割も、すべて兼ねたような、まさにオール・イン・ワンの酒場なんですね。

「こちらに来たときには、またぜひいらしてくださいね!」

 ニッコリと微笑むママさんに見送られながら、フェリー乗り場へと向かったのでした。

  • 店名: スナック「幸」(さち)
  • 電話: 0823-72-5538
  • 住所: 737-0004 広島県呉市阿賀南6-8-6

《平成19(2007)年8月9日(木)の記録》

|

« 特長はダシに絡む細麺 … うどん「一心(いっしん)」(呉)ほか | トップページ | 故郷の酒場に集まって … バー「露口(つゆぐち)」(松山)など »

コメント

初めてコメントします。こちらのブログを読んで川名に飲みに行きました。本当に安くておいしくてイイ店ですね^^
残念ながら総武線の小岩に住んでいるので又行きたいと思ってはいるのですが2度目の訪問は出来ずにいます。

昔3度ほど呉に行ったことがあり、懐かしく思いました。
‘魚菜や‘という店に連れて行ってもらいました、まだあると思うのですが、とてもいい店でした。

投稿: ぼあ子 | 2007.09.17 00:26

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11427/16394890

この記事へのトラックバック一覧です: まさにオールインワン … スナック「幸(さち)」(呉・安芸阿賀):

« 特長はダシに絡む細麺 … うどん「一心(いっしん)」(呉)ほか | トップページ | 故郷の酒場に集まって … バー「露口(つゆぐち)」(松山)など »