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プリッとアサリ酒蒸し … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)

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 毎週日曜日は、図書館の日。わが家の近くには、中野区立鷺ノ宮図書館と、杉並区立阿佐ヶ谷図書館の2軒の図書館があります。今週は鷺ノ宮図書館、来週は阿佐ヶ谷図書館と順番に本を借りるようにすると、ちょうど貸し出し期間の2週間ごとに、それぞれの図書館に行くことができるのです。

 もちろん、ただ単に図書館通いだけで終わるはずはなく、鷺ノ宮図書館に行った日は、その足で「竹よし」や「秋元屋」にまわり、阿佐ヶ谷図書館に行った日は「川名」に行くという、日曜日の流れができあがっているのでした。

 今週は鷺ノ宮図書館の日。借りていた本を返し、新しい本を何冊か借りたあと、トコトコと歩いて「竹よし」です。

 あったかい、おしぼりで手を拭いつつ、まずは、いつものように瓶ビール(アサヒスーパードライ中瓶、500円)を注文。仕事のない日曜日でも、クゥ~ッと最初の1杯は最高です。今日のお通し(200円)は、ナスの煮びたしと、ヒジキの炒め煮の2品。ヒジキのほうは「ちょっと食べてみる」と出してくれたサービス品です。

 ホワイトボードに書き出された、今日の刺身メニューは生クジラ(650円)、新サンマ(650円)、豊後水道のサバ(600円)と、盛り合わせ(1,000円)。刺身以外のホワイトボードメニューは、芝エビかき揚げ(700円)や穴子白焼/蒲焼(750円)、クジラ竜田揚げ(650円)のほか、アサリ酒蒸し(550円)や深川鍋(アサリ剥き身の鍋、700円)も並んでいます。

 アサリ! いいですねぇ。今日はアサリにしようかな。鍋もいいけど、シンプルに酒蒸しでいってみましょう。

 アサリをはじめとする貝類も、ときどき無性に食べたくなる肴(さかな)ですよねぇ。貝料理が売りの酒場もあるようで、ちょっと気になっているところ。たとえば、茅場町の「和光」や、新宿の「はまぐり」、高円寺の「あぶさん」、本所吾妻橋の「海作」などなど。ただし、貝類はちょっと高いのが玉に瑕なんですよねぇ。

 さぁ、アサリの酒蒸しができあがってきました。蒸し器から出された熱々に、三つ葉がちょいと添えられています。どれどれ、まずはスープから。

 んー。アサリのいい出汁(だし)が出てますねぇ。

「冷酒(高清水350ml瓶、600円)をお願いします」

 飲み物も日本酒に切りかえて、プリッとふくらんだアサリの身を、ひとつずついただきます。

 最後は、マスターの手作り水羊羹で、お茶を飲んで、夕食前の酒場散歩を終了します。2時間弱の滞在は、1,850円でした。どうもごちそうさま。

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ナスの煮びたし / ヒジキの炒め煮 / 手作り水羊羹

店情報前回

《平成19(2007)年8月26日(日)の記録》

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讃岐の麺で焼きうどん … 居酒屋「さぬき亭(さぬきてい)」(野方)

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 金曜日の帰り道は、西武新宿線・野方(のがた)駅で途中下車して、「手打うどん酒房」を標榜(ひょうぼう)する酒場、「さぬき亭」です。

 店内はL字カウンター7~8席ほどと、奥に4人掛けテーブル席が2卓。この空間を、店主ひとりが切り盛りしています。

 午後9時前の店内には先客はなし。カウンターの奥のほうに腰をおろし、瓶ビール(アサヒスーパードライ中瓶、500円)からスタートすると、お通し(300円)として出してくれたのは、コーン、グリーンピースなどの入った磯辺揚げ。ここの店主が作る料理は、どれもちょっと工夫のある創作料理で、おいしいのです。

「刺身が食べたいんですけど、今日のおすすめは?」

 黒板には、マグロづけ、ぶつ山かけ、キハダ、アジ、イワシ、シメサバと刺身メニュー(各500円)が並んでいますが、決めきれず、店主に下駄(げた)をあずけます。

「アジは、どうですか」

 と店主。おすすめにしたがってアジを注文すると、出てきたのは海鮮サラダ風のアジです。ひと口大に切り分けられた、プリッと美しいアジの身と、キュウリ、トマト、シラガネギにミョウガを、醤油系のドレッシングで和えています。これはまた、さっぱりとしていていいですねぇ。

 これはやっぱり日本酒でしょう。何種類かある日本酒の中から、「飛良泉」山廃(550円)を冷酒でいただきます。

 日本酒でアジをいただいた後は、飲み物を焼酎「きろく」のロックに切りかえて、肴(さかな)には、うどんメニューの中から焼きうどん(650円)を注文します。

 店名からもわかるとおり、この店は、さぬきうどんが食べられるお店なのです。それにもかかわらず、これまで何度か来てるのに、うどんを食べたことがない。ぜひ一度、食べてみようと、つまみにもなりそうな焼きうどんを注文してみたのでした。

「酒の肴に焼きうどんを注文される方は多いんですよ。さぬきうどんの師匠には怒られそうですけどね」

 と笑う店主。たしかに、さぬきうどんで焼きうどんというのは見たことがない。これまた店主の創作料理なんですね。

 うどんは、注文を受けてから茹で上げるようで、ちょっと時間がかかります。その分、しっかりとした腰のある、さぬきうどんならではの焼きうどんができあがります。

 うどん用の丼に盛られた焼きうどんは、キャベツ、ニンジン、玉ネギ、インゲン、シイタケ、ベーコンに、薄く輪切りにされたチクワや細切りの油揚げと、けっこう具だくさん。さらにカツオ節と、刻みネギがトッピングされています。味つけは塩か薄口醤油がベースなのか、黒い丼に、まっ白い麺が引き立ちます。

 おかわりした焼酎は、奄美の黒糖焼酎「高倉」のロックです。30度あるという、この焼酎は、うっすらと琥珀色。焼きうどんも進みます。

 ゆっくりと3時間弱、楽しんで、今日は3,650円でした。ごちそうさま。

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「さぬき亭」 / アジ / 芋焼酎「きろく」

店情報前回

《平成19(2007)年8月31日(金)の記録》

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目から鱗のメカブ茶割 … 焼き鳥「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

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 しばらく前から、「川名」の飲み物に加わった、焼酎のメカブ茶割り(正式には“めかぶ茶焼酎お湯割”、336円)。一度だけ、試してみたのですが、あまりパッとしない印象で、それ以来、飲んだことがなかったのです。

 ところがっ!

 先日、入口の近くで飲んでいたところ、テーブルのひとつを囲んでいた常連さんたちが、みなさんメカブ茶割りを飲んでいたのです。しかも、その飲み方がおもしろい。みなさん酎ハイとメカブ茶割りを同時に注文。出てきたメカブ茶割りはそのまま置いておいて、酎ハイをゆっくりと飲み終えてから、おもむろにメカブ茶割りに向かうのです。しばらく置いたメカブ茶割りは、ちょっぴり緑色に変化して、いかにもおいしそうです。

「なるほど。メカブ茶割りは、こうやってしばらく置いてから飲むのが正解だったか。今度、ああやって飲んでみよう」

 その日は、そう思いながら店を出たのでした。

 そして今日。いよいよ、そのメカブ茶割りに再チャレンジする機会がやってきました。飲み仲間たちと3人でテーブルを囲み、最初の瓶ビール(大瓶、504円)と同時に、メカブ茶割りも注文します。

「熱いですから、気をつけてくださいね」

 そう言いながら出されたメカブ茶割りは、かたわらに置いておいて、まずはビールで乾杯です。

 最初にメカブ茶割りを飲んだときは、こうやって出されたものを、すぐに飲んじゃったんですよねぇ。やたらと熱い焼酎の湯割り、という印象で、海藻らしい旨味はほとんど感じなかったのでした。

 じっくりと置くこと10分ほど。じわりじわりと変化しているため、ちょっと目には変わったように見えないのですが、よく観察すると、透明だったメカブ茶割りが、うっすらと色づいています。あらかじめ撮っておいたデジカメの画像と見比べると、ジョッキの底のメカブ自体も、ふくらんだ感じになっている。

 どーれどれ。

 満を持してジョッキに口をつけると、口の中に広がるのは、かなり上品な海藻の旨味。これはすごいぞ。

 「上品な」と感じたのは、同じ海藻ということで、昆布茶のような強烈な旨味を想像していたからです。こちらメカブ茶は、そういった強烈さではなくて、じわぁーっとくる旨さなのです。コンソメスープで作る、ブルショットというカクテルがあるのですが、このメカブ茶割りも、スープ系のカクテルのような味わいです。

 常連さんたちは、ジョッキの底にしずんだメカブそのものも、つまみとして食べてたなぁ。よーし、それもやってみましょう。箸(はし)でつまみ上げたメカブは、ねっとりと糸を引きながら出てきます。コリッとした弾力感と、広がるうまみ。そのままでも十分うまいけど、ちょっと醤油を垂らしても、おいしいかもね。

 見直したなぁ、メカブ茶割り。1杯で、飲み物から、つまみ(=底のメカブ)まで、すべてを完備してるんですね!

 3時間ほどの滞在。まぐろブツ(294円)や、サンマ炭焼き(294円)、豚ロース焼き(294円)、さつま揚げ串(1本168円)などをたっぷりといただいて、今日は3人で4,867円(ひとりあたり1,620円ほど)でした。

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今日のメニュー / まぐろブツ / 豚ロース焼き

店情報前回

《平成19(2007)年9月2日(日)の記録》

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サイドメニューも充実 … もつ焼き「ホルモン(ほるもん)」(沼袋)

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 もつ焼きの名店には、もつ焼き以外のサイドメニューも充実しているお店が多いように思います。ここ、沼袋の「ホルモン」も例外ではありません。サイドメニューは、お新香に、冷奴、トマト、月見と4品しかないものの、その4品が、それぞれ秀逸なのです。

 お新香(100円)は、ほとんどのお客さんが、店に入るなり注文するほどの人気の品。メニューのところに、日替わりで「今日のお新香は白菜とキュウリ」と、その内容が書き出されるのが、いかにも自家製の品っぽいですよね。醤油皿のような小皿に、こんもりと盛って出してくれるのですが、最初から「ダブルで!」なんて注文してる人もいます。ダブルの場合は、小鉢で出してくれるようです。

 今日も、店に入るなり、お新香を注文したのですが、おかみさんからは、

「ごめんなさい。今日はお新香、売り切れました」

 という残念な返事。金曜日の8時半近い時間ですもんねぇ。この店は午後10時までの営業なので、この時間だと売り切れてても仕方ないよなぁ。

 冷奴(250円)も、この店の名物メニューのひとつ。大きな塊のまま、丸ごと出される、しっかりとした豆腐は、この店のすぐ近くにある、明治30(1897)年創業の手造り豆腐の店、「尾張屋豆腐店」のものらしいのです。残念ながら、冷奴もすでに売り切れで、札が裏返っています。

 いつも真っ赤に熟れてるトマト(250円)。この店に来ると、まずまっ先に、このトマトを食べるおじいさんもいて、その人が店に入ってくると、注文も聞かずにトンとトマトが出されるほどなのです。

 そのトマトを注文すると、おかみさんから

「トマトは塩ですか?」

 という確認が入ります。もつ焼き屋さんだけに、思わず「タレで」なんて答えちゃいそうですが、トマトの場合は、きっと醤油とか、マヨネーズといった答え方をするんでしょうね。私は、ここのトマトはシンプルに塩で食べるのが一番合うように思うので、

「はい。塩でお願いします」

 と答えます。

 トマトは大きな丸1個が一人前。まん中で二つに切ったものを、縦方向にスライスして出してくれます。けっこうボリュームがあるのに、スルリスルリと、あっという間に食べ終えちゃうのが不思議なり。こういう品質のトマトを、定常的に仕入れることができるというのが、素晴らしいことですよねぇ。

 これまた今日はすでに売り切れてますが、絶妙な食感を与えてくれるのが、月見(250円)です。山芋をすりおろした月見を出す店は、よくありますが、この店の月見は、山芋を細く千切りにしたものを出してくれるのです。トッピングの、うずら生卵、青のりとともに、グリグリグリとかき混ぜると、すりおろした月見と同じようにドロリとしたトロロ状になっていきます。しかしながら、なにしろ元が千切りなので、このトロロをズズズッとすすり込んで噛みしめると、トロトロっとやわらかい口内の感覚と、シャキッとした歯応えとを同時に楽しむことができるのです。

 この4品。毎回、すべてを食べたいくらいのものですが、そうすると、それだけで満腹になってしまって、もつ焼きを食べることができないのでした。

 今日は4つのサイドメニューのうち、3品までが売り切れてたので、迷うこともなく残りの1品(トマト)を注文し、あとはいつものようにレバとコブクロのちょい焼き(2本ずつ)からはじまって、アブラ、カシラ、タンシタ、オッパイの塩焼き(1本ずつ)、そして、ウズラ、シイタケ、テッポウ、ガツの醤油焼き(1本ずつ)をいただきます。

「最近、醤油で、と注文される方も増えてますよ」

 と店主。私自身、テッポウ、ガツは、よく醤油で焼いてもらってましたが、ウズラ(玉子)や、シイタケまで醤油焼きにしてもらったのは、今回がはじめて。シイタケは、注文したときから、絶対に醤油に合うはずだという確信がありましたが、ウズラ玉子も合いますねぇ!

 飲み物のほうは瓶ビール(サッポロラガー大瓶、490円)を1本いただいた後は、今夜は燗酒(金寶、260円)を3杯。

 ゆっくりと10時前まで楽しんで、お勘定は2,520円でした。どうもごちそうさま。

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レバ、子袋 / アブラ、カシラ、タンシタ、オッパイ / うずら、椎茸、テッポウ、ガツ

店情報前回

《平成19(2007)年9月7日(金)の記録》

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毎月8日は全料理半額 … 大衆酒場「ふくろ」(池袋)

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 池袋駅西口で、毎朝7時からやっている大衆酒場「ふくろ」。しかも、毎月8日は、料理全品が半額になると言うんだから、うれしいではありませんか。

 そんなわけで、土曜日で8日の今日、その「ふくろ」にやってきました。店に着いたのは午後3時半過ぎ。

 入口引き戸を開けて店内に入ると、ズドーンと、店の反対側にある入口までを結ぶ長ーいカウンターには、人、人、人。普段でも、お客さんがいっぱいのこの店。さらに料理半額となると、人が来ないわけがないですよねぇ。

 店のおねえさんがいると、「こちらにどうぞ」と空いてるところを指し示してくれるのですが、料理でも取りにでもいってるのか、この付近には、たまたま誰もいない状態。もう一度、ゆっくりとカウンターを見渡して、カウンターの端っこがJの字に回り込んだところに、ひとり分の空席を発見。両側の先客に声を掛けて、その真ん中に入れてもらいます。

「いらっしゃいませー」

 このカウンター担当のおねえさんも戻ってきました。

「瓶ビールください。あと、刺身の盛り合わせ」

「はーい」

 と返事したおねえさん、まずはお通し(200円)の空豆をトンと置き、カウンター下の冷蔵庫から出した瓶ビール(アサヒスーパードライ大瓶、450円)の栓を、ポンッと抜いてくれます。

 刺身盛り合わせは、この店の最高値メニューで、普段は800円。それが、料理半額の今日は400円なので、まわりのお客さんたちのところにも、ずらりと刺身盛り合わせが並んでいます。店の側も、注文の多い料理は、あらかじめ用意しているらしく、私の刺身盛り合わせも、あっという間に出てきました。四角いお皿には、大きく切られたタコとブリが3切れずつ。そして赤身のマグロが4切れに、10切れほどの細く切ったイカ。紅白、鮮やかですねぇ。

 瓶ビールを飲み終わると、メニューに「清酒(正一合)260円」と書かれた、日本酒を、燗(かん)で注文します。すぐに出されたのは、徳利型のガラス瓶入りの「大関」。なるほど、これは確かに正一合(180ml)だ。ちなみに、料理は全品半額ですが、飲み物は普段どおりの料金です。

 それにしても、この刺身盛り合わせ、けっこうなボリュームです。これは、普段の800円でも、十分お得な一品だと思います。しかし、せっかく料理半額の日なのに、刺身盛り合わせ1品で退散したのでは、もったいない。がんばって、もう1品、いただきましょう。

「すみません。柳川鍋(やながわなべ)をお願いします」

 柳川鍋は、定価700円のところ、今日は350円。この店で2番目に高い料理です。なにしろ、この夏は、1度も「どぜう」を食べないまま9月を迎えてしまったので、遅ればせながら、ここで「どぜう」を食べられるのが、うれしいですねぇ。

「柳川鍋、これで終わりましたー」

 という声が、店の中央部から響きます。やぁ、よかった。最後の1人前だったんですね。

 まだ4時半過ぎなのに、続々と売り切れの品が出てきます。カウンターの中にいる、おねえさんは、「終わりましたー」という声が響くたびに、手の甲に、売り切れた品名を、ボールペンで書き加えています。お客さんからの注文を受けたときに、ちらりと手の甲を見て、売り切れてないかどうか確認するんですね。

 柳川鍋が出されたところで、2本目の燗酒をもらいます。

「この店には、よく来るんですか?」

 左どなりに座っている、おにいさんから声がかかります。

「いやぁ、普通に移動する経路からは、はずれているので、めったに来れないんですよ。今日は8日(料理半額の日)なんで、出かけてきたんです」

「そうなんですか。ボクは、前はよく来てたんだけど、最近は週に1回くらいかなぁ。毎月8日は、人が多いから来ないようにしてるんですよ。今日は、今日が8日だということを、すっかり忘れちゃってました」

 このまわりに座っている人たちは、みなさんそれぞれ独り客。しかしながら、ほとんどの人が常連さんらしく、それぞれ名前で呼び合いながら、親しげに会話を交わしています。かといって、常連ではない客に阻害感があるわけでもない。この微妙な距離感が、おもしろいですね。

 本当は、この辺(5時半過ぎ、店に入って2時間ほど)で切り上げる予定だったのですが、両側のお客さんとの話も弾み始めたので、もうちょっと腰を落ち着けることに決定。3本目となる燗酒をおかわりし、つまみにはお新香(キュウリ、大根、ニンジンの、ぬか漬け3点盛りで、普段360円のところ180円)をもらいます。

 右どなりのおじさんは、この店で飲むために埼玉から出てきたんだそうです。

「この店に来て、もう40年以上になるかなぁ。仕事をしてるときは、帰り道に寄ってたんだけど、今はわざわざ出てきて飲んでるんだよ」

 と楽しそうに語ってくれます。京成立石の「宇ち多゛」なんかもそうですが、いい店は、常連さんたちが、電車代をかけても、わざわざ通ってきてくれるんですよねぇ。すごいことだと思います。

 そのおじさんに、昔の池袋のことをうかがったりして過ごすうちに、もう6時半過ぎ。話は尽きませんが、私はそろそろ腰を上げますか。3時間の滞在。お勘定は普段なら3,290円となるところ、料理半額日なので2,360円でした。どうもごちそうさま。みなさん、お先に!

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ビールと空豆 / どぜう柳川鍋 / お新香と燗酒

店情報前回

《平成19(2007)年9月8日(土)の記録》

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毎月第2土曜は夕食会 … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)

070909z カワハギ刺身

 近所にある、魚料理と天ぷらの店、「竹よし」では、毎月、第2土曜日の午後5時から夕食会を開催しています。その日は、通常の営業はやめて、予約があったお客さんたちだけの会となるのです。

 参加資格は特になく、会費はひとり5千円。この会費には、その月ごとに決められる料理代のほかに、飲み物代も含まれています。飲み物は、店にあるものならなんでも飲み放題です。

 人数にも制限はなくて、店の着席キャパシティ(14席)を超えた場合には、立ち飲みになったり、天候によっては、店の外にオープンエアの臨時テラス席が用意されたりするのです。

 今月の夕食会は、昨日(8日)開催され、ちょうど着席キャパシティいっぱいの14名の参加があったのだそうです。今回のテーマ食材はカワハギと関サバ。先日、ここ「竹よし」に来たときに、店主(マスター)が、

「今年は、もうカワハギが市場に出てるんですよ。次回の夕食会は、カワハギでいってみようと思ってまして」

 なんて話をされていたのでした。店主によると、冬場はブリ、タラ、アンコウなど、夕食会の食材としてはずせない魚が多くて、カワハギなども美味しいのに入る隙(すき)がないのだそうです。

「だからねぇ、この時期にカワハギが出てきてくれると、ありがたいんですよ。仲買さんにお願いしてるんだけど、どうなりますかねぇ」

 そう店主が心配していたとおり、先週、関東地方を台風9号が直撃。本当は佐島(神奈川県横須賀市)あたりのカワハギをねらっていたらしいのですが、もちろん漁はなし。これはダメかもしれないということで、代わりの食材として関サバを仕入れて準備していたところ、ギリギリになって四国は鳴門産のカワハギを仕入れることができたのだそうです。

 そんなわけで、今回の夕食会参加者は、ラッキーにもカワハギと関サバという、四国の東側と西側からやってきたダブル食材を楽しむことができたのだそうです。

 そして、今日、日曜日。夕食会の翌日の「竹よし」には、昨日の夕食会の食材が残っている(店主が残してくれている?)ことが多いので、夕食会で出されたメニューを味わうことができるのです。

 夕食会は予約制、会費制なので、歩留まりよく高級食材を入荷することができる。その食材を、普通営業のときに食べることができるんだから、ありがたいではありませんか。

 今日のホワイトボードメニューにも、カワハギ(950円)と、関サバ(900円)がラインナップされています。どっちにしようかなぁ、としばらく考えて、結局は両方とももらうことに決定。この機会(夕食会の翌日)じゃないと食べられませんもんねぇ。

 活けじめのカワハギは、注文してからビビビッと皮を剥(は)いで造ってくれます。

「この皮が剥ぎやすいからカワハギというんでしょうが、実はこの剥ぎやすい皮の下に、もうひとつ薄い皮がついていて、これがけっこう硬いんですね。これをとらないと美味しい刺身にならないんですよ」

 と説明してくれながら、まっ白なカワハギの造りができあがっていきます。

「やはりまだ季節が早いんでしょうか。肝は冬のものよりは小さいですね」

 そう言いながら添えてくれる肝も、なかなかどうして、たっぷりとしたいるではありませんか。さっそく肝醤油にして、プリッとした刺身にたっぷりと絡めていただきます。んー、いい歯応えですねぇ。

 合わせるのは、今回の夕食会用に新たに仕入れたという、新潟の地酒、「麒麟山(きりんざん)」の純辛(純米吟醸辛口)です(1合500円)。

 そして関サバ。この店では、普段から豊後水道産のサバは、よく入荷されているのですが、関サバは久しぶりです。同じ豊後水道のサバでも、佐賀関(さがのせき)漁協で取り扱うものだけが関サバ。水産物では全国で初めて商標登録された品なのです。

 他にも、鯨の竜田揚げ(600円)をいただいて、最後はカワハギの吸い物でしめて終了。ゆっくりと2時間の滞在は4,250円でした。どうもごちそうさま。

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夕食会メニュー / お通しの湯葉と瓶ビール / 鳴門のカワハギ

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関サバ刺身 / カワハギの肝 / 麒麟山・純辛

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高清水・氷温生貯蔵酒 / 鯨の竜田揚げ / カワハギの吸い物

店情報前回

《平成19(2007)年9月9日(日)の記録》

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昔懐かしのナポリタン … 洋食「センターグリル洋光台店」(横浜・洋光台)

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 今日は戸塚方面での仕事だったという、にっきーさんと洋光台駅前で合流したのは午後7時半。駅近くの「センターグリル洋光台店」へと向かいます。

 店頭にタバコ売場もあって、まるで喫茶店のような外観の「センターグリル洋光台店」。店内もやっぱり喫茶店のような感じで、テーブル席がずらりと並んでいます。

 今日は、安部首相が突然退任を表明したため、世の中はその話題で持ちきりの状態。うって変わって、こちら「センターグリル」の店内は、そんなことはどうでもいいかのように、サッカー放送(北京五輪アジア最終予選、日本対カタール)が流されており、おかみさんも、ひとりだけ居る先客も、その画面に釘付け。タバコカウンターのところに、洋光台サッカークラブのポスターが張ってあるくらいなので、おかみさんをはじめとして、サッカーファンの多いお店なんでしょうか。

 我われは奥のテーブルに座り、最初は瓶ビール(キリンラガー大瓶、682円)をもらって乾杯です。ビールを飲みながら、じっくりとメニュー選択。メニューを見ると、この店が喫茶店ではなくて、りっぱな洋食店であることがわかります。にっきーさんはグラタンが好物なんだそうで、まっさきにマカロニグラタン(819円)を選択。

満月でも、いつもグラタンをたのんでるでしょう?」

 と、にっきーさん。そういえば、そうですねぇ。

 最初は2品くらいたのみましょうか、と話したものの、その2品目の選択で迷いに迷います。串カツ(766円)もいいし、若どりのから揚げ(819円)も捨てがたい。レバーベーコン(819円)なんてんもあるし、洋食屋の定番メニューであるポークチャップ(976円)もいいですよねぇ。迷って迷って選んだのは、ミックスグリル(819円)です。

 店は、もっぱらホールを担当する、おかみさんと、もっぱら厨房を担当する、ご主人の二人で切り盛り。奥の厨房からは、ご主人の振る鍋がカタカタとコンロに当たる音が聞こえてきて、期待が高まっていきます。

 ミックスグリルは、短く千切りに刻まれたキャベツの上に、ハンバーグ、ベーコン、ポーク、ウインナーがずらりと盛り付けられ、横にはマカロニサラダと、ナスのフライが添えられています。ひとりなら、この一品にライス(157円)でも付ければ、もう満腹、といった量です。

「熱いので気をつけてくださいね」

 と出てきたマカロニグラタンを、一緒に出してくれた取り皿にとりわけて、ハフハフと口に運びます。

「うーーん。このベシャメルソースが素晴らしいですねぇ。ベシャメルソースには白ワイン。白ワインをもらってもいいですか?」

 グラタン好きの、にっきーさんから、そんな提案が飛び出します。白ワイン、大賛成です。ボトル(2,310円)でもらいましょう。

 白ワインは、甲州産の塩山(えんざん)ワイン「甲州ゴールド」。

「他ではあまり見かけないと思いますよ。うちは30年間、ずっとこのワイン。野毛はもう60年になります。直接産地から仕入れてるんですよ」

 よく冷えたワインを持ってきてくれた、おかみさんが、そう説明してくれます。どーれどれ。

 いやぁ、これはまた、しっかりとした白ワインですねぇ。ずっしりと重さを感じます。日本酒に例えれば、まるで「住吉」のような…。ボトルには甘口と書いているけど、それほど甘口には感じないなぁ。ベシャメルソースには、もっと軽い口当たりのワインのほうが合うのかもしれませんが、お酒としては、こういうしっかりとしたのが好きですねぇ。

「もう1品、なにかもらいましょうか」

 という話になり、メニューから選び出したのはミックスフライ(819円)。

 さっきのミックスグリルと同じ皿、同じ付け合せに、揚げたて熱々のカキフライ(2個)、アジのフライ、海老フライ、魚(カジキかな?)のフライが盛り付けられます。これもまた、ミックスグリル同様、ひとりなら、この一皿で今日の夕食は十分ですね。

 ひとりで食べると、料理1品くらいで、もう満腹なのに、ふたりでワイワイとしゃべりながら食べると、どんどん食べられますねぇ。中華料理は大勢で食べるほうがいいと言いますが、洋食もそうですね。いろんなものを食べることができます。

「おいしいですねぇ」

 と、おかみさんに感想を述べると、

「うちの主人は、料理を作るのが大好きなんですよ」

 とニコニコ顔です。好きこそ物の上手なれ、といいますが、料理は、まさにそれが顕著に表れる世界じゃないかと思います。

 ミックスフライの終了とともに、白ワインのボトルも終了。時間に余裕があれば、もう1軒行きましょうか、なんて話していたのですが、すでに午後10時を回っています。なにしろ、にっきーさんはこれから西武線沿線まで帰らないといけないですからねぇ。

「それじゃ、シメの料理も、ここでいきましょう」

 そう言いながら注文したのは、洋食屋のシメタン(シメにいただく炭水化物)として、絶大なる人気を誇る、スパゲッティ・ナポリタン(714円)。この店のナポリタンは、どんな味なんでしょうねぇ。

 待つことしばし。「お待たせしました」と出てきたナポリタンは、ケチャップ色に真っ赤に染まった太麺に、タマネギ、ピーマン、マッシュルームにベーコン。見た目からすでに嬉しいではありませんか! クルクルッとフォークに巻いて取り皿に分け、ひと口含むと、ケチャップの甘みもよく効いて、これぞまさにナポリタン。

「いやいや。やっぱりナポリタンは、こうでなくっちゃ。最近は、ポモロード風のナポリタンが増えてますからねぇ。しっかりとしたケチャップ味がうれしいなぁ」

 サッカーは、1対0で日本の勝ち。これで日本はC組首位に立ったのだそうです。

 午後11時まで、気付いてみれば3時間半近くも楽しんで、今日のお勘定は、ふたりで6,845円(ひとりあたり3,420円ほど)でした。いやぁ、美味しかった。どうもごちそうさま。

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センターグリル洋光台店 / 店内の様子 / ミックスグリル

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マカロニグラタン / 白ワイン「甲州ゴールド」 / ミックスフライ

店情報前回

《平成19(2007)年9月12日(水)の記録》

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店情報: 居酒屋「井のなか(いのなか)」(錦糸町)

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  • 店名: 純居酒屋「井のなか」
  • 電話: 03-3622-1715
  • 住所: 130-0013 東京都墨田区錦糸2-5-2
  • 営業: 17:00-23:30(23:00LO)、日祝休
  • 場所: JR錦糸町駅北口を出て、バスのロータリーを左側に回りこんで、信号交差点を道路の向こう側に渡って左へ。次の角を右に折れた先、右手。駅から、徒歩3分かかるかどうか。
  • メモ: 平成18(2006)年3月31日オープン。店内は、コの字カウンター20席、掘りごたつ式座敷席15席の計35席。公式サイトあり。

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深化した居酒屋(1) … 居酒屋「井のなか(いのなか)」(錦糸町)

070914y 薩摩豚レバ刺し

 8月の築地「やまだや」に続いての、築地王・小関さんくにさんとの飲み会は、錦糸町の居酒屋「井のなか」です。

 錦糸町は、WINS(場外勝馬投票券発売所)のある街でもあります。WINSのある街は、いい酒場があることが多いのです。浅草しかり、新橋しかり、野毛(横浜)しかり。WINSの存在を許すような街の空気が、大衆酒場の存在も、おおらかに許してくれるんでしょうね。

 「井のなか」は、そんな大衆酒場の街、錦糸町に昨年(2006年)の3月にオープンした、いわゆる「深化した居酒屋」。この「深化した居酒屋」というのは、太田和彦さんの造語で、これまでのオヤジ居酒屋とは一線を画した「モダン和風の店内でおいしい日本酒と創作料理を味わう」という、レストラン感覚の居酒屋のことです。

 「井のなか」については、「日本酒ソムリエが通う東京のizakaya」の著者・神沢柚実子さんが、その開店までの記録を、ご自身のブログの1カテゴリとしてご紹介されていますので、そちらをご覧ください。

 そして、今日、紅一点で参加してくれたのは、神沢さんと同じく、開店前からこの店に関わっていて、開店日には店のお手伝いもされたという、利き酒師・いずへいさんです。

 店内は、入口の正面から左手にかけて、コの字カウンター20席ほど。そして右手に掘りごたつ式の座敷席が14席ほど。掘りごたつ席は2人用テーブルがずらりと並んだ形になっていて、予約人数に応じてそれを組み合わせていく仕組み。今日は手前から6席、4席、4席にセットされていて、我われ4人は、まん中のテーブルを囲みます。

 席の予約とともに、お料理のほうもお願いしてくれているのだそうで、あとは何も考えずに、楽しく飲んで食べるのみ。まずは生ビールで乾杯です!

 あらかじめ席上に用意されていたのは、青のり豆腐やポテトサラダ、野菜煮、アボカドとトマトのサラダなどの小鉢物9点。その中のひとつ、鮑(アワビ)の肝の即製塩辛は、ものすごく濃厚で、ぜひ日本酒に合わせたい味です。

 前菜9種に続いて出されたのは、この店の名物のひとつだというレバーペースト(1人前650円)です。一緒に出されたバケットに塗りつけるようにしていただくと、これがまた、いいつまみになります。

 さっきの前菜9点盛りのときにも、「私なんか、この9品で十分なくらいだなぁ」と思ったものですが、このレバーペーストも、バケットがたっぷりと(15切れほど)付いていつので、これだけでかなり長く飲めるほどです。

 しかし、今日はグルメ系ブログを書かれている健啖家がそろっているので、これだけの食べ物も、あっという間になくなっていきます。見ていても気持ちいいですねぇ。

 生ビールを2杯ほどいただいたあとは、燗酒に切りかえます。銘柄は、店主の工藤さんにおまかせすることとして、おすすめの燗酒を出してもらいます。

 最初に出してくれた濁り酒(燗)は、静かに注ぐと荒々しい味に、高いところから注ぐとマイルドな味わいになるのが、私が飲んでもわかるくらいのお酒。「どうですか!」と言いながら、両方を並べてくれた工藤さんは、「どう飲めば美味しいかと、いろいろとやってみてるときに気づいたんですよ」と、その発見ができたことが、とてもうれしそうです。本当に日本酒が好きなんですねぇ。

 続く料理は、深紅のレバ刺し。かけられたオリーブオイルの淡い緑色とも相まって、とてもきれいです。

「薩摩の黒豚のレバーなんですよ。残念ながらレバーがいい豚は、肉はあまり良くないんですねぇ。あとで肉もお出しする予定ですが、それは別の豚のものです」

 と説明してくれる工藤さん。このレバーは、本当に濃厚そのものです。

 里芋は、皮ごと焼いた大ぶりのものが、ひとりに1個ずつ。皮を剥いて、塩をつけて食べるだけというシンプルな料理なのに、焼きたてホクホクの里芋のうまいこと。

 続いて出された刺身盛り合わせは、サバ、カツオ、カンパチ、サンマの炙りの4点盛り。

「やっぱりなぁ。築地の市場でも、今はマグロが良くないんですよ」

 と築地王・小関さん。刺身盛り合わせの中に、東京の酒場の華であるマグロが入ってないのは、そういう理由なんですね。あとで店主の工藤さんも「マグロは今、ダメですねぇ」と同じことを話してくれました。

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「井のなか」 / 前菜9点 / レバーペースト

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里いも / 薩摩豚レバ刺し / 刺身盛り合せ

店情報 (同じときの「いずへいのうまいもん日記」)

(つづく)

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深化した居酒屋(2) … 居酒屋「井のなか(いのなか)」(錦糸町)

070914z かくま豚の鍋

 濁り酒の燗に続いて、次々に出してくれる燗酒も、それぞれしっかりとしていて、ワインで言えばフルボディといったタイプ。レバーにもけっして負けなかったし、刺し盛りのときに出してくれた燗酒もまた、刺身といいバランスです。燗の温度も、お酒によって微妙に変えてくれているようです。

 そして出されたのは、暑い日なのに鍋!

 中身は12時間煮込んで作ったという、豚肉の骨付きブロックです。本当に大きなひと塊(かたまり)が鍋の中央にドーンと鎮座しています。たっぷりの空芯菜が一緒に茹でられている外観は、まるで常夜鍋のよう。

「こういうのをバラすのが好きなんですよ」

 と言いながら、築地王・小関さんがナイフとフォークを器用に使って、豚肉の塊をバラしてくれます。スープの味がよく染み込んだ豚肉は、脂肪のプリプリのところも実にうまいっ。これはまさに和風アイスバインですね。豚肉は、茨城の鹿熊さんが育てた「かくま豚」という豚のものなのだそうです。

 さらには、同じ「かくま豚」のローストです。

「100度で1時間くらい焼くと、きれいなピンクに焼きあがるんですが、豚肉でピンクだと嫌がるお客さんもいるので、もうちょっと火を通しています」

 と店主の工藤さん。それでも十分きれいなピンク色ですけどねぇ。添えられたニンジンがまた、野趣あふれてて、いいのです。

 たっぷりと食べたあとは、まだまだ燗酒をいただきながらの歓談タイム。

「築地の店もいろいろと行ってみたいんですけど、有名店は、ものすごい行列になっていることが多くて」

 と語る、利き酒師・いずへいさんに、

「行列の店は、それでも行列して入ってみて、はじめてその店のことを語ることができるようになるんです。築地には、人が行列するだけのことはあるなぁ、と思わせてくれるお店が多いので、行列しても行ってみるべきだと思いますよ」

 と答える、築地王・小関さん。

 そういえば、ここ「井のなか」も、今や非常に予約が取りにくい店なのだそうで、今日も、カウンター席、テーブル席ともに、ずっと満席状態です。

 そうやって歓談している間も、燗酒はいろいろと銘柄を変えながら次々に出続け、料理のほうもカマンベールチーズフライ(1人前730円)や、子うるか(アユの卵巣の塩辛)、ゲンゲ(幻魚)の干物を炙ったもの、さらには黄色いジャガイモ(インカのめざめ?)のフライなどを出してくれます。なんと大贅沢な飲み会でしょう。

 そろそろ時刻も午後11時半が近くなり、ラストオーダーとして注文したのは、シメの能代(のしろ)うどんです。刻みネギ、刻み海苔がトッピングされた、極細麺の能代うどんは、まるで冷麦のような感じ。冷たい出汁もおいしくて、満腹以上に満腹の状態なのにスルスルと食べることができてしまいます。

 この能代うどんは、稲庭うどんや本庄うどんなどと同じく、秋田のうどんのひとつだそうです。秋田のうどん文化もすばらしいですね。

 その能代うどんも食べ終えて、お勘定は4人で32,460円(ひとりあたり8,115円)。あんなに食べて、あんなに飲んだ割りには安いなぁ、という印象です。(確実に、ひとり1万円は超えるものと思ってました。)

 深化した居酒屋は、呑ん兵衛が軽く飲み食いするにしては高いので、あまり足を踏みいれたことがなかったのですが、和食の店やレストランなどで飲み食いするよりも、はるかにコストパフォーマンスがいいんじゃないかと思います。そういうところが、「深化した居酒屋」に人気が集まっている主要因なのかもしれませんね。今日、「井のなか」の料理と、お酒をいただいて、改めてそう感じました。

 どうもごちそうさま。ご一緒いただいたみなさん、楽しい時間をありがとうございました。また次の機会を楽しみにしています!

070914g 070914h 070914i
かくま豚のロースト / カマンベールチーズフライ / 子うるか

070914j 070914k 070914l
ゲンゲの干物 / ポテトフライ / 能代うどん

店情報 (同じときの「いずへいのうまいもん日記」)

《平成19(2007)年9月14日(金)の記録》

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できたて絶品シメサバ … 居酒屋「鳥八(とりはち)」(鷺ノ宮)

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「今日はマスターが釣ってきた釣りサバがあるんですよ。今、ちょうどシメ終わったところですけど、いかがですか?」

 瓶ビール(サッポロ黒ラベル中瓶、530円)を飲みつつ、メニューを選んでいると、おかみさんから、そんな声がかかります。なんと、なんと。釣りサバですか! それはぜひ、いただきましょう。

 うちの近所にある居酒屋「鳥八」は、外から見ると、まるであばら家ながら(失礼!)、一歩店内に入ると、凛(りん)とした空気が漂う、この地域の名店なのです。今日も、カウンターのこの1席を除いて、すでに予約でいっぱい。ふたりで切り盛りする店主と、おかみさんも、予約客の食事の支度に、おおわらわの状態です。

 シメサバも、そんな準備の一環として作っていたもののようです。予約のお客さんたちは、まだ誰も来ておらず、店内の客は私ひとりの状態。みなさんに先んじて、まっ先に今日の釣りサバのシメサバをいただくことになりました。

 出されたシメサバは、大きな6切れ。中心はピンクで、そこからグラデーションで白くなる美しさ。皮の厚みもしっかりとしていていいですねぇ。ちょいと山葵(わさび)をのせて、醤油をちらりと付けて口に入れると、ウワァーッと広がるサバのうまみ。ックゥーッ。たまりませんなぁ。

「日本酒を、今日は冷酒でください。どれがいいですかねぇ」

 この店では、燗酒(小360円)を飲むことが多いのですが、今日のこのサバには、冷酒のほうが合うように思えたのです。冷酒は「八海山」、「久保田・千寿」、それと「越後杜氏(純米)」の3種で、それぞれ1合650円。

「この「越後杜氏(えちごとうじ)」は、店主の故郷のお酒なんですよ。いかがですか」

 と、おかみさん。寡黙な店主は、いつもと同じように、一所懸命調理している顔をちょっとあげて、ニコニコと笑顔を向けてくれます。

「じゃ、それをお願いします」

 冷酒は冷蔵庫で冷しているのではなくて、室温で保存しているものを、注文を受けてからガラスの徳利に注ぎ、その徳利ごと、氷水が入った小さなバケツに入れて冷やしてくれます。

「冷やしすぎると味がわからなくなるでしょう?」

 と、おかみさん。そうそう。私も、そう思います。キーンと冷えた冷酒は、どのお酒も、同じような味に感じてしまって、ダメなのです。もっと味に敏感な人であれば、この状態でもわかるんでしょうが、私は燗酒なんかのほうが、わかりやすくて好きなのです。

 こうやって冷水で冷してくれると、室温よりはちょっと低いくらいの状態で、お酒が楽しめていいですよね。なるほど、この「越後杜氏」はマイルドな口あたりだけど、日本酒らしい(麹っぽい)香りと味わいで、魚にもよく合います。

 店主ご夫妻は、もともと赤坂にあった飲食店で働いていたそうなのですが、バブルがはじけた頃に、その店が閉店。そのときのメンバーが各店の商号を継ぐことになり、店主は「鳥八」という屋号をもらって、ここに店を構えたのだそうです。

 名前のとおり、もともとは焼き鳥屋だったのですが、魚好きの店主が魚を釣ってきたり、おかみさんの田舎から野菜を送ってもらったりするうちに、自然と今のように、魚も野菜も出すようなお店になっていったのだそうです。

「でも、創業の原点である焼き鳥とウナギは、今も必ず置いてるんですよ」

 と、おかみさん。なるほど、ウナギも創業時からあるんですね。今日のメニューの中ではウナギが最高値で、「浜名湖産・うなぎ蒲焼(大)」が1,400円です。

 「越後杜氏」をおかわりして、

「今まで食べたことがないもので、おすすめのものはないですか?」

 と、たずねてみたところ、

「鳥皮ネギ塩炒め(700円)なんてどうでしょう。人気がありますよ」

 ということで、そのおすすめに従います。

 この店は、魚は店主が、その他の炒め物などは、おかみさんが調理してくれるので、今日は店主のシメサバと、おかみさんの鳥皮ネギ塩炒めをいただく、ということになりますね。

 鳥皮ネギ塩炒めは、その名のとおり、鳥皮とネギを炒めて、塩で味付けしただけというシンプルなもの。ネギに加えて、ミョウガも入っていて、これがまたいい味を出しています。ミョウガって、炒めても美味しいんですね。

 午後6時半になって、予約のお客さんたちが来はじめたところで、私はボチボチと腰をあげることにします。開店の5時から、1時間半の滞在は3,830円でした。

 お通し(今日はイワシの生姜煮)が、たしか500円なので、釣りサバのシメサバは800円だったんですね。今まで食べたことのあるシメサバの中で、一番おいしいと思ったシメサバでした。どうもごちそうさま。

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「鳥八」 / お通しのイワシ / 「越後杜氏」冷酒

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キノコの煮物 / 店内の様子 / 鳥皮ネギ塩炒め

店情報前回

《平成19(2007)年9月17日(月)の記録》

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囲炉裏を囲んで(1) … 田楽「でんがく屋」(鎌倉)

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「囲炉裏を火をながめながら、ゆっくりと燗酒でも飲もうかなぁ」

 そんな思いで、やってきたのは、鎌倉にある田楽料理の店、「でんがく屋」です。

 店に着いたのは午後6時。白地に黒で「でんがく屋」と書かれた暖簾(のれん)をくぐり、開けっ放しの入口から店内に入ると、なんと先客は年配の男性ひとりだけ。

 この店に来たのは、これで2度目。最初にきてから、途中でもう1度やってきたのですが、囲炉裏端10席、後ろの小上がり3席だけの小さな店内は、満席だったのでした。今回も「満席だったらどうしよう」と心配しながら来ただけに、すっと入れることは嬉しいものの、ちょっと拍子抜けです。

「いらっしゃいませ。どこにでもお掛けください」

 うーん。どこにでもと言われると、迷うなぁ。じゃ、入口すぐ右手の席にしましょう。

「そこが一番いい席なんだよ。後ろの柱にもたれられるだろう?」

 と先客の男性。なるほど。たしかに背中のところに、入口すぐ横の柱があって、寄りかかることができる。こりゃいいや。

 腰を落ち着けたところで、まずは麦酒(サッポロ黒ラベル中瓶、600円)をもらうと、お通しとして出されたのは、前回と同じく枝豆です。この枝豆が、ものすごくコクがある味で、ビールが進むこと進むこと。

「なにから焼きましょうか?」

 囲炉裏の炭を調整した女将さんから声がかかります。この店は、この女将さんと、娘さんのふたりで切り盛りされているのですが、娘さんは、もっぱら奥の厨房にいて、囲炉裏の間に顔を出すことは、ほとんどありません。

「豆腐(600円)を、山椒味噌で焼いてください」

 この店は、田楽料理の専門店。囲炉裏で、豆腐や里芋、茄子、鶏肉、さらには地魚などを焼いてくれます。味付けは、基本的に味噌なのですが、シンプルな味噌のほかに、山椒味噌と柚子味噌とがあって、好みで選べるのです。

 煌々(こうこう)と熾った炭火の周りの灰のところに、食材を刺した串を突き刺して、炭火の輻射(ふくしゃ)熱で焼いていくのが、この店の調理法。火の上ではなくて、火の横で焼くので、時間は長くかかりますが、食材の中まで、じっくり火が通るのです。

「これが日本に昔からある焼き方なのよ。世界に誇れる調理法だわ」

 と言いながら、串を刺し直して、火に当たる豆腐の面を変える女将さん。ゆっくりと、ゆっくりと焼き上げていってくれます。

 豆腐ができあがったところで、飲み物を燗酒(500円)に切り替えます。

「燗づけ、ひとつぅーっ」

 と注文を通す女将さん。燗酒は、囲炉裏端でつけるんではなくて、奥の厨房でつけてくれるんですね。

 先客の男性(大常連さんの様子)と女将さんは、先ほどから美術館談議。中央線沿線も、けっこう高尚な話題のときがあるのですが、さすがに鎌倉も高尚ですねぇ。音楽も、もちろんテレビもない静かな空間で、おふたりの話も肴にしつつ、炭火を眺めながらいただく酒のうまいことよ。

 豆腐に続いては里芋(600円)を注文します。

「今度は柚子味噌にしてみましょうか?」

「いいですねぇ。柚子味噌でお願いします」

 里芋は1串に4個。さっきの豆腐もそうだったのですが、里芋も注文を受けてから厨房で準備され、湯気が上がりながら出てきます。これらは、あらかじめ下茹でされているものを、ここで味噌を塗りながら焼き上げてくれるんですね。それら以外の、たとえば茄子(600円)や椎茸(650円)、そしてもちろん鶏肉(650円)などは、生の状態から焼き上げていきます。

 年とともに、豆腐や、里芋や山芋などの、古来から続く酒の肴が、ますます好きになってきて仕方がない。もつ焼きで焼酎も大好きなんだけど、同じくらいの頻度で、豆腐や芋で燗酒でもいいかもなぁ。

つづく

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囲炉裏を囲んで(2) … 田楽「でんがく屋」(鎌倉)

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 ホクホクと里芋を食べ終えて、次は何を焼いてもらおうかなぁ、と考えていると、

「今日は秋刀魚もあるわよ」

 と女将さん。

「えっ。そうなんですか。いつもは置いてないのかと思ってました。ぜひ秋刀魚をお願いします!」

「いい秋刀魚があったときだけ仕入れてくるのよ」

 もともと秋刀魚の塩焼きは大好物なのですが、中でも、この店でいただいたのが、とても美味しかったのです。なにしろ口を下にして串に刺し、炭火の輻射熱で焼くので、余分な脂は、口から串を伝って灰の中に落ちていく。いい脂の加減で、全体がほっこらと焼き上がるのです。

「脂がたくさん落ちたりする割りには、囲炉裏の灰はきれいですよねぇ」

「毎日、ふるいにかけて、きれいにしてるのよ。商売にしようとしたら、それくらいの努力は必要だわ」

 と女将さん。美人だし、言葉遣いは丁寧なものの、考え方はビシッと一筋通っていて、いい加減なことは許さないという、凛(りん)としたオーラを、たっぷりと出している女将さんなのです。

「こんばんは」

 そこへ入ってきたのは、これまた常連さんらしき、ご夫妻。先客の男性とも親しげに言葉を交わしています。

「それじゃ、私はボチボチと帰りますか。今日は何ももらわなくて悪かったね。昼に親戚と外食したのが、まだ残ってて…」

 と申し訳なさそうに席を立つ先客の男性。たとえ、お腹がいっぱいでも、この店に来ないと1日が終わらないのかもしれませんね。今日はビール2~3本とお通し(枝豆)で終了のようです。

 秋刀魚も焼き上がってきました。添えられた大根おろしに醤油とレモンをかけてスタンバイしたら、まずは秋刀魚の腸(はらわた)の部分からガッツリといただきます。ックゥ~ッ。やっぱり、うまいなぁ、ここの秋刀魚は。

 先ほどのご夫妻も、豆腐、里芋、茄子(なす)と食べ進んだあとは、秋刀魚の塩焼きと、鮎の塩焼きを注文です。

 ちなみに魚田(ぎょでん、魚の田楽)や、魚の塩焼きは、それぞれ1,500円からの時価です。

 秋刀魚も食べ終わり、3本目となる燗酒をもらうとともに、香のもの(700円)を注文します。香のものは、いぶりがっこに、白菜、きゅうり、山芋、茗荷と、酢漬けの生姜という6点盛り。

 そこへ男女ふたりずつの4人連れと、男性ひとり客が相ついで入ってきて、あっという間に囲炉裏端の椅子席は満席です。こうなると、ゆっくりとした展開の店内だけに、なかなか席が空かない状態になるんですよね。タイミングが非常に重要です。

 ご夫妻のところには、奥の厨房から炊き込みご飯が出されます。

「いつもこれが楽しみでねぇ」

 と、とても嬉しそうな笑顔のご夫妻。なるほど、こういう名物もあるんですね。冬場の鍋物も名物らしいので、それらもぜひ食べてみたいところです。

 さてさて。みなさんの焼き物が、炭火の周りにずらりと並んだところで、私は終了としますか。今日のお勘定は6,080円。1万円札で支払うと4千円のお釣り。端数部分を負けてくれたんですね。ありがとうございます。

「どうもありがとうございます。またいらして下さい」

 と店の出口まで出てきてくれた女将さんに見送られながら、静かなるくつろぎの店を後にしたのでした。

店情報(1)前回

《平成19(2007)年9月19日(水)の記録》

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金曜の夜はたっぷりと … バー「ピュアー(PURE)」(野方)

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「ピュアー」のマティーニ・オンザロックとお通し

 夕方から、都内に住んでいる故郷(いなか)の級友たちとの飲み会で新宿です。私以外のふたりは、ほとんどお酒が飲めないのだそうで、私が乾杯の生ビールの後に、瓶ビールを1本もらい、さらに日本酒(冷酒)を2杯いただいたら、「強いねぇ!」と目を丸くして驚かれて、こっちがビックリです。

「また近いうちに飲もうね!」

 と言いながら、みんなと別れたのは午後11時。みんなからは「強い」と言われながらも、個人的にはちょっと飲み足りないので、ちょっと寄って帰りましょうか。

 そんなわけで、西武新宿線は野方(のがた)駅で途中下車。向かった先は、野方駅から徒歩10分ほどのところにあるバー、「ピュアー」です。

「こんばんは」

 と入った店内には、先客はひとり。カウンター9席のみの店内の、ちょうど真ん中に座っています。そのお客さんから、1席分を空けた、こちら側に座ると、

「いらっしゃいませ」

 と、店主(マスター)がお絞りを出してくれます。店は、店主ひとりで切り盛りされているのです。ゆっくりと手を拭きながら、バックバー上部の「今月のおすすめ」と書かれた飲み物メニューを確認し、1杯目の飲み物として、マティーニ・オン・ザ・ロック(630円)を注文します。

 マティーニ・オン・ザ・ロックは、その名のとおり、カクテルの王様・マティーニを、氷とともにロックグラスに入れていただくもの。氷の入らないマティーニは、遅くても20分くらいでは飲み終えなければ、ぬるくなってしまいますが、オン・ザ・ロックにすると、いつまでも冷たくいただくことができるのです。

 なんと、今日のお通し(310円)は、芯のところにアンチョビを詰めたオリーブ。もともとマティーニの中にオリーブが入ってるくらいだから、マティーニに合わないはずがないですよねぇ。

 マティーニを飲むときに、1個だけ入っているオリーブを、いつ食べるかというのが悩みの種なんですが、これだけオリーブがあると、好きなときに好きなように食べられますね。うれしいっ!

 先客のおにいさんが食べているのは秋サンマのガーリック焼き(500円)かな?

 この店は、料理が美味しいことでも有名。店主はもともと、レストランで料理人として働いていたそうなので、料理はまさに、お手のものなのです。この店のサンマも、ぜひ食べてみたい一品ですねぇ。

 料理メニューは、そのときの仕入れによって書き直されます。たとえば今日のメニューは、アンチョビのキュウリカナッペ(600円)や、白エビの