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囲炉裏を囲んで(1) … 田楽「でんがく屋」(鎌倉)

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「囲炉裏を火をながめながら、ゆっくりと燗酒でも飲もうかなぁ」

 そんな思いで、やってきたのは、鎌倉にある田楽料理の店、「でんがく屋」です。

 店に着いたのは午後6時。白地に黒で「でんがく屋」と書かれた暖簾(のれん)をくぐり、開けっ放しの入口から店内に入ると、なんと先客は年配の男性ひとりだけ。

 この店に来たのは、これで2度目。最初にきてから、途中でもう1度やってきたのですが、囲炉裏端10席、後ろの小上がり3席だけの小さな店内は、満席だったのでした。今回も「満席だったらどうしよう」と心配しながら来ただけに、すっと入れることは嬉しいものの、ちょっと拍子抜けです。

「いらっしゃいませ。どこにでもお掛けください」

 うーん。どこにでもと言われると、迷うなぁ。じゃ、入口すぐ右手の席にしましょう。

「そこが一番いい席なんだよ。後ろの柱にもたれられるだろう?」

 と先客の男性。なるほど。たしかに背中のところに、入口すぐ横の柱があって、寄りかかることができる。こりゃいいや。

 腰を落ち着けたところで、まずは麦酒(サッポロ黒ラベル中瓶、600円)をもらうと、お通しとして出されたのは、前回と同じく枝豆です。この枝豆が、ものすごくコクがある味で、ビールが進むこと進むこと。

「なにから焼きましょうか?」

 囲炉裏の炭を調整した女将さんから声がかかります。この店は、この女将さんと、娘さんのふたりで切り盛りされているのですが、娘さんは、もっぱら奥の厨房にいて、囲炉裏の間に顔を出すことは、ほとんどありません。

「豆腐(600円)を、山椒味噌で焼いてください」

 この店は、田楽料理の専門店。囲炉裏で、豆腐や里芋、茄子、鶏肉、さらには地魚などを焼いてくれます。味付けは、基本的に味噌なのですが、シンプルな味噌のほかに、山椒味噌と柚子味噌とがあって、好みで選べるのです。

 煌々(こうこう)と熾った炭火の周りの灰のところに、食材を刺した串を突き刺して、炭火の輻射(ふくしゃ)熱で焼いていくのが、この店の調理法。火の上ではなくて、火の横で焼くので、時間は長くかかりますが、食材の中まで、じっくり火が通るのです。

「これが日本に昔からある焼き方なのよ。世界に誇れる調理法だわ」

 と言いながら、串を刺し直して、火に当たる豆腐の面を変える女将さん。ゆっくりと、ゆっくりと焼き上げていってくれます。

 豆腐ができあがったところで、飲み物を燗酒(500円)に切り替えます。

「燗づけ、ひとつぅーっ」

 と注文を通す女将さん。燗酒は、囲炉裏端でつけるんではなくて、奥の厨房でつけてくれるんですね。

 先客の男性(大常連さんの様子)と女将さんは、先ほどから美術館談議。中央線沿線も、けっこう高尚な話題のときがあるのですが、さすがに鎌倉も高尚ですねぇ。音楽も、もちろんテレビもない静かな空間で、おふたりの話も肴にしつつ、炭火を眺めながらいただく酒のうまいことよ。

 豆腐に続いては里芋(600円)を注文します。

「今度は柚子味噌にしてみましょうか?」

「いいですねぇ。柚子味噌でお願いします」

 里芋は1串に4個。さっきの豆腐もそうだったのですが、里芋も注文を受けてから厨房で準備され、湯気が上がりながら出てきます。これらは、あらかじめ下茹でされているものを、ここで味噌を塗りながら焼き上げてくれるんですね。それら以外の、たとえば茄子(600円)や椎茸(650円)、そしてもちろん鶏肉(650円)などは、生の状態から焼き上げていきます。

 年とともに、豆腐や、里芋や山芋などの、古来から続く酒の肴が、ますます好きになってきて仕方がない。もつ焼きで焼酎も大好きなんだけど、同じくらいの頻度で、豆腐や芋で燗酒でもいいかもなぁ。

つづく

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受信: 2007.10.14 14:44

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