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老舗酒場がまたひとつ … バー「羊仔(ようこ)」(中野)

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 いろいろな酒場を飲み歩いていてつらいのは、やっと出逢った酒場が閉店になってしまうこと。これまでにも何度かそういう経験をしましたが、またひとつ、老舗酒場がなくなってしまうのだそうです。

 中野ブロードウェイ西側の路地にたたずむ、バー「羊仔」の創業は、昭和34(1959)年。中野5丁目の一大酒場街の中でも屈指の老舗酒場です。

 創業時はトリスバーとして開店したのだそうで、その当時、トリスのストレートが40円、ハイボールが50円だったと言います。そして、平成19(2007)年現在、各種カクテル1杯が400円という、この値段もまた、中野5丁目にあるバーの中では、一番安いのではないかというバーなのです。

 店は、息子さんが私と同年代(1歳違い)という店主夫婦が切り盛りしています。

 金曜、午後9時半の店内は先客はふたりで、やわらかくS字を描くカウンターの奥のほうに座っています。私はその逆の入口側に座り、店名を冠した「羊仔カクテル」(400円)をいただきます。

 今日、はじめて知ったのですが、“羊仔(ようこ)”というのは、店主のお姉さんのお名前なんだそうです。その羊仔さんが、今年、88歳で永眠されたいうこともあり、店主も、そろそろお店をたたもうという決心をされたのだそうです。

 定年制度のある会社員と違って、酒場の仕事は、自分で引き際を決めなければなりません。

 後継者がいれば、その人に後を任せて、ご本人は悠々自適の隠居生活、なんてことになるんでしょうが、たいていの老舗酒場は後継者難。その人が引退するときが、すなわち店仕舞いのときとなってしまう酒場が多いのです。

「こんばんは。今日も来たよー」

 と入ってきた、いかにも常連さんらしきおにいさんは、ハイボールをちょいちょいと飲むと、

「さぁ、今日も歌うか!」

 とカラオケを開始。レコードや8トラック(←知ってますか?)、そしてカセットなどの、いわゆる古~~いカラオケ装置が鎮座しているのは知ってたけれど、これって使えたんですね。しかも、歌詞カードは手書きだし!

 かけつけで何曲か歌ったおにいさんから、

「ほら、みんなも歌って」

 と歌詞カードが回ってきます。なんとまぁ、きれいな文字ですねぇ。

 今日は居ないんだけど、この店を手伝っている女性がひとりいて、その人が手書きで作った歌詞カードなんだそうです。お店の閉店とともに、この歌詞カードなんかも使われなくなっちゃうのが、もったいないなぁ。よーし。私も今日は歌おう!

 他のお客さんたちや店主夫妻も加わって、飲んで歌って、歌って飲んで。閉店の寂しさを紛らわすかのように、みんなで大騒ぎしながら、中野5丁目の夜は更けていったのでした。

 バー「羊仔」は、12月29日(土)に営業を終えます。

店頭の電灯看板 「羊仔カクテル」 手書きの歌詞カード
店頭の電灯看板 / 「羊仔カクテル」 / 手書きの歌詞カード

店情報前回

《平成19(2007)年12月7日(金)の記録》

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