皮の脂を泡盛でキュッ … おでん「あわもり」(呉・広)

呉にある、おでんの名店「あわもり」に来ています。もとは、泡盛の取次ぎ店だったというこの店が、おでん屋に転向したのは昭和28(1953)年のこと。以来、55年間、地元の人たちに愛される酒場として営業を続けているのです。
壁に張り出されているおでんの品書は、すじにく、かわ、あつあげ、こんにゃく、ひらてん、ぼうてん、かまぼこ、きも、たまご、あいがも、たまねぎ、ロールキャベツ、ねぎま、ウインナー、いわしだんご、の15品ですが、おでん鍋の中には、先ほどいただいた、じゃが芋など、品書にない品も入っているようです。このおでんが、どれでも1本90円というのがうれしいではありませんか。
イワシ団子と玉ねぎをもらって、3杯目となる御酒(西条鶴(燗)、200円)を飲み干した後は、いよいよ満を持して泡盛(160円)をもらいます。
日本酒用のグラスの半分くらいのサイズのグラスに、まずは泡盛がほぼいっぱいまで注がれ、そこに梅酒がちょっと足されて表面張力です。
「あわもり」という店名からもわかるとおり、この店ではなにしろ泡盛が飲物の主力で、ほとんどの人が泡盛を注文しています。今、いただいたように、ストレートでちょいと梅酒を足して飲むのが基本ですが、人によってはビールグラスに氷を入れてもらって、そこに泡盛を入れて、ロックとして飲んでいたり、ラムネをもらってそれで割って飲んでる人もいます。
その昔、この店に通っているころは、まだ20代の飲み盛り。「何度もおかわりするのがメンドクサイから、大きなコップでちょうだい!」と、泡盛をビールグラスに入れてもらって飲んでいたものでした。たしか、小さなグラスの3杯分が、ビールグラス1杯分だったんじゃないかな。
泡盛をもらうと、おでんのほうは、もちろんカワ(豚皮)です。最初にももらったのですが、なんといっても泡盛にこれくらい合うおでん種はありませんもんね。
火を落とすと、たちまち厚い油膜が浮かぶと言われるほどギトギトしたダシでじっくりと煮込まれた、これまた脂分とコラーゲンたっぷりの豚皮。パクリと食べると、唇にテカテカとなるほど脂分があるのです。これを泡盛でクイッと流し込む。ックゥ~~ッ! うまいもんじゃのぉっ!
前に来たときに、この豚の皮の下ごしらえについて、店主から伺った話を思い出します。このトロリとした食感を出すには、毛根を残したらいけないのだそうで、毎日早くから、最初に毛抜きで大きな毛を抜いて、残ったうぶ毛をカミソリで剃って処理するんだそうです。
「カワも、スジも、キモも、仕入れは安いけんの。手間をかけんと売りもんにゃぁならんわい」
毎日、毎日続けられる、この不断の努力こそが、長年、みんなから愛される店になる理由なんですね。
最後に、これまたメニューにはないアブラをもらいます。アブラは、もつ焼きのアブラと同様に豚のアブラのところを、おでん鍋で煮込んだもの。これまた泡盛にはピッタリのおでん種のひとつです。
そう言えば、水状になるほどにゆるーく溶いた練り辛子も、この店の特徴。どんなおでん種にもよく絡みます。
やぁー、よく飲んだ、よく食った。お勘定をお願いすると、皿に残った串の数と、お酒をおかわりするたびに置かれる、小さなタイルを数えて「2,190円です」と計算してくれます。
ほとんどの人は千円前後の会計となるこの店で、2千円を超える会計というのは異例の高額。まわりのお客さんたちも「おぉーっ、にいさん、よく飲んだなぁ」ってな目でこちらを見るほどの額なのです。
次はいつ来れるかわかりませんもんね。昔とちっとも変わっていない「あわもり」に大安心しつつ、じっくりと、たっぷりと堪能させていただきました。どうもごちそうさま!
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11427/40085648
この記事へのトラックバック一覧です: 皮の脂を泡盛でキュッ … おでん「あわもり」(呉・広):





コメント