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故郷の魚で故郷の酒を … おでん「赤丹本店(あかたんほんてん)」(松山)

おでん鍋と女将さん


 出張で呉まで帰ってきたので、そのまま瀬戸内海を渡り故郷・松山に帰省。これまた久しぶりにやってきたのは、松山市駅前にある、おでん屋「赤丹」です。

 土曜日午後5時前なのに、12人ほど座れるカウンター席だけの店内(その他に2階に座敷席もある模様)には、すでに先客が3人。そのうちお一人は、明らかに前回来たときにもいらっしゃった方です。ほとんど毎日のようにいらっしゃってる常連さんなんでしょうねぇ。

 カバンを置いたり、コートを脱いだりしているうちに、その近くのカウンター席にお絞り(袋入りの温かいの)や、赤いお皿に、黄色い練り芥子が用意されていて、スタンバイOKの状態です。

「この里芋は大きいよ。大根も、よう煮えとらい」

 目の前のおでん鍋を、大きな箸でつつきながら、ニコニコ笑顔の女将さんがさりげなく今のおすすめを示してくれます。

「じゃ瓶ビールと、おでんは、その二つをください」

 実はこの店に冬場にやってきたのは、これがはじめて。夏場にしか来たことがなくて、いつも暑い最中(さなか)におでんをつついていたのです。夏のおでんも悪くはありませんが、こうやって寒い時期にいただくおでんは、また格別ですよね。

 瓶ビールはキリン・ザ・ゴールドの大瓶が650円。へぇ。これは珍しい銘柄ですねぇ。この店にはホワイトボードに書き出された、その日のおすすめメニューはあるんだけど、値段は書かれていません。この瓶ビールの値段だけが、壁に張り出されたビールのポスターに書き出されているのです。

 お皿に取り分けてくれた里芋はたしかに、でかいっ。ゴロリとしたのが3つ、串に刺さっています。しかし、それにも増して大きいのが大根です。直径も大きいうえに、高さも大きいのが、どかんとお皿の上に鎮座している状態。

「ちょっと大き過ぎたかねぇ。これだけでお腹がいっぱいになりそうじゃ」と、出してくれた女将さんも笑うほどです。

 そんなビッグサイズにもかかわらず、大根は全体が黒光りするほどよく出汁(ダシ)が染み込んでいて、力を入れなくてもすっと割れるほど。でも、こちらの煮ものは薄口醤油の透明っぽいのが多いのに、こういう黒い出汁も珍しいですよね。

「昔から濃い口のお醤油を使(つこ)とるけんね。そのほうが甘いのよ」

 と女将さん。薄口じゃと塩辛い感じになるんだそうです。このおでんにつける、酢味噌で溶いた松山風(?)の練り芥子が、またいいのです。

 なにしろ昭和6(1931)年ごろの創業で、そろそろ創業80年を迎えようかという老舗ですからねぇ。長年のうちに今の味に決まっていったに違いありません。

 そんな老舗である上に、メニューには値段もないとあって、最初に来たときはドキドキものだったのですが、前述のとおり、ほぼ毎日いらっしゃってるような年配の常連さんたちが多いようだったので「ま、大丈夫か」と高を括って飲みはじめたのでした。「年配の常連さんが多い店」は、コストパフォーマンスもいい上に、美味しいものが食べられて、信頼できるお店である可能性が高いのです。結果的には予想どおり、めっぽう安くもありませんが、そう高くもない。これはいいやと、帰省するたびに機会を見つけてやってきているのでした。

「今日は釣りサバもあるよ」

 という女将さんの言葉に、さっそくその釣りサバを注文。この店は、おでんもさることながら、瀬戸内海で釣り上げられた旬の魚も食べることができるお店なのです。今日、ホワイトボードに並んでいる刺身は、釣りサバのほかに、ハギ、カンパチ、赤ニシ貝、サヨリ、赤ナマコ。刺身以外にも、カマ塩焼、太刀魚塩焼、つぼ焼、皮ちくわ、タコ酢、キス天婦羅、メバル煮付などがあって、ほとんどのお客さんが、なにかしら魚介類を注文してるようです。

 店は女将さんのほかに、この魚介類などを調理してくれる板さん(板前さん)と、女将さんを補佐する女性の3人で切り盛り中。その板さんがスィ~ッ、スィ~ッとていねいに引いてくれた釣りサバの刺身は、見るからに強い弾力感があって、ものすごいツヤです。瀬戸内海には灘(なだ)と呼ばれる流れの速い部分がたくさんあって、運動量の多い、しっかりとした魚がとれるのです。

 地元の刺身が出てきたところで、飲み物も地元のお酒「雪雀(ゆきすずめ)」の燗酒に切り替えると、おでん鍋の横に開けられた燗づけ用の穴で、チロリを使って燗をつけてくれます。

 地元の魚をつまみに、地元の酒。たまりませんなぁ!

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入口の縄のれん / 大根と里芋 / 釣りサバ刺身

店情報前回) (つづく

《平成20(2008)年1月26日(土)の記録》

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受信: 2008.02.17 08:36

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