« 脂がのった寒ブリ刺身 … 魚河岸料理「初恋屋(はつこいや)」(田端) | トップページ | 店情報: 居酒屋「烏森醸造(からすもりじょうぞう)」(新橋) »

三杯までとおこられて … 酒亭「武蔵屋(むさしや)」(横浜・桜木町)他

先代の姿を模した人形


「無理いうて 三杯までと おこられて」

 横浜・野毛にある古い酒亭「武蔵屋」の店内に飾られている色紙に書かれている句です。この店では、創業者である先代の木村銀蔵さんのころから、お酒はひとり3杯まで。店内にはそのことを詠った歌や、指を3本立てている先代の姿を模した人形などが置かれています。

 木曜日の仕事を終えて「武蔵屋」にやってきたのは午後8時。店内はゆるやかに満席状態ながら、6人ほど座れるカウンターを4人でゆったりと使っていた2人連れ2組が詰めてくれて、なんとかカウンターの入口側の端っこにすべり込みます。

 この店は、お酒(桜正宗)を楽しむための酒亭なので、店に入った人には必ずお酒のセットが出されます。3杯を超えてお酒を飲むのもご法度ですが、お酒を飲まないのもご法度なのです。ソフトドリンクは置いてません。

 お酒を飲む前にビールをいただくのはOK。店のおねえさんが「最初からお酒でいいですか?」と聞いてくれるので、そのときに「最初はビールをください」と注文すればビールと、ビール用のおつまみ(たいてい豆類)を出してくれます。ビールはキリン一番搾りで、小瓶が500円、大瓶だと700円です。

 今日もまずは小瓶のビールをもらって、喉を潤してから燗酒に移行します。

 店に入った時点で、すぐに酢漬の玉ねぎと、おからが出され、やや遅れてお客が入ってから作り始めるらしいタラ豆腐が出されます。これに加えて、2杯目をおかわりすると納豆が、3杯目をおかわりするとお新香が出されて、都合、3杯と5品で終了となります。このセットが2千円。1杯だけとか、2杯までというように、途中で止めることはできるようで、その場合は値段も割安になるみたいです。

 そうやってセットとして出される料理の他に、小肌や煮貝、きぬかつぎなどが、1品それぞれ400円で用意されています。

 今日の「武蔵屋」は、ひとり客があまりいないようで、ほとんどが2人連れ以上のグループ客。特にカウンターが、先に書いたとおり、私以外は2人連れが2組で、それぞれの会話がそのふたりの間で完結しちゃって、まったく発展性がない状態。これは悲しいなぁ。

 ここ「武蔵屋」には、テレビもなければ、ラジオもない。もちろん有線放送もなくて、店内は酔客たちのザワザワとした空気だけが流れるだけ。したがって、カウンターに座る常連さんと女将との会話そのものが、他のひとり客にとって、貴重な酒の肴であったりもするのです。

 酒場なので、人それぞれに楽しめばいいとは思うのですが、せっかく「武蔵屋」に来ていながら、自分たちのグループ内での話に終始するというのは実にもったいないことだと思うし、お酒も料理も置きっぱなしで話に夢中になってるという状態は、店をのぞいては「いっぱいか…」と残念そうに帰っていく人たちにも申しわけないと思うんですよねぇ。

 「武蔵屋」のような酒場は、ある意味、文化遺産的な存在でもあります。だから、その店に集うお客さんたちも含めて、みんなでその価値を守っていくことが重要なのではないかと思うのです。

 このところ「武蔵屋」の記事を書くたびに、ちょっと愚痴っぽくなっちゃってますねぇ。反省、反省。

 午後9時まで、ちょうど1時間の滞在は、小瓶のビールと燗酒3杯で2,500円でした。

            ◆   ◆   ◆

 この酒量で、まっすぐに帰宅すれば、明日に残らないきれいな飲み方になるのですが、ほろ酔い加減の両足は、そんな主人の思いとは無関係に都橋商店街の「ホッピー仙人」へと向かいます。

 すでに樽生ホッピーは売り切れていて、今日は瓶の白ホッピー(500円)をもらって、満員の先客たちと乾杯です。

 今日、はじめて知ったこと。「ホッピー仙人」にはヌキッピー(抜きッピー?)という、焼酎抜きのホッピー(いわゆるソトだけ)もあるんだけど、これもレモン汁を入れて、飲み物(ノンアルコールカクテル)として美味しく飲める工夫がされているということ。

 そして、この店の陶陶酒(とうとうしゅ)のカクテルは、陶陶酒と高麗人参酒をブレンドして作るもので、この店では珍しく、ホッピーを使わない飲み物だということ。近くにあった、今はもうないお店のレシピを受け継いでいるんだそうです。

 そんな話を聞きながら、1時間弱の滞在は500円でした。どうもごちそうさま。

・「武蔵屋」の店情報前回) / 「ホッピー仙人」の店情報前回

《平成20(2008)年2月21日(木)の記録》

|

« 脂がのった寒ブリ刺身 … 魚河岸料理「初恋屋(はつこいや)」(田端) | トップページ | 店情報: 居酒屋「烏森醸造(からすもりじょうぞう)」(新橋) »

コメント

武蔵屋、休業してるようですが、再開の目処、ご存知ですか?

投稿: にしかわ | 2008.04.11 00:27

いつも拝見させていただきありがとうございます。
千葉のしろくまと申します。

私も、2月26日火曜日にうかがったのですが、
「しばらく休業」の旨、張り紙がありました。
横浜に住んでいた5~6年前までは、
よくうかがっていたのですが、
転勤でなかなかいけなくなってしまいました。

お手数ですが、もしよろしければ状況を教えて
いただければ、大変ありがたいです。
何卒よろしくお願いいたします。

投稿: しろくま | 2008.04.18 23:30

2008年5月7日(水)から再開したそうです。

投稿: 浜田信郎 | 2008.05.09 07:54

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11427/40472145

この記事へのトラックバック一覧です: 三杯までとおこられて … 酒亭「武蔵屋(むさしや)」(横浜・桜木町)他:

» 久しぶりに野毛で呑む … FF~仙人~理容院(横浜市・桜木町) [居酒屋礼賛]
 横浜勤務のにっきーさんと示し合わせて、久しぶりの野毛の町です。  待ち合わせ場所でもある、「福田フライ」に向かうと、にっきーさんが女性と並んで楽しそうに飲んでいらっしゃる。「えぇーっ!」と思いながら近づいていくと、なんと「日の出理容院」のバーテンダー・めぐみさんです。  「こんばんは」と、めぐみさんにも挨拶しながら、「福田フライ」のおかあさんにウイスキー水割り(ニッカブラック天然水割り300ml... [続きを読む]

受信: 2008.04.27 08:38

» いつも変わらぬ安心感 … 酒亭「武蔵屋(むさしや)」(横浜市・桜木町) [居酒屋礼賛]
 久しぶりの野毛。久しぶりの「武蔵屋」です。  2月末から一時休業していた「武蔵屋」が、営業を再開したのはゴールデン・ウイーク明けの5月7日(水)。再開を待ちわびていた「武蔵屋」ファンが、どっと繰り出したのでした。  そろそろ、再開後の混雑も緩和してきたかな、と思いながら「武蔵屋」に到着したのは午後7時過ぎ。ガラリと引き戸を開けると、カウンターもテーブル席も、あふれんばかりに満杯です。うーむ。まだ... [続きを読む]

受信: 2008.07.06 11:51

« 脂がのった寒ブリ刺身 … 魚河岸料理「初恋屋(はつこいや)」(田端) | トップページ | 店情報: 居酒屋「烏森醸造(からすもりじょうぞう)」(新橋) »