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2008年8月

〔コラム〕 千円台で楽しむ おとなの居酒屋

千円台で楽しむ おとなの居酒屋


 ダイヤモンド社のウェブサイト、「ダイヤモンド・オンライン」に連載中の「千円台で楽しむ おとなの居酒屋」。昨年10月に「ダイヤモンド・オンライン」が開設されたのと同時に連載を開始し、ほぼ2週間に1本のペースで、今年の8月までに第22回まで進んできました。これまでの記事を一覧にしたのが以下のリストです。(リンクをクリックすると、当該記事に飛びます。)

  1. 斎藤酒場(十条) (2007年10月19日)

  2. 岸田屋(月島) (2007年11月02日)

  3. 富士屋本店(渋谷) (2007年11月09日)

  4. 大はし(北千住) (2007年11月30日)

  5. 鈴傳(四ツ谷) (2007年12月07日)

  6. まるます家(赤羽) (2007年12月21日)

  7. 河本(木場) (2008年01月11日)

  8. 金田(自由が丘) (2008年01月25日)

  9. 佐原屋本店(御徒町) (2008年02月08日)

  10. ブリック(中野) (2008年02月29日)

  11. 初恋屋(田端) (2008年03月21日)

  12. えびす(四ツ木) (2008年03月28日)

  13. 升本(虎ノ門) (2008年04月11日)

  14. 細雪(渋谷) (2008年04月25日)

  15. 三州屋(神田) (2008年05月09日)

  16. 高木(西巣鴨) (2008年05月23日)

  17. 宇ち多゛(京成立石) (2008年06月06日)

  18. 大山酒場(大井町) (2008年06月20日)

  19. 増家(八丁堀) (2008年07月04日)

  20. 番番(新宿) (2008年07月17日)

  21. 大坂屋(門前仲町) (2008年07月31日)

  22. 大坪屋(南千住) (2008年08月22日)

 千円台で飲めるかどうかということは、毎日でも飲めるかどうかということに直接つながってくる大きな問題です。さらに言えば、本当は2品と2杯で1,500円以内におさまってもらいたいところ。これであれば月から金まで、平日毎日通い詰めても、月に20日、総額3万円以内で済むことになります。

 年配のベテラン呑ん兵衛の方々を見ていると、ほぼこの枠内でおさまっているようです。2品と2杯程度でサクッと店を後にする粋な姿といい、将来はぜひああいう呑ん兵衛になりたいものだと思わされます。

 ちょっと景気が下向いてきたからか、今日(2008年8月30日)現在発売中の「週刊SPA!」(9/2号)でも、「1000円でベロベロに酔える![せんべろ居酒屋]名店ガイド」という特集が組まれているほど。不肖、私もこの記事の中に登場しておりますので、ぜひご笑覧ください。

 さて、「千円台で楽しむ おとなの居酒屋」の連載の開始にあたって、ダイヤモンド社のご担当の方から言われていたのは、「基本的に都内の酒場とし、地域が偏(かたよ)ることがないように」ということでした。そこで東京23区を、次のように五つの地域に分けて、同じ地域が連続せず、かつ各地域がまんべんなく分布するようにしてきました。

  • 北(城北) … 豊島区、練馬区、板橋区、北区、荒川区、足立区

  • 南(城南) … 大田区、品川区、世田谷区、目黒区、港区

  • 西(城西) … 渋谷区、新宿区、杉並区、中野区

  • 東(城東) … 台東区、葛飾区、墨田区、江東区、江戸川区

  • 中(城下) … 千代田区、中央区、文京区、台東区

 こうして20軒以上の店を訪れてみると、各地域ともに、あまりケチ臭い飲み方をしなくても十分に千円台で楽しめる酒場は(予想以上に)多くて、回っていてとても楽しい状態が続いています。

 中でも、自由が丘の名店「金田」は、事前に「こういう頼みかたをすれば、千円台でおさまるんじゃないかな」と机上シミュレーションして出かけ、予想どおりの結果に思わず小さくガッツポーズをしたほどでした。

 もともと出不精(でぶしょう)なので、何もなければ職場と自宅を結ぶ移動経路上の店にしか行かないことが多かったのですが、この連載をさせていただいたおかげで「あちこちを回らなくっちゃ!」という気持ちが生じて、都内各地に出かける意欲が得られているような次第で、非常に感謝しているところです。

 大勢のみなさんにお読みいただけると、それだけ連載が長く続き、都内の酒場行脚(あんぎゃ)も続けられることになりますので、このブログとあわせて「千円台で楽しむ おとなの居酒屋」もぜひよろしくお願いします。

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和風バーは美女ばかり … 会員制バー「人魚の嘆き(にんぎょのなげき)」(神保町)

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 吉田類(よしだ・るい)さん、「TOKIO古典酒場」の倉嶋編集長とともに巡る3軒目は、神保町にある会員制バー「人魚の嘆き」です。ここは、類さんが森下賢一(もりした・けんいち)さんたちと一緒に、毎月、句会を開いている店なのだそうです。会員制バーなんて、はじめてやってきましたねぇ。

 類さんによると、ここもまた美人女将の店らしいのですが、我われが到着した時間帯(午後8時過ぎ)には、まだその女将は店に出ていない状態。しかしながら、とってもかわいい若い女性(アルバイトの学生さん)2名が和服姿でがんばっています。

 店は和風バーといった造りで、句会の会場である2階は座敷席。1階のカウンター席だって、そのカウンターの上にずらりとぶら下がっているワイングラスがなければ、和服姿の娘たちも含めて、まるで小料理屋さんかなにかのような風情です。

「ここではいつもワインをいただくんですよ」

 という類さんの言葉に従って、みんなでワインをもらって乾杯です。

 さて「TOKIO古典酒場」のこと。これまで、「昭和風情で酔う」(2007年4月)、「昭和下町和み酒編」(2007年7月)、「闇市・横丁編」(2007年11月)、「沿線酒場〈京成・世田谷線〉編」(2008年4月)と4冊が出版されていますが、次号は第5弾「銀座昭和浪漫編」というテーマで、9月26日(金)に発売予定なのだそうです。(10月4日には「第1回 古典酒場ほろ酔いと~く」というイベントも開催されるそうです。)

 その第5弾に吉田類さんも登場予定なんだそうで、今日はその打ち合わせも兼ねての飲み会に同席させていただいたような次第だったのです。

 各号に登場する酒飲みの先達(せんだつ)の顔ぶれもすばらしくて、第1弾ではなぎら健壱さん、第2弾が安西水丸さん、第3弾が太田和彦さん、そして第4弾が坪内祐三さんと続いています。

 なぎらさん、太田さん、そして今回の類さんのように、酒場の情報を発信されていることで、呑ん兵衛界(なのか!?)でも名の知れわたった人たちに加えて、安西さんや坪内さんといった、著名人の“本格的飲み手”(?)もラインナップされているところが面白いんですよねぇ。毎回、本当に楽しみな巻頭特集です。

 赤ワインを白ワインに切り替えたころに女将(ママさん)も到着です。うわぁ、こりゃまた、噂にたがわぬ美人ですねぇ。編集長も含めて、店内は美人ばかりで目移りしてしまうような状態です。

 ゆったりと2時間半ほどの滞在は、3人で12,000円(ひとり4,000円)ほどでした。

 …と紹介しておいて、今さらながらですが、ここは会員制バーですので最初はどなたか行きつけの方に連れて行ってもらってくださいね。

店情報

《平成20(2008)年7月23日(水)の記録》

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店情報: 会員制バー「人魚の嘆き(にんぎょのなげき)」(神保町)

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  • 店名: 会員制バー「人魚の嘆き」
  • 電話: 03-3292-8282
  • 住所: 101-0051 東京都千代田区神田神保町1-19-2
  • 営業: 16:00- (土はお酒のみで12:00-21:00)、日祝休
  • 場所: 神保町駅A7出口を出て、道成りに東(小川町、JR神田駅)方面に向かうと、三省堂書店ビルに突き当たる(左角が「兵六」)。そこを右折し、2ブロック先を左折した先、左手。A7出口から徒歩5分(260m)ほど。
  • メモ: 美人女将が営む和風バー。会員制なので、最初は行きつけの人に連れて行ってもらうこと。

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幻の?居酒屋名店三昧 … 大衆酒場「河本(かわもと)」(木場)

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 木場の「河本」は昭和7(1932)年の創業。現在の建物は終戦後、昭和21年に建てられたもので、今年で築62年となります。コの字カウンターのみ15席分ほどの店内を切り盛りするのは女将の真寿美さんと、その弟さんで通称“あんちゃん”の二人です。最寄り駅からも近くなく、ほとんどの人が素通りしてしまいそうな目立ちにくい立地に加えて、午後4時から8時までの、たった4時間しか営業しないにも関わらず、営業時間中はいつも満席状態が続く人気店です。

 ほとんどの客が注文するホッピー(400円)は、その発売が開始された昭和23年から取り扱っているのだそうで、まさに元祖中の元祖。キンミヤ焼酎は水冷で冷やし、瓶入りホッピーは普通の冷蔵庫で冷やすというこだわりが、絶妙の美味しさを生み出します。これまた名物である煮込み(300円)との組み合わせがベストマッチで、もつ(腸)の裏側にたっぷりとついたフルフルゆれる脂肪がたまりません。それ以外にも、品数は少ないながらも、かけじょうゆ(マグロぶつ、400円)や、やっこさん(小100円、大200円)のほか、冬場のおでん(300円)と、呑ん兵衛好みする肴が並んでいるのです。

 毎日のようにやってくる常連さんたち同士の、毒舌の効いた軽妙なやり取りもまた、この店の名物のひとつ。テレビもない店内ながら、まったく退屈することもありません。気をつけないといけないのは、すいすいと飲みやすいホッピーが実によく効くということ。ふと気が付くとすっかり酩酊の世界に突入しているということもしばしばなのでした。


 もしも「東京 居酒屋名店三昧」に、「河本」の記事を載せることができたら、こんな感じの紹介をさせていただきたかったですねぇ。残念ながら「河本」は、あんちゃんから「これ以上お客さんが増えたら、常連さんたちに迷惑がかかる」というお話があり、取材(カメラマンによる撮影や、メニュー取材等)はNG。記事を載せることもできなかったのでした。

 そのかわり、改めて取材する必要がない「ひとり呑み」には、ここ「河本」の記事も載せさせていただいて、今日はお店にも1冊献本。あんちゃんに、ニッコリと受け取ってもらえて一安心です。

 今日は吉田類(よしだ・るい)さん、「TOKIO古典酒場」の倉嶋編集長とともに、門前仲町の「大坂屋」で飲んだあと、2軒目として、ここ「河本」にやってきたのでした。

080723d 店に着いたのは午後7時前。閉店まであと1時間しかないものの、店内はまだまだ満席模様。みんながちょっとずつずれてくれたりして、なんとか3人で並んで着席し、ホッピー(400円)で乾杯し、かけじょうゆ(400円)に、やっこさん小(100円)です。

 以前、この近くに住んでいた類さんには、まわりの常連さんたちからも「類ちゃん」「類ちゃん」と声がかかります。類さんも、久しぶりに会う常連さんたちとの話に大忙しです。

 最後に黒ホッピー(400円)を1杯ずつもらって、約1時間の滞在は3人で2,900円(ひとりあたり970円ほど)でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成20(2008)年7月23日(水)の記録》

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焼酎と玉子入りスープ … 牛にこみ「大坂屋(おおさかや)」(門前仲町)

焼酎ロックと玉子入りスープに絡めた煮込み


 このところ、すっかりはまり気味なのが、門前仲町は「大坂屋」の牛煮込み。

 その昔(今から10年ほど前まで)、勤務先がこの近く(豊洲)にあったころは、職場の仲間たちと大勢で飲みに来ることが多かったので、狭い店内がいつもにぎわっている「大坂屋」にはほとんど来ることがなかった(大勢なので入れなかった)のです。

 その後、工場の移転計画がわかって、ひとり飲みをはじめてからは、職場の近くよりもむしろ、あまり通勤経路上にはないような店にあえて出かけて行ったりすることが多くて、このあたりの酒場は「灯台下暗し」状態になっていたのでした。

 そんな「大坂屋」に久しぶりにやって来たのは、今年の3月のこと。「TOKIO古典酒場」第4弾の座談会を終えての二次会でした。ほぼ7年ぶりにいただいた「大坂屋」の煮込みは、自分の記憶以上で、「あれ? こんなに美味しい煮込みだったんだ」と認識を新たにさせられたのでした。

 その後、「東京 居酒屋名店三昧」の出版にあたって、「大坂屋」の記事を担当するようになったこともあり、何度かこの店に通ううちに、シロ(腸)、フワ(肺)、ナンコツ(食道)の3種から選べる煮込み(1串130円)のうまさに加えて、玉子入りスープ(330円)に絡めるという食べ方にもはまり、それと抜群の相性を誇る、焼酎(400円)を梅で割ってロックで飲むという飲み方にもはまって、そうやって通うと女将さんともいろいろとお話できるようになってきてと、まさに「はまり」の相乗効果で、ますますやってきているような次第なのです。

 2ヶ月ほど前に、はじめてこの店にやってきた「TOKIO古典酒場」の倉嶋編集長も、すっかりこの店の煮込みのファンになられたようで、「近いうちにぜひまた行きましょう!」なんて話から、今日のこの日となったのでした。

 さらに今日は、美人編集長のみならず、つい先日、松山でご一緒させていただいたばかりの吉田類(よしだ・るい)さんも編集長と同行されています。

 類さんは、古くからここ「大坂屋」の常連さん。玉子入りスープに煮込みを絡めて食べるという食べ方も、実は類さんに教えてもらった食べ方なのです。

 店内には「7月から値上げしました」という張り紙があります。このところ、仕入れ代の高騰の影響を受けて、長年据え置いていた値段を上げる店が続出中で、ここ「大坂屋」も、今までの価格ではやっていけなくなり、やむなく久方ぶりの値上げに踏み切ったんだそうです。

 具体的には煮込みが1串120円から130円に、玉子入りスープが320円から330円に、焼酎が390円から400円に、そしてビール大瓶は630円から650円にと、ビール大瓶が20円値上げした以外は、値上げ幅は10円ほど。日本酒は430円のまま据え置きです。

 3人で1時間半ほど舌鼓を打って、お勘定はひとり2千円ほどでした。どうもごちそうさま。

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ビールと煮込み / 梅割り焼酎ロック / 玉子入りスープ

店情報前回

《平成20(2008)年7月23日(水)の記録》

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類さん、土井中さんと … おでん「赤丹本店(あかたんほんてん)」(松山)ほか

「赤丹本店」のおでん


 呉(くれ、広島県)まで出張してきたついでに、週末の三連休を利用して、対岸の松山(まつやま、愛媛県)に帰省します。酒場詩人・吉田類(よしだ・るい)さんも、NHKの俳句王国収録のため松山にいらっしゃってるんだそうで、その収録終了後に「蔵元屋」で待ち合わせて、ちょいと一献です。

 「蔵元屋」は、愛媛の地酒約140種類を、なんと1杯100円から立ち飲むことができる、愛媛の地酒のアンテナショップなのです。

 さらに今日は、もうひとりゲストが! 焼き鳥の町・今治を全国区にした「やきとり天国」をはじめ、多数の愛媛の文化関連の著書がある、愛媛在住の土井中照(どいなか・あきら)さんです。ウェブサイト「土井中照のモンドえひめ」は拝見していたのですが、実際にお会いしたのは今日が初めてです。よろしくお願いします。

 「蔵元屋」軽く喉を潤して、次に向かったのは松山市駅前のおでん屋、「赤丹本店」です。帰省のたびに、必ずのように行っている「赤丹本店」。生ビールをもらって焼き豆腐と玉子からスタートです。

 松山に来たら、ぜひホウタレ(カタクチイワシ)もということで、七度洗えばタイの味と言われる刺身と、干して焼いたものの両方をいただきます。

 吉田類さんは、地方にやってきても変わらぬ人気ぶりで、ここ「赤丹本店」でも色紙にサインです。書き添えた句は、まさに今日のNHK・俳句王国で発表されたばかりの「蟻運ぶ 中年男を 蒲団ごと」という句です。

 この後、吉田類さんがNHKの人たちと合流されるということで、お勘定。3人で5,700円(ひとり1,900円)ほどでした。

 土井中さんと私も、近くのラーメン屋でちょいと飲んでから、再び吉田類さんたちに合流し、ひとしきり飲んだ後、またNHKの人たちと別れて3人で、昭和33(1958)年創業のバー「露口」です。

 都内ではときどきご一緒させていただく吉田類さんですが、こうやって地方でお会いするのもまた面白いですねぇ。土井中さんともお話しすることができて、とてもいい帰省となりました。

 この後、「露口」で合流した旧友と、実家近くのバーでもう一献傾けて、すっかり午前様帰宅となったのでした。やぁ、よく飲んだ。

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ホウタレ刺身 / ホウタレ炙り / 吉田類さん

・「赤丹本店」(前回)/「露口」(前回

《平成20(2008)年7月19日(土)の記録》

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店情報: 愛媛の地酒「蔵元屋(くらもとや)」(松山)

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  • 店名: 愛媛県の地酒アンテナショップ「蔵元屋」
  • 電話: 089-934-5701
  • 住所: 790-0001 愛媛県松山市一番町1-11-7 濱商一番町ビル1階
  • 営業: 12:00-21:00、月休
  • 場所: 路面電車を大街道(おおかいどう)で降りて、路面電車の通りに沿って勝山町(東側)方面に300m弱、右手。
  • メモ: 立ち飲みスタイルで、30蔵・約140銘柄の愛媛の地酒を、1杯100円から味わうことができる店。つまみもある。公式サイトあり。(2008年7月調べ)

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昭和28年創業の老舗 … おでん「あわもり」(呉市・広)

「あわもり」


 出張で呉(くれ、広島県)にやってきました。呉に来たならぜひとも寄って帰りたいのが広(ひろ)交差点近くにある、おでんの「あわもり」です。店名のとおり、元は泡盛の取扱店だったのだそうですが、昭和28(1953)年におでん屋に転向して、もう55年。「広交差点のおでん屋」として押しも押されもせぬ老舗になっています。

 店内は、奥に向かって長いL字カウンターのみ20席ほどで、一番手前と真ん中におでん鍋がありますが、今のところ使っているのは一番手前側の鍋、ひとつだけ。常連さんたちは、まずそのおでん鍋の周りから座り始めるのです。今日も、私より前に入った二人は、一人目がおでん鍋の正面に、二人目が1席空けて右側に陣取っています。私も、一人目のお客さんから1席空けて、今度は左側に座り、まずはビール(キリンラガー大瓶、500円)をもらって喉を潤します。こう暑いと、やはりまずはビールじゃないと始まらないですよねぇ。

 先に入ったお客さんが「キモとカワと…」と注文するものの「カワがこれからできるところだからちょっと待ってね」と、おかみさん。いつもは開店と同時にカワもスタンバイOKになっているのですが、今日は昼間に商店街の集まりがあったので、ちょっと準備が遅れているのだそうです。私も、この店の名物であるカワねらいだったのですが、それは2巡目以降になりそうですね。1巡目はキモとスジをもらいます。

 この店のおでんは、1品がすべて90円。キモは豚のレバーを串に刺したもので、スジはその名のとおり筋肉の部分です。スジは硬いのと軟らかいの(よく煮たの)が選べ、硬いほうをもらうとバリバリとけっこうな歯応えです。

 おでん屋さんに行くと、通常は最初に豆腐などのお腹にたまるものをいただいて、そのあと、つまみっぽいおでんにしたりするのですが、この店の場合、ついキモやスジ、カワなどの名物から入ってしまうんですよねぇ。2巡目で厚揚げをもらってお腹を満たし、3巡目で、アイガモとカワをもらいます。

 アイガモは、合鴨のつくね団子と櫛切りの玉ねぎを串に刺したもの。カワは豚の皮を一口大にカットして串に刺したものです。

 飲み物のほうも、この店の名物である泡盛(160円)の梅割りに切り換えると、「氷もいりますか?」と、おかみさんが聞いてくれます。いつもは生(き)でいただくのですが、今日はあまりにも暑いので氷をもらいますか。小さいグラスに注がれた梅割り泡盛とは別に、氷をいっぱい入れた新しいビールグラスが出されます。

 金曜日とはいえ、早い夕方からやってくるのは、ご近所に住む年配常連客ばかりらしく、店主も、おかみさんも、そしてもちろんお客さんたちも、すっかりくつろぎモードで楽しんでいます。やっぱりこういう大衆酒場は、口開けのこの時間帯が愉快ですね。

 最後に玉子をもらって、1時間ほどの滞在は、おでん6本にビール(大)と泡盛で、1,200円でした。どうもごちそうさま。

 私にとって、ぜひ自宅の近くに越してきてもらいたい酒場の筆頭が、このお店です。東京に支店を出してくれないかなぁ……。

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スジとキモ / 厚揚げ / カワ

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アイガモ / 泡盛をロックで / 玉子

店情報前回

《平成20(2008)年7月18日(金)の記録》

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〔コラム〕 真夏に食べる韓国水炊 … 「ハンマリ家」(浜松町)

タッハンマリ鍋


 日本では、鍋といえば冬の風物詩ですが、お隣の国、韓国ではむしろ夏こそが鍋の季節なんだそうです。がんがん暑い夏の日に、唐辛子のビシッと効いた熱々の鍋を食べて、新陳代謝を促進し、夏ばてを防止するんだそうで、今日は、その韓国式の鶏水炊き、タッハンマリ鍋のお店にやってきました。

 タッハンマリ鍋は、その名のとおり、鶏(タック)を、一羽丸ごと(ハンマリ)入れた鍋なんだそうで、注文するとまず、スープの中に鶏一羽がそのまま入った鍋が出され着火されます。

 鍋が沸くのを待つ間に、タレ作りです。お店のおにいさんに教えられるとおり、小鉢の中にタテギという、唐辛子ベースの味噌っぽい調味料を入れて、そこに酢と醤油を入れて混ぜ合わせます。お好みでマスタードや刻みニンニクも投入します。「豚の味珍」(横浜)のタレ作りと似てますね。

 鍋が沸騰してしばらくしたころ、おにいさんがやってきて蓋を取り、左手にトング、右手にハサミを持って、一羽の鶏を一口大に解体していきます。

「トングでこの部分をつかんで、まずは尻尾のほうからハサミを入れて…」

 と説明しながら解体ショー(?)を見せてくれるのですが、その手際のいいこと。あっという間に骨も付いたままの一羽の鶏が、普通の水炊きと同じような鶏肉に分割されていきます。

 解体が終わったら、別皿に用意されていたネギやトック(韓国式の餅)を入れて再び蓋をします。

「もう一度沸いて、しばらくしたらできあがりです。本当はここでキムチを入れてもいいんですが、まずこのまま(澄んだスープのまま)食べてみてください。その後、キムチを入れて食べてみると違いが分かると思います。韓国では、鍋が真っ赤になるくらいたっぷりとキムチを入れたりするんですよ」

 なるほどねぇ。それにしても、鶏以外には、ネギ、トック、キムチだけなので、比較的シンプルな鍋ですね。

 どーれどれ。そろそろ出来上がったかな。

 事前に用意したタレにつけて、ハフハフといただくと、想像していたよりは辛くない。うーむ。鶏肉もさることながら、鶏を丸ごと入れてたっぷりと煮た、このスープが美味しいなぁ。よーし、キムチも投入しましょうね。

 このタッハンマリ鍋、鶏一羽分(2~4人前)で3,800円で、今いただいたのが基本セットです。オプションで鶏(半羽1,400円、一羽2,500円)や、トック(350円)、ネギ(300円)、キムチ(500)がそれぞれ追加できるほか、基本セットにはなかったジャガイモ(200円)やレタス(200円)も入れることができます。

「鍋の残りのスープを、うどん(500円)か雑炊(600円)にすることもできますよ」

 うどんを選択すると、ピリ辛ダレでいただくうどんがまた美味しいこと。

「韓国の人は、これにラーメンを入れて食べたりするんですよ」

 それもいただこうじゃありませんか。ラーメンはカムジャラーメン(800円)という乾麺で、教えられたとおり、パキッと二つに割って鍋に投入します。見た目は普通のラーメンなのに、これがまた韓国冷麺と同じように、ものすごくしっかりとした腰(弾力感)があって、辛いスープとよく合います。後で調べてみるとカムジャというのはジャガイモのことで、カムジャラーメンはジャガイモで作った麺なんですね。おすすめです。

 二東マッコリ(500ml、1,400円)や、珍しい虎マッコリなどを飲みながら、他の料理もたくさんいただいて、2時間ちょっとの滞在は3人で16,300円(ひとり5,430円ほど)でした。

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虎マッコリ / タッハンマリ鍋 / 最後にカムジャラーメン

  • 店名: 「ハンマリ家」
  • 電話: 03-6905-6500
  • 住所: 東京都港区海岸1-2-20 汐留ビルディング1F
  • 営業: 11:00-23:30、無休
  • 場所: JR浜松町駅北口を出て、道路の向こう側を右(海側)へ。左手2つめのビル(汐留ビル)1階の一番奥(新橋側)にある。
  • メモ: 平成20(2008)年2月創業。タッハンマリ鍋3,600、生ビール480、韓国焼酎(360ml)980、ウーロンハイ450、チューハイ450、二東マッコリ(ポット500ml)1,400、(グラス160ml)650、グラスワイン450、〆うどん500、〆雑炊600、〆ラーメン800、川えび唐揚げ480、パリパリ鶏皮せんべい500、黄金のトマトサラダ600、チャンジャ(タラの塩辛)500、マンドック(韓国風式餃子)700、ケランチム(韓国式茶碗蒸し)600、豆腐ステーキ480など。公式サイトあり。(2008年8月調べ)
《平成20(2008)年8月8日(金)の記録》

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モツが嫌いでも大丈夫 … 豚の「味珍(まいちん)」(横浜)ほか

「豚の味珍」


 都内での仕事を終えて、同行していた同じ職場のSさん、Dさんとともに「味珍」です。

 念のため、事前に「豚足(とんそく)とか、モツは食べられますか?」と確認したところ、Dさんは「味珍」のこともよく知っていて「ぜひ一度行ってみたかったんですよ」という快い回答。しかしながらSさんは「肉は大丈夫だけど、モツ(内臓)はちょっと苦手…」という返事。うーむ。どうしよう。

「ちょっとだけチャレンジしてみて、ダメそうだったら早々に店を変えますか」

 ということで話がまとまって、まずはいつもの「味珍」本店2階を覗(のぞ)いてみます。

 「味珍」は横浜駅西口にある狸小路(たぬきこうじ)という路地のちょうど中間あたりに、本店と新店が向かいあって建っていて、それぞれ1階と2階の2店舗、つまり両方合わせると4店舗が営業しているのです。

 それじゃ、と向かったのは、4店舗の中で店内が一番広い、新店の2階。こちらはすんなりと入ることができました。本店、新店とも1階はカウンター席のみで、本店2階はカウンター席に加えてテーブル席が1卓、新店2階には同じくカウンター席に加えてテーブル席がずらりと4卓ほど並んでいるのです。

 「味珍」の店員さんは、ほとんど男性なのですが、ここ新店2階は、お父さん、お母さんと、その息子といった風情の(本当はまるで他人同士かもしれませんが)男女3人が切り盛りしています。

 最初に瓶ビール(キリンラガー中瓶、500円)を2本もらって乾杯し、料理はあまりモツっぽくないところで、カシラ(700円)と牛スジ(450円)に、辣白菜(ラーパーツァイ、300円)を注文し、「一度来たかった」というDさんのためには尻尾(700円)を注文します。

 注文を終えると、はじめてこの店に来たSさんとDさんのために、タレの作り方をレクチャーです。

「ひとりに1つずつ配られた小皿に、まず練り辛子とお酢を入れて、よーくかき混ぜてください。好みでラー油や、おろしニンニク、醤油などを足したらできあがりです。これから出てくるカシラや尻尾などは、このタレをつけて食べまーす」

「へぇー、そうなんだ。おもしろいね」なんて言いながら、3人でグリグリとタレをかき混ぜます。

 すぐに出てきたのは辣白菜と牛スジ。辣白菜は白菜の漬物なので問題ないし、牛スジはSさん自身が「きっとこれは食べられる」と選択した品ですが、ここの牛スジは、煮冷ました牛スジを断面にそってスライスしたもので、Sさんが思い描いていた牛スジとは若干違っていたようです。しかしこれも大丈夫。

 続いてはカシラ。これも豚のコメカミあたりの肉で、モツ(内臓系)ではないのでOKです。尻尾は、あまり好みではないようですが、ダメというほどでもない様子。Dさんは、すべてを美味しそうに食べています。

「店を変えないでも大丈夫ですよ」

 というSさんの言葉を受けて、瓶ビールの後は、みんなでヤカン(焼酎、350円)をもらいます。チョロリと梅エキスを垂らして飲むと、いかにも効きそうな味わいに、「こいつは気をつけて飲まないと…」とSさん、Dさん。

 食べ物のほうもタン(700円)のぶつ切りに、くらげサラダ(350円)、ピータン(アヒルの卵、300円)という、Sさんも平気そうな品物と、我われ用に胃(チート、700円)も追加します。

 最後に老酒(ラオチュウ、350円)を1杯ずつもらって、1時間半ほどの滞在は、3人で7,300円(ひとり2,430円ほど)でした。

「横浜駅近辺で、シメの炭水化物といえばここでしょう」とやってきたのは、相鉄線横浜駅構内の「星野うどん」です。讃岐の麺に、博多のダシという「星野うどん」。各自、思い思いのうどんを注文します。私は野菜天うどん(370円)に生玉子(60円)をつけて、このところやみつきになっている天玉うどんにして、今日の飲み会を終了したのでした。

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くらげサラダ / ピータン / 「星野うどん」の天玉うどん

・「味珍」の店情報前回)/「星野うどん」の店情報前回

《平成20(2008)年7月15日(火)の記録》

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ワインにはショーパン … バー「ペルル」(鷺ノ宮)

ショーパン


 不思議なネーミングのメニューがたくさんある「ペルル」。今日はショーパン(400円)という料理をもらって、たっぷりとワインです。ショーパンは焼いたフランスパンを、オリーブの実+オリーブオイル+塩でいただくというもので、ワインにとてもよく合う料理なのです。

 今日は、飲み仲間たちが「ひとり呑み」の出版祝いしてくれて、午後4時から「川名」で飲み始めたのでした。

 集まってくれたのは発起人の宇ち中(うちちゅう)さんに、荒木又右衛門さん、呑んだフルさん、そしてここっとさんご夫妻の6人です。(このうちの何人かは、ゼロ次会で「立呑風太くん」にも行ってきたんだそうです。)

 さすがにこのメンバーだけあって、1軒目の「川名」から生ビール、ホッピー、生グレープフルーツサワーなどなどとぶっ飛ばし、気がつけば7時前。3時間近くも腰を据えてしまいました。

 「酔い覚ましだぁーっ!」と中杉通りを6人で北上し、二次会として開店直後(午後7時過ぎ)の「ペルル」にやってきたのでした。

 「ペルル」の店内は、基本的にカウンター席のみ12席分程度の小ぢんまりとした造り。あえて“基本的に”と書いたのは、実はカウンターの背後に、荷物置き場として使われているテーブル席もあり、本格的に満席のときは、このテーブル席も、2人分程度の席として使われることがあるためです。

 口開け直後とあって、「ペルル」には先客なし。6人でずらりとカウンターに並びます。

「そういうお祝いの場でしたら、お店からもワインを1本プレゼントしましょう」

 とマスターがワインを出してくれて、みんなで乾杯。このワインに合わせて、冒頭のショーパンを注文したのでした。このワインとショーパンが火付け役になって、今日はみんなでワイン、ワイン、ワイン。強者(つわもの)ぞろいだけあって、ワインもあっというまに空瓶になっていきます。

 「ペルル」を出て、三次会はすぐ近くの「満月」です。「ペルル」→「満月」というのは、定番のハシゴ酒コースですね。「満月」で、所用のため最初から参加できなかったにっきーさんも合流です。

 午後11時を回ってところで店を出て、西武線で高田馬場方面に帰るみなさんを見送って、最後(4軒目)は、地元の荒木又右衛門さん、にっきーさんと3人で、都立家政のバー「エンジェル」です。

 パルマプロシュート(イタリア産生ハム、単品なら700円)とハモンセラーノ(スペイン産生ハム、単品なら700円)の盛り合せ(1,100円)をつまみながら、アイラモルト「アードベッグ」をロックでいただいて、楽しかった1日を締めくくったのでした。

 このために集まっていただいたみなさん、本当にありがとうございました。

店情報前回

《平成20(2008)年7月12日(土)の記録》

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おかあちゃんまで独占 … おでん「米久(よねきゅう)」(阿佐ヶ谷)

おでんとビール


 荻窪の「繁寿司」をあとに、阿佐ヶ谷駅北口で古くから続く、おでんの「米久」にやってきました。

 入口の引き戸を開けて店内に入ると、いつものように「おかえりなさーい!」という、おかあちゃん(=女将)の声。いつもは近所の常連さんたちも一緒に「おかえりなさーい」と迎えてくれるのですが、今日は残念ながら先客なしで、おかあちゃんだけが迎えてくれました。金曜日ながら、すでに午後11時なので、もうみなさん帰っちゃったのかな。

「ここへどうぞ」

 と、おかあちゃんが指し示してくれたのは、おでん鍋のまん前。すべての具材が見える特等席です。

 うなぎの寝床のように、奥に向かって細長い店内には、その店を入口から奥まで貫くようにカウンターが伸びていて、入口側から見て三分の一くらいの場所に、おでん鍋が据え付けられています。私が座ったのは、その鍋の前。この場所より入口側が、カウンターの幅が広くなっていて、常連さんたちがカウンターの内側まで回り込んで、まるで長テーブルのように使っている、いわゆる常連席。そしてこの鍋よりも奥側が、純粋に直線カウンター席のようになっているのです。

「瓶ビールください」

「キリン? アサヒ? サッポロ?」

 そうだ。この店も全銘柄がそろってるんでしたねぇ。

「サッポロをお願いします」

 出されるのは通称「赤星(あかぼし)」、サッポロラガービールです。

 1杯目のビールをトクトクとグラスにつぎ、一気に飲み干します。アァーッ、染みわたる!

「何を取りましょうか」

 右手に菜箸、左手におでんの取り皿を持ったおかあちゃんがそうたずねてくれます。他の多くのおでん屋さんがそうであるように、この店も1品目は必ずおでんをもらうというのがルールなのです。

「ガンモドキと…、竹の子と…、あと玉子をお願いします」

 おかあちゃんが一つずつお皿に取ってくれるのとタイミングを合わせながら注文します。

 年中食べることができる、この店のおでんは1個が100円から350円という価格帯。年中ある具材のほかに、季節ごとの具材も加わります。今の時期だと、トウモロコシとか、サザエ串、ホタテ串、つぶ貝などの貝類(250~350円)や、青物巻(200~350円)などなどがメニューに入っています。

 ここのおでんは、具が大きいのが特徴。ガンモドキなんて、丸いお皿のほとんどの場所を占めるほどの大きさ。一緒に取ってもらった竹の子や玉子が、窮屈そうにお皿の隅っこにのっています。

 おでん以外のつまみは、ボードに手書きされています。たとえば今日のメニューは、塩辛、塩らっきょう、サラダ、シャケ頭焼きなどがそれぞれ400円。まぐろ赤身刺、つぶ貝刺、カツオたたき、ままかり、〆さば、さんま刺身・塩焼、アジ・イワシなめろう、などの魚類がそれぞれ600~700円。馬刺が900円で、最高値(さいたかね)の鯨ベーコンが1,100円と続きます。

 常連さんたちは、最初に軽くおでんをつまんで、これら手書きメニューへと移っていくのです。

 おでんに続く2品めは何にしようかなぁ、とメニューを眺めていたら、

「これも食べてみて。美味しいわよ」

 と出してくれたのは、ダシをとったカツオ節で作った、自家製おつまみなんだそうです。カツオ節に軽く醤油で味をつけて、松の実なんかも混ざっているので、なんだか錦松梅(きんしょうばい)のような感じです。

「やぁ、本当に美味しかったです。ごちそうさま」

 お勘定をお願いすると、今日は1,250円。

「おでんのダシを取るのに、カツオ節を大量に使うからねぇ。よかったら持って帰って」

 と、さっきのカツオ節のつまみを、お持ち帰り用のお土産として持たせてくれました。これを翌朝、ご飯にのせて食べたら、これまた美味しかったこと。これだけでご飯がいくらでもいけました。

店情報前回

《平成20(2008)年7月11日(金)の記録》

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店主の語りを独り占め … 寿司「繁寿司(しげずし)」(荻窪)

つまみ


 荻窪での2軒目は、今度は南口側にまわって、昭和23(1948)年創業、今年で創業60年になる老舗の寿司屋、「繁寿司」です。

 荻窪駅のまわりも、どんどん都会化していて、北口側は先ほどの「やき屋」などがある一帯が戦後の名残をかろうじて残している程度で、南口に至っては、まさにこの「繁寿司」だけが、創業当時からそのままというその建物ごと、ポツリと歴史を感じさせるのです。

 店はL字カウンターのみ、8人程度の小ぢんまりとした造り。店主と、その娘さんと思しき女性の2人で切り盛りします。

 午後9時前の店内は先客はなし。瓶ビール(アサヒスーパードライ中瓶)をもらって、「まずは適当につまみをお願いします」と注文すると、すぐにつけ台の上にガリと大根の千切り、ワサビが用意され、まず出されたのはイシダイの刺身。追いかけるように刻んだ大葉と、スライスしたキュウリが出されます。

 この店は、刺身や寿司もさることながら、今年で84歳(大正生まれ)の店主の軽妙な語りを聞かせてもらいながら飲むというのが最大のつまみなのです。その話題は非常に豊富で、地域のことから、東京のこと。はては天下国家の話にまで及びます。「ふんふん」とうなずきながら聞いているだけで、テレビを見るよりもはるかに面白い。しかも、今日は他のお客さんがいないので、その店主を独占状態です。

 それはそれでいいことなのですが、店主の語りはよどみなく続くので、追加注文をする暇(いとま)がないのが玉に瑕(きず)。目の前のつまみをチマチマとつまみながら、ビールをチビリチビリといただきます。

 それにしても、この滑舌(かつぜつ)のよさ、この理路整然とした語り口。とても84歳とは思えません。鷺ノ宮のバー「ペルル」のマスター(81歳)もそうですが、ここの店主もすごいなぁ。

 最後に穴子のにぎりを握ってもらって、2時間ほどの滞在は1,500円でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成20(2008)年7月11日(金)の記録》

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いかみみ刺身を冷酒で … 立ち飲み「やき屋(やきや)」(荻窪)

いかみみ刺身を冷酒で


 荻窪駅北口近くにある立ち飲みの「やき屋」にやってきました。ここは新鮮なイカ料理を中心としたつまみが、ほぼ全品170円で食べられる、コストパフォーマンス抜群の立ち飲み屋。それでいて、店内に凛(りん)とした緊張感もあるので、変なお客さんもほとんど見かけません。

 この緊張感は非常に大切で、あり過ぎるとあまりくつろげないし、なさ過ぎると店内がだれてしまって、変な酔っ払いがはびこるようになってしまうのです。ちょうどいいバランスを保った酒場が、名店と言われているようです。

 今日は右手のメインカウンターも、奥のほうが空いていたので、奥に立ち、まずは瓶ビール(アサヒスーパードライ中瓶、400円)と、げそ揚げ(170円)からスタートです。げそ揚げは、あらかじめ揚げて、カウンター上の大きなバットにスタンバイされているものを、注文に応じて皿に盛ってくれるので、出てくるのが早くて、一品目の肴(さかな)にちょうどいいのです。

 「やき屋」の創業は平成11(1999)年の7月。今月で開店して9年になります。

 この平成11年という年が、東京では第一次立ち飲みブームが到来した年。バブル崩壊後の不景気が10年近く続く中で、より安く飲める店として、サラリーマンたちの間に立ち飲み文化が浸透していったのでした。

 ちょうどこのころに出版されたのが、今は文庫本化もされている「立ち飲み屋」(ちくま文庫)です。都内の立ち飲み屋の紹介のみならず、「立ち飲みこそは、立ち姿もさることながら、酒の飲み方、楽しみ方においてもダンディズムをきわめた長居無用のスタイルなのである」ということなどを含む、9箇条の「立ち飲みの作法と流儀」についても語られていて、この時代の立ち飲みファンのバイブル的な本になったのでした。

 2品目として、いかみみ刺身(170円)をもらい、飲み物は日本酒(250円)を、今日は冷酒でいただきます。日本酒は「北の誉(きたのほまれ)」。飲み方は、燗、冷や(常温)、そして冷蔵庫で冷した冷酒が選べます。

 いかみみ刺身は、注文を受けてから冷蔵庫の中から下準備の終わったエンペラ(イカの耳)が取り出され、刺身に引かれます。いか刺身や、げそわさなどの刺身類も同じく、注文を受けてから刺身に仕上げられるのです。単価170円ながらも、こうやってきちんとひと手間入るところが、この店の人気の理由だと思います。

 立ち飲みブームが起こると、そのブームにのって立ち飲み店がどんどんと増えていきます。そうやって増えた状況の中で、安かろう悪かろうといった感じの立ち飲み屋は淘汰(とうた)されていって、何年か経つうちにいい店だけが残ってきているように思います。

 最後に、焼きたての熱々で出される、いかなんこつ焼(170円)をもらって、約1時間の立ち飲みタイムは1,160円でした。どうもごちそうさま。

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げそ揚げと瓶ビール / いかみみ刺身 / いかなんこつ焼

店情報前回

《平成20(2008)年7月11日(金)の記録》

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〔コラム〕 時間限定のおすすめランチ(芝浦食堂)

豚生姜焼き定食


 芝浦ふ頭あたりで安価に食事をとるところとなると、2軒ある「湾岸食堂(わんがんしょくどう)」が有名です。これら2軒は財団法人東京港湾福利厚生協会という、港湾労働者の福利厚生事業をやっている団体の食堂施設として作られたものなので、リーズナブルなんですね。社員食堂などと同じような感じですが、だれでも利用できる施設になっています。

 このところ昼食としてよく利用しているのは、この2軒よりもむしろ「芝浦食堂(しばうらしょくどう)」。こちら「芝浦食堂」も、「湾岸食堂」と同じく東京港湾福利厚生協会の施設で、「東京都港湾労働者第三宿泊所」の1階にある食堂です。

 「湾岸食堂」がちょっとオシャレ系の食堂なのに対して、こちら「芝浦食堂」は昔ながらの定食屋。ずらりと並んだおかずの中から、自分の好きなおかずを何品か取って、それにご飯とみそ汁を合わせます。

 とは言うものの、事前に食券を買うシステムになっているため、あらかじめおかずを何品取るかは決めておかなければなりません。昼食の場合はおかず2品で470円、3品で620円を基本として、さらに1品増えるごとに150円のおかず券を買っておけばいい仕組みです。

 私の場合は、おかず2品定食(470円)券を買って、たとえばサンマの焼き魚と、ポテトサラダとか、ヒジキ煮などのサイドメニューを選ぶことが多いかな。よくあるメニューは、煮魚、焼き魚、メンチカツ、アジフライ、肉じゃが、コロッケ、餃子、切干大根煮、野菜煮などです。

 ビーフカレー(みそ汁付き、500円)や、カツカレー(650円)、トンカツ定食(550円)などもあるほか、週替りの3種のランチメニューもあります。たとえば今週の3種は、Aランチ(600円)が冷し天麩羅うどん・フライ盛り合せ・半ライスの組み合せ、Bランチ(600円)が刺身定食、Cランチ(600円)が牡蠣フライ定食というラインナップ。熱々のご飯でいただく刺身定食も美味しいんですよねぇ。

 しかしながら、もっとおすすめなのが12時半を過ぎないと注文できないサーロインステーキの定食(650円)と、ポーク生姜焼き定食(600円)の2品なのです。これらは注文を受けてから作るため、お客さんが殺到する時間帯(12時前から12時半ごろまで)には作ることができないようなのです。

 今日もサーロインステーキを狙って、12時半過ぎに出かけたのですが、残念ながら今日はサーロインステーキをやっていないようで、生姜焼き定食にしたような次第です。

 この近所には、ビル内に社員食堂のある会社が多いようなのですが、それらの会社の人たちも、わざわざここまで出かけてきて昼食をとっていたり、店の表にタクシーがずらりと停まっていて、その運転手さんたちが昼食をとっていることからも人気のほどが伺えます。

 ここでランチを食べるときは仕事中のことが多いので、飲んだことはありませんが、食券の販売機には日本酒(290円)やビール(290円)も並んでいます。値段から考えると、日本酒はカップ酒が、ビールは缶ビール(350ml)が出されるのではないでしょうか。

 この店は朝(06:30~08:00)、昼(11:00~13:30)、夜(17:00~19:00)という3つの時間帯に営業中。夜の部でやってきて、おかず(150円)を何品かもらって、ビールやお酒を飲むのもいいかもしれませんね。ただし、午後7時で終了なのが、ちょっと早すぎる感もありますが…。

〔その他の定食写真(随時追加)〕
080819 刺身定食(600円)
刺身定食(600円)

    080813zz
  • 店名: 芝浦食堂(しばうらしょくどう)
  • 電話: 03-3454-2609
  • 住所: 108-0022 東京都港区海岸3-21-1
  • 営業: 朝06:30-08:00、昼11:00-13:30、夜17:00-19:00、(定休日未調査だが、平日は開いている。)
  • 場所: ゆりかもめ・芝浦ふ頭駅2番出口を出て、ゆりかもめの線路に沿ってレインボーブリッジ方向へ約100m。信号交差点を向こう側に渡って右折した先、左手。
  • メモ: 昭和48(1973)年創業。朝定食(おかず2品定食)420、昼中御飯(おかず2品定食)470、昼中御飯(おかず3品定食)620、昼大御飯(おかず2品定食)550、昼小御飯(おかず2品定食)430、夜定食(おかず2品定食)450、週替りランチA~C各600、豚カツ定食550、ビーフカレー(ミソ汁付き)500、カツカレー650、オカズ一品150、納豆80、のり50、豚汁300、ミソ汁50、ライス150、小ライス80、豚汁定食400、コーヒー100、アイスコーヒー150、日本酒290、ビール290、玉子50、刺身定食650、サーロインステーキ650、生姜焼定食600、スキヤキ定食650、緑茶120、夜定食A・B各650、中華定食650、お客様感謝デー300、日替わり弁当500、モーニングうどん/そば300。(2008年8月調べ)

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グルッと野毛を一巡り … 中華料理「三陽(さんよう)」(横浜市・桜木町)

「三陽」のカウンターで


 東京の友人が、横浜に遊びに出てきて、野毛(のげ)の街です。

 野毛には以前1度来ただけという友人のために、設定した野毛ひと巡りのゴールデンコースの1軒目は「福田フライ」です。平日ながら、やはりこの店に来るとニンニクがばりばりと効いた辛いソースで串揚げを食べてもらわないとね。

 2軒目に行く前に、「麺房亭」の前を通って、バス通りを渡り、一時閉店中の「武蔵屋」を外から見学です。(その後、「武蔵屋」は7月15日に営業を再開しましたが、8月1日から9月1日までは夏休みに入っています。)

 「武蔵屋」から再びバス通りに戻り、それぞれ隣り合うイタリアンな立ち飲みの「バジル」と、スペインバル「ボデゴン・ノゲ」を外から眺めつつ、大岡川沿いの都橋商店街へ。今日の2軒目は、都橋商店街の2階にある「ホッピー仙人」です。

 「ホッピー仙人」は店名のとおり、ホッピーを飲むためのバーで、キンミヤなどの焼酎はもちろんのこと、各種スピリッツ(ジン、ラム、ウォッカ、テキーラなどなど)で作ったホッピーを、それぞれ1杯500円で楽しむことができるのです。

 店を出て都橋商店街の中央階段を下りると、目の前にあるのが「喫茶みなと」という名前のバー。「名前には“喫茶”と付いてるけどバーなんだよ。おもしろいでしょう」なんて説明しつつ、同じビルの裏側へ。3軒目は、今度は“理容院”という名前だけど、やっぱりここもバーの「日の出理容院」です。

 「日の出理容院」は、店長兼女性バーテンダーのメグミさんがひとりで切り盛りしている人気のバー。昔は本当に理容院だったこのお店を、現在の「日の出理容院」の経営者(オーナー)がそのままの形で買い取って、バーにしたんだそうです。

 飲み物はビールやウイスキー、カクテルなどが1杯500~600円ほどでキャッシュ・オン・デリバリー(品物と引き換え払い)。リーズナブルな値段で楽しむことができるお店なのです。

 帰り道のJR桜木町駅に向かいつつ、「最後にもう1軒、これまた野毛に来たら、ここにもぜひ!」と立ち寄った今日の4軒目が、1軒目の「福田フライ」の向かいにある昭和43(1968)年創業の中華料理の店、「三陽」です。

「はい、いらっしゃいませ。おふたりさん、どうぞカウンターへ。ビールに餃子2人前とネギトリか?」

 と店の中に入るか入らないかのうちに、いつもどおりの店主の元気な声が飛んできます。初心者(?)は、ここでついその勢いにのまれて、思わず「ハイッ」なんて返事してしまうのです。

「餃子は1.5人前でいいです」

 いつもはネギトリ(600円)も「要らない」と断るところなのですが、今日は1軒目でちょっと串揚げをつまんだあとは、2軒目、3軒目とバーで飲んでいたので、ネギトリは出してもらうことにしました。

 まずはビール(サッポロ黒ラベル大瓶、500円)と、お通しのバクダン(ニンニク焼)が出され、追いかけるようにネギトリができあがってきます。ネギトリは、鶏肉を炒めて、自家製の特製味噌タレで味を付け、たっぷりの白髪ネギとともにお皿に盛り付けたもの。この店でしか食べられないオリジナル料理です。

 餃子は1人前7個で400円。1.5人前と注文すると11個で600円になるのです。この餃子がまたニンニクたっぷりで、明日が心配だなぁ。

 食べてるうちに「麺は?」と聞かれるのも、これまたいつものこと。餃子やネギトリでちょっと飲んで、最後に麺類を食べてしめるというのがこの店のパターンのようなのです。

 店の看板にも「周恩来も驚くラーメン!」(しょう油・みそ、500円)からはじまって、「楊貴妃も腰を抜かす ギャルのアイドル チンチンラーメン」(タンメン風塩味、700円)、「ジンギスハーンもいきり立つ! ボクちゃんのアイドル チョメチョメラーメン」(タンメン風塩味、800円)、「男のロマン ボーボーラーメン」(カレー味、800円)と、怪しげなメニューが並びます。

 しかしながら餃子とネギトリでけっこうお腹もたまっていたので、「今日は要りません」と返事をします。

 野毛の街も見学しながらぐるりと巡った、野毛の名店4軒。友人もとても楽しんでくれたようでした。野毛には、まだまだいいお店がたっぷりとありますので、ぜひまた遊びに来てくださいね!

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お通しのバクダン / ネギトリ / 餃子1.5人前

店情報前回

《平成20(2008)年7月10日(木)の記録》

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近所の酒場をハシゴ酒(2) … 「ホルモン」「秋元屋」「ピュアー」

3軒目:もつ焼き「ホルモン」(沼袋)

テッポウ、ヒラ、ヒモをタレで


 土曜日に近所の酒場を巡っています。今日の3軒目は沼袋(ぬまぶくろ)に回って、もつ焼き「ホルモン」です。

 まずは赤星のビール(サッポロラガー大瓶、490円)とお新香(今日はキュウリ、カブ、白菜で100円)をもらってスタートし、焼き物はアブラ、オッパイ、タンを塩で焼いてもらうと、「今日は、卵付きのコブクロもありますよ」と、ハツ下、タン下と一緒に出してくれました。「ホルモン」の店主は、私と同郷(愛媛県出身)の先輩なので、なにかと可愛がってくれるのです。

 わが家の近くの私的もつ焼き四天王は、ここ沼袋の「ホルモン」に、中野の「石松」、野方の「秋元屋」、そして荻窪の「カッパ」の4軒で、それぞれ新鮮なもつを、絶妙の焼き加減で提供してくれる名店ぞろいなのです。

 さらにこの地域のもつ焼き文化を、幅広く支えてくれているのが「四文屋」グループです。私が知ってるだけでも、西武線沿線では新井薬師前、沼袋に、中央線沿線では中野、高円寺、阿佐ヶ谷の各駅の近くにチェーン展開しており、どの店も店内はお客さんでいっぱいなのです。

 これだけのもつ焼き屋さんが近くに集まっていて、相互研鑚していれば、美味しいもつ焼きが食べられるのも道理ですよね。「秋元屋」に「四文屋」グループの社長さんが来てたり、「石松」で「秋元屋」のマスターを見かけたり、あるいはまたその逆も見かけたりと、みなさん勉強熱心なのです。

 2巡目のもつ焼きとして、テッポウ、ヒラ、ヒモをタレで焼いてもらいます。テッポウは豚の直腸、ヒモは普通の腸の部分で、ヒラはその中間的な部分です。こうやって3種3本を並べて食べると、その違いがよくわかります。

 1時間強の滞在は1,190円でした。どうもごちそうさま。

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「ホルモン」 / ビールとお新香 / アブラ、オッパイ、タンなど

・「ホルモン」の店情報前回

            ◆   ◆   ◆

4軒目:やきとん「秋元屋(あきもとや)」(野方)

レバ生


 沼袋からトコトコ歩いて、となり駅の野方(のがた)に到着します。野方といえば、わが家の近くの私的もつ焼き四天王のもう1軒、「秋元屋」ですね。今日は、もつ焼き屋のハシゴです。

 日曜日以外の「秋元屋」は、レバ生(=レバ刺し)があるんですよねぇ。いつも日曜日の4時に来ることが多い「秋元屋」なので、久々に日曜以外にやってきた今日は、レバ生に、氷なしホッピーからスタートです。

 レバ生は、ニンニク醤油、ショウガ醤油、ゴマ油+塩などの食べ方が選べますが、私はいつもゴマ油+塩。ゴマ油の香ばしい感じが好きなんですよねぇ。

 焼き物は「ホルモン」で9本もいただいてきた後なので、軽くチキンボール(=つくね)とカシラアブラを塩で1本ずつ。

 それにしても「秋元屋」も、いつもいつも満席で、大繁盛です。もつ焼きだけなら、ある程度回転も速いんでしょうが、それ以外のサイドメニューも豊富にあるので、みなさん腰が据わっちゃうんですよねぇ。かろうじて新鮮な魚介類のメニューだけがないといった感じです。これでマグロぶつでもメニューに加われば、完全なる大衆酒場ですね。

 これまた1時間強の滞在は1,030円でした。ごちそうさま。

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            ◆   ◆   ◆

5軒目:バー「ピュアー(PURE)」(野方)

お通しとギムレット・オン・ザ・ロック


 「秋元屋」を出て、今日の5軒目は同じ野方(のがた)の町にあるバー「ピュアー」です。

 カウンターの一角に腰をおろし、今月のカクテルメニューからギムレット・オン・ザ・ロック(620円)を注文すると、今日のお通し(310円)は甘味の入った濃厚なチーズと、カニみそバターです。

 ここ「ピュアー」のマスターも、同郷(愛媛県出身)の大先輩。練馬のもつ焼き「金ちゃん」の店主もそうなのです。

 日付けが変わるころまで1時間ほど楽しんで、お勘定は930円でした。どうもごちそうさま。

 そんなわけで今日は午後5時過ぎから午前0時過ぎまで7時間の間に、5軒のお店で、ビール(大瓶)を2本、酎ハイ類(ホッピーも含む)を3杯とカクテルを1杯いただいて、総額5,597円。1軒あたり平均1,120円でのご近所ハシゴ酒でした。

 今年は年頭に「じっくりと」というテーマを掲げて、なるべくじっくりと飲むように心がけていたのですが、たまにはこういうハシゴ酒もおもしろいですね。

・「ピュアー」の店情報前回

《平成20(2008)年7月5日(土)の記録》

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近所の酒場をハシゴ酒(1) … 「川名」「ほ里乃家」

1軒目: 焼き鳥「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

皮ニンニク串


 土曜日の今日は、近所の酒場をハシゴ酒です。

 まず1軒目は阿佐ヶ谷の焼き鳥「川名」。氷なしホッピー(336円)でスタートすると、お通しはレタス・サラダです。いつもお通しとして果物が出ていた「川名」ですが、最近のお通しは葉っぱものになったようです。

 1品目の肴(さかな)は、今シーズン初となるアユ炭焼き(231円)です。小ぶりとはいえ、1尾丸ごとのアユが231円というのが「川名」らしいですよねぇ。

 2杯目は生グレープフルーツサワー(336円)をもらって、皮ニンニク串(168円)と、鳥中おち串(126円)を1本ずつ焼いてもらいます。

 秀逸だったのは皮ニンニク串。1本の串に、鳥皮でくるりと巻いたニンニクが5個並び、これを炭火で焼き上げたもので、カリッと焼けた鳥皮と、ホクホクのニンニクが実にいい相性です。

「これ、前からあった?」

 と、近くに来たハルカさん(店を手伝ってる女性)に聞いてみたところ、

「だいぶ前からありましたよ」

 という返事。このところ、いつも奥のテーブル席に座っていたので気がつかなかったんですね。今日は久しぶりにカウンターの、しかもネタケース前に座ったので、そこにずらりと並んでいる皮ニンニク串に気がついたような次第です。

 1時間半ほどの滞在は1,197円でした。

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アユ炭焼き / 皮ニンニク串と鳥中おち串 / ネタケースに並ぶ皮ニンニク串

・「川名」の店情報前回

            ◆   ◆   ◆

2軒目:大衆割烹「ほ里乃家(ほりのや)」(鷺ノ宮)

つぶ貝刺身


 「川名」を出て、中杉通りを北上。西武新宿線・鷺ノ宮(さぎのみや)駅のすぐ近くにあるのが大衆割烹「ほ里乃家」です。

 瓶ビール(アサヒスーパードライ、600円)をもらうと、お通し(200円)はモヤシとニラを和えたもの。肴には、つぶ貝刺身(450円)を注文します。つぶ貝のしっかりとした弾力感が大好きなのです。

 土曜日も、J字カウンターのみ12席程度の「ほ里乃家」の店内は、近くの常連さんたちでほぼ満席の状態。ご夫婦でいらっしゃるお客さんが多いのは、ここ「ほ里乃家」自体が、店主ご夫妻で切り盛りしているお店だからでしょうか。

 1時間強の滞在は1,250円でした。どうもごちそうさま。

 さぁ、次へ向かいましょう!

・「ほ里乃家」の店情報前回

続く

《平成20(2008)年7月5日(土)の記録》

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港のバーでバーボンを … バー「スリーマティーニ(Three Martini)」(横浜市・元町中華街)

4種のバーボン


 新著「ひとり呑み」の見本版を届けに来てくださった、WAVE出版編集のNさんと、2軒目として向かったのは「秀味園」からもほど近いところにあるバー、「スリーマティーニ」です。

 店内には、LPレコードのジャズが流れており、大桟橋(山下公園)にも近いからか、船をモチーフにしたグッズ類も多く、いかにも「横浜」って感じなのです。

 東京のホテルのバーで修業した店主の山下さんが、野毛にバー「スリーマティーニ」を創業したのは、平成6(1994)年のこと。それから7年たった平成13(2001)年に、ここ山下町に、より広いバーを構えたのだそうです。そんなわけで、比較的新しいお店なのですが、すでに「横浜のバーと言えば」という1軒になっています。

 店内は、やわらかい皮製クッションの肘のせがあるカウンターを中心に、ゆったりソファーのテーブル席が2卓。東京ならば確実に「オーセンティック・バー」と呼ばれる内容のバーなのですが、ここ「スリーマティーニ」は、慇懃無礼にもったいぶったところも、堅苦しいところも一切なくて、若い人から、年配のお客さんまで、まったく普通の感じでくつろいでいるのが素晴らしい。バーの多い、横浜ならではのバーの雰囲気なのでしょうか。

 残念ながら、今日は店主の山下さんはお休みの様子。「スリーマティーニ」は、年中無休で17:00~03:00の営業なので、店の人たちはかわりばんこに休みを取らないといけないんですね。

 カウンターの一角に座り、銘柄を指定せずに「バーボンのソーダ割り」とお願いしたところ、新しいボトルの封が切られて、かなり濃厚な感じのバーボン・ソーダが出されます。その濃厚さは、なんとなくバターっぽい後味を舌の奥のほうで感じるほど。ほぉ、と思いながらボトルを確認すると、「ビュレット(ブレット)バーボン」(BULLEIT BOURBON)という銘柄です。

 続いてNさんが「私は水割りを」と注文すると、「同じくバーボンでいいですか?」と確認が入り、出されたのは「ワイルド・ターキーのシェリー樽仕上げ」(WILD TURKEY SHERRY SIGNATURE)の水割りです。なんとまぁ、癖のあるバーボンも、シェリー樽で仕上げちゃうんですねぇ。

 私のも、Nさんのも、どっちのバーボンも、バーボンらしくない(荒々しくない)高級な味わいなのがおもしろいですねぇ。

「2杯目もバーボン・ソーダを」

 とお願いすると、「それじゃ違うものをお作りしましょうね」と、またまた新たなボトルは「ヴァージンバーボン」(VIRGIN BOURBON)のソーダ割りです。Nさんは、小さなボトルのワイルド・ターキーの水割りです。

 午後10時過ぎまで、1時間半ほどのバーボン・タイム。お勘定は5,040円(ひとりあたり2,520円)でした。やぁ、美味しかった。どうもごちそうさま。

 「スリーマティーニ」を出て、1~2分歩くと、そこがもう元町・中華街駅の1番出口。東京に帰るNさんを見送って、私も帰路についたのでした。

店情報前回

《平成20(2008)年7月1日(火)の記録》

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酒場としても十分OK … 台湾料理「秀味園(しゅうみえん)」(横浜市・元町中華街)

「秀味園」で出版祝い


 新著「ひとり呑み - 大衆酒場の楽しみ」の見本版ができあがったということで、WAVE出版編集のNさんが、横浜までその本を持ってきてくれました。

 せっかく遠くまでお運びいただいたので、ぜひ一献やりながら、ということで向かったのは、横浜中華街は関帝廟通りにある台湾料理の店、「秀味園」です。

 ここ「秀味園」は、500円で食べることができる魯肉飯(ルーローファン、豚肉煮込み丼)が大人気のお店。店内は4人掛けのテーブル席2卓のみと非常に小さく見えるのですが、実は奥にも部屋があるようです。切り盛りするのは、おかあさん2人。ひとりは日本語を話すことができるものの、もうひとりは中国語しかわからない様子です。

 火曜日、午後6時半の店内は先客はなし。我われ二人は、奥側のテーブル席に座り、まずはアサヒビール(スーパードライ中瓶、600円)をもらって本のできあがりに乾杯し、つまみには魯(ルー)と呼ばれる煮込んだつまみ(1,000円)と、台湾風腸詰(1,000円)を注文します。

 煮込んだつまみは、その名のとおり、煮込んだ手羽先、昆布、豚耳、干豆腐(かんどうふ)、玉子を一皿に盛り合わせて、タレをかけ、刻みネギをトッピングしたもの。それぞれにいい味わいなのですが、特に干豆腐は、とても豆腐と思えないような、チーズっぽい食感がおもしろい一品です。

 1本目のビールはすぐに飲み終わり、2本目として台湾ビール(小瓶、500円)をもらったところで、揚げたての台湾風腸詰も出てきました。甘ーい感じの腸詰に、その腸詰と同じくらいの厚さにスライスした白ネギをのせ、ピリ辛味噌をちょいとつけていただきます。

 ビールの後は、紹興酒をボトル(2,000円)ごとお燗してもらい、新著「ひとり呑み」を前に、Nさんと飲み交わします。

 お客さんもどんどんやってきますが、ほとんどの人は魯肉飯(500円)目当ての人。みなさん、サクサクっと魯肉飯をかきこむと、すっと帰っていくので、お客さんの回転の速いこと速いこと。お持ち帰りで魯肉飯をもらっているお客さんもたくさんいます。じっくり腰をすえて飲んでるのは、我われと、座敷にいるもう一組くらいでしょうか。

 一般的な魯肉飯は、細切れにした豚肉を、醤油ベースの甘辛い煮汁で煮込み、丼ご飯の上にかけたものですが、ここ「秀味園」の魯肉飯は、細切れの豚肉煮込みは、丼ご飯のほんの一角にのっているだけ。他に高菜と味付玉子がのり、さらによく煮込まれた豚肉の角煮がどんとのっているのが特徴的。「これで500円は安いよなぁ」と、ほとんどの人が感じる一品に仕上がっているのです。

 中華にも造詣が深いG.Aさんのサイトによると、『この角煮を潰し、味付玉子も潰し、全部の具材とご飯を混ぜるのが、正しい魯肉飯の食べ方』なんだそうです。

 我われも、その魯肉飯も食べたいし、でも食べちゃうと、お腹がいっぱいになって飲めなくなってしまうし、と迷っていると、

「切干大根と玉子の炒め(菜脯卵、600円)でも作りましょうか」

 と、おかあさんが提案してくれます。そのおすすめにのって切干大根と玉子の炒めを注文してみると、これが切干大根を混ぜ入れた玉子を、平たく丸く焼いたもの。「川名」のタクアン玉子焼きのような食感ですが、切干大根だけあって、大根部分はこちら「秀味園」のほうがちょっと固いかな。でも、これは非常に好みに合いますねぇ。できたて熱々の間に、ハフハフといただきます。

 この店では魯肉飯がやたらに有名ですが、お酒を飲む場合には、そのつまみとして豚もつの炒め(炒猪肚、1,000円)や、青菜の炒め(炒青菜、500円)、水餃子(700円)、豚肉の煮込み(500円)、台湾風焼ビーフン(炒米粉、700円)、台湾風焼きそば(700円)、台湾風大根もち(500円)、魚団子スープ(魚丸湯、500円)、高菜漬け豚もつのスープ(500円)などがあり、しめの炭水化物も台湾風汁ビーフン(米粉湯、500円)、台湾風ラーメン(台湾老麺、500円)、ワンタン(500円)とそろっていて、酒場としても十分にOKではないかと思います。魯肉飯だけの利用じゃもったいないですよね。ただし、平日は午後9時がラストオーダーなので、早めに出かけないといけません。

 2時間ほどゆっくりと楽しんで、今日はふたりで5,700円(ひとりあたり2,850円)でした。どうもごちそうさま。

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煮込んだつまみ / 台湾風腸詰 / 切干大根と玉子の炒め

店情報前回

《平成20(2008)年7月1日(火)の記録》

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〔コラム〕 超豪華・贈答用の祭ずし(岡山)

贈答用祭ずし


 つい先日、岡山の「祭ずし」のことを書いたばかりなのに、またまた「祭ずし」の話。会社の夏休み中の帰省で、いつかは食べてみたいと思っていた「祭ずし」の最上級豪華版、「贈答用祭ずし」(2,800円)を食べることができました。

 「祭ずし」は、酢飯の上に、岡山の海の幸を中心とした具材をのせた豪勢なちらし寿司で、岡山駅などで駅弁として購入することができるものです。

 ごく一般的な、桃の形の容器に入った「桃太郎の祭ずし」(1,000円)のほか、その「桃太郎の祭ずし」より具材も増やし、素材の質もよくした「特上祭ずし」(1,250円)があり、私のおすすめは「特上祭ずし」です。

 今回の帰京時は、所用で上京する父母も一緒だったので、この「特上祭ずし」を2人前買おうとしたのですが、残念ながら売店に残っていた「特上祭ずし」は1人前のみ。「桃太郎の祭ずし」は、たくさんあるんですけどねぇ。

「贈答用はいかがでしょう。特上2人前と比べても300円高いだけですよ」

 と売店のおばちゃん。そうか。それじゃ、いつかは食べてみたかった「贈答用祭ずし」にしてみましょう。

 「贈答用祭ずし」は、「特上祭ずし」3人前ほどをご贈答に向くように黒い重箱容器に盛り付けたもので、淡い紫色の風呂敷で包まれています。しかも、それを入れてくれる紙袋もけっこう立派なもの。

 新幹線に乗り込んで、さっそく「贈答用祭ずし」の包みを解くと、いやぁーっ、これは豪華ですねぇ! 酢飯の上には、まず錦糸玉子が敷き詰められ、その上に、えび煮、穴子煮、も貝煮、椎茸煮、さわら酢漬、ままかり酢漬、シャコ酢漬、サヨリ酢漬、れんこん酢漬、そして紅生姜が、見た目もきれいに盛り付けられていて、食べるのが惜しいほどです。

 割り箸や手ふきなどは、それぞれ3人前ずつ付いていますが、特に取り皿などはないので、重箱容器の蓋(ふた)の部分に取り分けたりしながら3人でいただきます。酢がよく効いていて、甘くない味付けなので、どんどん食べることができるちらし寿司で、量的にも3人で食べても十分なものでした。

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風呂敷に包まれた贈答用祭ずし / 風呂敷の中は黒い重箱容器

 この「祭ずし」は東京への帰り道の話で、行き(松山に向かうとき)は、いつものように夜行バスでした。いつもは新宿・思い出横丁で一杯やってからバスに乗り込むのですが、今回は家を出るのがギリギリになったため、食事だけでの「つるかめ食堂」です。

 「つるかめ食堂」には、名物のソイ丼のほか、元気丼、健康丼といった丼ものが、それぞれ500円で並んでいるほか、すべての料理に対して300円プラスでライスと味噌汁が付いて、定食とすることができるのです。

 店に入るなり、「飲みますか? 食事ですか?」と聞いてくれるおにいさんに、「食事です」と答えると、すぐにコップに入った冷たいお茶を出してくれます。今日は初めて食べる元気丼(500円)にしてみますか。

「元気丼をお願いします」と注文すると、

「はーい、元気丼!」と、数人の店員さんが元気よく復唱の声が飛びます。

 元気丼は、小さめの丼に盛られたご飯の上に、牛スジ煮込み(単品は300円)とハムマリネ(こちらも単品は300円)をのせたもので、牛スジ煮込みのこってり感と、玉ネギやレタスなど、野菜も多いハムマリネのさっぱり感がいい対比です。

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「つるかめ」の元気丼 / 「かけはし」のぶっかけうどん

 夜行バスでぐっすりと眠って、一夜明けると、もう松山。寝てる間に移動できてしまうこの感覚が夜行便のいいところですよねぇ。

 朝食はJR松山駅構内にある、うどんの「かけはし」で、とろ~り玉子と刻みじゃこ天のぶっかけうどん(550円)と、田舎寿司(巻き寿司3切れ、150円)です。

 本来の松山あたりのうどんは、鍋焼きうどんの「ことり」などで食べられるような、やわらかい麺のうどんなんだろうと思います。子どもに食べたうどんは、そういうのが多かったように記憶しています。

 しかしながら、その後の讃岐うどんの台頭によって、このあたりのうどんもすっかり讃岐風になってきたようです。ここ「かけはし」のうどんも、店内にもはっきりと明示してあるほどの讃岐風。もともと、じゃこ天の販売が本業だったので、讃岐風のうどんに、じゃこ天をのせるという、この店独特のスタイルを確立したんでしょうね。少なくとも、私が高校生くらいのとき(今から30年ほど前)には「じゃこ天うどん」というメニューのあるうどん屋はなかったと思います。讃岐うどんと、じゃこ天が、ともに「四国と言えば」と言われるほどの名物になったからこそ、できあがった組み合わせなのかもしれませんね。

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「露口」のカクテル / 「信子」のマッカラン30年

 昼間はのんびりと瀬戸内の海の幸で日本酒をいただいて、夜になると旧友たちと酒場に出かけと、まさに好き放題の夏休みを過ごすことができたのでした。

《平成20(2008)年7月29日(火)~8月1日(金)の記録》

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優しくて、ゆったりと … バー「バッカス」(松陰神社前)

店内の様子


 「酒の高橋」を出て、宇ち中(うちちゅう)さんと一緒に向かったのは、以前、「宇ち中」ブログで紹介されていた居酒屋「まつもと」です。

 この店は、宇ち中さんが「酒の高橋」の常連さんから教えてもらったお店なんだそうです。呑ん兵衛同士の口コミ情報ほど正しいものはありません。「酒の高橋」のようなお店の常連さんからの口コミ情報ならなおさらのことです。

 ところが、たどり着いた「まつもと」はビッチリと満席状態で、残念ながら入ることはできませんでした。どの駅にもそれほど近くないにも関わらず、この盛況ぶり。ますます来てみたいお店のひとつになりました。

「それじゃ、次へ!」

 と向かったのは、「TOKIO古典酒場 沿線酒場〈京成・世田谷線〉編」で紹介されていた、昭和35(1960)年創業のバー、「バッカス」です。

 目指す「バッカス」は、世田谷線・松陰神社前(しょういんじんじゃまえ)駅のすぐ近くにありました。店頭の看板には「カクテルの店 バッカス」の文字。「バー」とあるよりも、「カクテルの店」のほうが、なんだかやわらかい印象で入りやすそうですね。

 入口の木戸を開けて店内に入ると、四角い小ぢんまりとした店内には右手から、店の奥を回って、左端まで、内側に座るタイプのL字カウンターがあり、先客はありません。

「いらっしゃいませ」

 と笑顔で迎えてくれるのは、「TOKIO古典酒場」の写真でお目にかかったマスターです。こうやって事前情報があると、はじめてのお店でもなんだか安心できますね。

 宇ち中さんと並んでカウンターの端っこに陣取り、私はジンバック(ジン+ジンジャーエール+レモン)を、宇ち中さんは同じくジンジャーエールを使ったモスコーミュール(ウォッカ+ジンジャーエール+ライムの代わりにレモン)を注文します。

 メニューは、言えばあるのかもしれませんが、特には示されず、自分の飲みたいものを注文すれば作ってくれる形式です。「TOKIO古典酒場」によると、カクテル各種が650~800円ほどらしいので、安心して飲めそうですね。

 それよりもなによりも、マスターがとても優しいので、いろいろと相談しながら飲みたいお酒を決めていけそうです。

 古くから続く町場のバーは、よくも悪くも、その店のマスターのカラーが大きく反映されていて、とても厳しくストイックな感じの店もあれば、やわらかくて、ゆったりとした感じの店もある。この店は明らかに後者で、はじめてでもゆったりとくつろぐことができます。

 先ほど開けたジンジャーエールが、まだ残っているようなので、2杯目もジンジャーエールを使ったカクテルをもらうことにして、マスターに、

「ブランデーベースで、ジンジャーエールを使うカクテルを」

 とお願いしたところ、作ってくれたのはシンプルにブランデーをジンジャーエールで割ったブランデージンジャーでした。宇ち中さんの2杯目はウイスキー・ハイボールです。

 お客さんも増えてきて、店の奥にいたママさんも、カウンターの中に出てこられました。開店以来、ずっとおふたりで店を切り盛りされてきたのだそうです。

「最後は、ピリッときついショートカクテルでしめますか」

 ということで、私はスティンガーを、宇ち中さんはギムレットを注文します。

 ショートカクテルは、ほとんどのものが、かなりアルコール度数が高いにも関わらず、甘さと、酸っぱさ、そして冷たさなどで、その強さをほとんど感じないで飲んでしまうことができる危ないお酒。とくに、こうしてたくさん飲んだ後でも、クイッと短時間で飲めてしって、その効きが後からガツンとやってくるので始末が悪いのです。そうやって、始末が悪いことがわかっていても飲みたいというのもショートカクテルですよねぇ。

 ひとり3杯ずつ、合計6杯のカクテルをいただいて、お勘定はふたりで4,200円(ひとり2,100円)でした。カクテルが、1杯あたり平均700円ということですね。これは安い。どうもごちそうさまでした。

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店頭の看板 / ジンバックとモスコーミュール / スティンガーとギムレット

店情報

《平成20(2008)年6月28日(土)の記録》

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店情報: バー「バッカス」(松陰神社前)

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  • 店名: カクテルの店「バッカス」
  • 電話: 03-3422-2004
  • 住所: 154-0023 東京都世田谷区若林3-19-6
  • 営業: 17:00-24:00、無休
  • 場所: 世田谷線・松陰神社前下車。線路右側に沿って三軒茶屋方面に徒歩約1分。右手。
  • メモ: 昭和35(1960)年5月開店。カクテル各種が650~800円ほど。(2008年6月調べ)

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開店前から常連さん? … 大衆酒場「酒の高橋(さけのたかはし)」(世田谷)

刺身三点盛り


 久しぶりにやってきた世田谷(せたがや)の町。今日は午後5時の開店時刻を目指して「酒の高橋」です。近くでぶらぶらしながら暖簾(のれん)が出るのを待ち、暖簾が出たところで、地元の常連さんらしき年配の男性客に続いて店内へと入ります。

 当然、店内の先客はその男性客ひとりかと思いきや、なんとその男性客のさらに奥側に、フライングスタートの男性ひとり客がいるではありませんか。うーむ。相当な常連さんに違いない、と思いながら、そのお客さんを見てみると……。

 あれっ! 宇ち中(うちちゅう)さん!?

 お互いにびっくりし合いながら、宇ち中さんのとなりの席に座り、宇ち中さんのキープしている一升瓶のキンミヤを、名物の豆乳で割って乾杯です。

 料理のほうは、これまたこの店の名物の刺身三点盛り(600円)を注文し、それができるのを待つ間は、今日のお通しとして出された2切れの煮こごりをつまみます。

 「酒の高橋」は女将さんと、その女将さんの義妹で、ホールを担当するケイちゃんのふたりでやっているのですが、ケイちゃんが店に入るのは午後6時以降。それまでの間は女将さんひとりでの切り盛りです。

 今日の刺身は、ホタテとイワシとマグロ。単品だとそれぞれ500円のところを、三点盛りだとそれぞれを2~3切れずつ盛り合わせてくれて600円と、あれもこれも食べたい場合には最適なのです。

 常連の宇ち中さんによれば、刺身の仕入れは3品とは限らず、4品という日もあるそうで、その場合はメニューは「刺身三点盛り」のままながら、実際に出されるのは4点盛りだったりするのだそうです。

 私が店に入った後からも、次々とお客さん(ほとんどが男性ひとり客)が入ってきているのですが、そのお客さんたちの注文を聞いていると、刺身を単品で注文する人や、「ホタテとマグロをちょうだい」と2品注文する人などもいます。大きく切って出されるこの店の刺身は、やはり大人気のようで、ほとんどのお客さんがなんらかの刺身を注文しているようです。

 まわりのお客さんたちからポテトサラダ(350円)の注文が出て、我われもそれに便乗してポテトサラダを注文します。野菜たっぷりの「酒の高橋」のポテトサラダも、早めに注文しておかなければ売り切れてしまう人気の品です。

 刺身三点盛りと、ポテトサラダという、年間を通して人気のある2品をおさえて、まずはひと安心。飲み物も黒ホッピーに切り替えます。

 冬場だと、これらに加えて鍋物が大人気で、白子鍋、アンコウ鍋、カキちり鍋、カキ鍋、豚ちり鍋、豚みそ鍋、タラちり鍋などが、それぞれ1人前6~800円で、1人前から注文できるのでした。

 黒ホッピーを飲みながら、カウンター上に並んだ短冊メニューをながめていたところ、その中に「黒豚のもつ炒め」(420円)というのがあるのを発見。宇ち中さんも気になっていたんだそうで、さっそくそれをもらいます。

 出てきたのは豚のシロモツ(腸)を、玉ネギとともに炒めた一品。シロモツのぷりぷりとした弾力感もよくて、実にいいもつ炒めです。

 午後8時過ぎまで、3時間以上におよぶ楽しい時間は、ふたりで3,260円(ひとりあたり1,630円)でした。どうもごちそうさま。

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「酒の高橋」 / 金宮の豆乳割り / お通しの煮こごり

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黒ホッピー / ポテトサラダ / 黒豚のもつ炒め

店情報前回

《平成20(2008)年6月28日(土)の記録》

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丸い氷でオンザロック … バー「エンジェル(ANGEL)」(都立家政)

マッカラン・オンザロック


「氷がもったいないから、同じものをおかわりとおっしゃる方が多いんですよ」

 と、ニッコリと微笑むのは都立家政にあるバー「エンジェル」の店長兼女性バーテンダー。

 図星。まさにそのとおりの理由で、私も2杯目となるマッカラン12年(800円)のオン・ザ・ロックをお願いしたのでした。その2杯目のロックを作ってくれながら出たのが、冒頭のセリフです。

 この店のロック・アイスは、店長自ら手作りした、まん丸アイス。

 ロック・グラスの内径とほぼ同じ大きさの、まん丸ロック・アイスを1個、コロリとグラスに入れて、そこにウイスキーをついでくれるのです。

 同じ体積を持つ物体の中で、表面積が一番小さいのが球形。単位体積(1)あたりの表面積は、たとえば立方体の6に対して、球は約4.8と、20%ほど表面積が少ないのです。

 この表面積の小ささが、氷の溶けにくさにもつながり、長持ちして、ウイスキーを薄めない氷になるらしいのですが、それよりもなによりも、見た目が美しいですよね。

 最近は、氷を作るときからまん丸に作ってしまえる装置や器もあるらしいのですが、そういったもので作る真球度の高い氷よりも、こうやって手作りされた、表面にでこぼこのある氷のほうが、見た目にはより美しいと感じます。そのでこぼこした部分に照明が微妙に反射して、万華鏡のようにいろんな光り方をするからでしょうか。あるいは作った人の一所懸命さが、その形から伝わってくるからでしょうか。

「手が空いてるときに作るんですけど、1日に7個分くらいしか用意できないんです」

 へぇーっ。そんなにも手間ひまのかかるものなんですね。そう聞くと、ますます1杯では止められない。

 というか1杯(シングル)だと、丸い氷の底のほうしかウイスキーに触れないので、最初から2杯分の量(ダブル)を入れてもらっておけばよかったんですね。今度からはそうしなくっちゃ。

 今日、「エンジェル」にやって来たのは午後9時40分。ちょうど1ヶ月前にオープンしたばかりの新しいお店なので、まだあまり人にも知られておらず、金曜日の夜ながら先客は5人ほど。とは言え、カウンター8席のみの小さな店内なので、私も入って6人になると、もう75%の充足率です。(ひとり増減するたびに、12.5%ずつ増減します!)

 まずは喉の渇きを癒(いや)すためにソルティ・ドッグ(ウォッカとグレープフルーツのカクテル、800円)をもらって、それを飲みながら「さて、2杯目は何にするかなぁ」と検討していたところ、近くに座っている人の注文したオン・ザ・ロックのまん丸氷に魅せられて、私もマッカランのオン・ザ・ロック(800円)を注文したのでした。

 同じお酒を飲んでも、家で飲むのと、バーで飲むのとでは違う味に感じるのは、あながち雰囲気の違いによる気のせいだけではなくて、こうやって時間をかけて手作りした丸い氷の有無などによる実質的な違いも大きいのかもしれませんね。

 ゆっくりと2時間ほどくつろいで、ソルティ・ドッグとマッカラン2杯でのお勘定は2,400円(800円×3杯分)でした。

店情報前回

《平成20(2008)年6月27日(金)の記録》

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夏に食べたい鶏もつ鍋 … 軍鶏料理「竹やぶ(たけやぶ)」(中野)

もつ鍋


 もつ鍋が食べたくて、中野5丁目の「竹やぶ」にやってきました。もつ鍋といっても、博多風の牛もつ鍋ではなくて、ここ「竹やぶ」で出てくるのは鶏(とり)のもつ鍋です。しかもこのもつ鍋、1人前が700円で、1人前から注文できるというのが嬉しいではありませんか。

 店に着いたのは午後8時。たまたま先客はおらず、カウンターの一番奥の席に座り、アサヒとキリンが選べる瓶ビールのキリン(ラガー中瓶、500円)を選んで、合わせて目当てのもつ鍋を注文します。

 すぐに出されるお通し(おそらく400円)は、小鉢に盛られたインゲン豆と油揚げのゴマ醤油和えです。

 この店は、入口のすぐ横が小上がりの座敷席になっていて、その座敷席を通り抜けた奥に厨房と、その厨房を囲むようにL字型のカウンターがある造り。つまり私が座っている、カウンターの一番奥の席は、店の一番奥の席でもあるのです。

 もつ鍋は、カウンターの中で用意され、コンロとともに目の前に出され、生の状態から着火です。

 もつは、玉ひもと呼ばれる、体内卵(キンカン)と輸卵管(ヒモ)が主体。これが豆腐、シラタキ、玉ネギ、ニラ、エノキなどと一緒に、黒い小さなすき焼き鍋風の鉄鍋に盛りつけられています。出汁(だし)も、すき焼き同様の、醤油と砂糖で甘辛く味付けられた割り下です。

 待つことしばし。クツクツと煮えてきたらできあがりで、小鉢にとってハフハフといただきます。うーん。このもつ鍋も、夏でも食べたい、いや夏こそ食べたい鍋のひとつですよねぇ。そろそろ泥鰌(どじょう)鍋も美味しい季節だ。

 ここ「竹やぶ」は軍鶏(しゃも)料理店。このもつ鍋以外にも、軍鶏鍋(1,400円)、地鶏(じどり)鍋(1,300円)、つくね鍋(1,400円)などの鍋物のほか、鶏塩辛(300円)、軍鶏皮(600円)や、軍鶏さしみ(1,000円)、とりわさ(600円)。そして焼き鳥も、身やつくねが各250円、レバー、ハツ、砂肝が各130円、手羽先が160円などと、いろいろと楽しめるようになっています。

 店は店主と、それを手伝う女性の二人で切り盛りしています。この女性、どこかで見たことがあるなぁ、と思っていたら、なんとなんと昨年末に惜しまれながら閉店した、このすぐ近くのバー「羊仔」のマスターの娘さん、カッちゃんでした。「羊仔」にも手伝いにいらっしゃってたので見たことがあったんですね。でも、違う店にいると、違う人みたいに見えてしまいます。

 カッちゃんの話では、マスターもちょっと体調をくずされたりしたことはあったものの、お元気に過ごしておられるそうで、ひと安心です。

 ふと気がつくと、店内は座敷席にも、カウンター席にも、それぞれ何人かずつのお客さんが入っている状態。L字の角のところに座っている、年配の男性ふたり連れは、いかにも常連さんらしく、店主やカッちゃんとも親しげに会話を交わしながら飲んでいます。L字の短辺のところと、座敷席には、それぞれ若い男女二人連れが座り、焼き鳥を食べているようです。

 さてさて。鍋も食べ終わったし、ぼちぼちと腰を上げますか。瓶ビール(キリンラガー中瓶、500円)を2本いただいて、約1時間の滞在は2,100円でした。どうもごちそうさま。

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「竹やぶ」 / ビールとお通し / もつ鍋

店情報前回

《平成20(2008)年6月27日(金)の記録》

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甘さが特徴、牛煮込み … 大衆酒場「大山酒場(おおやまさかば)」(大井町)

にこみ


「大山酒場の煮込みも、裏側に脂肪分が多くて美味しいんですよ」

 そんな噂を耳にして、東京ビッグサイトに出かけた帰り道に「大山酒場」にやってきました。東京ビッグサイトから、りんかい線経由で横浜方面に帰ろうとすると、ちょうど大井町が乗り換え駅。非常に都合がいいのです。

 午後5時半の店内は、お客さんは5~6人しか入っておらず、どこにでも座れる状態。入口から見て左側カウンターの、コンロの前あたりに陣取ります。この場所だと、玉子料理などを作っていく様子がよく見えるのです。

 席に座るとすぐに「台拭きです」と、小さなタオルが出されます。なるほど、これは台拭きでしたか。みなさんこの台拭きをコースター代わりにしてグラスやジョッキを載せたり、指先をちょっと拭いたり、本来の用途どおり台を拭いたりするのでした。

 まずは瓶ビール(大瓶、580円)を注文すると、「アサヒ? キリン?」と確認してくれるおかあさん。今日はアサヒをお願いします。

 つまみはもちろん、お目当ての煮込み(480円)から。ここの煮込み鍋は、普通の家庭用の鍋で、そこから小鉢に軽く一杯の煮込みをついでくれます。この量で480円というのは、かなり高級品ですね。噂どおり、脂がたっぷりとついた牛の腸がメインで、一緒によく煮込まれた大根が数切れ入り、刻んだ白ネギがトッピングされています。

 どれどれと、さっそく一切れいただくと、かなり甘い味付け。なるほど、この甘さが、この店の煮込みの特徴なんですね。以前、コラムにも書いたとおり、コクの中心になるのは甘さと脂と旨さの3要素。ここの煮込みには、これらの3要素が強烈に効いています。

 煮込みはけっこう人気があるようで、次々と出ていきます。そろそろなくなるんじゃないかなぁ、といらぬ心配をしていると、奥の冷蔵庫からタッパー(プラスチック製密閉容器)に入った煮込みが出てきて、煮込み鍋に追加投入されました。なるほど。あらかじめたっぷりと作って冷蔵保存されてるんですね。

 その煮込みに劣らぬ人気なのがハムエッグス。目の前のコンロでどんどん作られていきます。私も、ここのハムエッグスは大好きで、ほぼ毎回注文する一品。しかし、今日はちょっと趣向を変えて、ニラ玉(380円)を注文してみます。

にら玉 その注文を受けて、まずは冷蔵庫から「ニラ玉」と書かれたポリ容器が出されます。これが味のついたダシ(そうめんつゆのような感じ)で、まずこれをフライパンに入れてパチンと着火。そのダシが沸くまでの間に、小鉢に玉子を割って、かき混ぜます。ダシが沸いたら、長めに刻んだニラをたっぷりと入れて、しばらく煮てから玉子を回し入れて、ニラをとじたらできあがり。お汁たっぷりのニラの玉子とじって感じかな。

 飲み物はお酒(連山、300円)に切り替えます。

「ぬるめの燗っていうのはできないんですか?」と聞いてみたところ、

「冷たいのか、常温か、あったかいのかという3つしかないんですよ。この時期(夏場)は、あったかいのもそれほど熱くしてないですよ」

 という返事で、そのあったかいのをもらうと、たしかにちょうどいいぬる燗具合です。

 ここのお酒は受け皿まで表面張力するほど注いでくれるので、いつも口から迎えに行っているのですが、それを見ていたおかあさんが「コップを持ち上げると(受け皿のお酒が減って)動かしやすいのよ」とアドバイスしてくれました。

 2品と2杯で1時間ほどの滞在は1,740円でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成20(2008)年6月26日(木)の記録》

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新登場・珍味三種盛り … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)

コノワタとホヤ酢


「珍味にも少し力を入れてみようと思うんですよ」

 そう語る店主が出してくれたのは、新たに登場したメニュー・珍味三種盛り(600円)のお試し版。三種をちょっとずつお皿に出してくれます。その三種は、海鼠腸(このわた)、海鞘(ほや)酢、そしてなんとキャビアです。その他にも苦うるか(鮎の内臓の塩辛)や、定番のイカ塩辛などが用意してあるということで、日本酒好きにはたまりません。

 今日なんて、お通し(200円)からしてフグの皮ですからねぇ。最初の1本だけビール(アサヒスーパードライ中瓶、500円)をいただいて、すぐに冷酒(高清水300ml瓶、600円)に切り替えたのでした。

 日曜日の今日は、口開け(午後5時)から、アサリの酒蒸し(550円)を注文して、ひとりチビチビと飲み始めたところ、そのアサリのできあがりを待っている間に店主が珍味三種盛りのサンプルを出してくれたのでした。サンプルとはいえ、もともと少量でお酒が進む珍味だけに、これでもう十分なほどお酒が飲める量です。

 アサリの酒蒸しもできあがりました。たっぷりと出汁(だし)が張られたアサリの酒蒸しは、アサリの身もそうですが、汁(つゆ)がまた、それ自体で酒の肴(さかな)になる逸品。大常連のTさんが、夏場になるとよくアサリの酒蒸しを注文されるのですが、さもありなん、という味わいです。

 この季節、貝類が多くて、今日もメニューには平貝(700円)、北寄貝(500円)、赤貝の肝の塩胡椒炒め(500円)などが並びます。貝以外にはホヤ(600円)、活けじめヒラメ(900円)、真鯛(800円)、カレイえんがわ(650円)、カツオ(600円)、ハモ天ぷら(800円)、クジラ竜田揚げ(650円)、イワシすり身・野菜汁(600円)、鮎塩焼(550円)、メバル姿煮(700円)、タイ・イサキの卵煮(600円)などなどといったラインナップ。いつもメニューを眺めながら、どれにしようかと悩むのです。

 しばらくしてやって来たのは近くに住むEさん。続いて入ってきた男性ひとり客は、なんと仙台(宮城県)から、東京で飲むために新幹線でやってきたのだそうで、先ほどまで「川名」にいて、こちらに回って来られたんだそうです。

「大宮経由で新幹線で帰れば2時間かからないくらいですから、近いものですよ」

 そんな話を伺っているところに入ってきた男性ひとり客は、以前もこの店でお会いした青森の男性。今回もまた、明日からの都内での仕事のために、前泊でこちらにいらっしゃったとのこと。Eさんも実は岩手のご出身ということで、店内はにわかに東北密度が高くなってきました。

 料理は自家製のイカ塩辛(350円)の五日目のものをもらって、お酒は静岡の「磯自慢」(別撰・本醸造、1合550円)です。

 塩辛は二日目のものと、五日目のものとがあるのですが、二日目よりも五日目のほうが色が薄い(白っぽい)のです。これは今日に限ったことではなくて、つねに熟成が長いほうが色が薄いのです。熟成すればするほど、色が薄くなっていくというのも面白いですよね。逆のイメージをもってました。

 軽く飲むつもりが、みなさんとの話も盛り上がって、気がつけばもう9時過ぎ。いやぁ、4時間も長っ尻してしまいましたか。今日のお勘定は3,300円。どうもごちそうさまでした。

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フグ皮ポン酢 / アサリ酒蒸し / 自家製イカ塩辛(五日目)

店情報前回

《平成20(2008)年6月22日(日)の記録》

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〔コラム〕 匿名希望(?)の人気店

ハモと松茸のしゃぶしゃぶ


「ハモの身1切れに、松茸(まつたけ)を1切れのせて、一緒に食べてください。それがこの店でのハモのしゃぶしゃぶの食べ方なんです」

 言われたとおりに、骨切りしたハモの切り身と、薄くスライスした松茸を、さっと湯にとおして、両方を一緒にポン酢醤油につけて口に含みます。フワッと広がる松茸の香りと、シャキシャキとした歯応えに、淡泊なのに脂ののったハモの身の軟らかさと、皮の部分のモチモチっとした弾力感。これらすべての絶妙なバランスに、思わず「これは美味しいねぇ!」と笑顔がこぼれます。

 ここは松山にある居酒屋M(←イニシャル)。いつも2カ月先まで予約でいっぱいで、店頭の札もいつも「準備中」で、決して「営業中」になることがありません。さらに、お馴染みさんと一緒じゃないと入ることができない、まるで「会員制」のようなお店であるということも大きな特徴です。

 店内は3つに仕切られた小上がりの座敷部屋(4人用2室に6人用1室)と、カウンター5席の、合計19席という小さな造り。この店内を店主夫婦がふたりで切り盛りします。店にはメニューはなくて、電話で予約するときに、その季節に応じた料理の内容を、店主と一緒に練りあげていくのだそうです。

 今日はこの店の常連さんであるHさんにご案内していただいて、旧友・Tと3人で、4人用の座敷席です。今日はハモのしゃぶしゃぶが出てくる予定なのだそうで、座卓の上にはすでにハモの唐揚げが置かれています。

 さっそくハモの唐揚げをひとつ口に入れると、骨切りして、しっかりと揚げたハモは、バリバリと噛み締める音が響くほどクリスピーなのに、皮の部分もっちり感は残っている。とても新鮮な食感です。ッカァーッ。生ビールが進みますねぇ!

 次に出されたのはウニが1箱。松山沖の興居島(ごごしま)で、今朝採れたウニなんだそうです。なにも処理せず生のまま箱に盛らたウニを、つるりと食べると、その軟らかいこと、甘いこと。

 ここから、飲み物も地酒に切り換えます。店主自身も日本酒好きで、自ら各地の蔵元をまわったりしてるんだそうで、特に「黒龍」は、「石田屋」なども含めて、全種類を置いているんだそうです。

 続いては北条沖で釣れたというシロアジの刺身です。プリップリの弾力感はシマアジ以上かも。

 そしていよいよ本日のメインディッシュ。冒頭でご紹介したハモと松茸のしゃぶしゃぶの登場です。大きな丸皿を、それぞれ半分ずつ、半月状に使って並べられたハモと松茸。これをしゃぶしゃぶと泳がしては食べ、泳がしては食べ。箸が止まることがありません。

 土瓶蒸しでハモと松茸の組み合わせをいただくことがありますが、あちらはもうちょっと具材も多くて複雑な味と香り。それに比べると、このハモと松茸のしゃぶしゃぶは、主役2品だけのシンプルな味わいなので、それぞれの個性と、組み合わせたことによる鮮烈さが際立ちます。

 最後にはハモと松茸のダシがよく出た鍋に讃岐うどんを入れてくれて仕上げです。

「本来はこれで終了ですが、ここに来たらぜひこれも食べてみてください」とHさんが店主に追加注文してくれて、出されたのはカツ丼。4人前くらい入りそうな大きな丼にずっしりと半分ほど盛られています。店主が「少なめにしといたで」と言ってくれるものの、それでも量が多いなぁ。

 このカツ丼は、ヒレカツを使ったもので、特徴的なのは玉子でとじていないこと。カツとネギを醤油味のダシで煮て、そのまま丼ご飯の上にのせているのです。Hさんが絶賛されるだけあって、たしかにこのカツ丼はうまいっ。

 季節ごとの料理を出すこのお店ですが、夏場はハモが、冬場はフグが名物で、それを目指してやってくるお客さんも多いのだそうです。

 たっぷりと午後11時まで楽しんで、気になるお勘定は、3人でなんと20,500円(ひとりあたり7千円弱)。

「今度はぜひ冬場にも、よろしくお願いします」とHさんにもお願いしながら店を後にしたのでした。

080730a 080730b 080730c
居酒屋M / ハモ唐揚 / 興居島産のウニ(食べかけ)

080730d 080730e 080730f
北条沖の釣りシロアジ / 「常盤松」 / 大皿に並ぶ松茸とハモ

080730g 080730h 080730i
野菜も投入 / 「越の雄町」 / 「黒瀬安光」(焼酎)

080730j 080730k 080730l
鍋で讃岐うどん / カツ丼(取り分けたもの) / デザートの葡萄

《平成20(2008)年7月30日(水)の記録》

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十条の名店で名物三品 … 大衆酒場「斎藤酒場(さいとうさかば)」(十条)

セット(コロッケと串カツ)


 赤羽(あかばね)からトコトコと歩いてやってきたのは十条(じゅうじょう)の町。赤羽~十条はJR埼京(さいきょう)線で一駅区間で、歩いてもあまり無理なくやって来れるのです。

 十条で行きたいお店は、昭和3(1928)年創業の老舗、「斎藤酒場」です。「斎藤酒場」は、午後4時半開店。まだ少し間がありますので、近くをまわってみることにします。

 赤羽から京浜東北線で一駅の東十条(ひがしじゅうじょう)は、十条からは商店街を歩いて10分ほど。赤羽を北の頂点として、南西の十条、南東の東十条を結ぶ二等辺三角形が、北区に広がるゴールデントライアングルとして酒場ファンの間で有名なのです。

 その東十条で、開店前から行列ができる店として知られているのが、もつ焼きの「埼玉屋」です。やぁー、今日もすでに大行列ができてますねぇ。大通り沿いのガードレールのところにずらりと並ぶ人数は、ざっと数えて25人ほど。開店と同時に満席になるパターンですね。

 そこから再び十条方向へと帰りながら、開店準備中の店々をキョロキョロと見て歩くのも楽しいですねぇ。しかしながら赤羽と違って、早くから飲める店は見つけられませんでした。

 午後4時半が近くなっても「斎藤酒場」の前には特に行列もなく、店内では淡々と開店準備が進んでいる様子です。駅のほうから歩いてきたおじさんが、のれんの出てない「斎藤酒場」にフッと入っていくと、それと入れ替わるように大きなのれんを持ったおかあさんが店の中から出てきて、「斎藤酒場」の開店です。

 店内には自然木でできた、ふぞろいな形のテーブル席がずらりと並んでいるのですが、最初に入ったおじさんは、右手前のテーブルの右端へ。私は、そのすぐとなりに座ります。この右手前のテーブルが、形もL字型をしていて、中に飲み物の冷蔵庫もあったりすることから、なんとなくカウンター席風に使われていることが多いのです。

 まずは瓶ビール(サッポロ黒ラベル大瓶、490円)をもらうと、今日のお通し(サービス)は里芋煮です。瓶ビールは、サッポロラガーが出るのかと思っていたら、明示的に「ラガー」とか「赤」(←ラベルに赤い星のマークがついているため)と言ってたのまないと、サッポロラガーは出ないんですね。

 料理はセット(220円)を注文します。

 この店には、それぞれ220円の三つの名物料理があります。コロッケと串カツ、そしてポテトサラダです。コロッケと串カツとは、それぞれ1皿2個(本)が1人前なのですが、セットと注文すると、1皿にコロッケを1個と串カツを1本盛り合わせてくれるのです。

 ずいぶん前からそういうセットがあるという情報は聞いていたのですが、コロッケが売り切れていることが多くて注文できたことがなかったのです。今日はさすがに口開け直後なのでOKでした。

 そうしているうちにも、お客さんがどんどん入ってきて15分ほど経った時点で、ゆるやかに満席模様になってきました。

 そこへふらりと入ってきたのは、なんと宇ち中(うちちゅう)さん。さっと店内を見渡して、ポツンとひとつ空いていた、私の三つ左の席(間にふたりを挟んだ先)に座ります。このあたりの位置関係が、むしろ一番気がつきにくいポジションかもしれないですね。

「冷しビールの赤いほうと、ポテトサラダをお願いします」

 とメニューに忠実に注文する宇ち中さん。この店はビールのことを「冷やしビール」と記載しているのです。でも、ちゃんと「赤」と指定するのはさすがです。私もポテトサラダとエビス黒ビール(小瓶のみ、380円)を追加します。

 その黒ビールが届いたところで、宇ち中さんにもごあいさつ。いやいや、どうもどうも。宇ち中さんも赤羽から十条へと、ゴールデントライアングル巡りをして来られて、ここ「斎藤酒場」がゴール。これから帰宅されて夕食なんだそうで、サクッと飲み干して店を後にされます。

 私のほうもエビス黒ビールを飲み干したところでごちそうさま。1時間ほどの滞在は1,310円でした。

080621g 080621h 080621i
「斎藤酒場」 / 瓶ビールとお通し / ポテトサラダ

店情報前回

《平成20(2008)年6月21日(土)の記録》

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