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煮るのはプロですから … おでん「平澤かまぼこ(ひらさわかまぼこ)」(王子)

国産牛の牛すじ


「うわっ。この牛スジ煮込みはうまいですねぇ。味もすごいけど、よく煮込まれた牛スジの、やわらかさと弾力感のバランスが絶妙だ!」

「あはは。ありがとうございます。うちはおでん屋なんで、煮るのはプロですから。」

 そう話してくれるのは「平澤かまぼこ王子駅前店」の店長・平澤慶彦(ひらさわ・よしひこ)さん。昼間は神谷(かみや)にある本店で蒲鉾(かまぼこ)などの製造を担当されたあと、夕方以降、ここ王子駅前店にやってきて、朝からこの店を切り盛りされている、お母さんで名物女将(社長)の京子さんとバトンタッチします。

「関西出身のお客さんたちに、牛スジはないの? と言われて、いろいろとやってみたんですが、牛スジを入れると、東京独自のおでん種であるチクワブやハンペンなどが脂(あぶら)だらけになってしまうんですよ。チクワブやハンペンの白さを保ちながら、どうやって牛スジをお出しするかを考えて、今のように別鍋で作って、牛スジ煮込み(250円)として、おでんとは別メニューでお出しする方向に行き着きました。」

 材料となる牛スジは「山蓄(やまちく)」(コメント欄に詳細)から仕入れた国産牛のもの。これをおでんの汁(つゆ)で煮込むのがおでん屋さんならではです。

「2時間煮込んだら、火を止めて2時間置きます。それからまた2時間煮込んでアクを取って、味噌で味を調えます。おでん汁の他に入れるのは味噌だけなんです。」

 なんでもないことのようにそう話してくれる慶彦さん。うーむ。この煮込みだけで6時間ですか。その手間ひまが凝縮されて、この味わいを生んでるんですね。これが1人前250円というのは信じられない低価格だなぁ。

「魚のスジも作りたてのものを持ってきましたから、食べ比べてみてください。」

 そういって、おでん鍋に入れる前の、おでん種としての魚スジを出してくれます。この魚スジはホオジロザメやカジキマグロのスジを団子状にまとめて煮たもの。こちらは牛スジと違って、最初に2時間煮たら出来上がりなんだそうです。このまま食べても美味しいものなんですねぇ。

「これをおでんに入れると、フンワリとなってまた美味しくなるんですよ」

 と教えてくれるのは、「日々雑感【美味しいもの大好き♪】」のたーぼーさん。

 つい先日、たーぼーさんに「行きつけの、もつ焼きやもつ煮込みの美味しい店を教えてください」とお願いしたところ、「じゃ、平澤かまぼこ店かな」というお返事。おでん屋なのになぜ??? と、クエスチョンマークたっぷりの状態でこの店に連れられて来たところ、絶品の牛スジ煮込みを食べさせてもらうことができたのでした。

 たーぼーさんも、店長の慶彦さんも、地元・王子のご出身。慶彦さんはたーぼーさんの1年後輩なんだそうで、今もお店の人とお客さんというよりは友達同士のような感じで、楽しそうに会話を交わしています。

 店に入るなりいただいた飲み物は、酎ハイの大ジョッキ(450円)。氷入りの大ジョッキの真ん中くらいまで焼酎が入り、残り部分に瓶のハイサワー(200ml)を注ぐとちょうどジョッキいっぱいになるという、ものすごい焼酎の濃さ。調子にのってクイクイやっていると、すぐに出来上がってしまいそうです。

 そして出てきたのは幻のチャーシューこと、「じっくり煮込んだ焼豚」(250円)です。その名称のとおり、ギュッと巻いた豚バラを、それだけで(ダシも取らずに)じっくりと5時間ほど煮て、火を止めて冷まして、そして店にもってきてからもう一度煮込んで仕上げるという、これまた手間ひまかかる一品。いったん煮汁の中に出た肉の旨みが、冷ます過程でまた肉の中に戻ってきて、肉の味がしっかりとする、まるでシチューのような焼豚に仕上がっているのです。

 それだけ手間ひまがかかるためか、この焼豚は昔は水曜日にしか出していなかったんだそうで、今もいつもあるとは限らない品。それゆえに幻のチャーシューと呼ばれているんだそうです。

 それにしてもおそるべし、「平澤かまぼこ」。自家製のおでん種を使ったおでんの美味しい立ち飲み屋さんかと思いきや、おでんのみならず、サイドメニューにも絶品が勢ぞろいしていたんですねぇ! さりげなく出されるぬか漬(150円)も、そのぬか床は60年以上使っているものなんだそうです。それで安いんだから、人気があるのも改めて納得です。

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できたての魚スジ / 幻のチャーシュー(4人前ほど) / ぬかづけ

店情報前回

《平成21(2009)年4月4日(土)の記録》

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コメント

いつも楽しく拝見させて頂いております。
ご縁が無いかとは思いますが、機会がありましたら
福島県須賀川市の桐と言う店に、一度足を運んでみて下さい。
店主は女性、創業30年の「おでん屋」です。
おでん屋ですが「もつ煮」「はらす(かつを)」「焼きそば」が絶品です。
この3種に関しては、日本で、これ以上のものを食べた記憶はありません。一生に一度ならば騙されても諦めがつきます。何かの機会に是非...
0248-76-7057です。

投稿: naru | 2009.04.28 23:46

こんにちは。
いつも楽しく拝読させていただいたおります。
さて、平澤かまぼこ店の中に出てくる「山蓄」ですが
リンクされているお店とは異なる気がします。
おそらく、北区神谷商店街の中にある「山蓄」さんだと思います。
この「山蓄」さんですが、商店街の中のお肉屋さんとはいえ
とても良質なお肉が揃えられていて(それもとっても安いんです!)良心的なお店です。いろいろな有名なホテルなどにもお肉を納めているそうです。
平澤かまぼこ店と山蓄さんは近い距離なので多分こちらの「山蓄」さんのことを指していると思われます。
余計なお世話と思いつつコメントさせていただきました。
また、素敵なお店を教えて下さい。

投稿: ゆう | 2009.05.12 12:17

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 JR王子駅北口を西側に出ると、すぐ右側。森下通り商店会の入口近くにあるのが、立ち飲みのおでん屋、「平澤かまぼこ」だ。  平日の午後1時過ぎにもかかわらず、すでに何人ものお客さんたちが店内で立ち飲んでいる。  「奥へどうぞ」という、店のおにいさん(パティさん)の声に従って、カウンター中央部の、ちょうどひとり分だけ空いているすき間にすべりこむ。  すると、ちょうど目の前に大女将・平澤京子(ひらさわ・... [続きを読む]

受信: 2017.02.10 22:00

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