ゆっくりとたっぷりと … 居酒屋「兵六(ひょうろく)」(神保町)
横浜での仕事を終えて、都内に着いたのは午後8時前。この時刻であれば、久しぶりに「兵六」に行くことができそうです。
「兵六」は平日(月~金)の午後10時半までの営業。ラストオーダーは9時半なので、平日、横浜で勤務している私には、「河本」(午後8時までの営業)ほどではないものの、なかなかハードルが高いのです。
火曜日とは言え、祝日前の「兵六」の店内はゆるやかに満席状態。店主を囲むコの字カウンターの、手前側に何人分かと、一番奥に1人分の空きがあり、みなさんの背後を通って一番奥に入れてもらいます。
「兵六」の椅子は、丸太を2本渡したようなベンチシートなので、ギュッと詰めればたくさん入るし、間を空けて座ればゆっくりとすることもできるのです。今日はすでにギッシリと詰まった状態です。
「何にしましょうか?」と笑顔を向けてくれる、若き三代目店主に、まずはビール(キリンラガー大瓶、790円)をお願いして喉を潤すと、お通し(サービス)には、小皿に盛られた野菜と竹輪の煮物が出されます。
テーブル席のお客さんからの、餃子(ギョウザ、580円)と炒豆腐(チャードウフ、580円)の注文に合わせて、私も炒豆腐を注文。炒豆腐はその名のとおり、豆腐を、キャベツや豚肉とともに炒めたもので、中華風の味付け。
その炒豆腐が出たところで、飲み物も芋焼酎「無双(むそう)」(680円)に切り替えます。
丸みをおびた徳利に入れられる「無双」に、ぐい飲みと、アルミの小さい薬缶(やかん)でお湯が出されます。このセットで、自分で湯割りを作るのです。
続いてたのんだ「つけあげ」(530円)は「さつま揚げ」のこと。鹿児島では「さつま揚げ」とは言わずに「つけあげ」と言うんだそうです。丸いの、四角いの、棒状の、と形状の違う3つが盛り合わされます。ちょっと甘いのが「つけあげ」の特徴で、芋焼酎の湯割りとよく合います。
そうこうしているうちに、荒木又右衛門さんや、呑んだフルさんもやってきました。コの字のカウンターを取り巻くお客さんは、常連さんたちばかりではなくて、「はじめて来ました」というご夫婦も話の輪に加わって、店内はますますにぎやかになってきます。
「無双」(680円)をおかわりして、日替りの「今日の煮物」(650円)を注文すると、今日の煮物は竹の子です。この時期、竹の子がいいですねぇ。
常連さんの注文にのっかって、私も便乗注文した「ぬかづけ」(530円)は自家製で、これまで知らなかったのだけれど、この店の名物品のひとつとのこと。今日はメロン、山芋、ナス、キュウリ、ニンジン、大根、エシャレット、カブ、セロリ、生姜(しょうが)という、実に10品盛り。「えぇーっ! メロン!?」と思いながら口に入れたメロンも、ウリのぬかづけをスッキリとさせた感じで、全く違和感はありません。
ワイワイと楽しく過ごすうちに、気がつけば午後10時半の閉店時刻がやってきました。今日のお勘定は4,440円。こんなにもゆっくりと、たっぷりと「兵六」で飲んだり食べたりしたのは初めてのこと。長く居れば居るほど、ますます良さが感じられる名店です。
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