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〔コラム〕 暑い夏でも鍋焼うどん … 鍋焼うどん「アサヒ」「ことり」(松山)

「アサヒ」の鍋焼うどん


 今年も夏休みは故郷・松山(愛媛県)に帰省。この地には高校卒業までしかいなかったので、酒場はあまり知らなくて、食事の店や喫茶店などで懐かしさを感じるお店が多いのです。

 今日は、昭和22(1947)年創業の鍋焼うどんの老舗、「アサヒ」にやってきました。

 鍋焼うどんは、他の土地ではどっちかというと冬場の食べ物という印象が強いと思いますが、松山あたりでは、ごく普通のうどんの1種類として、年中食べるのです。

 ここ「アサヒ」のメニューは、鍋焼うどん(500円)と、それに玉子が入った鍋焼玉子うどん(550円)の2種類。これにサイドメニューとして、いなりずしが1個なら120円、一皿2個で220円と、ソフトドリンク(サイダー、コーラ、オレンジ、ジンジャー)がそれぞれ120円であるのみと、実に潔い。ビールすらありません。

 だから注文も「ひとつ」とか「ふたつ」とか、数量を申告するのみです。玉子入りがほしい人は「玉子入りね」とか、「玉子入れてもらえる」と注文します。

 今日はシンプルに、普通の鍋焼うどん(500円)を一人前。

 待つことしばし。ふた付きのアルミの鍋に、アルミのレンゲ、そして割り箸がのって、鍋焼うどんが出されます。

 松山の鍋焼うどんは、ここ「アサヒ」と、すぐ近くにある「ことり」の2店が特に有名で、どちらもほとんど同じ外観、つまりふた付きのアルミ鍋にアルミのレンゲというスタイルで出されます。しかしながら、これは決してこの2店だけということではなくて、松山近辺では、鍋焼うどんがメニューにある店ならば、どの店で食べてもほぼこのスタイルで出てきます。

 私自身、よその土地に行くまでは鍋焼うどんと言えば、このスタイルと思い込んでいたくらいです。

 ふたを開けると、フワッと立ち上る湯気。トッピングされている具材は甘~く煮た牛肉に、細く切った油揚げと、斜めにスライスしたチクワが、それぞれ数切れ。カマボコと、細く切った平天が一切れずつ。そして刻みネギと、他の土地でイメージする鍋焼うどんと比べると、とってもシンプルです。

 この具材も、店によって多少の違いはあるものの、ほぼ似たようなもの。だから値段も、どこで食べても500円前後と安いのです。

 そして、うどんがとても軟らかいのと、甘い出汁(だし)が、これまた松山あたりの古いうどんの特徴です。もっとも、最近は松山でもさぬき系のしっかりとした腰、シャキッと辛めのダシの店が多くなっていますが、もともとの松山地方のうどんは、やわらかい麺、甘いダシ、トッピングの人気は甘く煮た牛肉のようなのです。

 店内の壁には「まだ甘い物が貴重品だった昭和22年に、曽祖父の考案でアサヒの鍋焼きは誕生しました。時代は流れても、平成の今日まで懐かしの味を皆様に…」という張り紙もあります。

 品物と引き換え払い(キャッシュ・オン・デリバリー)も、この店の特徴のひとつ。ときどき冷たい水で口中を冷やしながら、熱々の鍋焼うどんをハフハフといただきます。

 この店の鍋焼うどんは、テーブル上にそのまま置かれるので、各テーブルは、鍋焼うどんを置く場所だけ、表面の塗装が少しはげていて、歴史を感じます。

 真夏の平日、午後4時ごろという中途半端な時間にもかかわらず、次々にお客さんがやってくるのもすごいですね。ボリュームがそれほど多くないので、おやつ代わりに食べているんでしょうか。

 ちなみに、すぐ近くにあるもう1軒の老舗(昭和24年創業)、「ことり」のほうは、この時間、すでに売り切れ閉店。

 「ことり」も、メニューには鍋焼うどんと、いなりずしの2種類しかなく、品物と引き換え払い。営業時間や定休日まで「アサヒ」と同じというのがおもしろいですね。競争するより協調しようという考えなのかも。

 こちらのトッピングも、甘く煮た牛肉を中心に、細く切った油揚げ、ナルト1枚、そして薄く切った玉子焼も1枚のっていて、刻みネギです。「ことり」の鍋焼うどんには、玉子入りというオプションは(メニューには)ありません。また、アルミ鍋は、アルミ皿にのせて出されるところも「アサヒ」との違いです。

 こういう、その土地ならではの食べ物をいただくと、故郷に帰った感じが強くなりますよね。

090730a 090730b 090730c
「アサヒ」 / 鍋焼うどん / ふたを開けて

080720a 080720b 080720c
「ことり」 / 鍋焼うどんといなりずし / ふたを開けて

    【鍋焼うどん「アサヒ」】
  • 電話: 089-921-6470
  • 住所: 790-0012 愛媛県松山市湊町3-10-11
  • 営業: 10:00-18:00(売りきれ次第閉店)、水休
  • 場所: 松山市駅前から銀天街(ぎんてんがい)に入り、銀天街のアーケードが終わる1本手前の路地を左へ入り、突き当りを左に折れた右手。
  • メモ: 昭和22(1947)年創業の鍋焼きうどんだけの店。テーブル40席、座敷12席の62席。鍋焼うどん500、鍋焼玉子うどん550、いなりずし一皿(2個)220、いなりずし1個120、サイダー・コーラ・オレンジ・ジンジャー各120。料金は品物と引き換え払い。(2009年7月調べ)
    【鍋焼うどん「ことり」】
  • 電話: 089-921-3003
  • 住所: 790-0012 愛媛県松山市湊町3-7-2
  • 営業: 10:00-18:00(売りきれ次第閉店)、水休
  • 場所: 松山市駅前から銀天街(ぎんてんがい)に入り、銀天街のアーケードが終わる1本手前の路地を左へ入った右手。
  • メモ: 昭和24(1949)年創業の鍋焼きうどんだけの店。テーブル・小上がりで全40席。鍋焼うどん460、いなりずし(2個)240。料金は品物と引き換え払い。(2008年7月調べ)
《平成21(2009)年7月30日(木)の記録》

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コメント

浜田さん お久しぶりです。
いやー松山の鍋焼きうどん懐かしいです。
松山も「いこい」「かをり」が無くなり寂しいばかりです。「露口」は健在で、先日も楽しい時間を過ごしてきました。今年の夏は、「ロックフィッシュ」の間口さんも露口に是非行きたいといってましたが、もう行かれたかな?
ところで、「たにた」はご存知ですか?居酒屋と言うよりはちょっとした割烹ですが、良い物を出します。
そこで聞いた話ですが、松山の祭りはかなり勇壮だそうですね。一度見てみたいものです。
そろそろ当方の番組も最終回。9月には最終オフ会も開催いたします。

投稿: 居酒屋のオヤジ | 2009.08.18 10:17

居酒屋のオヤジさん

 コメントありがとうございます。

 最終オフ会、大盛況ですねぇ! 私が松山に帰省している間に、オヤジさんのブログで最終オフ会の告知が行われ、そしてあっという間に満員御礼の締め切り告知が行われたことを、帰京してから知りました。

 「露口」も今回の帰省で行ってきました。創業50周年を過ぎて、店主ご夫妻ともにますますお元気で、元祖・角ハイボールをいただきながら、閉店時刻を過ぎるまで長居してしまいました。

 「たにた」は全然知りませんでした。次の帰省の際には、行ってみたいと思います。

 四国には阿波踊り(徳島)や、よさこい祭り(高知)といった大きなお祭りがありますが、松山まつりも、野球拳おどりや港まつり(花火大会)があって盛大なようです。開催日が毎年8月11日から13日までの3日間なので、なかなか行けないのが難点です。

投稿: 浜田信郎 | 2009.08.18 22:46

浜田さん お久しぶりです。
この数年間は松山に帰っていません。
「アサヒ」「ことり」の鍋焼きうどん
の話題、写真を懐かしく拝見させていただきました。
また故郷の饂飩が食べたくなりました。

投稿: シギー | 2009.08.20 13:28

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