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芋づる式に名店を発見 … 宣伝酒場「春駒(はるこま)」(呉・新広)

「春駒」の鳥足骨付(親)


 先日、広(ひろ)の「あわもり」で飲んでいるときに、近くに座っていた常連さんたちが、

「鶏を食うんなら、やっぱり『春駒(はるこま)』じゃのぅ。あそこの“親”は硬いけどうまい。他にはないのぅ」

「“親”と“ひな”とがあるんだけど、やっぱり“親”よねぇ」と、「あわもり」のおかみさんもその話に参加。

「へぇ。『春駒』ってどこにあるんですか?」

 と聞いてみると、このすぐ近くの古い商店街の中にあるとのこと。「ぜひ行ってみてください」とおかみさん。

『呑ん兵衛の嗅覚というのは素晴らしいもので、いい店には知らず知らずのうちにいい呑ん兵衛たちが集まって来ます。それでいて、その店が古くから続いているとあれば、昔からずっと呑ん兵衛に信頼してもらえる酒場だったに違いありません。まず、はずれはないと思って大丈夫でしょう。そういう店が一軒でも見つかれば、あとはその店のお客さんたちの話を聞いていれば、そのあたりの名店は芋づる式にわかってくるはずです。』

 平成20(2008)年7月に出版した「ひとり呑み-大衆酒場の楽しみ」の、《いいお店の見つけ方とその条件》という項では、そう書かせていただきました。

 ブログでの情報交換も含めて、同じような酒場を愛する呑ん兵衛同士の口コミ情報ほど信頼できる情報はありません。

 これはぜひ行ってみなければと、今日はその「春駒」にやってきたのでした。

 「あわもり」からもほど近い、昭和の町並みが残る一角の中にある、「宣伝酒場」と書かれた店が、目指す「春駒」でした。のれんをくぐって引き戸を開け、店内へと入ると、右手に6人ほど座れる直線カウンター席、左手は小上がり席で自然木の4人卓が2つ置かれています。女将さんがひとりで切り盛りする小料理屋といった風情です。

 金曜、午後6時過ぎのこの時間、先客は男女それぞれ1名ずつ。カウンターの奥に女性ひとり客、中央部に男性ひとり客です。バランスを取って、カウンターの一番手前あたり(入口付近)に座り、まずは瓶ビール(大瓶550円)を注文すると、「キリンとアサヒ、どちらがいいですか?」と女将さん。「キリンをお願いします」。

 すぐに出されたビールを1杯飲みながら、ゆっくりとメニューを確認します。カウンター上、何箇所かに置かれた両面メニューのほか、一番奥の壁には日替りの黒板メニューもあり、焼き鳥(串焼き)から、魚介類、一品もののつまみまで、ざっと50品ほどが並んでいます。焼き鳥が1本100円、各種魚の刺身が500円、一品は280~400円ほどと、値段もリーズナブルです。

 目的の“鶏”の正式名称は「鳥足骨付」で1本500円。事前情報のとおり“親”と“ひな”が選べ、味付けはタレ、塩、味噌が選べるようです。お通しは特に出されない店のようですので、いきなり直球勝負でいってみますか。

「鳥足骨付の親をください。味付けはどれがおすすめなんですか?」

「タレも塩も、それぞれじゃねぇ。どっちもよう出るよ」と女将さん。

「じゃ、塩でお願いします」

 まずはシンプルに塩焼きをいただいてみます。

 意外に早く焼きあがってきた親鶏は、長方形のお皿にざく切りのキャベツを敷いた上に置かれます。肉にはところどころに切込みが入れてあって、足骨の先っぽにはくるりとティッシュが巻かれています。

 そのティッシュのところを手でしっかりと持って、グイッとまず一口。おぉ~っ。これは硬い。その一片を噛みちぎって、グイグイと時間をかけて噛んでいると、口の中にジワァ~ッと広がる鶏の旨み。

「これはうまいっ」

 思わず笑顔が出ると、となりのおじさんも、

「そうだろう。ここの鶏はうまいんだよ。香川県の有名な鶏料理屋の“親”にも負けてないよ」と自分のことのように自慢してくれます。

「香川の鶏料理屋って、『一鶴』ですね?」

「そうそう。あそこのはもうちょっとスパイスが効いた味だけど、こっちのほうがシンプルだし、なにしろ値段が安いからねぇ」

 「一鶴」は“おやどり”が980円、“ひなどり”が870円なのに対して、こちらは両方とも500円ですからねぇ。たしかに安い。

 そんな話題から、「にいちゃんはどっから来たんだ」という話になり、あとはどんどん話が弾んでいきます。このおじさんは、女将さんとは同級生。昔から通っているんだそうです。しばらくして、

「さてと、ワシはぼちぼちと帰るかな。このにいちゃんにビールを1本出しておいてくれ。にいちゃん、今度来たときはタレのほうも食べてみたらええよ」

 とお勘定をすませて席を立ちます。チラッと女将を見ると「いいよいいよ。もらっときなさい」という表情。どうもすみません。お言葉に甘えていただきます。

 ちょうど塩焼きの鳥足骨付も食べ終わったところなので、今日のうちにタレ焼きもいただいちゃいますか。

「“親”を、今度はタレでお願いします」

「そんなに食べられる? 大丈夫?」と女将。

「大丈夫です。その代わり、もう他のものは食べられません」

 せっかく50品ほどもの料理があるのですが、今日は“親”の塩、タレ2本で終了となりそうです。

「飛び散らないように気をつけて食べてね」

 と言いながら、焼きあがった“親”のタレ焼きを出してくれる女将。たしかに。気をつけないと、食いちぎるときに、タレの飛まつが服に飛び散りそうです。

 な~るほど。タレもそんなに甘くなくてうまいですねぇ。塩もタレもどちらも人気があると言うのもわかります。

 塩・タレの他に、味噌という味付けもあるのですが、こちらは味噌皮(450円)なんかと同じ味噌で味をつけたものなんだそうです。

 また、お願いすれば焼きあがったものを一口大にカットして、食べやすい状態で出してもらうことも可能です。

 ゆっくりと2時間ほど楽しんで、今日のお勘定は1,550円でした。どうもごちそうさま。

 今度は他の料理も食べに来ますね~。

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「春駒」 / 親の塩焼き / 親のタレ焼き

店情報

《平成22(2010)年7月2日(金)の記録》

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コメント

「春駒」、店の看板は見るけれど、ナカミがこんなだったとは…素敵な情報を教えていただきました。
呉といっても、広町は中央部とは気風がチョと違う。
地元民を自負していましたが、脱帽です(今度行きます)。

さて、広交差点(国道185と375の大交差点)界隈には、「あわもり」をはじめ、渋い店が揃っています。
あわもりからJR沿いに西進約100m、「第五鳥八」。呉のとり屋の異端。急逝した名物店主の魂を受け継ぎ、旨い魚と旨い鳥と旨い野菜と旨い酒。
硬いけれど噛締めると味が染み出す、親鳥。ここにもあります、名物です。
酒は、特注ミニ樽酒で。魚はその日のお任せ。
娘さんの智さんはじめ、女手で支える活気溢れる店内。

「たつみ横丁」と名づけられた、その続きの短い路地。
そこにバー「両歓」。オリジンは呉のスタンドでも、
女性店主の若い息子さんが引継ぎ、本格的カクテルバーへ。
名だたるコンテストに優勝・入賞し、華やかなフルーツカクテルから、スコットランドのモルトウィスキーまで。路地裏の異空間。

国道を渡った向こう側にも…
長くなりそうで、続きは、いずれまた。

投稿: 遊星ギアのカズ | 2010.07.30 23:24

先日は、どうもありがとうございました。
とても興味深いお話を伺いながら、楽しい時間を過ごすことができました。
すぐにコメントしようと思いつつ、遅くなりました。
このサイトの情報も素晴らしいですね!
吉田類の酒場放浪記のように、心をそそられます〜。
いろいろ食べ歩きたくなって困ってしまいますね。
私も思う存分放浪したいです。
でも、みちくさは近いので、いつかよろしくお願いいたします。

投稿: yasuko | 2010.08.09 05:38

 春駒に行かれましたか。たしかにあそこの肴はどれも作りが丁寧でおいしいですよね。ただ、あそこのお母さんは魚料理は作る割にご自分は魚お嫌いらしいですね(笑)
 どなたかが焼き肉について書かれておりましたが、商店街のジャスコに曲がる所に「喜々」というお店がございましたが、そこのクッパがそれはおいしかった。店はだいぶ前に閉めてしまいましたが残念でなりません。
 呉市の阿賀に来られることがありましたら是非焼き肉「力」に入らして下さい。ここのキムチチャーハンとテールスープはうまいですよ~。それになんといっても酒が安い!

投稿: 喝の男 | 2010.08.21 00:51

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 「あわもり」を出て、広(ひろ)での2軒目はつい先日初めて行った宣伝酒場「春駒」です。 「こんばんは」と入った店内には、カウンター手前側に男性3人連れの先客。私はその3人の先、カウンターの一番奥から2番目、といっても全6席ほどなので先客3人との間も1席分空いているだけの場所に腰をおろします。 「え~と。冷酒の賀茂鶴(かもづる)のほうをください」  前回は、「春駒」の名物、鳥足骨付(500円)の“親... [続きを読む]

受信: 2010.08.16 17:06

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