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再開発エリアの名酒場 … 大衆酒場「やよ福(やよふく)」(広島)

とりレバ煮とお酒


 「源蔵本店」を出たのは午後6時40分。せっかくの広島なので、まだまだ帰りませんよぉ。もう1軒行きましょう。

 先日、広島在住の酒場ファン、Oさんから、広島駅前のパチンコ「ナショナル会館」の裏手にある「やよ福」のことをメールでご紹介いただいたのです。

 どこだろうなぁ、と思いながら横断歩道を渡って、出雲そば「大黒屋」を通り過ぎ、そのとなりの純喫茶「パール」の角を右に入ると……。

 おぉ~っ。すごいっ。こんな古びた路地が残ってるんだ。ずらりと並ぶどの建物も古いなぁ。いやぁ、この酒場も渋いじゃないですか。なんでもない引き戸の入口に、白無地ののれん。店の横には飲み物メニューの張り紙があって、酒300円、焼酎300円、酎ハイ300円、ビール(大)550円、ビール(小)350円という5品だけが並んでいる。その下に小さく書かれた店名が「やよ福」。な~るほど。ここが「やよ福」なのか。これはすばらしい。

 さっそく白のれんをくぐって店内へ。

 奥に向かって、うなぎの寝床のように細長い店内を貫く長~いカウンターは、入口近くでやわらかく丸みを帯びて曲がり、全体としては上下にとても長くて、短辺が極端に短いL字型をしています。そしてそのカウンターと平行に、曲がった部分までも同心円状に平行に、ズ~ンと長い、継ぎ目のないベンチシートです。そのベンチシートには人、人、人。年配のお客さんが多く、店内はいかにも老舗酒場らしい、落ち着いたざわめきです。

 どっかに座れるかなぁ、と入口のところで店の奥のほうまで見渡していると、入口近くのお客さんたちがちょっとずつ寄ってくれて、ひとり分の空席が現れました。これがベンチシートのいいところですねぇ。「すみません。ありがとうございます」と両側にお礼を言って、その空間に入れてもらいます。

 ひとりで切り盛りされている女将さんに瓶ビールを注文すると、アサヒスーパードライの大瓶(550円)が出されます。

 メニューはカウンター内中央部に掲げられた黒板に手書きされています。

 かつおさしみ(400円)、やず煮付(300円)、えい煮付(300円)、焼さんま(350円)、とり天ぷら(300円)、おでん(100円)、かぼちゃ煮(300円)、茶わんむし(250円)、ハスきんぴら(250円)、とりレバ煮(250円)、マーボーどうふ(250円)、すもの(200円)、トマト(200円)、冷奴(200円)、枝豆(200円)、ピーナッツ(200円)、大根おろし(150円)というのが今日の全ラインナップ。ただ、数箇所は消された跡があるので、開店直後はあと数品あったんでしょうね。

 それにしても一番高い「かつおさしみ」でも400円というのは安いですよねぇ。これなら近くの呑ん兵衛は毎日でも来ることができそうだ。

 毎日でも飲みたい呑ん兵衛にとって、値段は重要なファクターです。軽く飲んで食べて1,000円以内に収まれば、毎日のようにやってくることができます。高くても1,500円未満というところが限度でしょうか。大衆酒場と銘打つ場合は、この辺がひとつの基準になるんじゃないかと思います。

 かといって『安かろう、まずかろう』という品を出す店には呑ん兵衛は寄り付きません。ただ呑んだくれているように見えて、意外と呑ん兵衛の舌はシビアです。好況・不況の荒波を乗り越えて長年繁盛を続けている酒場は『美味いのに安い』という店ばかりなのです。

 そんな中から枝豆(200円)を注文すると、女将さんが「はい。枝豆ね」とやさしく復唱してくれます。店の外観や内装は、極めつきの大衆酒場そのものの雰囲気なのですが、女将さんがやさしい。きっと居心地がいい店なんだろうなぁ、ということが瞬間にわかります。

 Oさんからのメールによると、女将はヨウコさんというお名前で、もともと普通の家庭の主婦だったのですが、ここ「やよ福」をやっていたお母さんが亡くなったあと、店を引き継いでいるのだそうです。

 そのヨウコさんが、平皿にたっぷりとついでくれた枝豆をつまみながら、よく冷えたビールを喉に流し込みます。クゥ~ッと飲み易すぎるのが、良くも悪くもスーパードライの特徴ですよねぇ。

 私の近くのお客さんは、かなり年配のベテラン呑ん兵衛さんばかりで、それぞれがこの店の大常連さんらしきひとり客。毎日、この店で顔を合わせて飲んでいるといった話しっぷりです。それでいて、一見(いちげん)の私もすぐに仲間に入れてくれて、

「この辺は再開発の話があるんで、建て替えたりすることができんのじゃ」

 と教えてくれます。建物も昔ながらのもので、さっきちょっとお借りしたトイレも旧態依然とした汲み取り式という背景には、広島駅界隈の再開発の問題がつきまとっているんですね。だとすると、あと何年かすると、この店はもうなくなってしまうかもしれません。それはまたつらいことだなぁ。

 お酒(300円)をもらって、つまみには「とりレバ煮」(250円)を注文します。

 チロリで燗をつけてくれたお酒は、ちょっと甘みがあっておいしい。清酒「やよ福」の一升瓶が並んでいるので、このお酒はその「やよ福」なんでしょうね。

 とりレバ煮は、煮冷まして鍋に入っているものの中から、いろんな部位が入るように一つ一つていねいに小鉢に取り分けてくれます。生姜煮らしいこのもつも、すっきりと実にいい味わいです。もつ類がおいしい酒場は信頼できる気がするなぁ。なにしろおいしく作るには、とても手間ひまがかかる食材ですからねぇ。

 午後8時過ぎまで、1時間半ほどの滞在は1,300円。なるほどこれはいい大衆酒場だ。ご紹介どうもありがとうございます。>Oさん

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大衆酒場「やよ福」 / 枝豆とビール / 店を貫く長いカウンター

店情報

《平成22(2010)年9月15日(水)の記録》

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コメント

居酒屋礼賛氏、広島駅前「やよ福」訪問!遂に来るときが来たか、という心境。
みんなに知って欲しい、でも誰にも教えたくない…
矛盾するけれど世に有りがちな感情が、こう言わせました。

やよ福は呉の酒。呉市川原石に醸造所跡があり、今は光町の流通団地内に。
呉でも飲めない幻の銘柄。ちょい昔は「やよ福宣伝酒場広島駅前店」だった。
マツダのお膝元・向洋駅前と西広島駅前にもやよ福が残っています。ともに古い店。
かつては,広島市内に『やよ福』が8軒あったそうです。

おかあさんがおられた頃、訪れることが出来ました。
年に1回あるかないかの広島行きの折(近くて遠い町だ)、私は必ず訪れます。
ここに集うすてきな人の輪の一端に加わっていることが、
こよなく幸せなひとときなのです。

投稿: 遊星ギアのカズ | 2010.09.30 23:04

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