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〔コラム〕 二十三区北西部の名店めぐり

 横浜での仕事を終えて、やってきたのは赤羽です。

まるます家 駅前で東京北部に住む飲み仲間ふたりと合流して、今日の1軒目は、鯉とうなぎの「まるます家」です。

 ここは、東京の呑ん兵衛ならば知らない人はいないんじゃないかというくらい有名な酒場だけあって、早い夕方からもうお客でいっぱい。我われ3人は、なんとか1階テーブル席のひとつを確保し、まずは生ビールで乾杯。料理は鯉のあらいや、スッポン鍋(なんと750円!)、カルシウム(うなぎの中骨)などの名物を次々に注文します。

 この店の人気の理由は朝早く(午前9時)から開いているからというだけではありません。その料理が安くて美味く、店を切り盛りするおねえさんたちが元気がいい。「はいよっ。12番さん、鯉こく1丁」、「8番さんに、うな丼をひとつ」。店内に明るい声が飛び交います。

 生ビールのあとは、これまたここの名物のジャンチュー(ジャンボ酎ハイ)に切り換えて、つまみにはゴージャスな名称のエビステーキカツや、シンプルにうまいネギぬたなどをいただきます。私は久しぶりに丸眞正宗も1本(300ml)。

 外にも空席を待つ行列ができ始めたところでお勘定をお願いすると、けっこうたっぷりと飲み食いしたのに3人で7,500円(ひとりあたり2,500円)ほど。さすが「まるます家」ですねぇ。

斎藤酒場 今日の2軒目は、埼京線でひと駅南下して、十条の名店「斎藤酒場」です。昭和3年創業の老舗で、ここもいつも満席状態。3人で入れるかな? とちょっと心配しながらの入店でしたが、運よく、入口すぐの8人くらい座れるテーブルの手前側が空いていました。

 さっそく冷やしビールの赤いほう(サッポロラガー大瓶)をもらって、料理はポテトサラダに、串カツ、コロッケという、「斎藤酒場」の名物3品そろい踏み。

「串カツとコロッケは、1人前は2個ずつですけど、3人なので3個ずつにしましょうか?」

 おぉ~っ。こんなにも満席で、大忙しの状況にもかかわらず、さりげなく気遣ってくれるこの心配りが人気の理由なんですねぇ!

「3個ずつでお願いします」

 ひとりで行くと、串カツとコロッケを1個ずつ盛り合わせた“ミックス”も出してもらうことができます。できたての熱々で出されるのがいいんですよねぇ。

「この3品の名物が有名ですが、実はさりげなくメニューに並んでいる魚介類もおいしいんですよねぇ」などと3人で話しながら、注文したのはマグロのぶつ切りとスジコおろし。飲み物も、それぞれ自分の好きな酎ハイやにごり酒、燗酒(←私)などに切り換えてチビリチビリ。

 大テーブルの良さは、自分たちのグループのみならず、たまたま相席になったほかのお客さんたちとの話も弾むところですよねぇ。「斎藤酒場」に初めてやって来たという男性ひとり客も、この雰囲気と料理がすっかり気に入った様子。こんな酒場が増えてくるといいですよねぇ。

 お勘定は3人で3,210円(ひとりあたり1,070円)でした。

 「斎藤酒場」を出たところで解散し、私はひとり埼京線から中央線へと乗り換えて中野へ。このところすっかりご無沙汰している酒房「北国」へと向かいます。おぉ、やってる、やってる。まずはひと安心。

「こんばんは」と店内に入ると、「あら、久しぶり。元気だったの?」と女将さん。カウンターやテーブル席にはお客さんが大勢入っていて、「そこに座ったら」と指し示されたのは、カウンター中央の柱(はしら)前。この席は、背後に柱があって、そこにもたれられるので店内では最上級の席で、たいていは大常連さんが座っているのです。かつて井伏鱒二さんが通っていたときは、ここが井伏さんの席だったと聞いたことがあります。

北国 恐れ多くもありがたくその席に座らせていただくと、女将さんが「ビール?」と聞いてくれるのも以前のまんま。まわりに並ぶお客さんたちの顔ぶれも含めて、何にも変わってないなぁ。『これが酒場のいいところだ』なんて思いながら、「今日はもうたくさん飲んできたから、最初からウイスキー。水割りでください」と注文。氷を入れたグラスに、サントリーホワイトを計量用のコップにあふれるくらいたっぷりと注いで、蛇口から出る水道水を入れ、チャチャっと混ぜたら水割りのできあがり。最後に半月に切ったレモンスライスを1枚浮かべてくれます。

 お通しは厚揚げと小松菜の煮物。東北出身の女将さんが作る煮物は、いつもうまいなぁ。

 そろそろ閉店時刻なので、今日は水割り1杯とお通しだけで終了。お勘定は650円でした。また来ますね~。

 酒房「北国」のある中野駅南口側から、北口にドカ~ンと広がる中野5丁目の飲み屋街に回って、今日の4軒目は、もつ焼きの「石松」です。おりょ~。今日の「石松」には「秋元屋」の社長はいるは、キャスバル坊やさんはいるはで、客層も濃いなぁ。

石松 ずいぶんご無沙汰しているのに、ずっと取っておいてくれたキンミヤのキープボトルで、焼酎お茶割りを作り、お通しのハツ刺し(といってもたたき風に炙ったもの)から始まって、レバ塩若焼きとシロタレを、みんなが焼いてもらうペースに合わせてゆっくりといただきます。

 「石松」のもつ焼きの大きな特長は、『肉の中が見えてるんじゃないか』と思うくらいの絶妙な火の通し具合にありますが、その特長を下支えするもうひとつの特長として、『必ず新しい串を使う』ことが挙げられます。ここの串は1回ずつ、使い捨てなのです。都内に、もつ焼き屋さんはたくさんありますが、私が知っている限り、串を1度だけしか使わないのは、ここだけじゃないかなぁ。

【その後の顛末】 上のように書いたところ、さっそくみなさんから情報をいただきました。「秋元屋」系の新店「たつや」(沼袋)や「弐ノ十」(都立家政)なども新品の串を1度しか使わないほか、デフレの影響もあるのか、最近は串を洗って再利用するよりも、新品を買ったほうが安いということで、串は1回使い捨てという焼き鳥/もつ焼き店も増えているんだそうです。

「さぁ、今日もよく飲んだし、そろそろ帰るかな。マスター、お勘定をお願いします」

「ん~、浜田さん、600円」

 がび~ん。そうか、飲み物はキープボトルだし、食べたのはお通しと串2本だから、そんなもんか。まったく儲からない客でごめんなさい。どうもごちそうさま。

 「石松」を出ると、すぐ目の前が早稲田通り。空車のタクシーがずらりと客待ちをしています。その1台に乗り込んで自宅の住所を告げ、時計を確認すると午後10時半。おろっ。まだ「竹よし」が開いてるじゃん。

「すみません、運転手さん。行き先を変更して、西武新宿線の都立家政(とりつかせい)駅前までお願いします」

 以前は午前0時まで営業していた「竹よし」ですが、店主が体調を崩されてからは午後11時が閉店時刻。地元には日付けが変わるころに帰ってくることが多い私にとって、なかなか行けない状態が続いていたのです。今日はギリギリ間に合いそうだなぁ。

竹よし 店に着いたのは午後10時40分。「1杯だけ飲ませてください」と店に滑り込んで、スーパードライ中瓶(500円)をもらうと、今日の小付け(200円)はアン肝です。いやぁ、うれしいなぁ。今シーズン初のアン肝だ。さらに北寄貝の刺身をもらうと、ずっしりと重い貝の中身は、プリップリの身だくさん。こりゃやっぱり日本酒じゃのぉ。

 今日の5軒目、「竹よし」のお勘定は1,600円。

 昨日の野毛めぐりに続いて、今日は東京二十三区北西部の名店をめぐる一夜となったのでした。やぁ、おいしかった。

《平成22(2010)年10月8日(金)の記録》

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コメント

使い捨て串ですが
あの練馬の「金ちゃん」も使い捨てに…
ビックリです

投稿: ぐーちゃん | 2010.11.17 08:18

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