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大衆食堂で定食座談会 … 「丸亀食堂(まるがめしょくどう)」(横浜・南太田)

やまけんさんと今柊二さん


 神奈川新聞文化部のSさんから「毎年年末に掲載しております紙上『定食座談会』に参加いただけませんか」というメールをいただいたのは9月末ごろのこと。

 神奈川新聞では5年ほど前から、定食評論家・今柊二(こん・とうじ)さんの「かながわ定食紀行」という隔週連載が続いていて、毎年、年末になると食文化に詳しい方をお数人(たいてい二人)ずつ招いて、横浜の老舗定食屋さんで今さんとの対談を行って、年末の記事として掲載しているんだそうです。

 今年の座談会テーマは「日本の豊かな食文化」ということで、鼎談(ていだん)となるもうお一方は、ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」でもおなじみの農産物流通・ITコンサルタント、やまけんさんこと山本謙治(やまもと・けんじ)さんとのこと。

 今さんにしても、やまけんさんにしても、これまでご著書やネット上の記事を拝見することはあっても、お会いするのははじめて。とても光栄なことです。

 座談会の場所は、京急本線・南太田(みなみおおた)駅前にある大衆食堂、「丸亀食堂」。土曜日の営業は午後1時半までということで、営業終了後に鼎談開始です。

 「ビールも飲みますよね?」と瓶ビールを出してくれて、まずはみんなで乾杯です。

 料理のほうも、まずはお店のおすすめを何品か。これがまた、マグロ刺身に、ひじき、白和え、豚肉とごぼうのしょうが焼きなどなどと、いかにも大衆食堂のおかずといった内容なのが嬉しいですねぇ! こういう昔から続いているような、なんでもない日常的なおかずが、きちんとおいしいのが大衆食堂のいいところ。鼎談中にもかかわらず、みんな、箸が止まりません。

 今さん、やまけんさん、そして私に共通するのは、三人とも愛媛県生まれであるということ。今さんとやまけんさんは、愛媛県今治(いまばり)市生まれ、私はそのとなりの北条市(現在は松山市の一部)生まれということで、愛媛県内でもかなり近いところで出生したようなのです。やまけんさんは生後すぐ埼玉県に移り住みましたが、今さんと私は高校を卒業するまで愛媛県で過ごしました。鼎談中にも「浜田さんは松山東ですか。私(今さん)は今治西なんですよ」なんて出身校のローカルな話題が出たりするのもおもしろい。今治西は進学校でありながら、甲子園にも何回か行ったほど野球も強い学校。県内ではだれもが認めるライバル校同士なのです。

「今でこそ橋がかかってますが、昔の四国はまさに島国で、本州に出ようとすると必ずフェリーに乗らないといけなかった。」

「そのフェリーの中で食べるうどんがおいしいんですよねぇ。」

「うどんを食べながら、四国から出て行くんだなぁとか、四国に帰るんだなぁという実感がわいてくる。このうどんは単なる食べ物じゃないんですね。」

「そうそう。だから必ずフェリーのうどんは食べないといけない。お腹がすいてるから食べる、なんてもんじゃないんです。もう一種の通過儀礼ですよね(笑)」

 料理のほうも豚の角煮や玉子焼き、そして自慢の焼きタラコなどなどと続き、今さん、やまけんさんはごはんに突入です。「浜田さんはお酒のほうがいいんじゃないですか。どうぞどうぞ」というお言葉に甘えて、燗酒を注文すると、大きな受け皿のついた1合グラスになみなみと注がれた燗酒を出してくれました。

 ックゥ~ッ、酒もうまいのぉ。

 今さんは大学進学で、今治から横浜に出てきて、最初は「栄養をとらなきゃ」ということが主目的で定食屋に行くようになったんだそうです。しかし定食屋に通っているうちに、定食屋は栄養をとる場所だけでなく、店の人々が織り成すくつろぎの空間であることがわかり定食屋が好きになったそうです。「食べることは生きること」。定食屋にいると、その地域に住む人の生き様が見えてくるのです。

 今さんがおっしゃっている内容の、“定食屋”を“居酒屋”に変えてもまったく同じことが言えると思います。「大衆食堂や大衆酒場の空気感は、銭湯や温泉に入ってるのと似てますよねぇ」と意見が一致しました。

 一方、やまけんさんは「三度の飯より食べることが好き」というほどの“食べ好き”人間。それもご馳走ではなくて、日本各地の人たちが日常的に食べているような「地域の日常食」に目を向けられていて、そこで出会った食の数々を「やまけんの出張食い倒れ日記」に記録しています。「今の時代に合った(日本の)農作物の流通の姿を創り出すことが私の仕事です」とおっしゃるやまけんさんは、同じ食に目を向けていても、視点がとても高く、しかもとても広い。

 大衆酒場でも「地域の日常食」が一番のご馳走です。東京のもつ焼きやもつ煮込み、広島の小イワシ(カタクチイワシ)やツブ貝(磯の小さな巻貝)なんかがそうですよね。地元では安くて当たり前のように食べられているのに、他の土地の酒場に行くと、ほとんどお目にかからない。こういう料理は、その食材ともども、ぜひ長く続いてほしいと思います。(私は“思う”だけなんだけど、それが“どうすれば長続きするか”を考え、実行に移すのが、やまけんさんのお仕事なんでしょうね。)

 鼎談もさることながら、今さん、やまけんさんのお二人と会って、直接お話をすることができたのが最大のよろこびでした。貴重な機会を作っていただきまして、本当にありがとうございます。>神奈川新聞のSさん

 さらに、おいしい料理をたくさん出していただき、ありがとうございました。店内の両サイドにカウンター席があって、真ん中がテーブル席という、いかにも大衆食堂という雰囲気もすばらしく、気持ちよく過ごすことができました。ぜひまた伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。>丸亀食堂のみなさん

店情報

            ◇   ◇   ◇

ポラタ


 鼎談後、やまけんさんと二人、帰りの電車に乗るべく南太田駅まで移動しつつ、駅前の「珈琲ぱあら~ 泉(IZUMI)」に入ります。この店のポラタ(780円)というナポリタンスパゲティが、名物として広く知られているんだそうです。

「この地の名物ならば、ぜひ食べておかなくては!」

 「丸亀食堂」で腹いっぱい食べても、名物料理はぜったいにはずせない。さすが「三度の飯より食べることが好き」というやまけんさんだけのことはあります。その言葉にのせられて、満腹の私も一緒にポラタを注文。

 でてきたポラタの量の多いこと!

 それでも完食できてしまうのがナポリタンの怖いところですよねぇ。ケチャップのちょっとジャンクな味わいと、具として入っているウインナーやベーコンのやわらかい肉の感触が、ついつい食を進めてしまい、気がつくと満腹の上に、さらに満腹を重ねてしまっているのでした。うぅ~、おいしかったけど食べ過ぎだぁ。

《平成22(2010)年11月20日(土)の記録》

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コメント

おお、愛媛県人会みたいな集まりですね!
私も一応本籍は今治、母は北条出身。甲子園の時期になると父は今治西、母は済美出身で、そして私は母校の横浜の桐蔭学園の応援で地区大会から盛り上がっています。早く甲子園で桐蔭対今治西or済美の対決が実現しないかと・・。
すみません、食事ねたじゃないコメントで。
南大田に比較的近いところで仕事をしているので、一度食べに行ってきます。

投稿: コディ | 2011.01.16 12:07

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