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仕事仲間とカキづくし … 「本家鳥好(ほんけとりよし)」(呉)

かき鍋


 東京から呉にやって来た仕事仲間たちと一緒に、5人でカキ(牡蠣)を食べに向かったのは「本家鳥好」です。

 呉は、カキ(むき身)の生産量が日本一の市。ちなみに2位は江田島市、3位は広島市、4位は二日市市と、全国の生産量の7割を広島県が占めているのです。

 「本家鳥好」の店内は、カウンター8席と座敷20席の全28席と、それほど広くないというか、呉の“とり屋”にしては狭い。これは店主・上瀬弘和(かみせ・ひろかず)さんの『すべての客席に自分の目が届く範囲内で』というポリシーに基づくもので、今もその考え方は変わっていません。

 今日は5人なので、座敷の一卓を囲み、まずは生ビール(600円)と、みそだき(300円)からスタートです。

 『お客さんが注文しないものは出さない』というのも店主のポリシー。だから昭和26年の創業当時からお通しも出していませんが、そのかわり、すぐに出てくるつまみとして“みそだき”が用意されているのです。

 みそだきは、鶏の皮の味噌煮。鶏の皮を水炊きにして串を刺し、それを白味噌、赤味噌を調合した鶏のスープに入れて、2時間ほどじっくりと煮込んでできあがります。首都圏の、もつ煮込みと同じような感覚のつまみですね。注文すると、あっという間に出てきて、通常は七味唐辛子をふりかけて、串のままいただきます。2串が1人前です。

 さぁ、そしていよいよカキ料理。最初にもらったのは、この店ならではのカキの造り(800円)です。

 ここのカキは、音戸は田原のカキ打ち場から、毎日直接仕入れてきます。

「生(なま)で出すもんは、他人(ひと)の手を介さない」

 というのも店主のポリシーで、店で出すカキは、50年間ずっと同じカキ打ち場から直接仕入れてきています。このカキ、むき身ながら、小分けされた袋の中ではまだ生きているそうで、それを注文に応じて一袋ずつ開けて使うのです。

 カキの造り(刺身)は、そのカキ8個が1人前。添えられたワサビを多めにのせて、ちょっと醤油をつけて口に含むと、おいしそうなカキの香りと、最初の醤油の風味の後に、カキ自身の持つ塩っけが口いっぱいに広がります。

 カキは動かない貝なので、貝柱意外はほぼ内臓。グイッとかみ締めると、そのカキの甘みと、濃厚な旨みがドーンと押し寄せます。

 このカキの造りにぴたりと合うのが、燗酒です。ここの燗酒は、吉浦(呉市)の地酒「水龍(すいりゅう)」で、1合瓶が450円です。

 続いてはカキの天ぷら(800円)。これも1人前8個で、先ほどの造りと同じカキに衣をつけて、さっと天ぷらにしたものを、そのままいただくのがこの店の流儀。カキそのものの持つ塩味で、十分おいしくいただけるのです。

「天つゆは、意外と味と風味が強いので、カキの味わいが損なわれるんですよ」

 と話してくれるのは、店主の息子さんの正智(まさとし)さん。店は店主・弘和さん夫婦と、正智さん夫婦の4人で切り盛りしているのです。

 できたて熱々のカキの天ぷらは、刺身の旨さとはまた違う旨さが味わえます。

 続いてはカキ鍋(800円)。ひとり用の鉄鍋に、鶏スープにカキ、ニラ、豆腐、シメジ、エノキ、白菜などの具材を入れて煮込み、味噌で味付けしたもの。みそ汁程度のそれほど濃くない味付けなので、逆に素材の味をよく感じることができます。

 カキ鍋をはじめとする鍋物は、3人前以上であれば、前日までに予約しておけばコンロ付きの大鍋で出してもらうこともできます。大鍋のときは、あとでご飯をもらって雑炊にすることもできるのですが、「たいていのお客さんは汁まで全部飲み干してしまうので、なかなか雑炊に行きつかないんですよ」と正智さん。たしかに、もとの鶏スープに、カキの旨みと、味噌のコクが加わって、この汁だけでもつまみになりそうです。

 4品目のカキ料理は、カキ串焼き(2本で400円)です。注文を受けてから、生カキに串を打ち、焼鳥と同じように、焼き台で焼き上げてくれる一品です。これもできたて熱々を、カキの味だけでいただきますが、焼きガキならでは香ばしさが大きな特徴です。

 そして酢ガキ(500円)。カキ造りやカキ天ぷらがとても強烈な印象を与えるので、その影に隠れがちですが、鮮度のいいカキで作ると、酢ガキも違います。カキの臭みや、水っぽさを、まったく感じないのが、この店のカキのいいところなんですね。

 カキ料理の最後はカキフライ(800円)。これはもう冬の定番。笑ってしまうくらい美味しいのがいいですね。でも、このカキにソースをかけちゃうのは、おいしいんだけど、ちょっともったいないような気もします。

 せっかく東京から来ているので、生け簀(いけす)で泳いでいる雑魚(じゃこ)をから揚げにしてもらいます。雑魚というのは小魚の総称。生け簀の魚は、これまた『生(なま)で出すもんは、他人(ひと)の手を介さない』という店主のポリシーから、すべて店主が自分で釣ってきたものばかり。その中から、小さい魚をより分けて、から揚げにしてくれるのです。今の時季は、メバルの小魚が多いそうです。小さいほど味が濃い感じで、しかも骨まで全部食べられるのがいいですね。

 3時間弱の滞在。飲み物もたっぷりといただいて、お勘定は5人で21,600円(ひとりあたり4,320円)でした。どうもごちそうさま。

 現在(2012年1月22日)発売中の月刊「くれえばん 2012年2月号」の『呉酒場礼賛 第11話』でも、ここ「本家鳥好」をご紹介させていただいています。店舗(本屋やコンビニ)での販売は呉市内だけですが、「くれえばん」のサイトから購入することもできます。

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みそだき、じゃこから揚げ / かき造り / かき天ぷら

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かき串焼き / 酢がき / かきフライ

店情報前回

《平成23(2011)年12月8日(木)の記録》

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受信: 2012.02.01 23:54

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