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呉のとり屋の定番料理 … 活魚・やき鳥「本家鳥好(ほんけとりよし)」(呉)

おまかせ串盛


 呉の“とり屋”は、店内に生け簀(いけす)があって、瀬戸内海の地魚が食べられることでも知られていますが、元の起こりは純然たる焼き鳥屋。今日は、呉の“とり屋”で創業のころから脈々と受け継がれてきている、伝統の定番料理を味わおうということで、またまた“とり屋”の元祖、昭和26(1951)年創業の「本家鳥好」にやってきました。

 そして今日もやっぱり、席に着くよりも前に、コートを脱ぎながら「瓶ビールと味噌!」と注文。“味噌”というのは、鶏の皮をみそ味のスープで煮込んだ“味噌炊き”(300円)のこと。これがまず第1番目の定番料理です。

 店頭の手書き看板にも、『みそだき発祥の店だから、手間ひまかけて仕込む、変わらぬ味が楽しめる』と書かれています。鶏の皮を、水で煮てから串に刺し、それからさらにみそ味のスープで煮込んでいく。これが元々の、呉の“とり屋”の味噌炊きのスタイルです。

「店に入ってきて、まず飲み物と一緒に味噌炊きをたのむ。すぐに出せるし、串に刺してあるんで、箸がなくてもパッと食べられる。それが味噌炊きのええとこなんよの」

 ここ「本家鳥好」では、これまた創業当時からの決まりごととして、お通しは出しません。『客が注文してないもんは勝手に出さん』というのも、創業のときから貫かれているこの店のポリシーです。そのお通しにかわるものとして、注文すればサッと出てくる味噌炊きが人気を集めたのです。

 ちなみに私は瓶ビールが好きなので、瓶ビールと共に味噌炊きを注文しますが、呉の呑兵衛さんたちは生ビールを好むようで、店に入ってくるなり「生と味噌!」という、たった5音の注文の声をよく耳にします。

 当然のことながら“焼き鳥”もまた、創業のときから変わらぬ定番商品。この店の看板にも、店名の横に『やき鳥の元祖』と書き添えられています。

 その焼き鳥、串類は1人前2本で300円。串焼(ねぎま)、きも(鶏レバ)、もつ(玉ひも)、すなずり(砂肝)、つくね、せせり(首肉)、かわ(鶏皮)、ささみの8種類があります。この中で、串焼、せせり、かわ、ささみの4種類は、たれ焼きか、塩焼きかということも選べます。

 呉ならではの焼き鳥(じゃないかと私が思っているもの)として、串カツや串天があります。これは串焼き用の“ねぎま”に衣をつけて、それぞれカツにしたものと、天ぷらにしたもののことで、メニューの中では“焼き鳥”の並びに入っていて、値段も焼き鳥と同じく1人前2本で300円なのです。

 中でも串カツは、呉の呑兵衛のみならず、よその土地から来た人たちにも好まれる、人気の品。できたて熱々のところへ、ウスターソースをたっぷりとかけていただきます。

 ひとりでなるべく多くの種類の焼き鳥を食べたいときには、“おまかせ串盛”がおすすめ。1人前6本が800円と、値段的にもちょっとお得(1本あたり133円)で、串焼、きも、もつ、すなずり、つくねに、最後の1本はもしかすると“はつ”(鶏の心臓)じゃない?! これはうれしい。鶏ハツは私の大好物。この店の焼き鳥メニューを見ながら「ハツがないなぁ」と思ってたところだったのです。

 もうひとつ、おもしろいのは“つくね”です。6本のうち、このつくねだけが、焼いたのではなくて、フライヤーで揚げたもの。なぜつくねだけ揚げ物にしたのか。その理由は、この店の焼き台にあります。

 この焼き台も、実は店主・上瀬弘和さんが若かりし頃(昭和35年頃)に独自に考案したもの。ガス式の焼き台なのですが、下からの火のみならず、上にも火があって、両面から一気に短時間で焼き上げることができるのです。

 普通の肉はこの焼き台を使うことで美味しく焼けるのですが、つくねの場合はこの高火力が災いして、表面がいい感じで焼けても、中がレアみたいなことになってしまうんだそうです。逆に中まで火を通そうとすると、表面は焦げ焦げになってしまう。そこで、つくねだけはフライヤーを使って揚げることで、焦がさずに、中までじっくりと火を通すことができるようになったのでした。表面のカリッとした食感もいいですね。

 3品めとして注文したのは、これまた創業当時からずっと変わらず続いている人気メニュー、スープ豆腐(400円)です。

 ひとり用のアルミ鍋に鶏がらスープを沸かして、そこに大きめに切った豆腐を入れ、醤油で軽く味をつけて、長めに切ったネギを数本浮かせたらできあがり。言ってみれば、鶏がらスープで作った湯豆腐といった感じの簡単な料理なのですが、これがまたいい酒の肴になるんだなぁ。

 すでにご紹介したとおり、呉の“とり屋”では昔から、焼き鳥と並んで、串カツや串天などの揚げ物もメニューに並んでいました。この揚げ物に使っていた油が“鶏油”。この鶏油を取った後の鶏がらスープを、なんとか有効利用できないかと考えだされたのが、スープ豆腐だったのです。

 味噌炊きも、スープ豆腐も、店主・上瀬弘和さんや、その先人たちの努力が生んだ名物料理だったんですね。

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味噌炊き / 店主考案の焼き台 / スープ豆腐

店情報前回

《平成24(2012)年1月20日(金)の記録》

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» 釣りメバルを活造りで … 活魚・やき鳥「本家鳥好(ほんけとりよし)」(呉) [居酒屋礼賛]
 「本家鳥好」の二大看板メニューは活魚と焼き鳥。今日はその活魚をいただきます。  店内の生け簀(いけす)で泳いでいる魚は、すべて店主・上瀬弘和(かみせ・ひろかず)さん(74才)がご自身で船を出して釣ってきたもの。今日の生け簀はメバルとアジが多いのかな。私はメバルを造ってもらうことにします。  店内のメニューでは、焼き鳥類はすべて値段明記なのですが、活魚はそうはいきません。アジ(春~夏~秋)は1匹1... [続きを読む]

受信: 2012.02.25 08:52

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