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〔コラム〕 「宇和島の鯛めしは生卵入りだった」(太田和彦・著)

宇和島の鯛めしは生卵入りだった


 太田和彦さんの新しい本、「ニッポンぶらり旅 宇和島の鯛めしは生卵入りだった」(太田和彦・著、毎日新聞社、2012年3月20日発行、1,400円+税)を読了。

 この本は、『サンデー毎日』平成22年8月22-29日夏季合併号から平成23年5月1日号まで、35回にわたって連載された「ニッポンぶらり旅」を単行本にまとめたもので、宇和島、大分、会津、喜多方、静岡、倉敷、盛岡、高知、富山、金沢、京都、尾道、高松という12の町を旅して、35編の文章になっています。

 太田さんご自身が『私は珍しい土地の珍しい風物よりも、平凡な都市に行くことにした』と書かれているとおり、圧倒的な観光地とか、県庁所在地は少ないのが特徴です。

『本来デザイナーである私が文を書き始めたのは、およそ20年も前に書いた「ニッポン居酒屋放浪記」からだ。まだ若く、日本中の居酒屋を踏破する目的に燃え、一緒に行く若い編集同行者もいる珍道中は、ずいぶん無茶もしておもしろかった。今や還暦過ぎてのひとり旅だがこれもまた味わい深く、前著の後年編のつもりで書いている。』

 これは「あとがき」の文章の抜粋です。ここで出てくる「ニッポン居酒屋放浪記」(単行本は1997年1月発行)は、後に「ニッポン居酒屋放浪記 立志編」として新潮文庫から文庫本として出版され、それに続く「日本の居酒屋をゆく 疾風篇」(1998年5月発行)、「日本の居酒屋をゆく 望郷篇」(1998年6月発行)も、それぞれ、「ニッポン居酒屋放浪記 疾風篇」と「ニッポン居酒屋放浪記 望郷篇」という文庫本(同じく新潮文庫)になりました。

 2010年4月には、それら3冊の「ニッポン居酒屋放浪記」の中から、太田和彦さんの自選による16編を収録したベスト版、「自選 ニッポン居酒屋放浪記」(新潮文庫、620円)も発行されました。どれか1冊を、というのであれば、この本がおすすめです。

 これら「ニッポン居酒屋放浪記」シリーズの文庫本は、単身赴任先にも持ってきていて、今でもときどき読み返したりしています。同行の編集者とのやり取りもまたおもしろいんですよねぇ。

 でも、今回の「ニッポンぶらり旅」は、ひとり旅。掲載されている写真も、すべて太田さんご自身が撮影されたもののようです。

『私はひとり旅が好きだ。(中略)ひとりはいい。何時からどこへ行こうが、何を食べようが、どこでゆっくりしようが、すべて思うままだ。(中略)楽しみは商店街歩きだ。駅前のショッピングビルは全国どこも同じでつまらないが、昔からの商店街は地元の顔がよく見える。(中略)名所もいいが、その地の日常生活の姿を見るのが旅の楽しみだ。(中略)夜はもちろん居酒屋だ。土地の肴や酒は魅力だが、古い居酒屋にはその町の裸の素顔がある。出かけた外国で入る観光的なレストランよりも、こわごわ入った地元の裏町酒場が一番の思い出になるのと同じだ。』

 これもまた「あとがき」の文章の一部ですが、今回の本では、太田さんが昼間に喫茶店に入ったり、地元で人気の料理屋で、ちゃんぽんや、うどんなどを食べる様子なども描かれていて、居酒屋研究家としてだけではない、太田さんの新しい側面を、ちょっとだけ垣間見させていただいたような気がしました。

 その「あとがき」は、『この本の旅は2010年6月の宇和島から、2011年2月18日の高松までだ。その21日後に東日本大震災がおきた。今ではその日以前の世界は夢のように感じる。連載はその後も続き、旅をする私の気持ちも変わった。第2巻(出れば)に、それが表れているだろう。 2012年3月 太田和彦』という文章で締めくくられています。

 本書に続く第2巻、私も楽しみに待っていますので、太田さん、そして毎日新聞さん、ぜひよろしくお願いします!

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