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横浜でうれしいことは … 「武蔵屋(むさしや)」(桜木町)

たら豆腐


 3年ぶり2度目の横浜勤務が決まって、うれしく思ったことのひとつが、『これでまた武蔵屋に通えるようになるな』ということ。

 昭和21(1946)年創業。今年で創業67年となる老舗酒場に、私が最初にやってきたのは平成12(2000)年10月のこと。(→そのときの記録

 当時は「武蔵屋」に関する情報はほとんどなくて、その酒場の存在を太田和彦さんの著書、「居酒屋の流儀」(のちに「超・居酒屋入門」として加筆・文庫化)で知っていた程度。

 『横浜野毛、山手(やまのて)の住宅地にぽつりと立つ古い一軒の仕舞屋(しもたや)は看板もなくおよそ居酒屋とはわからないが、5時から9時までの短い営業時間に、中高年の常連客がやってくる。その「武蔵屋」を通称「三杯屋」と言うのはここは酒はコップ3杯までと決まっているからだ。ビールは何本でもよいけれど、酒を終えてからの注文は御法度だ。ここには肴の品書きはなく、客の飲む様子をみて、おから、玉葱酢のもの、納豆、御新香、鱈(たら)豆腐がぽつりぽつりと出てくる』というのがその内容。

 14年前の秋、住所表記だけを頼りにここまでやってきて、看板も何もない、見た目だけでは酒場とはわからない入口の引き戸を、おそるおそる開けたのが始まりでした。

 それ以来、今も変わることなく出される料理は季節を問わず、定番の5品。1杯目のお酒で、おから、玉ねぎ酢漬け、たら豆腐が出され、2杯目で納豆が、そして3杯目でお新香が出されて、これで終了となります。

 変わったのはお酒の注ぎ手くらいでしょうか。最初に来たころは、お酒を注ぐのは必ずおばちゃん(女将)と決まっていて、アルバイトのみなさんには手が出せない聖域でした。

 通い始めて3年くらいたったころ、当時のアルバイトの中では、もっともベテラン(といっても大学生)だったアミちゃんが、お酒を注ぐのを手伝うようになり、徐々に1~2杯目はベテランのアルバイトが注ぎ、最後の3杯目だけをおばちゃん自らが注いでくれるという流れが定着してきました。

 そして現在は、3杯ともすべてベテランのアルバイト・佐藤一希さん(大学生)が、ツツゥ~ッと土瓶を持ち上げながら上手に注いでくれるのです。

 昨年の3月に、女優・五大路子さんがここ「武蔵屋」のことを舞台で演じたときにも、佐藤一希さんは、そのまま『佐藤一希』役として、土瓶を持って出演されたというんだから、すばらしいではありませんか。

 今日も3杯のお酒と、5品の料理+おばちゃんから『きぬかつぎ』をいただいて、1時間ほどの滞在。お勘定は2,200円でした。

 この酒場にくると、『横浜に帰ってきたなあ』という実感がわきます。またできるだけ数多く通いたいと思っていますので、ぜひよろしくお願いします。今夜もごちそうさま!

店情報前回

《平成25(2013)年1月16日(水)の記録》

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コメント

こんばんは、武蔵屋さんにて隣でご一緒させていただいていた者です。先日はごゆっくりされているところ、色々とお話を聞かせていただきありがとうございました。初めて伺えた武蔵屋さんで、そして偶然にも浜田さんにお会いできて、忘れられない思い出になりました(嬉しさのあまり取り乱しました、お恥ずかしい限り...苦笑)。この場を借りてお礼させていただきます。

投稿: SEKISING | 2013.01.27 22:44

「三杯屋の奇跡」DVDを,浦和の「おがわ」で上映会というかたちで観劇した後に今月,武蔵屋を初訪問してきました. 小川さんからも噂は耳にしていたのですが大変素敵なお店でした.
お店では気がつかなかったのですが,言われてみると佐藤さんご本人の出演でしたね.
ベネンシアドールのような注ぎ方は見事です.

投稿: nobi | 2013.01.28 17:03

こちらこそ、ありがとうございました。>SEKISINGさん
SEKISINGさんにとって『初めての武蔵屋』に立ち会うことができて、とてもうれしく思います。
また横須賀の酒場にも出かけていきたいと思っていますので、どこかの酒場でお会いしたら、ぜひまたよろしくお願いします。

投稿: 浜田信郎 | 2013.01.28 23:01

ベネンシアドールという、シェリーのソムリエのような職業があるんですね。はじめて知りました。>nobi様
朝日新聞神奈川版の記事によると、佐藤さんはこの3月で卒業し、製薬会社に就職される予定だそうです。
http://www.asahi.com/area/kanagawa/articles/MTW20121029150280002.html

投稿: 浜田信郎 | 2013.01.28 23:20

浜田様
はじめまして。
何時も大変楽しく拝見させていただいています。
独り呑み居酒屋文化をこよなく愛する者です。
2年前からアメリカに駐在していますので、居酒屋文化の
無いアメリカで浜田さんやお仲間たちのブログは心のたよりとなっています。今年から横浜へ戻られたことで地元神奈川の情報が益々充実することを期待しています。
日本に戻ったときにどこかで一献できれば幸いです。
益々のご活躍をお祈りしています。

投稿: paxman | 2013.02.07 23:57

米国からのコメント、ありがとうございます。>paxman様
 私にとって2度目となる横浜は、前回と住んでいる場所が違っていることもあって、また新鮮な楽しみを味わっているところです。
 米国には居酒屋文化がないとのことですが、ひとりで飲むということも少ないのでしょうか?
(車が主たる移動手段になっているようなので、仕事終わりに飲んだりするのはむずかしいのでしょうか。)

投稿: 浜田信郎 | 2013.02.11 09:47

アメリカでは都市部は別として会社帰りに一杯という習慣が無いようです。車通勤ということも有るでしょう。
ひとり飲みの人もいますが、浜田さんが仰るような「酒場浴」ができる文化が希薄な気がします。

投稿: paxman | 2013.02.14 04:05

やっぱりそうなんですね。
アメリカの呑ん兵衛さんたちは、どんな飲み方をしてるんでしょうねえ。
もっぱら家飲みなのかもしれないですね。

投稿: 浜田信郎 | 2013.02.14 23:15

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 「imaのラーメンブログ」のimaさんが、仕事で横浜に出てこられたので、仕事終わりに待ち合わせて野毛(のげ)の町に出かけます。  1軒目は野毛を代表する老舗酒場「武蔵屋」です。imaさん、imaさんの同僚、そして私の3人で、奥の小上がりの1卓に座り、大瓶ビール(700円)から、いつもの燗酒3杯のセット(2,200円)へと移行します。  「武蔵屋」は、火・水・金のみの営業。今日は金曜日なので営業は... [続きを読む]

受信: 2013.02.05 23:19

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