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2013年6月

半年ぶりの呉酒場巡り(4) … お食事処「寿(ことぶき)」(呉)

サラダとビール


 半年ぶりの呉出張にからめた週末の呉酒場巡りも、あっという間に日曜日を迎えてしまいました。今日の午後には呉をたなければなりません。

 午前10時の刻限ぎりぎりにホテルをチェックアウトし、向かった先は中通の北の端にあるお食事処「寿」(=「寿食堂」とも言う)です。昨日、「森田食堂」「くわだ食堂」とまわったので、これから「寿食堂」に行けば、呉の三大老舗大衆食堂がひと巡りできたことになります。

 あれっ? まだ暖簾のれんが出ていない。

 でも開けっ放しの入口から、楽しそうな笑い声も漏れ聞こえてくるので、ま、いいかな。入っちゃえ。

「おはようございます。もう入っていいですか?」

「あ~あ、お帰りなさ~い。どうぞどうぞ」

 と女将の息子さん夫婦が笑顔で迎えてくれて、入口近くの対面式カウンター席の一角に座り、冷蔵庫からキリンラガービール大瓶(600円)とサラダ(150円)を取ってきて、キュッと起き抜けの一杯をいただきます。

 この時間に店に入ると、続々とできあがる料理が、次々に冷蔵陳列ケースに運ばれてきます。

 かわいい孫娘(=大人です!)が、できたて熱々のだし巻き卵(150円)を持ってきて、陳列ケースに並べらようとしているところを、さっそく一皿インターセプト。やっぱりできたてはうまいなあ。

 この店は、女将さん、その息子の嫁、さらにその娘(=女将さんの孫娘)の、母・義娘・孫娘という3代の女性が中心になって、平日はパートのおばちゃんたちが手伝いに入り、土日は女将の息子さん(平日はサラリーマン)も手伝いに入って切り盛りしているのです。

 午前10時半には暖簾も出て、正式に開店。それを機に常連客も続々と入ってきます。

 ところで、今さらながらに思うことですが、呉の飲み屋街と、野毛の飲み屋街は、その地形が非常によく似ています。

 JRの線路を底辺にして街を見た場合、JRの線路から垂直に中心を貫く通りが伸び、それと平行に、左側には川が、右側には大通りがあって、それらが街の左右の境界となっています。

 線路から遠ざかるに連れて、左側の川がやわらかくカーブして、街の左側の境界が狭くなり、先すぼまりに右側の大通りとぶつかって、街の境界が閉じる。

 ざっと言うと、そんな形です。

 呉の場合は、中心を貫く通りが中通なかどおりで、左の川が堺川さかいがわ、右の大通りが本通ほんどおり

 野毛の場合は、中心を貫く通りが野毛小路のげこうじで、左の川が大岡川おおおかがわ、右の大通りが野毛大通りのげおおどおりです。

 川岸は逆ですが、呉で屋台が並んでいるあたりが、野毛だと都橋みやこばし商店街。今いる「寿食堂」は、野毛だと「第一亭」があるところに近いでしょうか。呉の「迷亭」は野毛の「あさひや」だ。野毛の「武蔵屋」に相当する場所に、呉だと「一つ家」があるのも面白いなあ。

 野毛小路の入り口をガッチリと固めている「福田フライ」「三陽」「萬里」「若竹」の4軒に対応する店がないのが残念。まさに『おしい!広島県』ですねえ。

 そうそう。ここ「寿食堂」に来たら、煮魚も食べておかなきゃね。昨日、店の前を通ったときに、鯛カブト煮(450円)があったので楽しみにしていたのですが、これまた残念ながら今日はないようで、サバ煮付け(300円)と、真イワシ煮付け(2尾1皿400円)が並んでいます。

 真イワシ煮付けを手に取って席に戻ると、女将さんが電子レンジで温め直してくれます。

 ど~れどれ。やはりまろやかな醤油の味が決め手ですねえ。生姜しょうがの風味もよく効いている。

 2時間近くゆっくりとくつろいで、正午前に席を立つと、お勘定は1,300円でした。どうもごちそうさま。

 〆は「山乃家」のほそうどん(330円)。呉に来たら、やっぱりこれは食べておかないとね。

 旨みの強い、甘めのつゆに、噛まなくても食べられるくらいフニャッとやわらかいうどん。具は刻み揚げと、とろろ昆布、そして刻みネギ。これが呉の細うどんの基本形です。

 初日(金曜日)の広島駅「駅うどん」に始まって、昨日(土曜日)の「森田食堂」の肉うどん、そしてここ「山乃家」のかけうどんと、1日1うどんで過ごした3日間。

 スナック「Aki」(中通3-3-10、0823-22-8444)や、料理屋「」、小鍋立て「五鉄」、居酒屋「どん底」、お好み焼き「のぶ」など、行けなかったお店も多かったのが残念。また来なきゃね!

 今回も、いろいろとありがとうございました。>呉のみなさん

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「寿食堂」だし巻玉子 / いわし煮付け / 「山乃家」かけうどん

・「寿食堂」の店情報前回

《平成25(2013)年6月23日(日)の記録》

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土曜の昼は立石ツアー … もつ焼き「宇ち多゛(うちだ)」(立石)ほか

宇ち多゛


 毎週土曜日は、これといった予定がない限り『大人の遠足』の日。電車に乗って、ちょっと遠くの町まで『わざわざ』飲みに出かけます。『わざわざ』行くのがいいんですね。

 とは言うものの、出かける先はほぼ決まっていて、立石を中心とした葛飾エリアか、門前仲町・木場を中心とした深川エリア、あるいは赤羽・十条などの城北エリアのいずれかであることが多い。これらのエリアには魅力的な酒場が多いので、ついつい足が向いてしまうのでした。

 今日も今日とて、昼前に自宅を出て立石へと向かいます。

 目指す「宇ち多゛」に到着したのは12時半。この時間帯でも15人以上の行列ができています。相変わらずすごいなあ。

 このところ、土曜日の「宇ち多゛」は、店の裏側が入口、店の表側が出口と、一方通行になっていて、入店を待つ人たちは、店の裏側に1列に並びます。

 お客の回転が速いので、けっこう並んでいるように見えても、思っているよりは早く店内に入れることが多い。今日も30分ほどで店内に入ることができました。

 焼酎の梅割り(180円)をもらって、つまみは煮込み(180円)とお新香(180円)。この3点セットが、注文するや否やという感じで目の前に出てくるのがすばらしい。あっという間に飲み始めることができます。

 東京下町の酒場でも、煮込みというと牛もつ煮込みが出る店も多いのですが、ここ「宇ち多゛」の煮込みは、豚もつ煮込み。当日仕込んで、その日のうちに売り切ります。なのに、けっして『煮込みが浅い』なんてことはなくて、しっかりと煮込まれたもつが味わえるのです。いったい何時から仕込みをしてるんでしょうねえ。

 焼酎をおかわりして、レバたれ(もつ焼きはすべて2本1皿で180円)を注文するころには、店もゆったりと空席ができはじめ、店内の違う場所で飲んでいた宇ち中うちちゅうさんが、こっちのテーブルに移ってきてくれました。

 最後に、シロたれをいただいて、今日のお勘定は1,080円。ごちそうさま。

 「宇ち多゛」を出ると、筋向いにあるのが「二毛作」。こちらもまた『超』が付くほどの人気店なので、いつ見てもたいてい満席です。今日もそう。

 「二毛作」がいっぱいの場合は、近くの「ゑびすや食堂」に行くことが多いのですが、今日、宇ち中さんが案内してくれたのは、同じ立石仲見世商店街の中にある手打ちそばの店、「土日庵」です。店の存在は知ってましたが、入るのは今日がはじめて。楽しみですねえ。

 店内はL字カウンター7席だけの小さな造り。メニューは酒、肴ともに少数精鋭の構成で、メーンとなるそばも、せいろ(700円)、茄子せいろ(900円)、鴨せいろ(1,300円)の3品に、冬場だけ釜あげ蕎麦(900円)が加わって全4品とシンプル。

 『純吟 吊るし搾り おりがらみ』というラベルが貼られた「一喜いっき」(800円)をもらって、肴には「とうふのみそ漬」(400円)と「だし巻玉子」(550円)を注文。できたて熱々で出される「だし巻玉子」もいいのですが、「とうふのみそ漬」がすばらしい。日本酒にずばりと合います。

 さらに「飛露喜ひろき」(800円)をもらって、最後に「せいろ」(700円)でしめ。ごちそうさま。

 「土日庵」を出て、仲見世商店街を駅に向かって歩いていくと、おっ、「二毛作」にきがある。

 そんなわけで、〆のそばも食べ終えた後だけど、「二毛作」にもちょっと立ち寄って、今ちゃんハイに、「神亀しんかめ」の純米活性にごり酒をいただいて、『〆の〆』としたのでした。

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「宇ち多゛」レバたれ / 焼酎梅割り / シロたれ

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「土日庵」とうふのみそ漬 / だし巻玉子 / せいろ

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「二毛作」日替りメニュー / 今ちゃんハイ、お通し / 神亀・純米活性にごり酒

・「宇ち多゛」の店情報前回) / 「土日庵」の店情報 / 「二毛作」の店情報前回

《平成25(2013)年3月16日(土)の記録》

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店情報: 手打そば「土日庵(どにちあん)」(立石)

    土日庵
  • 店名: 手打そば 土日庵
  • 電話: 03-3693-1332
  • 住所: 124-0012 東京都葛飾区立石1-20-4
  • 営業: 11:30-14:00(土日のみ)&17:00-20:00(おそば売り切れご免)、月火休
  • 場所: 京成立石駅改札を出て、右前方の階段を下りて右にUターンして、すぐの路地を左折し、立石仲見世商店街を直進。右手の「宇ち多゛」、左手の「二毛作」を過ぎた少し先、左手。
  • メモ: カウンター7席。店内禁煙。せいろ700、茄子せいろ900、鴨せいろ1300、(冬季限定)釜あげ蕎麦900。大盛りは各200円増し。
    鴨ハツ塩焼650、自家製・鴨つくね650、鴨焼き1050、だし巻玉子(2個)550・(3個)650、とうふのみそ漬400、しじみ佃煮300、漬物300。
    エビスビール600、そば焼酎そば茶割り500、悪の代官600、信濃鶴600、吊るし搾り「一喜」800、飛露喜800、純米まんさくの花「十文字」(秋田)700、ウーロン茶200。
    〔手書き黒板メニュー〕白菜漬物+他300、するめいか一夜干し550、じゃこ天(2種)450、しいたけ焼き400、やき長いも400、菜の花わさび和え400、ほや塩辛400、ししゃもみりん干し400。(2013年3月調べ)

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半年ぶりの呉酒場巡り(3) … ビヤハウス「オオムラ亜(おおむら・あ)」(呉)ほか

生ビールと「くれえばん」


 「くわだ食堂」からホテルに戻って、ちょっと昼寝をしたらもう夕方。いよいよこれからが本番じゃ! さあ、飲むぞ!

 勢い勇んで出かけて行った先は、『グッと1杯!思わず2杯!』のキャッチフレーズでおなじみの生ビール屋、「オオムラ亜」です。

 現在の時刻は午後4時過ぎ。ちょっと出遅れたかと心配しながら入った店内は……。

 あれっ? 私が口開け第一号の客なの?

「昨日、わたしの誕生日でみんなで遅おまで飲みよったけえ、まだだ~れも来んよ」

 と店主の亜矢さん。

「そうだったんだ。それはそれは、お誕生日おめでとうございます。それと、お店の1周年もおめでとうございます」

「モモ(=亜矢さんの娘さん)のところも、子どもが生まれたんよ」

「なんとまあ、おめでた続きですねえ! …… えっ? ということは亜矢さん、おばあちゃんになっちゃったの?!」

 若いおばあちゃんだこと!

 赤ちゃんは11日に生まれたばかり。まだ2週間もたっていません。亜矢さんもその子育てを手伝いに行ってるので、このところ「オオムラ亜」の開店時刻(もともとは午後3時)も、少し遅くなっているんだそうです。

 そこへ、呉市のタウン誌「月刊くれえばん」の木戸編集長もご来店。さっそく本日口開けの生ビール(500円)を注いでもらって、半年ぶりの乾杯です。のりチーズ(200円)や、ポールウインナー(200円)などの、「オオムラ」時代から続く人気のつまみも、ぜひ食べておかなきゃね。

 午後6時前に木戸さんと二人で「あとでまた来るからねえ」と、いったん「オオムラ亜」を抜け出して、向かうは「魚菜やぎょさいや」です。

 私がいたころは土日が休みだった「魚菜や」ですが、今年の4月から日月を定休にして、土曜日は営業するようになったんだそうです。個人的に、これはうれしいですねえ。

「昨日は小イワシの刺身がいっぱいあったけど、今日はないんよ。天ぷらはあるけどね」

 と女将さん。そうなんです。広島湾の小イワシは6月が解禁。今の時期には地元でとれた小イワシが出回るので、みんなそれを楽しみに酒場にやってくるのです。

 それじゃあと、刺身は「おこぜ」と「つぶ貝」を、天ぷらは「小いわし」と「まいたけ」を注文すると、お通しは枝豆(茶豆)。お酒は呉の「宝剣ほうけん」からスタートします。

 おこぜもまたこの時期(夏場)の瀬戸内海沿岸でよくとれる魚のひとつ。プリッとしまった白身は、醤油よりもむしろレモンをちょっと搾っただけのほうが合うくらい。

「あぁ、日本酒がうまいっ。東京で飲むと、日本酒がものすごく甘く感じるんだけど、なんでだろう?」

「たぶん向こうの醤油が辛い(塩辛い)からよ。こっちの醤油のほうがまろやかでしょう? 九州の醤油のように甘くもないし」

 女将さんは東京にも住んでいたことがあるので、呉と東京の味の違いなどもよく知ってるのです。

 そうか、醤油の違いかあ。

 たしかにそれは言えるかもしれませんねえ。東京・横浜あたりで日本酒をいただくと、すっごく甘い感じがして、ついついホッピーや焼酎を選んでしまうことも多いのです。

 やあ、小イワシの天ぷらもうまいっ。小イワシ天を食べるのも半年以上ぶりです。

 日本酒も「宝剣」のあと、「雨後の月」と「華鳩はなはと」をいただいて終了。どうもごちそうさまでした。

 午後8時。再び「オオムラ亜」に戻ってみると、カウンターもテーブル席もほぼ満席。かろうじて空いていた2席に、木戸さんと並んで入ることができました。

 カウンター席にずらりと並ぶ常連さんたちに「お帰り~」と言ってもらえるのが本当にうれしい。

 お客さんの中には、このブログをご覧になって、東京から広島出張のついでに呉に飲みに来られたという方もいて大感激。

「仕事は広島だったんですが、宿泊はあえて呉にして、今日はここに来たんですよ」

 とのこと。この店を皮切りに、これから呉の飲み屋街へと繰り出されるんだそうです。

 そうこうしているうちに「オオムラ亜」も閉店。木戸編集長、亜矢さん、のんちゃん(=店を手伝っている女性)や「オオムラ亜」の常連さんと、最近できたという日本酒バー「つまみ」で飲み、さらに「オオムラ亜」の2階にある「ナイトカフェ・ラズ」で午前1時ごろまで。呉の夜を思いっきり楽しんだのでした。

 それにしても「ナイトカフェ・ラズ」に若い女性客がたくさん来ているのには驚いた。呉の女子たちはこういう店で飲んでたんですね。初めて知りました。

 木戸さん、亜矢さん、すっかりごちそうにり、ありがとうございました。

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「オオムラ亜」店内 / のりチーズ / ポールウインナー

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「魚菜や」茶豆と宝剣 / おこぜ、つぶ貝 / まいたけ、小いわし

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「オオムラ亜」泡に唇の跡が! / 日本酒Bar「つまみ」 / 「ナイトカフェ・ラズ」

・「オオムラ亜」の店情報前回) / 「魚菜や」の店情報前回

《平成25(2013)年6月22日(土)の記録》

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大人気!鶏もつ煮込み … 季節料理「赤津加(あかつか)」(秋葉原)

鶏もつ煮込み


 電気の街、オタクの街として知られる秋葉原にも、呑ん兵衛のんべえ垂涎すいぜん老舗しにせ酒場がある。それが昭和29(1954)年創業の「赤津加」です。

 メイド服姿のおねえちゃんたちの間を突っ切って進み、粋な黒塀くろべいの建物が見えたら、そこが「赤津加」。右に折れた路地の先に入口があります。

 紺地に白で「赤津加」と染め抜かれた暖簾のれんをくぐり店内に入ると、正面のカウンター席、左手のテーブル席、さらに左手奥の座敷席ともにほぼ満席の様子。かろうじて正面カウンターのど真ん中に、1席分の空きがあり、私がそこに入れてもらったところで、店内は完全に満席。もうひとり客でも入れない状態になりました。

 現在の時刻は午後8時。金曜日ということもあるんでしょうが、相変わらずものすごい人気店なんですね。秋葉原という土地と、「赤津加」のギャップがおもしろいんだろうな。

 カウンターの中も外も、女性の店員さんが切り盛りしていて、男性陣は右手の厨房の中にいる様子。赤羽の「まるます家」と同じような分担ですね。

 名物の大女将はというと、コの字カウンターの右最奥のところに常連さんと一緒に座って、今日はお客さんです。店の切り盛りはもう若い人たちに任せちゃったのかな。

 この店に来ると、ぜひ食べたいのが『鶏もつ煮込み』(800円)。

 今日もさっそく大瓶のビール(720円)と鶏もつ煮込みを注文すると、ビールは3銘柄4種が選べるとのことで、サッポロ(黒ラベル)をもらいます。

 すぐに出されるお通し(合計から逆算すると350円)は青柳あおやぎの煮物。それをチビチビとつまみながら飲んでいるところへ鶏もつ煮込みも出てきました。

 鶏もつ煮込みは一人用の土鍋で出されるのですが、その鍋が、自分の記憶に残っているものよりも、ふた回りぐらい小さい感じ。こんなに小さかったかなあ。具の鶏もつや、添えられたレンゲが、ものすごく大きく見えます。

 熱々のところをさっそくレンゲにすくっていただくと、そのみそ味がうまいっ!

 具は、肉がちょっと付いた鶏皮がメーンで、背肝せぎももちらほら。鶏もつ以外には、こんにゃく、豆腐と玉ねぎが入り、刻みねぎがトッピングされています。

 池波正太郎の「鬼平犯科帳」などにも登場しているように、鶏もつ煮込み(≒軍鶏鍋しゃもなべ)は江戸の昔から食べられていた酒の肴。今でも、ここ「赤津加」や、根岸(鶯谷)の「鍵屋」で鶏もつ鍋を、手ごろな値段で出してくれるのがうれしいですね。

 味付け的には「鍵屋」の甘辛い醤油味のほうが、昔の味に近いんだろうな。でも『煮込み』として考えると、ここのみそ味もいい!

 こりゃやっぱり燗酒だな。菊正宗(正一合460円)をお願いすると、「赤津加」という銘が入った、曲面が美しい徳利が、はかま付きで出てきました。これを「菊正宗」のお猪口でズズッといただきます。

 燗酒をズズッと空気と一緒にすすり込むと、まずガツンと強いアルコール感が、のどの奥に飛び込んできます。そしてそれを追いかけるように舌の上には日本酒の甘みが広がっていく。この『強い』と『甘い』がせめぎ合う感じが好きで、最近はこの飲み方にすっかりはまっているのでした。

 ここの鶏もつ煮込みと、日本酒との相性は抜群。つまみになる汁も、すべてすっかり飲み干して、1時間ほどの滞在。今日のお勘定は2,330円でした。どうもごちそうさま。

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粋な黒塀が目印 / 「赤津加」 / 菊正宗の燗酒

店情報前回

《平成25(2013)年3月29日(金)の記録》

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半年ぶりの呉酒場巡り(2) … 「森田食堂」「くわだ食堂」(呉)

「くわだ食堂」カツオたたき


 呉2日目。土曜日の今日は、昨日の雨とは一転してまぶしいほどの快晴です。

 昨夜、遅くまで飲んでいたので、今日は9時ごろ目覚めてシャワーを浴び、ゆっくりと遅めの朝食を食べに出かけます。

 向かった先は大正2(1913)年創業の老舗大衆食堂、「森田食堂」です。

「あらお帰りなさい。お元気そうで」と迎えてくれる女将さんの笑顔がうれしいなあ。

「半年ぶりです。ごぶさたしてすみません。今日は肉うどん(500円)をください」

 明け方まで飲んでたので、さすがにまだ飲もうという気持ちは起きず、呉名物の細うどんを、肉うどんでいただきます。

 「森田食堂」の大きな特長は、とにかく出汁(だし)がうまいこと。イリコ出汁が基本らしいのですが、すばらしい旨みです。だから、うどんも湯豆腐(300円)も、中華そば(400円)までもがうまいんですね。

 この出汁とよく絡むのが呉の細うどん。ざっと言うと、冷麦(ひやむぎ)を少し太くしたぐらいの細さです。

 昔から呉は職工さんの多い街でもあったので、大勢の職工さんに待ち時間少なく、熱々のうどんを提供するために、ゆで時間が少ない細うどんが定着したと言われています。その細さが、旨みのあるつゆをたっぷりと味わえるということにも貢献したんですね。

 飲み過ぎですっかり眠ってしまっていた胃袋も、このアツアツ肉うどん1杯でまた動き出した感じ。よしっ。今日も飲むぞ!

 「森田食堂」を出て、呉の街の散策を終え、再び呉駅前に戻ってきたのは午後2時。今日の昼食&飲み始めは「くわだ食堂」です。

「こんにちは」

「ありゃ久しぶり。いらっしゃい」

「昨日、出張で呉に来たんですよ」

「そうか。今は出張してくる先がこっち(呉)なんですね。お帰りなさい」

 と迎えてくれる若店主。彼は数年前まで会社勤めをされていたので、我われサラリーマンの生態(?)もよく知っているのです。

 冷蔵庫からキリンラガービールの小瓶(360円)とよく冷えたグラスを取ってきて、グイッと1杯、最初のビールを飲んでから、陳列ケースにおかずを選びに行きます。

 朝の「森田食堂」もそうですが、こっちの大衆食堂は、冷蔵陳列ケースにずらりと並んでいるおかずの中から、自分の好きなものを自由に持ってきて、ごはんやみそ汁だけ別に注文して献立を組み立てるスタイル。

 ごはんやみそ汁を注文する代わりに、ビールや酒を注文すれば、豊富なおかずをつまみに一杯飲める、大衆酒場になるのでした。

 おぉ~っ、カツオのたたき(400円)がうまそうじゃ。これをもらいましょう。

 その皿を席まで持ってくるのとほぼ同時に、カツオたたき用のポン酢醤油の小皿が出されます。客が何を手に取ったかよく見ていて、それに必要な薬味を出してくれたり、温めた方がおいしいおかずは「温めましょう」と電子レンジで温めてくれたりするのです。

 この店の名物のひとつ、貝汁(180円)ももらいましょう。アサリがたっぷりと入ったこのみそ汁は、当然のごとく、いいつまみにもなるので、呑ん兵衛にも大人気なのです。

 カツオのたたきと貝汁だけで、燗酒2合程度は軽くいけそうなのですが、土曜日の今日は、この後の展開も長丁場の予感がたっぷり。

 ここでスタートダッシュをかけてしまうと、夜までもたない可能性も高いので、今はか~るく、ウォームアップ程度にとどめておくことにしましょう。

 そんなわけで「くわだ食堂」には、30分ほどの滞在。お勘定は940円でした。どうもごちそうさま。また来ますね。

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「森田食堂」のれん / 肉うどん / 「くわだ食堂」貝汁

・「森田食堂」の店情報前回) / 「くわだ食堂」の店情報前回

《平成25(2013)年6月22日(土)の記録》

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半年ぶりの呉酒場巡り(1) … バー「アンカー(ANCHOR)」(呉)ほか

BAR ANCHOR


 呉から横浜に転勤して半年。はじめて呉への出張が入り、朝から新幹線で広島に向かいます。広島駅に到着したのは午前11時半。今日の昼食は、広島駅1番ホームの「駅うどん」での天ぷらうどん(340円)に決めています。こっちのうどん出汁にぴたりと合う巻きずし(2個100円)も食べなきゃね。

 久しぶりの広島駅の天ぷらうどんに大満足して、呉線乗場(3番ホーム)に行ってみると、昨夜からの大雨の影響で、呉線が大幅に遅れている。ホームで1時間ほど待って、やっと来た呉線に乗り込むと、これがまた徐行運転で、呉まで1時間半もかかってしまい、駅に到着したのは午後2時。当初の到着予定時刻から1時間半もの遅刻です。『雨に弱い呉線』は、今もまったく変わらないんですね。

 呉での仕事終了後、関係者一同で向かったのは「鳥八茶屋」。

 老朽化に伴う店舗建て替えのため、昨年(2012年)9月からずっとお休みしていた(その間、姉妹店の「第三鳥八」で共同営業していた)「鳥八茶屋」ですが、満を持して今年3月1日にリニューアルオープン。

 私自身、この新店舗は初訪問です。

 きれいになりましたねえ。店もぐんと大きくなった感じがします。1階は、店主・上瀬正嗣さんの、「お客さんと直接話をしながら仕事をしたい」という希望をかなえるカウンター席。よかったですねえ。

 そんなわけで、店主ともごあいさつさせていただいて、我われは2階の宴会場で宴会です。2階もまたきれいだし、洒落た造り。

 現在は、予約だけで満席になってしまうほどの大人気状態が続いているんだそうです。

「でるものは変わってないですよ(笑)」

 と、さっき店主も笑っていたのですが、鶏肉の串カツも、焼き鳥も、以前と同じで一安心。焼き魚には、ちょっと小ぶりながらも一人1尾ずつのノドグロが出されました。千福の燗酒が進む進む。

 二次会はPANビル5階のラウンジ「レジェンド」。ここは同じビルの4階にある伊酒屋「ヴェッキオ」の姉妹店なので、「ヴェッキオ」の料理も(4階から5階へと出前してくれて)楽しむことができます。ピザもパスタも、懐かしいなあ。

 日付けが変わるちょっと前に解散し、今日の幹事役を務めてくれたAさんと二人でバー「アンカー」へ。Aさんはモスコミュールを、私はモヒートをもらって乾杯です。

 日本中、どこでやっててもおそらく大人気店になったであろうこのバー。普通のカクテルやウイスキーなどもさることながら、季節のフルーツを使ったカクテルが爆発的に美味しい。いい産地が近くにあるからでしょうね。

「今日の果物はなに?」と聞いてみたところ、

「この時季は、果物よりもミントですね」

 という返事だったので、1杯めのカクテルとして、モヒートを作ってもらったのでした。

 赤羽「まるます家」のジャン酎モヒートも完成度が高いけど、本物のモヒートもやっぱりおいしいですねえ。暑い季節にぴったりだ。

 Aさんがモスコミュールをおかわりするタイミングで、私はタリスカーをストレートで注文すると、「TALISKER MADE BY THE SEA」と書かれた専用のストレートグラスで出してくれました。「海によって作られたタリスカー」といったところでしょうか。

 タリスカーは「スカイ島の火山の力を借りて、液体になった雷(かみなり)」とも言われていますが、火山の力を借りたり、海に育まれたりしながら、この味ができたんですね。

 午前1時半ごろ店を出て、今日の宿まで向かったものの、なんだか小腹がすいている。これはちょっと屋台だね。トコトコと屋台通りまで出て、2席ほど空席が見える「富士さん」に入ると、「シロクマ」のマスターとママさんもお客さんと一緒に「富士さん」に来られていてびっくり。思わぬ場所で、ごあいさつをすることができました。

 まずは麦焼酎(いいちこ)の水割り(400円)をもらって、つまみはおでん(全品100円)の鶏もつと平天をもらいます。

 年中変わらず、おでんと鉄板焼きと中華そばが食べられるのが、呉の老舗屋台の大きな特徴。注文するとサッと出てくるおでんは、呑ん兵衛の強い味方ですもんね。

 ひとしきり飲んだところで半ラーメン(400円)を注文。最後に麺をポ~ンと高く放り上げてチャッと湯を切るスタイルも変わってませんねえ。広島風のトンコツ醤油ラーメンに舌鼓をうって、屋台を出ます。

 おろっ? 道の向こうのほうから知った顔が続々と。

 なんと、元の職場の飲み仲間たち6人ほどが前方から近づいてくるではありませんか。

 今の時刻は午前2時半ですぞ! こんな時間帯に、こんな出会いがあろうとは。

 さっそくみんなで「富士さん」のとなりの屋台、「八起」に入ります。

 全員でビールで乾杯して、ほとんどのみなさんは、〆の半ラーメン。私はさっき半ラーメンを食べたばかりなので、だれかが注文した豚耳をつつきながら、ビールです。

 みんなは「五鉄」から「レジェンド」に流れて、最後の〆で屋台にやってきたんだそうです。「レジェンド」は、我われが出たあとにすれ違いで入ったんですね。

 久しぶりの呉なので、元の職場のみなさんとも旧交を温めたかったのですが、今日は別件の宴席が予定されていたので、それがかなわず、残念な思いでいっぱいだったのです。

 最後の最後にこうして、(全員ではないものの)みんなと一緒に飲むことができて本当に良かった。みんなの笑顔がうれしいなあ。

 屋台の前で解散し、ホテルに戻ったのは午前4時前。今日は夏至なので、ちょっと眠ったらもう朝だなあ。お休みなさ~い。

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「駅うどん」天ぷらうどん、巻きずし / 「鳥八茶屋」串カツ(鶏) / 焼き鳥

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「鳥八茶屋」焼き魚(ノドグロ) / 「レジェンド」ピザ / パスタ

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「アンカー」モヒート / タリスカー / 屋台「富士さん」

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「富士さん」平天、鶏もつ / 半ラーメン / 「八起」豚耳

・「鳥八茶屋」の店情報前回) / 「アンカー」の店情報前回) / 「富士さん」の店情報前回) / 「八起」の店情報前回

《平成25(2013)年6月21日(金)の記録》

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飲んで食べて、2千円 … 定食「はまや食堂(はまやしょくどう)」(杉田)

小松菜おひたしで燗酒


「特別定食をオールで。ごはんは小で、あとからお願いします」

 店に入るなり、大瓶ビール(キリンラガー、480円)を注文し、そのビールを持ってきてくれたところで、上のような料理の注文をしたのでした。

 特別定食(980円)は、この店に3種類ある日替り定食のひとつで、基本的に主菜1品に、3品から2品が選べる副菜、そしてライスセット(ライス中+みそ汁)という組み合わせ。

 普通に注文すると、すべてがそろってから、大きめのお盆に一式を載せて一気に出してくれます。しかしながら、ビールや酒を飲んでいる場合には、まずつまみとして副菜を出してくれて、その後、主菜とライスセットを出してくれます。

 さらに冒頭の注文のように「ごはんは後から」とお願いしておくと、副菜から主菜とおかずだけを順番に出してくれて、ライスセットは「ごはんをお願いします」と声をかけたときに、はじめて出してくれるという、きわめて呑ん兵衛向けのコース料理になるのです。

 私はこれを『大衆食堂のフルコース』と名付けて、毎週のように楽しんでいるのでした。

 冒頭の注文で、「オールで」と注文しているのは、本来は3品から2品を選ぶ副菜を、「3品とも全部ください」ということで、3品の副菜のうち、単品価格がもっとも安い1品の値段が、特別定食の料金に加算されます。

 「ごはんは小で」というのは、通常は中ライス(170円)が付いてくるライスセットを、「小ライス(150円)に変更してください」ということで、その差額、20円分が、特別定食の料金から引かれます。

 今日の特別定食の主菜はトンカツ。選べる副菜は、小松菜のおひたし(200円)、しらすおろし(180円)、酢の物(180円)の3品なので、オールで180円プラス、小ライスで20円マイナスで、都合1140円のスペシャル特別定食となりました。

 お通し(サービス)の枝豆をつまみ、テレビのニュースを見ながらビールを飲んでいるところへ、まず出てきたのはしらすおろし。追いかけるようにキュウリと若布の酢の物も出てきました。

 すぐにでも燗酒をもらいたいような2品の料理の登場ですが、今日はこの時期にしてはものすごく暑い一日だったので、急に燗酒という気持ちにはなりにくい。むしろ冷たいビールと、冷たい料理2品の清涼感がうれしいなあ。

 この店の飲み物は、ビールが大瓶(キリンラガー、480円)と中瓶(キリンラガーまたはアサヒスーパードライ、430円)。日本酒(秋田の「爛漫」)が大(500円)か小(280円)ととてもシンプル。焼酎類は置いていません。

 この店で、特別定食をつまみに飲むと、大瓶ビール1本だけではちょっと飲み足りないので、もう1本ビールを追加するか、日本酒の小を追加するかすることが多い。どっちかというと日本酒のほうが好きなんだけど、今日は主菜がトンカツなので、もう1本、ビールをもらうのがいいのかなあ。

 なんてことを考えていたところへ、女将さんが「特別定食のトンカツです。おひたしは後で、ごはんと一緒にお出ししましょうね」と、先にトンカツを持ってきてくれました。

 ビールがまだ残っているうちに、先にトンカツを出してくれたのかなあ。もしそうだとすると、ものすごい配慮だ!

 揚げたて熱々のトンカツに、ソースをちょっと回しかけてサクッといただくと、豚肉の脂身の甘みがおいしいこと。そして冷たいビール、ビール。

 トンカツがなくなるのと同時に、ビールもちょうど終了。

「すみません、お酒の小(280円)をぬる燗で。小松菜も出してください」

 女将さんは、ライスセットのおかずとして、小松菜のおひたしを後で出してくれようとしたんだと思いますが、ビール1本だけではやっぱりちょっと飲み足りないので、その小松菜をつまみに、燗酒をいただくことにしたのでした。

 小松菜に限らず、この店のおひたしは、野菜のゆで具合がちょうどよくて、シャキシャキとした野菜の食感が残っていて、野菜の風味をたっぷりと感じることができるんだけど、硬いわけではない。「野菜がうまいっ!」と感じるおひたしなのです。

 小松菜のおひたしも食べ終えて、燗酒を少し残した状態で、いよいよ〆のライスセット。

「小ライスのセットをお願いします。あと追加で納豆(100円)もください」

 燗酒を少し残しておいたのには理由(わけ)がある。ここのみそ汁がこれまた、いいつまみになるんです。具は豆腐と若布、玉ねぎに、とろろ昆布が入っていて、沸かさないように、絶妙に加熱して出してくれるのです。

 納豆を混ぜてごはんの上にのせ、この納豆ごはんや、添えられているお新香もつまみにして、ぬる燗をちびりちびり。

 最後に特別定食に必ず付いてくる果物(今日はパイナップル2切れ)をいただいて、『大衆食堂のフルコース』を終了します。

 1時間半ほどの滞在。特別定食で満腹になり、大瓶ビールと小徳利で、酔い具合も、ちょうどいいほろ酔い状態になって、今日のお勘定はちょうど2千円でした。どうもごちそうさま!

 ちなみに、私がひそかに『刺し定のおっちゃん』と呼んでいる、いつもマグロ刺身定食(780円)と冷やしトマト(150円)を注文するおっちゃんは、今日はなんとホッケ焼き定食(780円)と冷やしトマト。マグロ刺身定食以外を注文するところを初めて見たなあ。でもちゃんと小ライス(150円)はおかわりしてました。

 『大食漢のおっちゃん』と呼んでいるおっちゃんは、大瓶ビール(480円)に、特別定食(980円)はしらすおろしと小松菜を選び、それと同時に里芋煮(250円)、ポテトサラダ(200円)、冷やしトマト(150円)、納豆(100円)を一気に注文して、出てくる順にワシワシと食べ進んでいく。その早いこと早いこと。

 普通の人は、出てくるおかずをチマチマとつまみながら、ビールをチビチビと飲んだりするのですが、この大食漢のおっちゃんは、おかずが出てくると、その器を手に持って、息もつかない勢いで、ワッシワッシと一気に食べ終える。

 あっという間におかずがなくなって、そこで「ふぅ~っ」と息をついて、ビールをちょっとだけ飲みながら、次のおかずが出てくるのを待つのです。このおっちゃんにとってビールは、おかずとおかずの間の、合いの手みたいな存在なんですね。

 私よりも後にやってきたのに、30分もかからないくらいで完食し、これでお勘定は2,160円。あんなにたくさん食べてた割りには安いなあ。そうか、ビールを1本しか飲んでないからなんだな。

 大衆酒場と同じように、大衆食堂も、毎日のようにやってくる常連さんが多いので、ついつい観察してしまうのでした。

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ビールとお通し(枝豆) / 酢のもの / しらすおろし

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とんかつ / 小松菜おひたし / 小ライスセットと納豆

店情報前回

《平成25(2013)年6月19日(水)の記録》

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モラさん、倉嶋さんと … 中華料理「三陽(さんよう)」(桜木町)ほか

モラさん、倉嶋さんと


 「武蔵屋」を出て、まっすぐに都橋(みやこばし)商店街に向かい、2階にある「ホッピー仙人」の扉を開けると、その目の前にお客の背中がずらりと並んでいるほどの満員状態。カウンターで飲む人たちの後ろに、大勢の人がずらりと並んで立ち飲んでいます。でも仙人が、

「おぉ~っ、浜田さん。倉嶋さんたちも中にいるよ。入って入って」

 と声をかけてくれると同時に、入口近くのお客さんたちも左右にギュギュッと詰め合わせてくれて、なんとか店内にもぐり込むことができました。

 今日も瓶白(びんしろ=瓶の白ホッピーのこと、500円)をもらって、恒例の店全体での乾杯をすませて飲み始めたところ、奥のお客さんたちからも、

モラさん倉嶋さんと一緒のほうがいいでしょう? 場所を代わりましょう」

 という声がかかり、カウンターの後ろに並ぶ人たちが、一度いっせいに外に出て、その奥に私が入らせてもらってから、もう一度みんなが店内に入り直すという立ち飲み族一同の大移動のすえ、やっとモラさん、倉嶋さんの近くに行くことができました。(ありがとうございました。>みなさん)

 お二人は「武蔵屋」のあと、「野毛ハイボール」を経て、ここ「ホッピー仙人」に来られたのだそうです。

 それにしてもモラさん、日本語が上手ですねえ。まったく違和感がない感じ。日本には通算20年ほど滞在されているそうなんですが、それにしても自然な日本語です。

 1時間弱で「ホッピー仙人」を出て(お勘定は500円)、次なるお店は『毛沢東もビックリの餃子!周恩来も驚くラーメン!』でおなじみの、野毛の名物店「三陽」です。

 店内のカウンターもけっこう空いているので、カウンター席に入ろうとすると、入口近くで鍋を振っている店主から、

「3人? ビアガーデンに座って」

 と指示が飛びます。ビアガーデンというのは、店の前の道路に張り出して並べられたテーブル席のこと。そこに座ろうとしているところへ、

「生ビール(550円)3杯に、餃子(400円)とネギトリ(600円)を3人前ずつか?!」

 と店主から声が飛びます。この勢いに押されて、慣れないうちはすぐに「はいっ」なんて返事しちゃうんですよねえ。でも今はもう大丈夫。余裕でこなせます。

私:「う~ん。もう食べてきちゃったから、そんなに入んないですよ」

主:「じゃ、餃子2人前くらいにしとくか?!」

私:「はい。それとネギトリも1人前ください」

モ:「あと、サラダね」

主:「サラダはクラゲでいい?」

モ:「いいよ」

 ってなことで、飲み物はチューハイ(350円)をもらって、改めて乾杯。お通し(サービス)のバクダン(ニンニク)が相変わらずいいですねえ。

 はじめて食べたクラゲ(900円)は、クラゲとキュウリの酢の物っぽい料理。さっぱりとしてます。

 さっくりと45分ほど(お勘定は3人で3,500円ほど)で飲み終えると午後10時。

 モラさんも倉嶋さんも、都内(中央線沿線)まで帰らないといけないので、そろそろお開きかな、と思っているところへ、

「次に行きましょう!」とモラさん。さすがです!

 モラさんは、ジャズピアニストでもあるので、最後はジャズが聴ける店にしようと「パパジョン」を目指したものの、なんと今の「パパジョン」は火曜日が定休日。残念でした。

 この時点で、これ以上飲むと帰宅困難になることを按じた倉嶋編集長が戦線離脱。(この判断もさすがです!)

 モラさんと私は、タクシーでちょっと(料金にして1000円ほど)移動して、横浜中華街入口のジャズバー「ウィンドジャマー(Windjammer)」です。

 入口にいた店員さんに、「まだライブはありますか?」と確認すると、

「ええ、ありますよ。最終が午後10時半から、もうすぐはじまります」

 ということで店内に入り、ステージ前のカウンターに陣取り、モラさんはジンバック、私はジャックター(Jack Tar)を注文。つまみにナチョス(500円)ももらいました。

 ジャックターは、この店のオリジナルカクテル。ゴールドラム、ピーチリキュール、ライムジュースをシェークして、クラッシュドアイスを詰めたロックグラスに注がれます。

 そしてジャズライブも始まりました。今夜はピアノ(柴崎純孝さん)、ベース(嘉山広信さん)、ドラム(白沢悦朗さん)の3人によるセッションです。

 この店はミュージックチャージが600円と比較的安価。横浜には、気軽にジャズライブが聞けるバーが多いのです。

 それにしても、このステージ前のカウンター席は、演奏が始まるとしゃべってはいけないことになっているのですが、そのすぐ近くにあるテーブル席はそんな規制がないので、うるさいこと、うるさいこと。もう少し静かに話してくれるとありがたいんだけど、この時間なので、もう酔っ払いばっかり。ついつい声も大きくなっちゃうんだろうなあ。

 5軒目(私は4軒目)だけど、モラさんはまだまだいけます。最初のジンバックをグイッと明けて、次なるカクテルはギムレット。強いですねえ!

 ライブも終わり、11時過ぎに店を出て(お勘定は二人で5,500円ほど)、てくてくと石川町駅へ。ここからモラさんは上り東京方面へ、私は下り磯子方面へと向かう電車で帰ります。

 長時間にわたる楽しい時間をありがとうございました。>モラさん、倉嶋さん

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「ホッピー仙人」 / 「三陽」餃子、バクダン(奥) / ネギトリ、クラゲ

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「ウィンドジャマー」カクテル / ジャズライブ / ナチョス

・「ホッピー仙人」の店情報前回) / 「三陽」の店情報前回) / 「ウィンドジャマー」の店情報前回

《平成25(2013)年6月18日(火)の記録》

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長い行列に並んで入店 … 「武蔵屋(むさしや)」(桜木町)

武蔵屋


「モラスキーさんと野毛はしご酒をします。ご一緒いかがですか?」

 「古典酒場シリーズ」編集長の倉嶋さんから、そんな連絡をいただいたのは先週のこと。

 モラさんこと、マイク・モラスキー(Michael S. Molasky)さんは、一橋大学社会学研究科の教授にして、ジャズピアニスト、さらには「呑めば、都 - 居酒屋の東京」という著書もあるほどの居酒屋文化研究家でもあります。

 米セントルイス生まれの彼が、なぜ日本の大衆酒場を好むようになったのか。その経緯については、先月(2013年5月)発売された、「古典酒場 VOL.12 FINAL号」の特集『古典酒場、ボクの原点』のモラさんのページをご覧いただくとして、野毛の話に戻ります。

 モラさんと倉嶋編集長は、午後5時の「武蔵屋」の口開けをねらって店に入る予定とのこと。

「なるべく早く会社を出るようにしますので、店内で合流しましょう」

 ということにしていたのですが、ラッキーにも終業時刻(午後5時)ぴったりに退社することができたので、一目散に野毛へと向かい、桜木町駅に到着したのは午後5時30分。急げばこんなに早く来ることができるんですねえ。

 喜び勇んで、「ちぇるる野毛」(=ショッピングセンター)裏の、「武蔵屋」に向かう最後の角を曲がると、なんとそこには12人ほどの行列。えぇ~っ。まだ開店から30分ちょっとしか経ってないのに……。これはすごいなあ。

 行列の後ろについて、倉嶋編集長に「店頭の大行列の後ろに並んでいます」とメールで連絡します。

 さてここで、「武蔵屋」の行列への並び方ルールです。私自身、これまで2回ほど、しかも短い行列にしか並んだことがないのですが、次のようになっているようです。

 まず、何人で行ったとしても、行列の一番後ろに並ぶ。これはどこの店でも基本ですね。お店の前から、坂の下に向かって行列が伸びていきます。

(グループの場合は、一般的なマナーとして、全員がそろってから列に並びましょう。)

 店内からお客さんが出てくると、それと一緒に店のスタッフの方も出てきて、列の前のほうの数人(数組)に、「何人ですか?」と声がかかります。ここで「4人です」とか、「ひとりです」と人数を申告します。

 グループはできるだけ一緒に座れるように努力してくれますが、どうしても都合がつかず、離ればなれになる場合もあります。

 もともとそれほど客の回転が速いお店ではないうえに、12人の最前列2組が、それぞれ4人連れのグループだったこともあって、行列は遅々として進みません。

 やっと前から3番目くらいの位置まで進んだのは、並び始めてから1時間後の午後6時40分ごろ。ここで3杯のお酒を飲み終えたモラさんと倉嶋編集長が店から出てきて、モラさんとも初対面のごあいさつ。

 ここで抜けて、モラさんや倉嶋さんと一緒に次の店に行こうかとも思ったのですが、ついさっきマリエさん(=お店のスタッフ)に「ひとりです」と自己申告したばかりなので、ここで抜けるのも悪い気がして、まずは私もこのまま「武蔵屋」に入り、のちほど合流させていただくことにしました。

 さらに待つこと10分ほど。午後6時50分にやっと入店です。おばちゃん(=女将さん)からも、

「今日は早いんじゃないの? お待たせして悪かったわね」

 と声がかかります。早い時間帯ならすんなりと入れるかと思いきや、むしろ早い時間帯のほうが人が多かったんですね。びっくりしました。

 なるべく急いで、でも同じテーブルに座る、それぞれひとり客のみなさんとの会話も楽しみつつ小瓶のビールと、3杯のお酒を飲み終えて、「武蔵屋」を出たのは午後8時。

 1時間10分、店の外で待って、店の中でも1時間10分の滞在。お勘定は2,700円でした。どうもごちそうさま。

 さあ、モラさんと倉嶋さんを追いかけますか!

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納豆 / お新香 / 最後におばちゃんから1杯

店情報前回

《平成25(2013)年6月18日(火)の記録》

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魚肉ソーチップス登場 … 居酒屋「ペルル」(鷺ノ宮)

魚肉ソーチップス


 「ペルル」の料理メニューに最近加わったニューフェースが「魚肉ソーチップス」(300円)です。

 魚肉ソーセージを薄くスライスして皿に並べ、カリッと乾燥するまで電子レンジで加熱したもの。

 この料理は、テレビ朝日の「シルシルミシルさんデー」という番組で、マルハニチロの特集をしたとき(2012年11月)に、『マルハニチロ社員のオススメレシピ』のひとつ、その名も『フィッシュソーセージチップ』として紹介されたもの。

 それをこの店の常連客のひとりが見ていて、店のスタッフに伝え、あっという間にできあがった新メニューなんだそうです。「ペルル」のメニューには、もともと魚肉ソーセージ(1本100円)があったので、この新メニューへのハードルは低かったんでしょうね。

「100円だった魚肉ソーセージが、レンジでチンするだけで300円になっちゃっいました(笑)」

 とカウンターの中で切り盛りしている山田さん(=店のスタッフのひとり)は笑いますが、なかなかどうして。オリジナルのフィッシュソーセージチップが『なるべく薄く』スライスして、パリパリのチップスにしちゃうのに対して、「ペルル」の魚肉ソーチップスは『それよりは少し厚め』にスライスして、外はカリッとしているものの、内部にちょっとギョニソ感が残る仕上がりになっています。

 その熱々の魚肉ソーチップスに、タルタルソースをつけていただくのもペルル流。カリッとしているのに、鼻の奥からギョニソの香りが漂ってきておもしろい!

 もともと魚肉ソーセージそのものが大好きなので、この魚肉ソーチップスもずばりと好みに合いますねえ。

 本日3軒目の「やきや」を出て、荻窪駅前から路線バスで自宅方面に向かいつつ、ふと時計を見ると、まだ午後8時過ぎ。

『こりゃ、帰宅するには早すぎるなあ』

 ということで、自宅最寄りのバス停をやり過ごし、鷺ノ宮駅前まで移動して、居酒屋「ペルル」に入ったのでした。

(『居酒屋ペルル』というのは「ペルル」の看板に書いてあるとおりの表記。内部はバーっぽいのに、昔からなぜか看板は『居酒屋ペルル』なのです。)

 「ペルル」は、どっちかというと夜遅くなるほどお客が増えるタイプの酒場。8時過ぎのこの時間帯は、「ペルル」にとっては、まだ開店直後ぐらいの感覚で、先客も3~4人といったゆったり感。

ハイボール いつものようにキープしているニッカのボトルを、瓶入りの炭酸(300円)と一緒に出してもらって、自分でハイボールを作りながら、魚肉ソーチップスを注文したのでした。

 ちなみにウイスキー・ハイボールは、単品(=ボトルキープがない状態)で注文しても1杯が500円。グラスワインやグラッパなどもそれぞれ500円。ソルティードッグが700円と、ボトルキープがなくてもそれほど高くはありません。

 ゆっくりと飲んでいるうちに、お客もどんどん増えてきて、ふと気がつけば、そろそろ夜も10時半。やあ、よく飲んだ。そろそろ腰をあげますか。

 ボトルキープの人用の氷代500円が加わって、今日のお勘定は1,100円でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成25(2013)年6月15日(土)の記録》

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北の誉冷酒でイカ刺身 … 立呑み「やきや」(荻窪)

冷酒でイカ刺身


 新宿→中野とハシゴし、3軒目はさらに中央線を西に進んで荻窪は立ち飲みの「やきや」です。

 土曜日、午後7時の店内は、ゆるやかに満員に近い状態ながら、カウンターの一番手前の角のあたりと、いちばん奥のほうにわずかな空間があり、手前の空間に立つことにします。

 最近の「やきや」は、女将さん自らが調理を担当されているので、入口近くのカウンターに立つと、女将さんとちょっと会話することができるのです。

 まずはお酒(冷酒250円)をもらって、チビチビとなめながら、つまみを選びます。

 八戸直送の新鮮なイカ料理が、ほぼ全品170円のこのお店。どの料理にも引かれるんだけど、まずはイカ軟骨焼き(170円)をもらおうかな。

 そう思ったやさき、となりに立っている女性ひとり客から、

「イカ軟骨焼きをお願いします」

 と注文が入ります。追いかけて「私も!」と注文しようとするところへ、先に女将さんから、カウンターの奥にいる店員さんに、

「イカ軟骨、これで終了ね」

 という声が飛びます。あちゃー。タッチの差。売り切れちゃいましたか。じゃ、刺身にしよう。

「すみません。イカミミ刺し(170円)を……」と注文し始めたところ、

「ごめん。ミミ刺しも売り切れ」と、すまなさそうな顔の女将さん。

「そうかあ。じゃイカ刺身(170円)をください」

 一瞬、イカ刺しにしようか、イカ塩辛(170円)にしようかと、ちょっと迷ったのですが、今日はシンプルにイカ刺しを選択。

 実は2軒目の「第二力酒蔵」にいるときから、3軒目は「やきや」に向かおうと、ひそかに心に決めていたのです。だから「第二力酒蔵」でも、常連客の定番であるゲソワサ(450円)は注文しなかったのでした。

 毎回のように書いてますが、ここ「やきや」のイカ刺しは170円という低価格ながら、注文を受けてから刺身に引いて、盛りつけてくれます。

 おろっ? イカ刺し用の皿が変わった?

 以前はイカ刺しは小鉢に盛りつけられていて、その上から醤油をかけていただくスタイルだったのに、今日のお皿は四角で、端っこに醤油を入れるための小さな仕切りもあります。これだけのことで、なにやら高級っぽくていいなあ。ワサビもよく効くこと。

 昼食がちょっと遅めだった上に、「カブト」のひと通り、「第二力酒蔵」の豆腐煮と食べ進んできたので、もうほぼ満腹。しかし、せっかくの「やきや」、1品だけというのも淋しい。

「え~と、みそキュウリ(170円)をお願いします」

 みそキュウリは、冷蔵庫で冷やしたキュウリを1本、縦にスパッと切って皿に並べ、味噌を添えただけの、とってもシンプルな料理。

 でもたくさん飲んだあとの口には、このキュウリの冷たさ、シャキッとした食感、そして味噌のしょっぱさが、ものすごくうれしいんですよねえ。

 45分ほど立ち飲んで、今日のお勘定は590円でした。ごちそうさま。

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立呑み「やきや」 / いか刺身 / みそきゅうり

店情報前回

《平成25(2013)年6月15日(土)の記録》

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呑ん兵衛好みの豆腐煮 … 「第二力酒蔵(だいにちからしゅぞう)」(中野)

豆腐煮


 新宿の「カブト」をあとに、本日の2軒目は中野の「第二力酒蔵」です。

 ここは旬の新鮮な魚介類が数多く(種類も多く)置かれていることと、早くから開いている(午後2時開店)ことで有名な老舗居酒屋。居酒屋巡りの大先達・太田和彦さんもときどきいらっしゃっているようです。

 太田さんはひとりで来られるときは、入口右手のカウンター席に座るそうです。このカウンター席からは、厨房で魚をさばいたり、調理したりする様子がよく見えるのです。

 私が一番好きなのは、そのカウンター席の背後にある、お酒の燗をつけたりするための、中の島のような小さなカウンター席です。ここは調理の様子は見えないけれど、テレビがよく見えるし、お燗番のおねえさんを介して、近くの常連さんたちと話をしたりすることもできる。なによりいいのは、この小さなカウンター席には常連客が多いということです。

 常連客は、店の空気にすっかり馴染みきった存在になっているので、違和感がない。そういう人たちに囲まれて過ごすと、本当に落ち着くのです。

「高いものは高く、安いものは安く、メリハリがきいている」

 太田さんが、そうご紹介されていることが多いこの酒場。

 たとえば東京の酒場の華(はな)、マグロひとつを取ってみても、大トロは時価、中トロは2,950円、中落ちは1,400円、刺身(たぶんこれが赤身)は1,100円、そしてマグロぶつ切りが800円に、マグロぬたが700円と、一番下でもあまり「安い」とは言えない価格ながら、6種類が選べます。

 マグロじゃなくても、真鯛刺身2,300円、しまあじ刺身1,900円、帆立貝刺身1,300円、赤貝刺身1,100円と、かなり立派なお値段です。

 こうなると、むしろ刺身盛合せ1,600円や、貝刺身盛合せ2,000円をもらって、何種類かをいっぺんに楽しんだほうがいいかもね。

 しかし、この中の島のカウンター席に座る常連客は、毎日のように通わないといけないということもあって、こんな高級なものはめったに注文しません。

 たいていの場合、げそわさ(450円)とか、もずく酢(420円)、お新香(270円)などを1~2品もらって、燗酒(350円)を2本ほどころがして帰るんですねえ。

 私も予定どおり、中の島のカウンターに座り、お燗番のおねえさんに小瓶のビール(480円)と豆腐煮(450円)を注文すると、すぐにビール(アサヒスーパードライ)と、お通し(200円)の小鉢が出されます。今日のお通しはキノコですね。

 今日はいきなり「カブト」の焼酎から飲み始めたもので、ここにきて冷たいビールをグィ~ッと一杯。こういうときに小瓶の量(350ml)がちょうどいいですねえ。

 豆腐煮もまた、中の島の常連客がよく注文する料理のひとつ。

 いろんな種類の魚を、店内で大量にさばくこの店では、魚のあらも大量に出てくる。それを安くおいしく食べられるのが「あら煮」(650円)です。

 ところがこのあら煮、あらもさることながら、実はあらと一緒に煮込まれて出てくる豆腐が爆発的にうまいのです。

 豆腐煮は、このあら煮の豆腐だけを、あら煮に添えられている豆腐の2倍の量で出してくれるというもの。呑ん兵衛にはたまらない逸品(いっぴん)なのです。

 その豆腐煮が出てきたところで、「キンシ正宗」の燗酒(小350円)を注文。この豆腐には、やっぱり燗酒が合いますね。

 今発売中の「東京人増刊『中野を楽しむ本』(2013年6月号)」で、太田和彦さんが、落語家の林家正蔵さんと対談しているのが、ここ「第二力酒蔵」。その中で太田さん、正蔵さんは、次のようなやりとりをしています。

太田: 僕は、中野の飲み屋街が好きでよく来ます。中野に来れば、今はなくなった往年の新宿の雰囲気がある。今の新宿はビルの中の大箱の店が増えちゃって人情味がない。

林家: 確かに、新宿の末広亭をはねたあとでね、軽く一杯いくお店はあるんですが、なるほどここに通いたいなと感心する店はみんな店終いしちゃいました。

太田: だから僕は新宿をスルーして中野まで来るんですよ。

 なるほどなあ。私自身は、古い新宿を知らないのですが、今の中野5丁目(=中野駅北口の飲み屋街)のような感じだったんですね。

 となりに座る常連さんご夫妻とも話が弾み、燗酒の小(350円)をおかわりして1時間半ほどの滞在。今日のお勘定は1,830円でした。どうもごちそうさま。

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「第二力酒蔵」 / お通しとビール / 豆腐煮と燗酒

店情報前回

《平成25(2013)年6月15日(土)の記録》

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久びさのうなぎ串焼き … うなぎ「カブト」(新宿)

うなぎ串焼き


 土曜日、午後3時前。新宿西口思い出横丁のちょうど真ん中どころにある、うなぎ串焼きの「カブト」にやってきました。

 このところ、うなぎ串焼きは大人気のようで、先日来、中野「川二郎」や、荻窪「川勢」、自由が丘「ほさかや」などに向かってみてはみたものの、外に行列ができるほど満員で、まったく入れない。

 開店(午後2時)から1時間後、最初のお客さんたちがひと回りくらいした、今のタイミングの「カブト」であれば入れるんじゃないかと思ってやってきたのですが、予想どおり! 焼き台前の、カウンターの角のところが2席分ほど空いてました。(たぶん、ついさっきまで、二人連れのお客さんがここに座ってたんだろうな。)

 さっそくそのうち1席に腰を下ろすと、すぐにカウンターの中のお兄さんから、

「飲み物は?」

 という声がかかります。

「焼酎(350円)をお願いします」

「はいよっ」

 醤油皿のような丸皿が出され、その上にコップがのせられて、冷えたキンミヤが受け皿までいっぱいに注がれます。この表面張力の部分をちょっとすすってから、梅シロップをちょいと入れると、焼酎梅割りのできあがり。

 焼き台を担当している大将が、お通し(サービス)のキャベツの浅漬けを出してくれながら、

「セットでいいですか?」

 と聞いてくれます。

「はい。お願いします」

 『セットでいいですか?』というのは、『この店の5種7本のうなぎ串焼き(1,540円)を、ひと通り出しますか?』ということ。

 うなぎの串焼きは、もつ焼きや焼き鳥ほどは種類が多くないので、全種類を一式出してもらっても、どこのうなぎ串焼き屋でも、せいぜい6~7本程度と食べられない量にはなりません。なので、どこもたいてい“セット”とか、“ひと通り”、“ひとそろい”なんて出し方をしてくれるんですね。

 まず出てきたのは「えり焼」(2本320円)。その名のとおり、うなぎの“えり”というか、首まわりの肉を串に刺して焼いたもの。1串に3尾分のうなぎを使っているんだそうです。

 ちょっと骨っぽい部分があるのですが、その骨についた肉がうまい。それほど硬くはない骨なので、私は骨も噛み砕いていただきますが、気になる人はお皿に出しても大丈夫。となりの常連さんも、そうやって食べています。

 続いて「ひれ焼」(2本320円)。うなぎの腹びれ、背びれ、尾びれを串に巻き付けて焼いたもので1串7尾分。私はこの「ひれ焼」が大好き。味わいが深いんですよねえ。

 「きも焼」(1本290円)が出るころには、カウンター15席は満席になりました。

 「きも焼」は、肝臓以外の内臓一式。これもまた1串3尾分なんだそうです。「きも焼」は、うなぎ専門店じゃない居酒屋のメニューでも、ときどき見かけますよね。お酒にものすごく合う1串です。

 そして「一口蒲焼」(1本320円)が出たところで、焼酎(350円)もおかわりです。

 「一口蒲焼」は、一口大に切ったうなぎの身を串に刺してタレ焼きにしたもの。生の状態からサッと焼き上げただけで蒸していないので、プリップリの食感がたまりません。

 思い出横丁は、観光客も多く、店によっては一見さんばかりだったりするのですが、ここ「カブト」には、いつも大勢の常連さんがやってきます。

 年配の常連さんたちは、セットはたのまずに、自分の好きなものだけを注文しています。

「カバ、キモ、1ずつね」

「カバ塩と、あとヒレもちょうだい」

 といった具合。カバ塩かあ。うなぎの白焼き風で、それもまた美味しそうだなあ。

「はい、レバー。これでひと通りですね」

れば焼 といいながら出してくれたのは「れば焼」(1本290円)です。この「れば焼」は、「ひと通り」を注文した人だけに出される一品。単品での注文は、基本的にはできません。しかも、早くに売り切れてしまうので、それ以降は「ひと通り」も、「れば焼」抜きのひと通りになってしまいます。

 この「れば焼」。1串に、なんと13尾分ものうなぎの肝臓が使われてるんだそうです。

 やあ、久しぶりにうなぎの串焼きが堪能できて大満足。やっぱり美味いよなあ、うなぎ串焼きは。

 1時間弱の滞在。焼酎2杯と、ひと通りで、お勘定は2,240円でした。ごちそうさま。

店情報前回

《平成25(2013)年6月15日(土)の記録》

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豚軟骨もつ煮込み再開 … 焼鳥割烹「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

豚軟骨もつ煮込み


 日曜日なので、自宅のある都内でちょっと飲んでから、横浜の単身赴任社宅に向かうパターン。今日は阿佐ヶ谷の「川名」で飲むことにしました。

 実は先の火曜日(6月11日)に、「川名」の店主・川名茂さんから、

「みなさまからのご要望にこたえて、今週から豚軟骨もつ煮込みを再開します」

 というメールをいただいたのでした。

 豚軟骨もつ煮込み(231円)は、私が知っている中では、ここ「川名」にしかない煮込み。メニュー名のとおり、豚軟骨(豚ののど軟骨)を、大根やごぼうなどの根菜類と一緒に煮込んだ、ヘルシーで、コリッとした食感も楽しめる料理なのです。この店の名物料理のひとつでもあります。

 ところがこの料理、ものすごく手間ひまがかかるんだそうで、煮込みが飛ぶように売れる冬場は、とてもやってられないようになってしまった。そこで冬場は牛すじ煮込み(294円)を出すようにしていたんだそうです。

 6月に入って、煮込みの販売量も減ってきたので、手間ひまがかかる豚軟骨もつ煮込みも復活とあいなったのでした。

 牛すじ煮込みにしても、豚軟骨もつ煮込みにしても、「川名」の煮込みは売り切れ仕舞いで、しかもかなり早い時間帯に売り切れてしまうので、早めの時間帯に行かないといけません。

 今日は、所用のため開店(16:00)と同時に行くことができなかったので、二巡目となる、午後6時前を目指して「川名」に向かいました。

『空いてるかな?』

 とのぞき込んだ「川名」の店内は、カウンター席の、一番入口側に近い2席が空いていて、一番端っこの、落ち着ける席に陣取ることができました。

 すぐに出されるお通しのオレンジ2切れ。

「赤ホッピー(399円)と豚煮込み(231円)をお願いします」

 と注文すると、両方ともあっという間に出てきて、本当に久しぶりの豚軟骨もつ煮込みに舌鼓(したづつみ)。やっぱりうまいのぉ、この料理は。

 ちなみに、一般的に白ホッピーと呼ぶことが多い、通常のホッピーを、赤ホッピーと呼ぶのは、王冠の色が赤いからです。黒ホッピーは、王冠の色も黒いので、この店でも黒ホッピーと呼びます。

 さらにちなみに、ホッピーの製造元のホッピービバレッジでは、白ホッピーも赤ホッピーもなくて、あるのは普通の「ホッピー」と、「黒ホッピー」の2種類で、提供の形態は「瓶(びん)のホッピー」と「樽(たる)のホッピーの2種類です。(『お店ホッピー』の場合です。それ以外に『お宅ホッピー』として、ホッピー330、ホッピーブラック、55ホッピーという銘柄もあります。)

 樽のホッピーは、生ビール用のサーバーで提供されることが多いので、通称として「生ホッピー」と呼ばれたりするのですが、ホッピーそのものは生(=加熱せず、ろ過処理したもの)ではありません。

 ホッピーのナカ(焼酎のおかわり、354円)をもらって、つまみにはアジ刺身(420円)を注文。

 アジの刺身は、1尾まるごとのアジが、注文を受けてからさばかれて、1尾分、すべてが出されます。それで420円というのが、「川名」ならではの価格設定ですね。

 今日の刺身は、アジ以外には、ブリとシメサバがあり。いずれも420円です。(なお、アジ1尾まるごと炭火焼きは、なんと294円です。すごぉ~いっ!)

 1時間ちょっとの滞在。最近はじまった席料105円がついて、今日のお勘定は1575円でした。どうもごちそうさま。

 さあ、横浜に向かいますかね。

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フルーツ盛り合せ / ブリ腹皮焼き / アジ刺身

店情報前回

《平成25(2013)年6月16日(日)の記録》

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特上うな重で丸眞正宗 … 鯉とうなぎ「まるます家(まるますや)」(赤羽)

特上うな重


 月曜日の朝、早起きするのがつらいので、日曜日のうちに横浜の単身赴任社宅まで移動します。しかしながら、東京は中野区内の自宅から、すっと横浜まで帰ったんじゃおもしろくない。今日は赤羽まで足をのばして、「まるます家」のうな重で1杯やってから横浜に向かうことにしました。

 なにしろ赤羽から、横浜市磯子区にある社宅までは、京浜東北線1本で行けますからねえ。1時間20分ほどかかりますが…。(湘南新宿ラインで行く手もありますが、横浜駅での乗り換えが必要で、全体として10分ほどしか早くならないのでした。)

 日曜、午後3時半の「まるます家」は、ラッキーなことに店頭の行列がちょうど店内に入ったところ。私もその店内の行列(4人ほど)の後ろに並びます。

 15分ほど待って、「こちらにどうぞ」と通されたのは、ダブル「コ」の字カウンターの、入口側から見て右奥の端。ここはトイレにも近く、厨房の様子もちらりと見ることができる場所。いいところに当たったなあ。

 まずは生ビールの小(350円)をもらって、つまみには鯉のうま煮(800円)を注文。このところ毎回のようにこれですねえ。でも、鯉のうま煮は本当にうまい!

 この生ビール小と、鯉のうま煮のバランスがまた絶妙で、ちょうど生ビールの小を飲み終えるタイミングで、鯉のうま煮ができあがってくる。そこで日本酒に切り替えるわけですね。

「丸眞正宗の生酒(300ml瓶、700円)をお願いします」

 鯉のうま煮は、大きな鯉の胴体の部分を、うろこも内臓も付いたまま、ズドンと筒切りにして、真っ黒になるほどしっかり煮込んだもの。身もさることながら、うろこの付いた皮と内臓がおいしいんですよねえ。骨もホロホロで、全部食べられます。

 さあ、そしていよいよ、うな重の注文。この店のうな重は、特上(2,000円)、亀重(1,700円)、鶴重(1,500円)の3種類。

 蒲焼、白焼きの場合は、大きい順に1,800円、1,500円、1,300円なので、うな重の場合は、それにごはん代として200円が加わってるんですね。

 久しぶりの「まるます家」のうな重なので、特上をもらいましょうね。

 ここのうなぎは、都心部で食べるのと比べると格安なので、高いほうから売り切れていくのです。

 冷酒(丸眞正宗、700円)ももう1本おかわりしてスタンバイしているところへ、うな重が出てきました。おぉ、うなぎも大きいけど、ごはんもすごいボリュームだ。

 チャチャっと山椒をふりかけて、まずはうなぎを一口。ん~~~、トロトロだ。

 こうしてうな重でもらうと、熱々ごはんが保温材がわりになって、いつまでもうなぎが温かいのがいいですよね。タレが染みたごはんも、いいつまみになります。

 午後6時まで、ゆっくりと2時間半ほどの滞在。今日のお勘定は4,450円でした。どうもごちそうさま。

 うぅ~っ。超満腹。横浜でもう1軒くらい寄って帰ろうと思っていたのに、もう一口たりとも入りそうにない。今日はまっすぐ社宅に向かいますか。

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生ビールは小でこの大きさ / 絶品!鯉のうま煮 / 日曜6時の「まるます家」

店情報前回

《平成25(2013)年3月10日(日)の記録》

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前回とまったく同じだ … 酒「鍵屋(かぎや)」(鶯谷)

「鍵屋」


 最寄り駅で言うと鶯谷(うぐいすだに)なんだけど、「鍵屋」はやっぱり『根岸の鍵屋』と言うほうがあってるような気がするなあ。住所が台東区根岸だから『根岸の鍵屋』なんですね。

 同じことが横浜の「武蔵屋」にも言えて、最寄り駅は桜木町(さくらぎちょう)なんだけど、横浜市中区野毛町にあるから『野毛の武蔵屋』。このほうがピタリとおさまります。

 牛にこみ「大坂屋」を出て門前仲町(もんぜんなかちょう)から、茅場町(かやばちょう)で乗り換えて入谷(いりや)へ。地下鉄で「鍵屋」に向かうにはこのルートが便利なんですね。

 土曜日の「鍵屋」は比較的すいてるんです。すんなりとカウンター中央の燗づけ器前に座ることができました。

 「鍵屋」のお酒は、菊正宗、櫻正宗、大関の3種で、それぞれ530円。

 春なので櫻正宗をもらいましょうね。

「櫻正宗(530円)と煮やっこ(580円)をお願いします」

 う~む。前回とまったく同じ注文ですね。でもこの時季、やっぱりこの組み合わせがいいですよねえ。

 お通しもまた前回と同じく心太(ところてん)。

 「鍵屋」のお通しというと、昔から定番で味噌豆(みそまめ)だったのですが、私が来る時間が遅いせいか、このところ味噌豆を食べたことがありません。

 心太でチビチビと飲んでいるところへ、ひとり用の小鍋で調理された煮やっこができてきました。

 「鍵屋」の煮やっこは、すき焼きの割り下と同じように、醤油と砂糖で甘辛く味付けられた出汁で豆腐と玉ねぎ、少量の鶏もつを煮たもの。木箱で出される刻みネギをたっぷりとトッピングしていただきます。

「具で2本、残った汁で1本いけるよね」

 と話してくれたのは、前回、たまたまとなりの席にいた常連さん。その常連さんも私も、二人とも煮やっこをつまみに酒を飲んでいて、そんな会話になったのでした。

 まったくその通りで、汁がまたいいつまみになるんですよねえ。

 櫻正宗(530円)をおかわりして1時間ちょっとの滞在。今日のお勘定は、これまた前回と同じく1640円でした。同じものを注文したんだから当然か。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成25(2013)年3月9日(土)の記録》

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脈々と継承される歴史 … 牛にこみ「大坂屋(おおさかや)」(門前仲町)

大坂屋


 最近、老舗の酒場での~んびりと飲むことが多いからか、写真を撮り忘れたりすることが多い。ついついボォ~ッと過ごすことに没入してしまうんですねえ。

 土曜日の今日は、東京の下町・門前仲町の「大坂屋」で、牛にこみを食べようとやってきたのですが、なんと、カメラそのものを忘れてくるという始末。とりあえず、携帯電話で店の外観だけ撮影いたしました。

 しかしながら、ブログが始まるより前の、ホームページ時代(2003年12月31日まで)は、写真がないほうがむしろ普通だったので、その頃に戻ったようなものですね。

 とはいうものの、今はカメラが重要な外部記憶装置。私自身が忘れてしまっていることも、画像に記録されていたりするので、カメラに頼りっきりの状態。その外部記憶装置なしで、どれだけのことを覚えていられるか。自分でも不安だ。

(いつからかは知りませんが、今のところ「大坂屋」は店内での写真撮影が禁止のようです。なので、もし忘れずにカメラを持ってきていたとしても、実は状況はあまり変わらないんですけどね……。)

 「大坂屋」に到着したのは午後5時前。入口引き戸を開けてのぞいた店内は、ラッキーにも、三日月のメインカウンターの中央部2席が空いています。

 さっそくその2席のうちの1席に腰を降ろして、サッポロラガー(赤星)の大瓶(650円)を注文します。

 なぜこの席がラッキーかというと、ここはカウンター中央にでんと据えられた煮込み鍋の真ん前。煮込みの様子がよく観察できるポジションなのです。

 今日の「大坂屋」は、女将さんと娘さんの2人体制。

 開店(午後4時)と同時に入ってくるお客さんが多かったのか、店の奥にある小上がりの座卓でも、常連さんが二人飲んでいます。奥の小上がりは、カウンター席が満席の場合のみ使われて、しかも「大」が付くほどの常連さんじゃない限り入れないのです。

 さて牛にこみ(1串130円)。この店の牛にこみは、フワ(肺)、シロ(腸)、ナンコツ(のど)の3種類。まずはその3種類を1本ずつお願いし、あわせて玉子入りスープ(330円)も注文しておきます。

 玉子入りスープは、注文を受けてから生卵の状態からゆで始め、半熟になったところで出してくれるので、できあがるのに10分ほどかかるのです。

 前回も書いたとおり、私はこの玉子入りスープに、串からはずした牛にこみ(特にシロ)を絡めて食べるのが大好きなので、玉子入りスープができあがってくるまでは、なるべくゆっくりと食べ進みます。

 牛にこみを一切れ食べて、ビールをちびり。お通し(100円)の大根2切れとキュウリ2切れをフォークでつついては、ビールをちびり。

 この店の牛にこみは、串に刺してゆで冷ました状態で冷蔵庫に保存されていて、大鍋の中の牛にこみが減っていくのに合わせて、順次、追加投入されていきます。

 鍋の中では、女将さんに近い側が投入したてのもの、女将さんから遠い側(=お客に近い側)がよく煮えたものという、ざっとした区分けはあるものの、どれがどのくらい煮えているのかは、女将さんが菜箸でつまみ上げて、目で見て判断します。

 私なぞは、まだまだフワ、シロ、ナンコツの品名を指定する程度ですが、常連さんになるとその品名に加えて、『硬め』とか『軟らかめ』といった煮え具合まで指定して、好みの牛にこみを取り分けてもらっています。

 さらに大常連さんになると、自ら鍋に菜箸をつっこんで、自分で串を取ったりしているのがすごいっ。串刺しの煮込みは、つかみようが悪いと、具が串から抜け落ちたりして大変。かなりの習熟が必要そうです。

(ちなみにお勘定は串の本数で計算するので、女将さんに取ってもらっても、自分で取っても1本は1本です。)

 おっ。半熟のゆで玉子ができたようです。熱々のところを殻を剥いで小鉢に入れ、包丁で×の字に切れ目を入れてから、牛にこみの汁をひとすくい入れたら、玉子入りスープのできあがり。

「玉子(半熟)をつぶして、スープと一緒にお召し上がりくださいね」と出してくれます。

 ちょうど玉子入りスープが出たところで、ビールも飲み終わり、焼酎梅割り(400円)と氷を注文すると、まず普通のコップに焼酎の梅割りを作ってから、それとは別に氷の入ったロックグラスを出してくれます。このロックグラスに、自分で梅割り焼酎を移しながらいただくのです。

 さあそして、いよいよ満を持して、玉子入りスープに投入するためのシロを2本、取ってもらいます。

 『玉子入りスープ』という名称のとおり、この料理の主役はあくまでも『スープ』(=煮込み汁)。このスープの具材として、半熟玉子が加わってるんですね。

 その半熟玉子を添えられたスプーンでグチャグチャっとつぶしてスープと混ぜ、そこにお通し用のフォークを使って串から外したシロを投入。それを玉子の混ざったスープと一緒に、スプーンですくっていただくと、スープのコクが加わって美味しいこと。

 となりの常連さんっぽい男性ひとり客から、「通な食べ方ですねえ」と声がかかります。

「いや、前に常連さんから、こうやって食べると美味しいよと教えていただきまして」

 そのとき教えてくれた常連さんが、実は吉田類さんだったのでした。

 さらにフワとシロを1本ずつ追加。

「今は新玉ねぎです」という注釈が書かれたオニオンスライス(300円)を注文して、焼酎(400円)もおかわりします。

 大事に大事にちょっとずつ食べてきた玉子入りスープも、最後にナンコツとシロを追加したところでなくなってしまいました。

 午後6時ごろまで、1時間ちょっとの滞在。今日のお勘定は3,350円でした。どうもごちそうさま。

 そうそう。そういえば、店の上部に飾られている先代店主の写真(煮込み鍋にタバコの灰が落ちそうな写真)。この写真の男性が、女将さんのお父さんで、この店の2代目店主なんだそうです。で、女将さんが3代目で、その娘さんが4代目。「大坂屋」の歴史は、こうして脈々と継承されていくのでした。

店情報前回

《平成25(2013)年3月9日(土)の記録》

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〔コラム〕 「立ち飲み」と高級料理の妙(読売新聞)

「立ち飲み」と高級料理の妙


『アワビ、伊勢エビといった高級食材を使った料理や酒を割安な価格で味わえる「立ち飲み店」が人気を集めている。仕事帰りの男性だけでなく、若い女性が集う。狭い空間にひしめきあって会話を交わし、気軽に立ち寄ってさっと帰れる点が魅力のようだ』

 という書き出しで、『「立ち飲み」と高級料理の妙』という記事を書かれているのは、読売新聞生活情報部記者の大森亜紀さん。2013年5月23日(木曜日)の朝刊、「家庭と暮らし面」の記事です。

 同じ記事は、読売オンラインにも掲載されています。(→こちら

 現在は、新時代の「立ち飲みブーム」の真っ最中。

 「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」などの「俺の……」というグループや、神田の立ち飲み焼き肉店など、これまでになかったような立ち飲み屋が人気を集めています。

 なぜ今、立ち飲みが人気なのか。この記事ではそれが考察されています。

 私自身も、電話での取材にお答えさせていただきました。

『居酒屋研究家の浜田信郎さんは、「立食パーティーのような雰囲気で、女性でも初めての人でも入りやすくなった。じっくり飲むより、短時間でさっと楽しめる点も時代に合っているのでは」と話している』

 というのがその内容。居酒屋を研究しているわけではなくて、単に飲み歩いているだけなのに、『居酒屋研究家』という立派な肩書を付けていただき、恐縮しております。

 このブログの過去記事をひも解いてみると、第一次立ち飲みブームがやってきたのは平成11(1999)年ごろのこと。

 バブル崩壊以降、10年近く続いた平成不況の中で、より安く、手軽に飲める立ち飲み屋に注目が集まり、これまで立ち飲み屋に行ったことのなかった都心のサラリーマンたちにも、立ち飲み文化が浸透してきたというのが、その第一次立ち飲みブームでした。

 第二次立ち飲みブームが起こったのは平成17(2005)年ごろ。第一次のときとは一変して、スペインバルやイタリアンバール、昭和レトロ風をねらった立ち飲み屋などの、女性や若者客などをターゲットにしたオシャレ系なお店が急増しました。

 そして現在の第三次立ち飲みブームの牽引車は、なんといっても「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」です。平成23(2011)年9月に1号店がオープンして以来、価格破壊の高級料理店として大ブレーク。

 『ハイカジ』(=ハイクオリティカジュアル)と呼ばれるスタイルの立ち飲み屋が続々と登場し、大きなブームとなったのでした。

 ほぼ6年おきに、立ち飲みブームが起こってくるのがおもしろいですね。

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ジューシーハンバーグ … 居酒屋「満月(まんげつ)」(鷺ノ宮)

ジューシーハンバーグ


 カクテルラウンジ「日登美」を出て、自宅最寄りの鷺ノ宮駅に到着したのは午前0時半。

 今日は最初に行った「北国」でおでんをちょっと食べた後は、「ブリック」、「日登美」とバー続きだったので、ほとんど食べていない。かと言って「松屋」(24時間営業)や「福しん」(午前2時まで営業)で何か食べて帰るほど、思いっきり腹がへってるわけでもない。

 そんなときにちょうどいいのが居酒屋「満月」ですね。ここはカウンター上に並ぶ大皿料理の中から、料理を選ぶタイプの店なので、料理が出るのも早いのです。しかも、午前1時ごろまでなら確実に開いている。

 ちなみに、それ以降の時間帯になってしまった場合は、これまたすぐ近くに、フランチャイズの居酒屋「庄や」が、朝4時半まで営業中。「満月」が閉店しても飲み足りなかったり、しゃべり足りなかったりする場合に、この「庄や」に流れることも多いのです。

 ここまで帰ってきていたら、自宅までは徒歩5分ほどなので、終電を気にする必要がない。それがうれしいんですね。

 呉にいたときは、単身赴任社宅が飲み屋街(中通)のちょうど入口のところにあって、会社まで行くのもバスで10分、歩いて行っても20分ほどだったので、生活のすべてが徒歩圏内で、とても便利だったのです。

 こちら首都圏ではなかなかそういうわけにもいかない。電車に乗り継いで、通勤時間が2時間以上という人もたくさんいます。なので、会社の近くと、自宅の近くの両方に行きつけの酒場をもっている呑ん兵衛も多いのです。

 鷺ノ宮の近くには大規模な会社はないので、「満月」をはじめとするこのあたりの酒場は、この近くに住んでいる人たちの『自宅近くの行きつけ酒場』なんですね。

 いつものように焼酎のトマト割り(300円)をもらって、つまみにはいかにもボリューミーな手作りハンバーグ(400円)を選択。前回も、このハンバーグをいただいたので、このところはまり気味ですね。

 電子レンジでチ~ンと温めて出してくれた手作りハンバーグは、厚みが3センチはあろうかという大きさ。中もとてもジューシーでいいですねえ!

 1時間ほど常連さんたちとの時間を楽しんで、今日のお勘定は700円でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成25(2013)年3月8日(金)の記録》

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最後はマティーニで〆 … カクテルラウンジ「日登美(ひとみ)」(新井薬師前)

マティーニ


 中野の老舗バー「ブリック」を出て、西武新宿線・新井薬師前(あらいやくしまえ)から鷺ノ宮(さぎのみや)方面に向かおうと、薬師あいロード商店街を北上しながら、

「そうだ! 『日登美』に寄って帰ろう!」と思い立った。

 「日登美」は昭和53(1978)年4月にオープンしたカクテルラウンジ。私にとって、カクテルの原点と言える酒場が、ここ「日登美」なのでした。

 最初に来たのはいつ頃だったか。。。 一番最初に記録が残っているのは平成9(1997)年10月のこと。しかし、そのときの記録に、『ときどきひとりで出かけていきます』と書かれているので、その頃にはすでに何度か行ったあとだったようです。

 しかも同じ記事の中に『この店の欠点は、カクテル以外ないこと』とか、『ブランデーやウィスキーなどの種類はそんなにありません』なんて書かれてるんですよねえ。ということは、この当時はカクテルはそんなに好きじゃなくて、ブランデーやウイスキーが好きだったんですねえ。

 いま思い起こしてみると、当時は自分自身の中に『カクテルは女性が飲むもの』みたいな先入観があったみたいです。

 そのカクテルを、ここ「日登美」で覚えて、その後、地元近くの、今はもう閉店した野方の「PURE(ピュアー)」で、フルーツカクテルにはまっていった。実は「PURE」のマスターが、そのカクテル作りを「日登美」のマスターに習ったんだという話は、ずっと後になってから知った話でした。

 もともとは飲みにくい強いお酒を、甘みや酸味などを加えることで、飲みやすいお酒に変化させてしまうカクテル。しかも飲み物なのに、フルーツカクテルなどのように季節感があふれているのもいいところです。

 今日はまずはギムレット(800円)からスタート。これはジンとライムジュースを3:1くらいで入れて、シェイカーで混ぜ合わせたもの。ジンだけだとドカッときついんだけど、ライムジュースの甘みと酸味、そして氷と一緒にシェイクした時の冷たさで、すっかり飲みやすくなってしまうんですね。危ないお酒です。

 2杯目はマティーニ(800円)。

 これはもう、「超」が付くほど有名なカクテルですね。ジンとベルモット(=香草の香りがついた白ワイン)を、これまた3:1くらいで、氷とともにクルクルと混ぜ合わせたもの。

 氷以外の液体の部分がカクテルグラスに注がれるのですが、この1杯を作るために大量に使われる氷! この贅沢さがカクテルなんだな。

 ていねいに作られるカクテルは、これまたていねいに作られる一品料理と同じなんだとよく思います。バーテンダーや料理人の気合が、その一品に込められています。

 さっくりと1時間弱の滞在。今日のお勘定は1,600円でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成25(2013)年3月8日(金)の記録》

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路地の突き当りに老舗 … バー「ブリック(BRICK)」(中野)

BAR「BRICK」


 本当は突き当りじゃなくて、「ブリック」のところで道がクランク状に曲がってるんですけどね。でも、路地のこっち側から見ると、ちょうどその突き当りに「ブリック」があるように見えるんです。

 もともと人気店である上に、今日は金曜日。午後10時の店内はほぼ満席状態ですが、なんとL字カウンターの一番奥の席が、ラッキーにもポツンと1席だけ空いていて、そこに座ることができました。

 ここに来たら、やっぱり名物のトリハイ(200円)をもらいましょうね。

 東京オリンピックが開催された昭和39(1964)年に『トリスバー』としてオープンしたこのお店。高度成長の波にものって、一時はトリスがメニューから消えたこともあったんだそうです。

 しかし居酒屋で酎ハイがブームになった昭和60(1985)年。そのブームに対抗するために『うまい!安い!』がキャッチフレーズのトリスのハイボールを復活させたのでした。

 大き目のタンブラーを使って、1ジガー(45ml)のトリスを使って作るトリハイ。最後にキュッとレモンピールしてくれるのもいいですね。

 トリスは、みなさんもご存知のとおり、サントリーのウイスキーの中では安い部類に入るウイスキー。けっして「うまくてたまんない」なんてウイスキーじゃないんだけど、ここ「ブリック」で飲むトリハイは美味しいんですよねえ。

 つまみとして野菜スティック(400円)を選ぶと、お通しには前回と同じくキスチョコを出してくれました。

 このバーでは、料理はすべて店長の菊池さんが作ります。

 野菜スティックは、ニンジン、キュウリ、セロリを細長く切って、氷水の入ったグラスに立てたもの。別皿で出される辛子マヨネーズをちょいとつけていただきます。

 もう1杯、トリハイをおかわりして1時間ほどの滞在。今日のお勘定は1,210円でした。どうもごちそうさま。

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トリハイ / 野菜スティック&キスチョコ / 店頭のショーケース

店情報前回

《平成25(2013)年3月8日(金)の記録》

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殻付きのおでんの玉子 … 酒房「北国(きたぐに)」(中野)

おでんと燗酒


 金曜日の夜は、横浜の単身赴任社宅から、都内の自宅に戻りつつ、途中下車して酒場に寄って帰るのが大きな楽しみになっています。

 途中下車と言っても、横浜から東京への最短経路上で途中下車するわけではなくて、ちょっと遠回りしたりしながら、行きたい街、行きたい酒場に立ち寄ります。

 今夜は中野駅で途中下車。南口側に出て、向かうは2年ぶりとなる「北国」です。

 前回のブログ記事にも『2年ぶり』と書かれているので、なんだか2年ごとの訪問になっちゃってますねえ。女将さんや常連のみなさんはお元気なのでしょうか。

「こんばんは」

 と入った午後9時の店内には先客は5人。8人ほど座れるL字カウンターに、均等割り付け状態で座っているところを、少しずつ奥に詰めあわせてくれて、私も一番手前側のL字短辺に座ることができました。

 一番奥に座っているのは、この店にしては若い男性ひとり客。この店に来ると、私自身がもっとも若手であることが多いので、それより若いと『この店にしては若い』という状態になるのでした。

 それ以外の4人は、以前からずっと、この店に来るたびによく見かける大常連さんたち。みなさん、それぞれひとり客としてやってきて、この店で勢ぞろいします。

 酒場は「放課後の部室」のようなもんじゃないかと思うのです。昼間は、それぞれの学年の、それぞれのクラスにいる「同好の仲間」(=同じ部活動の部員)たちが、放課後になると同じ部室に集まって、楽しい時間を共有する。

 その放課後の部室と同じような感じの酒場が多いんですね。ここ「北国」もそう。同じ中野の北口側にある「路傍」もそう。毎晩のように同じ常連さんたちがやってきます。

 「いらっしゃい」と笑顔を見せてくれる女将さんは、今年で83歳のはず。お元気そうで安心しました。

 キリンラガーの大瓶ビールを注文すると、お通しは野菜の盛り合わせ。ごぼう酢漬けや、ゆで卵(半分)、プチトマト1個、葉っぱ類などが、たっぷりと盛られています。

「こんなお通しを出したら、おでんをたのむ人なんていないだろうよ」

 とカウンター中央部に陣取る大常連のTさん。

 テレビもなく、音楽も流れていない、昔ながらの店ながら、常連さんたちの会話そのものが、一番いいつまみになります。

 今日は奥から3番目ぐらいの席に座っている常連さんが痛風になった話や、三社祭神輿の話、江戸三大祭に浅草、深川が入ってない話など、言ってみればどうでもいい話が多いんだけど、それがまたいいのです。誰もが気軽に会話に参加できるし、ボォ〜ッと聞いてるだけでもいい。

 ビールを飲み終えたところで、「八鶴」の燗酒に切り替え。

 つまみにはTさんが「誰もたのまないのでは?」と心配していたおでんをもらいます。つみれと、ちくわぶ、玉子をもらうと、サービスで昆布も付けてくれました。

 つみれはヒジキも入った練り物風で、玉子はなんと!殻付きで出してくれるのが「北国」の大きな特徴なんですよねえ。

 女将は私のことを覚えてくれているようで、ときどきチラッと笑顔を見せてくれながら、もっぱら一番奥の一見のお客さんをフォローしてます。

 常連さんたちはある程度ほっておいても、一見さんのことに気を配る。これが正しい酒場の姿なんだろうなと、改めて感心しました。だからこうして長くやってこれたんでしょうね。

「吉田類さんのテレビ番組を見て、この店のことを知ったんです」

 と奥の一見さん。なるほど!この店もだいぶ前に「酒場放浪記」で紹介されましたもんねえ。

 「八鶴」をもう1本おかわりして、ふと気がつけば、もうこの店の閉店時刻である午後10時。みんながお勘定をはじめたタイミングで、私もお勘定をお願いし(2,100円でした)、常連さんたちよりは早く店をあとにします。

「ごちそうさまでした。お先に失礼します」

 と女将さん、常連さんたちにあいさつして引き戸を開けると、

「来週も来いよ!」

 と声をかけてくれるTさん。最高にうれしい送り言葉ですねえ。今度は2年も間が空かないように来なきゃね。

店情報前回

《平成25(2013)年3月8日(金)の記録》

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営業再開の美酒に酔う … 「武蔵屋(むさしや)」(桜木町)

4人卓を独占


 おばちゃんがインフルエンザにかかってしまい、1ヶ月近くお休みしていた「武蔵屋」。今日から営業を再開いたしました。

 こういうニュースは、野毛の呑兵衛(のんべえ)たちの間を、あっという間に駆けめぐり、私も仕事を終えてから「武蔵屋」のある野毛(のげ)へと向かいます。

 店に着いたのは午後7時過ぎ。再開当日にもかかわらず、店は大にぎわいで、もしかすると入れないかと一瞬心配したほど。かろうじて空いていた4人卓の1席に相席させてもらうことができました。

 この店は、創業店主である先代の木村銀蔵さんが平成5(1993)年に亡くなった後、ふたりの娘さん(喜久代さん、富久子さん)がその跡を継いで、今日に至っています。

 常連さんたちは、お姉さん(喜久代さん)のことを「おばちゃん」、妹さん(富久子さん)のことを「小さいおばちゃん」と呼んで親しんできました。残念ながら、小さいおばちゃんは膝(ひざ)の調子が悪くて、立ち仕事ができなくなったため、今はお休み中。現在は、おばちゃんこと、女将の喜久代さんが、店を手伝ってくれる6人ほどの若者と一緒に、火・水・金の週に3日間、店を切り盛りしている状態です。

 そのおばちゃんも、今年で91歳。小さいおばちゃんは2歳違いなので89歳かな。常々、「細くでもいいから、長くやっていきたいと思っておりますのよ」とおっしゃっているとおり、ご病気のときは無理をされずに休み、猛暑の夏も数ヶ月間にわたる長期休店にしながら、今もずっと営業を続けていってくれています。

 この店の最大の特長は、飲み物は日本酒3杯だけと決まっていて、料理もその3杯を飲む間に定番の5品が出されるので、客はほぼ何も考えずに、座っていればいいというところにあります。

 私は「酒場浴」といって、銭湯や温泉にのぉ~んびりと浸(つ)かっているような感じで、酒場にどっぷりと浸かっているのが好きなのです。だから本当は何も考えたくない。

 しかしながら、普通の酒場に行くとどうしても、

「酒はどれにしようかな。料理はどれが合いそうかな」

「もうちょっと食べたいけど、次は何をたのもうか」

「もう1杯飲もうか。それともこれでやめて次へ向かおうか」

 なんてことを考えて、注文したりしないといけない。

 ところが「武蔵屋」の場合は、これすら考える必要はないんですね。店に入って、最初にビールでのどを潤したい気分であれば、

「最初は小瓶のビールでお願いします」

 とだけ言っておけばいい。あとは黙っていても日本酒3杯と5品の料理がやってくるので、それこそボォ~ッと過ごしていればいいのです。これぞ究極の「酒場浴」ですねえ。

 同じテーブルにいた、私以外の3人(二人連れと、ひとり客)は、午後8時過ぎにそれぞれ席を立ち、気がつけば4人掛けのテーブルを、私ひとりが独占という贅沢な状況。

 2卓ならんでいる4人掛けテーブルのもう1卓も同じような状況で、同席していた3人が席を立って、今、ひとりでテーブルを独占しているのは、「野毛ハイボール」の店主・ハルさんです。

 ハルさん自身も、以前から「武蔵屋」の大の常連さんで、ご自身の店「野毛ハイボール」を持たれたときも、週に1回は「武蔵屋」に顔を出せるようにということで、当初は火曜日を定休日にしていたほど。現在は、手伝ってくれる女性店員さんも入ったので、定休日はなくなった代わりに、ハルさん自身は、相変わらず火曜日に休みを取って(お店は女性店員さんに任せて)、「武蔵屋」にやってくるのでした。

 閉店時刻の午後9時前に「武蔵屋」を出て(ビール小瓶500円+3杯セット2200円で、お勘定は2700円)、「ホッピー仙人」でホッピー(500円)を1杯いただいて帰宅したのでした。

 「武蔵屋」再開の美酒に酔った一夜でした。

店情報前回

《平成25(2013)年3月5日(火)の記録》

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酔来丼で締める予定が … 廣東料理「酔來軒(すいらいけん)」(阪東橋)

レバーの酢豚


 横浜駅西口「豚の味珍」を出て、横浜市営地下鉄に乗車。今日は「酔來軒」の酔来丼(400円)で締めようと思っているのです。

 「酔來軒」のある横浜橋への最寄り駅は、横浜市営地下鉄の阪東橋。1番出口を出て、横浜橋通商店街を南に抜けて左折したら、そこが「酔來軒」です。

 「酔來軒」も、日ノ出町の「第一亭」と同じように、中華の大衆食堂といた雰囲気。「第一亭」が台湾料理なのに対して、こちら「酔來軒」は広東料理です。

 店内は4人掛けのテーブル席がずらりと並び、右手には座敷席もあって、全体で約40席。

 空いているテーブル席のひとつに座り、まずは「9年物」と書かれている紹興酒1合(450円)を燗でもらうと、サービスで味付もやしが出されます。

 なにか1品つまみをもらってから、最後に酔来丼で〆ることにして、そのなにか1品を選びます。この店も名物料理がたくさんあって、実に迷ってしまうんですよねえ。

 とろみがついた熱々の肉団子1個ずつの中に、それぞれ丸ごと1個のプチトマトが入っている「トマトの肉団子」(700円)。カリカリの「揚げワンタン」(600円)や、たっぷりのネギとチャーシューをざっと炒め和えた「ねぎチャーシュー」(700円)にも引かれます。

 あれっ?以前いただいて美味しかった「鶏脚の煮込み」がなくなってるなあ。「鳥手羽の煮込み」(600円)は今もあるけど……。鶏脚が手に入りにくくなったんでしょうか。

 通常のメニュー以外にも、『本日のスペシャル』として「レバーの酢豚」(700円)と、「チキンロールの紹興酒あんかけ」(600円)の2品が書き出されている。

 「レバーの酢豚」。いいですねえ。これをもらってみましょう!

 待つことしばし。出てきた「レバーの酢豚」は、予想どおり、酢豚の豚肉の部分をレバーに代えたもの。さっと揚げたレバーというのも、うまいもんですねえ!

 ところが、ところが。このレバーの酢豚、ボリュームも半端ない。これを全部食べ切って、さらに酔来丼というのは、ちょっと無理かもなあ。

 そんなわけで、1合の紹興酒を飲み切ったところで、小ライス(200円)をもらって、まだまだけっこう残っているレバーの酢豚をおかずにして、〆ることに決定。小ライスにはスープも付いてきました。

 レバーの酢豚も小ライスも完食して1時間ほどの滞在。お勘定は1350円でした。やあ、満腹、満腹。

 帰り道は京急本線の黄金町駅へ。最寄りの阪東橋駅(横浜市営地下鉄)までは徒歩10分ほどですが、黄金町駅にも徒歩17分ほどで行くことができるのです。

 昔はピンクのネオンにあふれていた、黄金町駅ガード下も、今は店がすべて撤去されて工事中。すっかり変わっちゃいましたねえ。

 近くには「大衆酒場」と書かれたり、「小料理」と書かれた、古い小さい店が何軒かあるようなんですが、明かりが消えている店も多い。野毛と同じように月曜日が定休日の店が多いのか、それとも本当にやっていないのか……。ちょっと気になるエリアです。

 そして、京急・黄金町駅に着いてみると、その構内にあるのが「えき缶酒場」。暖簾(のれん)には『かんづめで一杯』の文字が躍ります。ここもまた良さげですねえ。「えきめんや」という路麺店も兼ねているのかな? 今日はすでに満腹なので、外から見ただけで帰宅しました。

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〔酔來軒〕 紹興酒と味付もやし / 店内の様子 / 小ライスで〆

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〔黄金町駅界隈〕 工事中のガード下 / 古い店も残っている / 「えき缶酒場」

店情報前回

《平成25(2013)年3月4日(月)の記録》

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隠れ家風の本店2階で … 「豚の味珍(まいちん)」(横浜)

尻尾と辣白菜


 3年弱の呉への単身赴任から戻ってきてから、東京・横浜方面の古い酒場に足を運ぶことが多くなっています。

 老舗酒場には、その町の、そしてその町で暮らしている飲兵衛たちの歴史が凝縮されているような気がするからです。

 そんなわけで、今日も今日とて、やってきたのは、昭和20年代後半に屋台としての営業を開始し、昭和31(1956)年に店舗としての営業を開始した、横浜の老舗、「豚の味珍」です。

 「味珍」は、横浜駅西口に残る古い小さな横丁、狸小路の真ん中あたりの両側にあります。通りの北側にあるのが本店、南側が新店。新店といっても、できたのが昭和53(1978)年なので、十分に古いですよね。

 本店、新店ともに、1階の店と2階の店があるので、全部で4軒。この4軒がすべて賑(にぎ)わっているというのも「味珍」のすごいところです。

 4軒の「味珍」は、それぞれに個性があって、常連さんたちは自分の行きつけの「味珍」が決まっています。

 本店の1階は、店員さんが若いこともあって、だれでもがフッと入りやすい雰囲気です。ただし、カウンター席だけなので、ひとりか二人で行くとき向け。最初はまずはこの店をのぞくと、満席であっても他の店の空き状態も確認して、空いている「味珍」に案内してくれます。

 3~4人のグループでも入れることが多いのが、新店の2階。ここが4軒の「味珍」の中で、一番広い「味珍」で、ぐるっと店内を囲むようなコの字カウンターの他に、4人用テーブル席も3卓ならんでいます。

 「味珍」に取材をお願いすると、ほとんどの場合、この新店2階で撮影が行われますので、雑誌やムックなどで目にする「味珍」は、ほぼこの新店2階です。

 4軒の「味珍」の中で、もっとも濃密な「味珍」を堪能できるのが、新店1階です。この店が4軒の中で一番狭くて、店内は鋭角に折れたV字カウンター8席のみ。そのV字の中に、店員さんひとりが、やっと入っているといった感じの狭さです。

 なので、ここに入ると、お客全員が一蓮托生。みんなでいっしょに盛り上がっていくしかない状態になります。それがまたすっごく楽しいんだけど、残念ながら4軒のなかで、満席率がもっとも高いのも、ここ新店1階。いつ見ても満席で入れません。

 4軒の中で、もっとも隠れ家風なのが、本店2階の「味珍」です。他の3軒は、ちゃんとそれぞれの入口がありますが、本店2階だけ、入口がない。本店1階に入って、店内にある階段を2階に上がったところが本店2階なのです。

 ここをよく知る常連さんは、いきなり本店2階を目指しますが、そうでない人は、本店1階が満席のときに、「それじゃ2階にどうぞ」と案内されることが多い。だから、本店2階は、思いっきり常連さんと、一見(いちげん)さんに近い状態のお客さんが入り混じったおもしろい空間になります。

 常連さん密度の高さでいうと、新店1階>本店2階>新店2階>本店1階といったところでしょうか。

 私自身は本店2階に行くことが多い。濱の酒場通・iiさんが本店2階の常連さんなので、一緒に連れて行ってもらいながら、自分自身も本店2階に行くようになった、って感じですね。

 まずは中瓶ビール(550円)をもらって、料理は豚の尻尾(700円)と辣白菜(ラーパーサイ、300円)を注文します。

 すぐに出されるのは辣白菜。この店はお通しは出ないので、その代わりにこの辣白菜を注文して、他の料理が出るのを待つ常連さんも多いようです。

 辣白菜は、ほんわりと甘い白菜の漬物。『辣』という字から、なにやら辛いものが出てくるイメージがありますが、そんなことはありません。

 ラー油をたらして食べる常連さんも多いのですが、私は、練り辛子+酢+ラー油を混ぜたタレ(豚料理を食べるときのタレ)をつけながらいただく派です。

 さあ来ました豚の尻尾。開店から間もない時間であれば、温かくて、とろける、できたての尻尾がいただけます。一度、このできたてを食べたら、病みつきになること請け合い。

 この店の店員さんたちは、朝9時ごろからその日の仕込みに入り、みんなで4軒分をすべて作った後、それぞれの店で営業を始めるのです。で、閉店後、掃除も終わって帰路につくのは日付が変わってから。ほとんど寝る時間もないような状態でがんばってるんですね。

 中瓶ビールを飲み終えて、次なる飲み物は「味珍」名物のヤカン(380円)。これは、宝焼酎マイルド(25度)。アラビアンな背の高い水差しで注いでくれるので、その水差しを称して、みんながヤカンと呼んでいるのでした。

 カウンター上に置かれた梅エキスをちょっと入れると、梅割りとしていただけます。

 元来は、この梅割りがもっとも主流の飲み方だったようですが、最近は常連のみなさんは、缶入りのウーロン茶とセットでもらって、ウーロン割りにして飲んでる人が多いようです。私は今日は梅割りでガツンと!

 料理のほうは腐乳(150円)を追加。この腐乳が、豆腐の塩辛ともいえるほどの旨味としょっぱさで、酒が進んで進んで仕方がない。

 あっという間に焼酎が空いてしまったので、最後に福島の地酒「自然郷(しぜんごう)」(500円)をもらって〆。今日のお勘定は2580円でした。どうもごちそうさま。

 横浜駅周辺の歴史に触れることができる名店です。

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「豚の味珍」本店入口 / 辣白菜 / ほんわり温かい尻尾

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焼酎(宝マイルド) / 腐乳 / 地酒(自然郷)

店情報前回

《平成25(2013)年3月4日(月)の記録》

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