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近所の人達の憩いの場 … 洋食・おでん「自由軒(じゆうけん)」(福山)

名物おでん


 食堂なんだけど、雰囲気はほとんど酒場だなあ。

 小規模な「まるます家」(赤羽)といったところ。

 まさに『自由に飲み食いしてください』って感じ。だから店名も「自由軒」なのかなあ。

 こういうお店。私は大好きです。

 日曜日の午後3時半というこの時間帯、コの字カウンター20席ほどの店内は、半分ぐらいの客の入り。

 ゆっくりと盃を傾ける男性ひとり客が何人かいて、3人連れぐらいでやってきて楽しそうに飲んでいる若者グループもいて、そうかと思うと二人でニコニコと食事をする中年夫婦もいて、母娘(娘は小学生ぐらい)ふたりで仲睦まじく食事をしていたりもする。

 老若男女、いろんな層のお客さんが入ってるということは、この店が名店であるというあかしのひとつですね。

「大瓶のビール(550円)をお願いします」

「アサヒとキリンがありますけど」

「キリンで」

「は~い」

 すぐにビールとコップを用意してくれる店のおねえさん(住村淳子さん)。

 店は二代目店主・住村功二さん・美鈴さんご夫妻を中心に、1階(カウンター席と厨房)だけでも4~5人が働いていて、それとは別に2階に座敷席もあり、そっちにも店員さんがいるようです。(お店の方のお名前は、「吉田類の酒場放浪記」で知りました。)

 福山という地域性もあるのかもしれませんが、お店の人も、カウンター席に並ぶお客さんたちも、まるでみんなが家族の一員のようで、ほんわかとした暖かい空気感があります。

 地域のみなさんたちの『いこいの場』になってるんでしょう。みんなの笑顔がうれしいね。

「お料理、うかがいましたっけ?」

 カウンターの中から笑顔で声をかけてくれるのは店主・功二さん。

「いや、まだお飲みものだけなんです」

 私が答えるよりも早く、店主にそう話してくれる淳子さん。

「まずはおでんをください。豆腐(150円)と、あとロールキャベツ(250円)」

「はいよっ」

 と返事して、コの字カウンターの短辺のところに据えられたおでん鍋から、豆腐とロールキャベツをお皿に取り、ロールキャベツは食べやすいように3つにカットして、上からこの店ならではの味噌ダレをかけて、出してくれます。

 この店ののれんや看板には『洋食・おでん』の文字が並んで表記されています。この二つが、「自由軒」の二枚看板のようです。

 現在の店主のお父さん(初代)は、もとは洋食のコックさん。戦後、屋台から始めて、昭和26(1951)年に、ここ「自由軒」を創業しました。

 毎日、鰹節と昆布で出汁をとるおでんは、創業当時からの伝統の品なんだそうです。

 もしかすると、屋台時代におでんを始めたのかもしれませんね。

 そのおでん、ほとんどの品は150円で、今いただいている自家製ロールキャベツ(中は鶏つくね)が250円。そしてスジ(牛すじ肉)が300円です。

 スジもけっこう人気があるようで、あちこちから注文が飛んでいます。

 そのスジは、串刺しではなくて、おでん鍋の中でバラのまま煮込まれています。注文を受けて、これを小鉢に取って、上から味噌ダレをかけて出してくれるのです。これもまた美味しそうだねえ。

 味噌ダレは、備後びんごの府中味噌をベースに、七味唐辛子の、唐辛子以外の成分(胡麻、陳皮、芥子、麻、山椒など)を加えて作った、この店独自のもの。

 辛さが足りなければ、さらに七味唐辛子を振って補います。唐辛子以外の成分はほぼ同じなので、七味唐辛子をかけても、味噌ダレのバランスが崩れることはありません。

 味噌ダレをかけずに、醤油をちょっとかけて食べるというオプションも選べるようです。

 もともとのおでんは薄味に仕上げられていて、味噌ダレか醤油をかけて、ちょうどいい味になるようになってるんですね。

 店の入口横には、小さな冷蔵陳列ケースもあって、刺身類やちょっとしたつまみ類(梅クラゲ250円、めいたいこ250円、たこわさび250円など)が、その中に並んでいます。これらは、お店の人に注文して出してもらってもいいし、自分で勝手に持ってきてもいい様子。なにもかもが、ゆるやかなのがいいですね。

 もうひとつの看板料理、洋食もいただきましょう。

 ここはやっぱり「キモテキ」(530円)かな。

 キモテキというのはレバーステーキのこと。食べやすい厚さにスライスしたレバーに、塩・胡椒で下味を付けてフライパンで炒め、ケチャップと醤油で仕上げます。

 他にはない料理だし、類さんの番組でも、『この店のオススメ料理』として、店主の弟・住村裕さんが、このキモテキを調理して出してました。私自身、レバーは大好きなので、その点でも、この料理はピッタリですね。

 キモテキが出てきたところで日本酒(350円)を、燗酒でお願いします。

 日本酒の銘柄は「天宝一てんぽういち」。一升瓶からアルミのチロリに注がれ、おでん鍋の横にある5穴の燗づけ器に浸けられます。

 で、そのチロリのまま「はいどうぞ」と出してくれる仕組み。これを一緒に出されるコップに注いでいただくんですね。

 洋食は、日本人向けにアレンジした西洋料理。基本的に、ごはんにピタリと合うように作られています。

 ごはんに合うものは、当然のごとく日本酒にも合う。

 キモテキと燗酒も、とてもよく合います。

 メニューには「小いわしの天ぷら」(400円)や「たこぶつ」(650円)といった瀬戸内海の海の幸も並んでいるほか、「ビフテキ定食」(950円)や「チキンカツ定食」(680円)、「魚の煮付定食」(680円)などの定食類もずらり。

 私の向かい側で、チビチビと焼酎を飲んでたおとうさんは、〆の一品として「玉子うどん」(500円)を注文しました。

 中華そば(480円)や各種丼ものまであるというふところの深さです。

 昼前の11時から、夜の10時まで、中休みなしの通し営業というのもうれしいではありませんか。いつでも飲めちゃう。

 キモテキも食べ終えて、1時間半ほどの滞在。今日のお勘定は1,830円でした。どうもごちそうさま。

 いいね、福山「自由軒」。また来たいな。

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「自由軒」 / キモテキ / 燗酒

店情報

《平成25(2013)年11月10日(日)の記録》

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コメント

まさに『いいね』ですね。是非行ってみたいですね。

投稿: 大越龍一郎 | 2013.11.14 07:32

福山・中国地方第4の都市。JR乗換、駅前周辺店を時々利用します。
コの字型カウンターが圧巻の、福山「自由軒」。いいですね。透明出汁で煮込まれた具材に味噌をかけるおでん、広島では珍しいスタイル。
呉の中通にも自由軒があり、おでんといい、デミグラソースをかける洋食メニューといい、福山とそっくりです。先代にそのことを言うと「福山の店に行かれましたか」とだけ答えてもらいました。どうやら、縁戚関係がおありのようで…
福山天満屋の近くには福山の「鳥好」があり、呉市民としては注目の、働く人の都市(まち)ですね。

投稿: 遊星ギアのカズ | 2013.11.16 21:22

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受信: 2016.08.18 23:55

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