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福山人のソウルフード … 大衆食堂「稲田屋(いなだや)」(福山)

関東煮


 福山駅の近くに『福山人のソウルフード』とも呼ばれる料理を出す店があるということで、大急ぎでその店に向かいます。

 なぜ大急ぎかというと、予定している新幹線の時刻まで、あと40分ほどしかないから。

 福山駅から徒歩10分ほどかかる、JOYふなまち商店街の中にあるその店は、大衆食堂「稲田屋」。創業は古く、大正時代だそうです。

 店内はに、厚みのある自然木ながらも、ほぼ形がそろった長テーブルがずらりと並んでいて、椅子も木製の長椅子(ベンチシート)式。

 営業時間は昼前11時から、中休みなしで午後8時まで。

 日曜日、午後5時の店内には、先客は二人(男性ひとり客×2)しかいません。

 すぐに注文を取りに来てくれる店のお姉さんに、

「ビールの小(420円)と、クシ(140円)は白・黒1本ずつお願いします」と注文。

 大衆食堂と言いつつも、この店の料理は基本的には『もつ煮込み』と『牛肉煮込み』の2種類のみ。

 もつ煮込みのほうは、シロ(腸)とフワ(肺)を、それぞれ串に刺して、醤油と砂糖で味付けした煮汁で煮込んだもので、メニュー上の表記は「関東煮」です。こう書いて「かんとだき」と読みますが、常連さんたちはほとんど「クシ」と注文するんだそうです。

 さっき「白・黒1本ずつ」と注文したのは、「シロとフワを1本ずつ」ということです。

 シロは色が白く、フワは色が黒いので、こう呼ぶんでしょうね。

 出てきたクシは、白いほうは1串にシロが5切れ。黒いほうはフワ・シロ・フワ・シロ・フワと、3個のフワの間に2個のシロがはさまって、合わせて5切れ。どちらもよく煮込まれてますねえ。

 まずはシロからいってみますか。ど~れどれ。

 ………!(゚д゚)

 甘ぁ~っ。あま、あま、甘ぁ~っ!

 まるで濃縮した砂糖を食べているかのような、濃厚な甘さです。

 う、う、うぅぅ。ビール、ビール。

 ッカァ~ッ、落ち着いた。

 事前の調査で、『醤油にたっぷりとザラメをぶち込んで味をつけるので、かなり甘い』ということは知ってたのですが、ここまで甘いとは思いませんでした。びっくりですねえ。

 この店のもつ煮込みのルーツは、大阪の「どて焼き」。

 大阪でどて焼きを食べた創業者が、見よう見まねでそれを再現しようとしてできたのが、この店の関東煮なんだそうです。

 創業者の舌に残った、強烈な甘さの印象が、味の記憶としてより増長されて、この店の煮込みの甘い甘い味付けになったのかもしれませんね。

 甘さが一番のごちそうだった時代も長かったようなので、『甘い』この関東煮が、多くの福山市民を喜ばせ、『福山人のソウルフード』と言われるほどになったんでしょうねえ。おもしろいなあ。

 関東煮という言葉も、創業者が大阪から持ってきたのかな?

 大阪でいう『関東煮かんとだき』は、おでんのこと。

 『どて焼き』は、今でこそ牛スジ肉を煮込んだものですが、大正後期から昭和の初めごろの『どて焼き』は、「豚の皮身を味噌で煮詰めたもの」だったんだそうです。

 その大阪の味を、福山に持って帰ったときに、料理は『どて焼き』で、名前は『関東煮』という融合がおこったんじゃないかというのが、私の推理です。

 「ねぎ(きざみ)」(90円)というのもメニューに載っています。常連さんの中には、串から外したシロやフワに、この刻みネギをたっぷりとトッピングして、一味唐辛子もたっぷりとかけて食べる人もいるようです。こうすると甘みが抑えられて食べやすい、いや、美味しいのかもね。

 関東煮は持ち帰りもできて、それを入れるためのプラスチック容器(タッパー)も売られています。何十本も買って帰る人がいるんだそうですよ! さすがソウルフード。

 『牛肉煮込み』のほうも、同じように牛肉を醤油と砂糖で甘ぁ~く煮たもの。

 そのまま「肉皿」(510円)としても食べられるほか、ごはんにのせて「肉丼」(630円)にしたり、うどんやそばにのせて、「肉うどん」(510円)、「肉そば」(510円)として食べます。(玉子を落としてもらうとそれぞれ50円増しです。)

 本当はクシを何本か食べたあと、「肉玉そば」(560円)ぐらいで〆てから新幹線に乗りたかったんだけどなあ。時間がなくて残念!

 20分ほどの滞在。今日のお勘定は700円でした。ごちそうさま。

 いやぁ、それにしても、驚きの甘さだったなあ。こんなもつ煮込みもあるんですね。大発見でした。

店情報

《平成25(2013)年11月10日(日)の記録》

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コメント

アーケドの商店街で、圧倒するような佇まい。自然に入店していました。随分前です。
土間のベンチに座り、真っ黒い関東煮で1杯。すると、近所のおばちゃんが鍋を持ち、十本単位で買いに来られていました。あの雰囲気は、変わってないんだろうな。
『どて煮・焼』…福山では様々なシーンで使われているようで、福山鳥好では鳥皮の味噌煮が「どて煮」。今は無い福山駅前繊維ビルの「天狗」という店は、モツをトロトロの味噌をからめながら鉄板で焼く「どて焼」が絶品でした(細部が不確かですが…)。

投稿: 遊星ギアのカズ | 2013.11.16 21:43

いつもコメントをありがとうございます。>遊星ギアのカズさん
「くれえばん」にカズさんが書かれている連載を拝読して、福山では「みそ炊き」(=呉名物の鶏皮みそ煮)が「どて煮」と呼ばれていることを知りました。
同じ食べ物でも、地域によって名前の違いがあるんですねえ!

投稿: 浜田信郎 | 2013.11.17 22:55

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