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通って13年で初めて! … 「武蔵屋(むさしや)」(桜木町)

剥げた塗箸


 相変わらず1~2週に1回ずつぐらいのペースで「武蔵屋」に通っています。

『塗箸の げて小芋の 煮ころがし』

 店内に飾られている色紙に書かれているのは、コラムニスト・青木雨彦(あおき・あめひこ)さんの句です。

 実はこの店の塗箸に剥げたものはありません。輪島塗のこの箸は、ちょっとでも傷がつこうものなら、どんどん新品の箸に取り替えられていくからです。

 つまり客の手元にやってくるのは、いつもピッカピカで新品同様の塗箸です。

 だからこそ、いつ来ても、何年ぶりに来ても、「ちっとも変わらない」感じがするんですね。

 ところが!

 冒頭の写真をよ~く見てください。

 なんと! 今日の箸は塗りが剥げていたのです。

 この店に通い始めて13年。初めて塗りが剥げた箸に出会いました。

 これは逆に珍しくて、うれしいなあ。

 弘法も筆のあやまりと言いますが、「武蔵屋」で働いているみなさんのチェックの目をくぐり抜けて、フッと紛れ込んだ1本なんでしょうね。宝くじに当たったようなもんかもしれません。

 私はこれまでずっと、雨彦さんの句は、実際にここで経験したことを書いたのではなくて、頭の中で創作したもんだろうと思っていたんです。

 でも、もしかすると雨彦さんも、長年この店に通っているうちに、ある日たまたまこんな塗りが剥げた箸に出会って、それが珍しくて面白くて、思わず『塗箸の剥げて小芋の煮ころがし』の句を作っちゃったのかもしれませんねえ。

 この塗箸。断面がまるいので、置きようによってはコロコロと転がって床に落ちてしまいます。

 これを防ぐには、まず玉ネギ酢漬けが、花びら型のお皿などの、ふちが丸くないお皿で出された場合は、そのへこんだ部分に箸先を引っかけるようにして箸を置く。これがもっとも安定します。(冒頭の写真がそうです。)

 まん丸のお皿ばっかりで、凹んだ部分がない場合。このときは、二つの丸皿の配置を工夫することで箸の転がりを防ぎます。

丸皿の場合 二つのうち、背の低いほうの丸皿が、箸先を置く皿になります。

 そして、箸が転がったら落ちる方向、つまりその皿の手前側をせき止めるように、もう一つの丸皿を置いてやる。

 これでピシャリと安定し、少なくとも手前側に箸が落ちることはなくなります。

 せっかくおばちゃん(=女将)や、店のスタッフのみなさんが、剥げた塗箸を出さないようにしようとがんばってくださっているので、我われ客の側も、できるだけ箸を落としたりしないように気をつけたいですね。

 通って13年で初めて出会った『剥げた塗箸』を見て、改めてそんなことを思ったような次第です。

 小瓶のビール(500円)から始めて、1時間半ほどの滞在。今日のお勘定は3,000円でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成25(2013)年12月11日(水)の記録》

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コメント

 「武蔵屋」に集う人々、聖地巡礼というか、参禅風景というべきでしょうか。剥げた塗り箸の話、年季のはいった修行僧の深さを感じます。
 転がろうとする丸箸をとめる工夫が、私にはさらにおもしろかった。記事を読んだその夜、自宅の食事で、あらためて丸箸がころがることに気がついたからです。
「よく見れば なずな花さく 垣根かな」の世界でした。

投稿: 越村 南 | 2013.12.23 17:59

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 今年も残すところ、今日も含めてあと8日となりました。  仕事関係の忘年会も先週まででほぼ終了し、あとは自分の好きな酒場に行くばかり。  火曜日の今日は、野毛(のげ)の「武蔵屋」からスタートです。 「今日は始めからずっと静かなんですよ」  と、おばちゃん(=女将)も言うぐらい、店内のお客さんは少なくて、久しぶりにカウンター席に座ることができました。  桜木町駅周辺にはものすごい数の人がいたのですが... [続きを読む]

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