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あま~い肉豆腐で燗酒 … 食堂「長野屋(ながのや)」(新宿)

肉豆腐で燗酒


 三連休の中日なかびの土曜日は、家族で新宿に出かけたあと、これから買い物をするという女性陣とは別れて、新宿駅東南口の目の前にある大衆食堂、「長野屋」に入ります。

 ここはもう、新宿の奇跡のようなお店の1軒。

 どんどん、どんどん都会化していく新宿のど真ん中にあって、ここだけがポツンと昔のまんま。

 でも私は、こういう店が大好きなんですよねえ。

 大正4(1915)年の創業なので、もうすぐ創業100年という老舗大衆食堂です。

 おぉ~っ。店内はすべてのテーブルが埋まってる。

 時刻は午後4時20分。ちょうど「これから飲もう!」っていう時間ですもんねえ。みんな、考えることは同じだ。

「いらっしゃい。こちらにご相席でいいですか?」

 と、ひとりでこの空間を切り盛りしている女将さんが、入口近くの4人掛けテーブルを指し示してくれます。

 そのテーブルに座っているのは、年配の男性ひとり客。

「この人はね。ぼんやりしてるから大丈夫なのよ(笑)」

 そんな失礼な!(汗)

 それでもニコニコ笑いながらやり過ごしているこのおとうさん。どうやら、『大』が付くほどの常連さんの様子です。

「すみません。よろしくお願いします」

 と、私もそのおとうさんにごあいさつしながら、相席させてもらい、

「大瓶のビール(キリン一番搾り630円)とポテトサラダ(250円)をお願いします」と注文。

 飲み物や、ポテトサラダのように作り置きの料理は、1階の冷蔵ケースに置かれているので、注文を受けた女将さんがビールと一緒にすぐに出してくれます。

 ポテトサラダは薄味で、キュウリやニンジンなども入ったタイプ。小鉢に敷かれたキャベツ千切りの上に盛られたポテトサラダの量は少ないけれど、新宿駅前でこの値段(250円)なら仕方ないのかな。卓上の中濃ソースをかけていただきます。

 目の前に座っているおとうさんは、ハムエッグ(300円)と肉じゃが煮(250円)をつまみに、大瓶ビールを飲んでいる。そのハムエッグがおいしそうだこと。

「すみません、私もハムエッグ(300円)をお願いします」

 私も思わずそのハムエッグを注文すると、おとうさんがこっちを見てニッと微笑んだ。

 ハムエッグなどのように、調理が必要なものは、上の階にある厨房に注文が通され、できあがると、料理専用の小さなエレベータで1階に送られてくるんですね。

 以前は、2階のフロアも使っていたそうなんですが、最近は昔ほど利用客が多くないので、1階だけでの営業となっているんだそうです。(今もレジの横には、2階へと上がる階段があります。)

 さあ来た、ハムエッグ。

 二つある目玉のひとつを、箸でプツンとつついて穴を開け、そこに醤油をちょっとかける。で、白身を少~し切り分けては、さっき醤油をかけた黄身を、とろりと絡めながらいただくんですねえ。

 白身、白身、白身と、白身を3口ぐらい食べたところで、おもむろにハムを切り分けて、これまた、とろりと黄身にからめてパクリ。ん~ん、うまいっ!

 テレビで流れているのはセンバツ高校野球。今大会初の延長戦は、10回表に2点を取れば、その裏に2点を返すという好ゲーム。すでに延長13回裏もツーアウト2塁です。

 そのとき「おぉ~っ!」と店内にどよめきが流れて、サヨナラヒット。いい試合でしたねえ。

 ひとしきり店内のどよめきが収まったところで、女将さんがテレビのチャンネルをピッと変えると、今度は大相撲春場所14日目。昨日13日目を終わった時点で、綱取りを目指す大関・鶴竜と横綱・白鵬が1敗で並んで優勝争い中。今日はその二人の直接対決が予定されています。

「お酒(350円)を、もう1本」

 と注文したのは、となりのテーブルに座っているつえを持ったおじいさん。

 冷やっこ(200円)と、しらすおろし(200円)をつまみに、2本めの燗酒に入ったようです。

 目の前のおとうさんも、横のテーブルのおじいさんも、つまみにはほとんど手を伸ばさない。テレビを見ながら、チビチビ、チビチビと酒を飲み、ごくたま~に、思い出したように料理に箸をつける。

 私も今日は、そのお二人に合わせるようにチビリチビリ。ゆっくりとした時間がいいなあ。

 ここらで私も燗酒(350円)をもらって、肉豆腐(400円)も追加注文。

 スプーンを添えて出される肉豆腐。出てきた瞬間に「これは甘い!」とわかるほど、甘そうな匂いを放っています。さっそくひと口食べてみると、やっぱりものすごく甘いっ。

 七色唐辛子をたっぷりと振りかけて、ピリッとさせていただきます。

 この甘みが、かつては大ごちそうだったんだろうなあ。

 塩辛や佃煮などが、少量でもお酒が進むのと同じように、この甘い肉豆腐も、少量あればお酒が進む。日本酒よりも、焼酎のほうが合うかもなあ。

 ここで相席させてもらっていたおとうさんが席を立ちます。ハムエッグ、肉じゃが煮で、大瓶ビールと燗酒を1本ずつやって、お勘定が1,530円。

 ややあって、となりの杖のおじいさんもお勘定。こちらは冷やっこと、しらすおろしで燗酒を3本やって1,450円。

 2品と2杯程度をいただいて、1,500円前後で済むというのが、大衆酒場かどうかのひとつの指標。このくらいだと、毎日のように通うことができるんですね。

 お相撲は、鶴竜が白鵬に勝って、初優勝に王手。

 ここまで見届けて席を立つ人が多いのですが、肉豆腐がまだ残ってるので、燗酒をもう1本もらいましょう。なんだかとっても居心地がいいや。

 けっきょく午後6時40分まで、2時間半近くもくつろいで、今日のお勘定は2,280円でした。

「ごちそうさま。今日は長時間、すみませんでした」

 お釣りを渡してくれる女将さんに、そう声をかけると、

「いえいえ。今日は野球も、お相撲も面白かったですねえ」

 と笑顔で見送ってくれるのが、まるで下町酒場みたいだ。新宿にも、こんな風情が残っているのが嬉しいですね。

(大衆食堂の詩人・エンテツさんこと遠藤哲夫さんのブログ「ザ大衆食つまみぐい」の最近の記事でも、ここ「長野屋」のことが紹介されています。)

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大瓶ビール、ポテトサラダ / ハムエッグ / 肉豆腐

店情報前回

《平成26(2014)年3月22日(土)の記録》

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