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変わらぬ老舗に大安心 … おでん「赤丹本店(あかたんほんてん)」(松山・松山市駅)

松山「赤丹」のおでん


 8年ぶりに松山の「赤丹本店」にやってきた。

 昭和6(1931)年創業、カウンター13席のみの店内は、一番手前側の1席と、奥から2番目の1席が空いているのみ。

「どっちでもええけど、奥のほうがええじゃろ」

 という女将おかみさんのすすめに従って、奥から2番目の席に座る。

 まずは瓶ビール(キリン一番搾り大瓶、650円←税抜き表記、以下同じ)をもらって、コップ1杯をグイッとあおり、のどを潤す。ッカァ~ッ。この冷たさが心地よいのぉ。

 そして目を上げると、女将さんが右手に菜箸、左手におでん用の赤い小皿をもって、おでん鍋の前にスタンバイしてくれている。

 これがこの店のスタイル。どの客もまずは何品かのおでんをもらうのだ。

 だから、新しいお客が来るたびに、女将さんはすぐにおでんを取れる体勢で鍋前にスタンバイするのである。

 おでんよりも何よりも、女将さんご自身がお元気であることに、まず安心した。今年で83歳になるそうだが、背筋もシャキッと伸びていて、ちっとも変わらない。

「いいやあ、だいぶボケ始めとるんよ(笑)」

 とご本人は笑うが、そんな様子はまったくない。お元気そのものだ。

 店は女将さんと、その息子さんご夫妻の、3人で切り盛りされている。

 奥から2番目のこの場所からは、おでん鍋の様子がよく見えないので、いったん立ち上がっておでん鍋をのぞき込んでから、

「厚揚げと……」と注文し始めると、

「これ?(と菜箸で指し示してくれながら)これは焼き豆腐じゃね」と女将さん。

「あ。じゃ、その焼き豆腐と、すじ(牛スジ)、あと竹の子をください」

 1ラウンドめは3本を取ってもらった。

 ゆる~く溶いた『からしみそ』が、たっぷりと添えられるのが、こちらのおでんの大きな特徴。かなり多めにつけても、辛さはほとんどない。

 さらにおでんには串が1本ずつ打ってあって、後からその串の数で計算する仕組み。床に捨ててはいけません。(推定だけど、おでんは1本120円ぐらいのようだ。長い串と短い串があるけど、値段は変わらないみたい。)

 最初の3品はあっという間に食べ終えて、イイダコを追加注文。イイダコは1串に2つ、丸のままの姿で刺され、煮込まれている。

 今がちょうどその体内に卵を持つ時期なのだが、ひと箱で仕入れると、卵が入っているものも入っていないものもあるそうだ。

 私のも、1つは卵が入っていたが、もう1つは入っていなかった。

 イイダコの“イイ”というのは、この卵がびっしりと詰まった様子が、ごはんに似ているから、イイ(=飯)ダコと呼ばれるようになったらしい。

 そう考えると、卵が入っていないイイダコは、もはやイイダコとは呼べず、ただのタコだな。それでも十分おいしいけどね。

 おでん以外のつまみは、日替りでホワイトボードに書き出されている。今日のは次のとおり。

  • [刺身]しまあじ、もいか、あわび、赤なまこ、かつお、とり貝、しめさば。
  • [一品]穴子白焼、イカ明太子あえ、蛤酒蒸し、いかなご、くきわかめ、ホタルイカ、アスパラバター、トマト、長芋。
  • [干物]ホータレ。
  • [一品]辛味大根おろし、えんどう豆、めばる煮付け、はぎ煮付け、わらび煮、カキフライ、牛ロースあみ焼。

 昔からここのメニューには値段はない。でもお勘定を聞いて、驚くようなことはない。ほとんどのお客さんは2~3千円ぐらいで納まっているようだ。

 そのホワイトボードメニューから、ホータレ(=かたくちいわし)を注文しておいて、燗酒(大関、たぶん450円)をもらう。燗酒は、おでん鍋の横についている燗づけ用の穴で、チロリで温められ、「赤丹」と書かれた湯呑み風の酒器に注いでくれる。

 干物と言っても、生干し程度に乾かしているホータレは、注文を受けてから焼き網にのせて炙ってくれる。

「つみれはもう食べたかいねえ」

 と女将さんが声をかけてくれる。

「まだ食べてない。つみれください。あと、じゃこ天もください」

 そうそう。愛媛に帰ってきたら練り物だ。じゃこ天に限らず、普通の平天や竹輪もうまいんだ。

 そしてホータレも出てきた。1皿5尾が一人前(たぶん500円)。1尾1尾がけっこう大きい。

 頭の香ばしさ、腹のほろ苦さ、そしてその身の旨みの強さに燗酒が進む進む。

 思わずもう1杯、燗酒をおかわりした。

 ゆっくりと1時間40分ほどの酒場浴。今日のお勘定は2,980円(2,760円+消費税)だった。

 どうもごちそうさま。また来ます!

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「赤丹」本店 / 焼き豆腐、牛スジ、竹の子 / イイダコ

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「大関」燗酒、おでんの串立て / つみれ、じゃこ天 / 炙ったホータレの干物

店情報前回

《平成28(2016)年3月12日(土)の記録》

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 お盆休みでで帰省したときの最大の楽しみは、旧友たちと大いに呑み語ること。  卒業してから40年になるのに、話し始めるとすぐに昔に戻るのがいいよね。  そんな連夜を終えて、今日は久しぶりに「ひとり酒」である。  やって来たのは松山市駅前のおでんの老舗「赤丹本店」だ。  店に着いたのは午後4時半。まだ真っ昼間の明るさだし、なにしろ暑い。  店は奥に向かって、うなぎの寝床のように細長く、その全体を一本... [続きを読む]

受信: 2016.08.20 11:13

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