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チイチイイカの天ぷら … 洋食・おでん「自由軒(じゆうけん)」(福山)

チイチイイカの天ぷら


 今治から福山に向かう高速バスは、きっと遅れるだろうと思って、かなり早めに実家を出発した。

 その「かなり」が、かなり「かなり」で、乗換案内で出てくる時間よりも2時間も早い。

 実は福山に着いてから、予約の新幹線を待つ間に、「自由軒」に行ってみようと思っているのである。

 どこかの酒場で飲むには1時間では少な過ぎる。2時間以上になると、もう1軒行きたくなってしまう。

 だから、どれだけバスが遅れても、1時間以上は飲むことができるように、この時間での移動を選んだ次第。

 案の定、お盆帰りの渋滞に巻き込まれて、高速バスが福山駅に着いたのは、予定時刻の30分遅れだ。

 でも大丈夫。あと1時間半はあるもんね。

 さっそく「自由軒」へと向かう。

 とは言うものの、「自由軒」のお盆休みを確認しているわけではない。

 「開いてるかどうか」。開いてたとしても、席が「空いてるかどうか」。

 ふたつの「あいてるかどうか」問題にドキドキしながら天満屋てんまや(福山店)の裏側へと向かう。

 おぉ~っ。開いてる開いてる。あとは空いてるかどうかだけだ。

 のれん越しに店内をのぞき込むと、コの字型のカウンター席は6割程度の入り。やったね、入れそうだ。

「ひとりです」

 と言いながら店に入ると、入口すぐの、コの字の角のあたりの、ゆっくりと座れる場所に案内してくれた。

 さっそく大瓶のビール(550円)を注文すると、「キリンとアサヒがありますが」とおねえさん。キリンをもらうことにした。

 おでんは「自由軒」の看板メニュー。真夏の今でもおでんはあるのだ。

 目の前のおでん鍋から、スジ(300円)と豆腐(150円)を取ってもらう。

 ほとんどのおでんは1個150円。スジ(300円)とロールキャベツ(250円)だけがスペシャル価格である。

 コリコリと硬めのスジには、自動的に「自由軒」秘伝のミソがかけられ、豆腐のほうは、おねえさんが目顔で「どうする?」と聞いてくれたので、「それもミソで」とミソをかけてもらった。

 赤味噌と白味噌をブレンドして、ほかの食材(山椒の実など)も混ぜ合わせながら作る、この店独自のおでん用のミソだれ。これがうまいのだ。ここに来たら絶対に、このミソだれをかけてもらわないとね。

 そのおでん2品がなくなりかけたところで、ネブト唐揚げ(400円)を注文する。

 ネブトの標準和名はテンジクダイ。もともと小さい魚なんだけど頭(の中にある耳石じせき)が硬くて、丸ごと食べることはできない。

 その硬い頭をとると、身の部分はほんの親指の先ぐらいの小ささになってしまうんだけど、これを唐揚げにすると、お酒(特にビール)によく合うつまみになるんだなあ。

 呉ではメンパチと言いますよね。

「ごめん。ネブトは海に逃げたみたいじゃ」

 注文を受けた、奥の厨房の女性陣から、そんな返事がかえってきた。ありゃ残念。売り切れちゃったんですね。

「じゃ、小イワシ天(400円)をください」

 ネブトと同じく、小イワシも今。夏場(6~8月)が旬の魚である。

 ほとんど待つこともなく出てきた小イワシ天は、呉や広島でよく食べる丸ごとの天ぷらではなくて、小イワシを3枚におろして、身の部分だけを天ぷらにした上品なもの。

 だからできるのも早かったんですね。

 これを山椒塩でいただくというのも、また上品ではありませんか。

 新幹線の時間を見すえながら、ゆっくりといただこうと思っていたのに、箸が止まらない。ひと切れ、またひと切れと、次から次へと食べてしまう。

 それくらいうまいのである。

 まわりのお客さんたちが麦焼酎の水割り(350円)を飲んでいるので、私も麦焼酎の水割りをもらう。

「ネブトはなかったけど、今日はチイチイイカの天ぷらがあるよ」

 小イワシがおいしい、おいしいと言ってたら、カウンターのおねえさんが、そう声をかけてくれた。

 チイチイイカというのは、ミミイカとかベカ、ベコとも呼ばれる、瀬戸内海や有明海の特産の小さなイカ。ホタルイカと同じぐらいの大きさだろうか。これまた夏が旬の魚介類である。

 「つかまえるとチイチイと鳴くから、チイチイイカと言うんだ」という話も聞いたことがあるけど、本当だろうか?

 うちの故郷いなかのほうでは、チンチイカなんて呼んでましたけどね(笑)

 ゆで冷まして酢味噌で食べることが多いんだけど、天ぷらでは食べたことがないなあ。(ちなみに、「自由軒」のメニューにはチイチイイカ酢味噌(450円)もあります。)

 おねえさんのおすすめにしたがって、チイチイイカ天(500円)を注文すると、丸ごと天ぷらにされたチイチイイカが小鉢にたっぷり。クシ切りのレモンと、粗塩が添えられている。

 ど~れどれ。できたて熱々のチイチイイカ天ぷらをほお張ると、熱が加わったイカの旨みが強いこと! これはいいねえ。

「おねえさん、これ、ものすごくうまいよっ!」

 思わずそう声をかけると、

「あぁ良かった。おすすめした甲斐かいがあったわ」

 と、おねえさんもうれしそう。麦焼酎の水割り(350円)もおかわりした。

 その2杯めの水割りを飲み終えるころには、もう福山駅に急がないといけない時間になった。

 後ろ髪を引かれる思いでお勘定をお願いすると、今日のお勘定は2,600円なり。

 常連さんたちに「お先に」とあいさつしながら、店を後にした。

 いいねえ、「自由軒」。また来なきゃね。どうもごちそうさま!

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しまなみ海道(来島海峡大橋) / 「自由軒」 / スジ(おでん)

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豆腐(おでん) / 小イワシ天 / 麦焼酎の水割り

店情報前回

《平成28(2016)年8月17日(水)の記録》

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 『年末年始休業』という漠然とした情報しか得られなかった「自由軒」。営業しているかどうかドキドキしながら福山に到着すると、ちゃんと開いてましたねえ!  店内(1階)はコの字型(片方だけが長いのでJ字型とも言える)のカウンター20席のみなので、店が開いているからといって、席が空いているとは限らない。  のれんをくぐって店内へと入ると、かろうじて空いていたのは、おでん鍋前の1席のみ。ここがコの字カウン... [続きを読む]

受信: 2017.01.05 17:05

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