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しばらくお休みします … やきとん「弐ノ十(にのじゅう)」(都立家政)

煮大根


 都立家政の人気もつ焼き店、「弐ノ十」が店を閉めると聞いて、だいぶ前から、何度も店の前を通ってたんだけど、いつも満席でまったく入れない。

 やっと今日、空席があるのを見て店に飛び込んだのでした。

 いつものように、まずはホッピー(380円、以下すべて税別表記)をもらい、つまみは、私にとっての『この店ならでは』の逸品、「煮大根」(200円)からスタートする。

 「煮大根」は、もつ煮込みの煮汁で、大根を煮たもの。

 ブリ大根、イカ大根と同じように言うならば、モツ大根だ。

 本来は冬場しかない「煮大根」なんだけど、この店の名物メニューのひとつでもあるので、『閉店前に煮大根が食べたい』という人も多く、出すようにしたそうだ。

 「秋元屋」で修業を積んだアキさんが独立し、この地に「弐ノ十」を開店したのは2010年7月のこと。

 鷺ノ宮の「鳥芳とりよし」(1963年創業)が2003年末に閉店して以来、この近くには本格的なもつ焼き屋がなかった。

 そこに「弐ノ十」ができ、店主も「鳥芳」と同じく女性店主だったとこともあってか、「弐ノ十」は一気に地域の人気店になり、となりの店舗も借りて、2軒分の大きさになった。

 ところが!

 今年に入って、「弐ノ十」で修業していたおにいさんが独立のため円満退社し、ほぼ同じタイミングでアルバイトの人もいなくなったため、急にお店の切り盛りに困るようになってきた。

「そのときすぐに、アルバイトの募集をしてたりしたら、また違ってたかもしれないんですけどねえ。ちょっと対応が遅れちゃいました」

 とアキさん。その後は、となりの新店舗側の営業を休止するなどの対策をとったものの、休止はしててもその分の家賃は発生する。結局のところ人手不足がいかんともしがたく、閉店することに決めたんだそうな。

 アキさんには女性店主ならではのこだわりがある。(本人は、それがこだわりだとは思っていなくて、まるで普通のことと思っているようだけど……。)

 たとえば、もつ焼きを出すお皿。異なる種類のもつ焼きは、必ず別のお皿で出してくれる。

 5種類のもつ焼きを1本ずつ注文すると、その1本ずつがそれぞれ別の皿で出されるのだ。

 だから焼き台の前には、もつ焼き用の小皿が山のように積まれていて、それらに次々にもつ焼きがのせられ、客席へと運ばれていく。

 私もナカ(250円)をもらって、「レバ塩ねぎ」(100円)、「あご肉」(120円)、「テッポー正油」(100円)を、それぞれ1本ずつ注文すると、やっぱりそれぞれが1皿にのってやってきた。

 「あご肉」には、肉と肉の間にニンニクの芽が挟まれている。

 こだわりその2は、このメニュー表記だ。

 手書きのホワイトボードメニューには、「レバ」「テッポー」など部位の名前だけで終わらず、「レバ塩ねぎ」「テッポー正油」「アブラみそ」「ナンコツたれ」「ハラミポンズ」といった具合で、『部位+オススメの味付け(+値段)』が書かれている。

 だから、もつ焼き初心者であっても、あまり迷うことなく美味しいもつ焼きを味わうことができる。ここに「弐ノ十」が女性客にも人気が高い理由がある。

 もちろん普通のもつ焼き屋と同じように、「レバたれ」、「レバみそ」など、自分の好きな部位を、自分の好きな味付けで注文することも可能だ。

 そして、こだわりその3。野菜系のメニューが多い。

 他のもつ焼き屋と比べると、明らかに野菜系のメニューが多いのだ。

 たとえば今日なら、さっき注文した「煮大根」のほか、「スティックブロッコリーとトマト」、「葉たまねぎ」、「なす一本焼」、「ハクサイ昆布漬」、「野沢菜漬」などなど。

 これらとは別に、近隣のもつ焼き屋でも見かける「トマト肉まき」、「ピーマンチーズ肉まき」、「エリンギ肉まき」、「紅しょうが肉まき」などの肉巻類や、「ハムキャベツ」などもある。

 これもまた女性客に人気が高い理由のひとつなのかもなあ。

 私も3杯めとなるナカとともに、「スティックブロッコリーとトマト」(250円)をもらった。

 八百屋さんに、「このブロッコリーは軸の部分が美味しいよ」とすすめられたんだって。たしかに長めの軸が美味しいや。

 これだけのこだわりを、しっかりと維持したまま、ひとりでこの大きさの店を切り盛りするというのは、確かに厳しいよねぇ。

「もうちょっと小さめの店舗で、ひとりでやるってのはどうなんですか?」

「それも考えないことはなかったんですけど、まずは1回、ゆっくりと休みたいと思ってるんです」

 とアキさん。これまでずっと突っ走ってきたから、ひと休みすることも大切かもね。

「私なんかにできることは、何にもないですから」

 アキさんは、そう謙遜されるが、絶対にそんなことはない。

 もつの仕入れや仕込み、焼きができるという、もつ焼き屋の基本的なプロセスも、普通の人にはまったくできない上に、この店には、さらにさっきご紹介したようなアキさんならではの「こだわり」も詰め込まれている。

 この「こだわり」も、アキさんにしかできない、アキさんならではの『プロの仕事』なのだ。

 お休みをされるついでに、これまで行くことができなかった他のもつ焼き屋や、他の居酒屋なども見てこられると、きっとご自身の持ち味や、ご自身のすごさに気付かれるはず。

 そこから改めてスタートする新生「弐ノ十」は、今の「弐ノ十」よりもさらにいい店になりそうだ。

 そんな日が、できるだけ早くやってくることを期待したいですね。

 最後にもう1杯、ソト1・ナカ4の4杯めとなるナカをもらって、つまみは「豚耳キムチ」(250円)で締めくくった。

 たっぷりと2時間半、名残を惜しむ「弐ノ十」浴。今宵のお勘定は2,320円(2,150円+消費税)でした。どうもごちそうさま。

 やきとん「弐ノ十」は、2018年5月13日(日)の営業をもって、この場所での8年間の営業を終了いたしました。

 アキさんやお店のみなさん。どうもありがとうございました。

 できるだけ早い復活を待ってますよ!>アキさん

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「弐ノ十」 / ホッピーと煮大根 / ホワイトボードメニュー

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レバ塩ねぎ / あご肉 / テッポー正油

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スティックブロッコリーとトマト / 豚耳キムチ / ごちそうさま

店情報前回

《平成30(2018)年5月11日(金)の記録》

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コメント

私も先週金曜日に最後の挨拶をさせて頂いてきました。
5年くらい毎週末に伺っていましたが非常に残念です。
仕事の丁寧さがなんとも心地良いお店でした。
アキさんにはまたどこかでお店をやって欲しくて少々の心付けと連絡先を残しては来ましたが、お話を伺いながらですと無理はして欲しくも無く…複雑な心境です。

投稿: nathyd | 2018.05.22 18:33

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