懐かし旨しイギス豆腐 … 居食屋「声聞(せいもん)」(今治)
今治の居食屋「声聞」で、「お通し」として出されたのは地元の郷土料理「イギス豆腐」。
イギスというのは、今治市周辺の海岸で夏場にたくさんとれる海藻の名前。
このイギスと、生の大豆粉を、だし汁で煮溶かして、エビや、人参・ごぼう・しいたけなどの野菜類も加えて、寒天のように固めたものが「イギス豆腐」なのだ。
「残っとったエビなんかも全部入れたけん、今日のイギス豆腐は具が多いよ」と笑う女将さん。
いやいや、それがとてもいいつまみになって、ありがたい。
イギス豆腐、ここから20キロほどのところにある、故郷のわが家でも、夏場にはよく出されてたなぁ。すごく懐かしい味です。
土曜日の今日、居食屋「声聞」に着いたのは、まだ明るい午後5時過ぎ。
それでもビルの奥のほうにある「声聞」の入口あたりは、ちょっと薄暗くて、提灯の明るさが映えてますねぇ。
開店直後の店内には、先客として、いかにもご常連らしき高齢の女性客がお一人。
その方が、5人分ほどのカウンター席の右端に座っていたので、私は左のほうに座らせてもらって、まずは「ビンビール(大瓶)」(650円)。
アサヒとキリンが選べるところを、父が好んで飲んでいたアサヒをもらって、グッと喉を潤したタイミングで、冒頭でご紹介したお通しのイギス豆腐が出されたのでした。
イギス豆腐にアサヒビール。懐かしくて、美味しいなぁ。
「声聞」には、卓上に置かれた印刷メニューの他に、日替りのおすすめメニューが、手書きのホワイトボードに書き出されている。
この日替りメニューが季節感もたっぷりで、見ているだけでワクワクするのだ。
そんな日替りメニューの中から、「地アジ刺身」(800円)を選ぶと、「今日は『なめろう』じゃけど、ええですか?」と確認が入って、「地アジなめろう」を出してくれた。
アジは『なめろう』にしても美味しいんだねぇ!
大瓶ビールも飲み終えて、いつものように故郷(松山市柳原)の地酒「雪雀」(450円)を注文すると、女将さんが、「もしよかったら、これ飲んでみん?」と、同じく愛媛(東温市志津川)の地酒「小富士」の冷酒を勧めてくれて、それをいただくことにした。
目の前でトトトッと、枡にあふれるまで注いでくれる冷酒。
初めて飲んだお酒だけれど、すっきりと飲みやすくて、これもいいですねぇ。
女将さんのお勧めに従って良かったよ。
カウンターの上段には、大皿のおつまみがズラッと並んでいて、その中に美味しそうな「鮭かま焼き」があったので、それを注文すると、温め直して出してくれた。
故郷の地酒「小富士」に続いては、先月、5人で来たときにボトルキープした、麦焼酎「二階堂」の一升瓶を出してもらって、炭酸割りでいただく。
つまみに「イシジャコ唐揚」(600円)を注文すると、「これから揚げるので、ちょっと時間がかかる」ということで、それを待つ間用の「枝豆」を出してくれた。
これが、地元・今治産の枝豆なんだって。
豆の旨みが濃くていいですねぇ。素晴らしい。
さぁ、「イシジャコ唐揚」もできあがってきた。
見た目でわかりますよねぇ。呉でメンパチ、福山でネブトと呼ばれているテンジクダイです。今治ではイシジャコと呼ぶんですね。
なかに卵が入ってるのも嬉しいですねぇ。
日替りのおすすめメニューには「小いわし天ぷら」もあって、どっちにするか、すごく迷って、「イシジャコ唐揚」にしたのでした。
イシジャコは仕入れは安いけど手間がかかって大変な魚なんだそうな。それでもそれを出してくれる酒場があるのが、とてもありがたいことだと思います。
すぐに麦焼酎「二階堂」の炭酸割りもおかわりだ。
女将さんは呉造船でも働いていたことがあるとのことで、呉の街のこともよくご存知だった。
その女将さんを手伝って、一緒に店を切り盛りしている若い男性は、中国から来たコウちゃん。去年の10月頃に店に入り、前にこの店を手伝っていた中国人のおねえさんから、短期間だったけど引継ぎを受けて、今に至っているとのこと。
「できるだけ女将さんを支えたいです」と話してくれるのが嬉しいではありませんか!
予約の4人客がやってきて、これから店が忙しくなりそうなところでお勘定をお願いした。
ゆっくりと2時間半ほど楽しんで、今宵のお勘定は4,500円でした。どうもごちそうさま。
最近のコメント