やっぱりここだねぇ! … やきとん「すっぴん酒場」(野方)
タラタラと進む台風10号の影響で、毎日のように雨が降る中、やって来たのは野方の「すっぴん酒場」だ。
店に着いたのは午後4時40分。
奥に向かって細長い店内には、左手の厨房を囲むように、「コ」の字を縦にグ~ンと伸ばしたような立ち飲みカウンター。
ギュッと詰めれば16人ぐらいは立てるだろうか。
「コ」の字の一番下側に当たる、入口に最も近い場所に焼き台があって、大将はいつもその近くにいる。
店は店主ご夫妻が二人で切り盛りされていて、ママは店の奥のほうにいて、お酒を作ってくれたり、冷蔵庫のつまみを出してくれたりするのだ。
そんな縦に長い「コ」の字カウンターの真ん中あたりに立って、品物と引き換え払い(キャッシュ・オン・デリバリー)用の小さな竹カゴにお金を準備していると、すぐにママが「黒ホッピー」(450円)を出してくれた。
追いかけるように出された「お通し」(200円)は、定番のお新香だ。
「すっぴん酒場」のホッピーは、黒だけ。
大将はあえてその理由を語ったりすることはないのだが、『ウチのモツ焼きには黒ホッピーが合う!』と思って、黒だけにしたんだろうなぁ。(あくまでも私の想像です。)
「『らっきょう』もまだあるよ!」とママ。
「えっ! ラッキー! もうないかと思ってましたよ。ぜひください。」
ということでまずもらったのが、自家製の「らっきょう」(200円)だ。
6月頃に漬けて、7月下旬には食べられるようになり、8月いっぱいぐらいまで食べることができる。
人気があるので、今年は14㎏ほど漬けたそうなのだが、すでに残りわずかとのこと。間に合って良かったよ。
らっきょうやお新香をつまみに1杯めの黒ホッピーを飲み切って、2杯め用の「中身」(250円)をもらったところで、ちょうど午後5時。大将から「焼き物の注文もどうぞ」と声がかかった。
「すっぴん酒場」の開店時刻は午後4時。店主による仕込みが終わる頃に、ママもお店にやってきて、開店時刻を迎えるのだ。
そこからお客さんも入ることができるし、飲み始めることもできるのだが、炭を熾したりして最終的な準備が整うのは午後5時ごろ。そこから焼き物が注文できるようになるのである。
私はいつものように「れば」「ちれ」「しろ」(各150円)を注文した。
大将が、ていねいに、ていねいに焼き上げてくれて、まず出されたのは「れば」。
う~~~~ん。うまいっ!
ちょっと『よく焼き』気味に仕上げられた、ここの「れば」が大好きなのだ。
美味しさに唸りながら「れば」を食べ終えたところへ出されたのが「ちれ」である。
「れば」はタレ焼きだったのだが、「ちれ」は塩焼きで仕上げてくれる。
タレ焼き、塩焼きを自分で指定することもできるのだが、「すっぴん酒場」の常連さんの多くは、特に味付けは指定せず、『大将におまかせ』にしている。私もそう。それがいちばん美味しいと思っているからだ。
実は「ちれ」(豚の脾臓)はそんなに好きな部位ではなかったのだが、ここ「すっぴん酒場」の「ちれ」に出会って、大好きな部位に変身したのでした。
「ちれ」そのものは、プニプニ、クニュクニュと頼りない噛み心地なんだけど、そのチレとチレの間に網脂をはさみ、これまたちょっと『よく焼き』気味に仕上げることで、ちょうどいい食感に仕上がるのだ。
あぁ~っ、うまいっ!
そして「しろ」。
カリッとした表面に、チュルトロの内部。
「しろ」は、かつて『中野の逸品グランプリ』にも選ばれたことがあり、この店の大人気料理のひとつなのだ。
タレの味との相性も抜群で、これはもう間違いないですね。
いつもの「れば」「ちれ」しろ」を食べ終えて、黒ホッピーの「中身」(250円)もおかわりしつつ、次にもらったのは「あぶらにんにく」(150円)と「さがり」(150円)だ。
「あぶらにんにく」は、「かしら」の中の、Pトロの表面にある脂の部分とニンニクを交互に刺して焼き上げたもの。Pトロの仕込みをするときに、副産物的にできる部分なので、量もごくわずか。
「さがり」は横隔膜の一部。ハラミの真ん中に“ぶら下がって”、肺を支えているから「さがり」と言うんだそうな。これまたハラミと比べると量が少なく希少部位である。
そんなことから、どちらも早めに注文しないと、売り切れてしまうことが多い一品なので、あれば必ず注文しています。
さらには「ハラミナンコツ」(150円)。
串の先のほうにハツの弁の部分や動脈の部分が、まん中に喉頭をたたいた軟骨部分が、そして根元にハラミが刺されていて、食べるにつれて味わいや食感が変わっていくのが面白い。
これもあると注文するよねぇ。
結局、「れば」「ちれ」しろ」と、「あぶらにんにく」「さがり」「ハラミナンコツ」の6種6本は、もうすっかりマイ定番ってことですね。
ソト1・ナカ4の4杯めとなる「中身」(250円)をもらったところで、ママから「煮込みも食べる?」と確認が入った。
「もちろんいただきます!」と元気よく返事。
「煮込み」(450円)もまた、マイ定番となっている一品なのだ。
その「煮込み」の出来上がりを待つ間に、「れんこん」(200円)も焼いてもらう。
『つくね系』の焼き物が多くて美味しいのも「すっぴん酒場」の大きな特長のひとつ。
「れんこん」もまた『つくね系』の焼き物のひとつで、他には「おやじつくね」(200円)、「おっかあつくね」(200円)、「チーズつくね」(200円)、「たたきつくね」(200円)、「ピーマン肉詰」(250円)などがメニューに並んでいる。
さぁ来た、「煮込み」(450円)だ。
「すっぴん酒場」の「煮込み」は、煮込み終えたものが冷蔵庫で保存されていて、注文を受けてから人数分を小鍋に取り分けて、豆腐等を足して、最終仕上げをしてくれるのだ。
だから、開店早々でも、閉店間際でも、「煮込み」の味も質も変わらない。これも大きな特長ですね。
4杯の黒ホッピーを飲み切ったんだけど、まだちょっと飲み足りない。
入口近くの常連さんが飲んでいる『白いお酒』が気になって、ママに「あれ何?」と聞いてみると、「アーモンドミルクハイ」(400円)だというので、私もそれを注文した。
ここには普通の「酎ハイ」や、下町らしい「元祖酎ハイ」に加えて、「ウーロンハイ」や「お茶ハイ」はもちろん、「つぶオレハイ」「つぶグレハイ」「ラムネハイ」「レモンサワー」「リンゴサワー」「スダチサワー」「ブドウサワー」など、酎ハイ系の飲み物(各400円)も種類が多いのだ。
最後に注文したのは、これまた大好物の「しょうがみょうが」(250円)。
「『しょうがみょうが』はタレ焼きも始めたんですよ。そっちにしてみますか?」と大将。
「おぉ~っ。『しょうがみょうが』のタレ焼き、ぜひ食べてみたいです。お願いします」と、タレで焼いてもらったのでした。
いやぁ、これも美味しいですねぇ。
「しょうがみょうが」は塩焼きも美味しいから、どっちにするか、今後は毎回、迷うことになりそうだなぁ。まさに嬉しい悲鳴である。
今夜もまた、ゆっくりと、たっぷりと、3時間ほど立ち飲んで、品物と引き換え払いでの支払い合計は3,800円でした。
うぅ~~~っ、美味しかった。どうもごちそうさま。
やっぱりここだねぇ!
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