寿司も別腹!? … 寿司「久兵衛(きゅうべえ)」(虎ノ門)
休日夕方の図書館から「川名」への散歩(?)も終えて、帰宅しました。ゆっくりと風呂につかり、家族で夕食です。今日のメニューは鳥鍋。いつもだと日本酒でいただくところですが、今のところ自宅でもジャパニーズ・ウイスキーを試してみているので、今日もウイスキーの水割りにしましょうか。
現在、自宅で飲んでいるウイスキーは、サントリーの角瓶です。「北国」(中野)や「銀次」(横須賀)などで、サントリー・ホワイトの水割りが居酒屋料理に実によく合うことに気付いたのが、ジャパニーズ・ウイスキーの水割りを“あえて”飲むようになったきっかけなので、本当はサントリー・ホワイトといきたいところなのです。しかし、近くの格安酒販店でいざ品物を選ぶというときに、角瓶に付いてくる「おまけ」につられて、ついつい角瓶を手にとってしまうのでした。ちなみに、今飲んでいる角瓶のおまけは、角瓶のロゴマーク入りの携帯電話ケースでした。
前にも書きましたように、ジャパニーズ・ウイスキーは、スコッチほど香りのクセ、味のクセがないので、乱暴に言ってしまえば「高級熟成麦焼酎」としてとらえることができるのではないかと思っているのです。
しかも、ウイスキーひと瓶(うちの近所のディスカウント店で、角が1,160円、ホワイトが1,060円)から約20杯の水割りが作れるので、1杯あたり単価は60円弱。焼酎をロックでいただく場合にも、一升瓶(乙種で1,480円ぐらい)から約20杯とれますので、こちらの単価は70円強となり、なんと、焼酎のほうが高くつくのです。こうなると、ウイスキーが「高級」(高価)とも言えないかもしれませんね。「オーク樽で熟成された高アルコール度麦焼酎」なのかな。たしかにジャパニーズ・ウイスキーの水割りを飲むと、麦焼酎に似た甘みを感じます。
そんなわけで、地鶏の鳥鍋をつつきながら、角瓶の水割りをチビチビとやっているところへ、田舎の友人から「急に上京してるんだけど、1杯やらない?」という電話が入りました。う~む。もうけっこう飲み食いしちゃったけど、ま、なんとかなるでしょう。じゃ、これからそっちに向かうね。
ってなわけで、彼が宿泊しているホテルオークラのロビーに着いたのが午後8時。すぐに、ホテル内の寿司屋、「久兵衛(きゅうべえ)」に入ります。
「久兵衛」は、かなり高級な寿司屋なのに、いつ来てもお客さんがいっぱい入っているのが不思議です。ここに来ると、「日本って本当に景気悪いの?」なんて思っちゃいます。今日もカウンターも、テーブル席も8割がたぐらいの入り。われわれ2人も、カウンター中央部に腰を落ちつけます。
移動の間に、ちょっと酔いもさめてきたし、やっぱり最初はビールかな。エビスの小瓶をもらいます。というか、銘柄は何種類か指定できますが、瓶の大きさは小瓶しか置いていないようなのです。ホテルのレストランって、一般的に小瓶? これが、1本800円位です。
「今日のお通しは、カワハギの皮を和えたものか、イカの塩辛ですが、どちらになさいますか」と、担当してくれる板さんから聞かれます。この店のカウンターで、お好みの寿司を食べる場合は、ひとりの板さんが担当としてずっとついててくれるのです。「う~ん。どっちもおいしそうだから、両方」と友人。「じゃ、私も両方」。なんとわがままな客であることよ。(笑)
「適当につまみをお願いします」という注文に、まず出てきたのはヒラメの刺身です。刺身はたいていの場合、3切れぐらいずつ出てきます。紅葉おろしをちょいと入れたポン酢醤油でさっぱりといただきます。次はタイ。白身が続きます。
以前聞いたところでは、この店の仕入れは、とにかくその日築地で一番いいものを買う。しかも、ホテルの寿司屋なので、有名なタネは、多少高くても絶対に仕入れないといけないようなのです。その日しか宿泊しないお客さんもいらっしゃいますからねぇ。そのお客さんから「タイが食べたい」と言われたときに、「今日は、タイが高値だったので、仕入れてないんです」なんてことは言えないですよね。
前は、タネケースがなかったように思うのですが、今日はカウンターの中央部やや右側にタネケースがあって、立派なタネの数々を見ることができます。もしかすると、冬場はタネケースを出しているのかもしれませんね。
出てきたのはシメサバです。上に、すりおろしたニンニクをちょいと乗せていただくのが「久兵衛」流。アブラのよくのったサバとニンニクが合うんですよねぇ。
日本酒をもらおかな。もうけっこう飲んでるんで、今日はさっぱりと冷酒がいいなぁ。
つまみのほうは、マグロ(トロ)の炙りです。そしてタイラギの磯辺風。これは、タイラ貝の貝柱を、高さ方向に5ミリぐらいの厚さに切ってタレ焼きし、海苔にはさんだもの。タイラギの甘さがきわだちます。
友人は「シャンパンが飲みたい」ということで、ソムリエに来てもらって、「クリュッグ(KRUG)」です。えぇ!? 寿司にシャンパン? というご意見もありましょうが、この「クリュッグ」というお酒は、不思議と何にでも合っちゃうように思います。クセのない香りと、さっぱりとした酸味、そしてスパークリング(発泡)による舌先のリフレッシュ感がいいのかなぁ。
なお、高級シャンパンのイメージとして、日本では「ドン・ペリニヨン」が、アメリカでは「クリスタル」が、そしてヨーロッパではこの「クリュッグ」があげられることが多いようですよ。
さぁ、握ってもらいましょうか。まずはコハダをお願いします。
握りのほうも、もちろんおまかせにすることもできるのですが、今日は私も夕食のあと、友人も早い夕方に軽めの食事をとったので、そんなには食べられない。そこで、こちらからタネを指定して、何品か握ってもらうことにしたのでした。
続いては、イカ。ここの握りは、比較的小ぶりのフワッと温かい酢めしに、これまた小ぶりといっていいタネがのっていて、パクッとひと口で食べるのにちょうどいい大きさなのです。タネのほうは、きっとこのくらいの大きさが普通なんでしょうが、最近の寿司屋(特に回転寿司)などで、必要以上に大きい(食べにくいぐらい大きい)タネがのっていることが多くなってきたので、世間水準的には「小ぶり」といった感じになっちゃいました。
けっこうお腹はいっぱいのはずなんですが、刺身も寿司も、出てくるとパクパクっと、すぐに食べられるのが不思議ですねぇ。別腹かなぁ、お寿司も。
なにしろ、ここのお寿司は、さっきも書いたように酢めしが「フワッと温かい」というのが特長のひとつでもありますので、このごはんが温かい間に、そして上にのっているタネのほうは冷たい間に、急いでいただかなくてはなりません。2貫ずつ出てくる(もちろん1貫ずつにしてもらうこともできます)お寿司を、パクリ、パクリと続けざまにいただいて、それからゆっくりとお酒を飲んだり、しゃべったり。話の内容によっては、前に立っている担当の板さんも話題に入ってくれます。
そして、そろそろ口寂しくなったところで、「蒸しアワビをお願いします」と、次のタネを握ってもらうのです。「アワビは塩とタレでね」と1貫ずつ、味を変えてもらいます。
最後は例によってアナゴです。これも塩とタレで1貫ずつ。アナゴは、なにしろタネのほうも温かいですからねぇ。しかも、炙ったばかりなので芳ばしいのです。
こうして約2時間、じっくりと楽しんだのでした。
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