東京湾の魚・顔見せ … 居酒屋「竹よし(たけよし)」(都立家政)
第2土曜日の今日は、近所の居酒屋「竹よし」の夕食会の日です。夕食会そのものは、第2土曜日と第3日曜日の、月2回の開催なのですが、われわれサラリーマンにとっては土曜日開催はうれしいですね。
夕食会は、飲み放題付きで会費4,500円。昨年までは月1回(第3日曜日のみ)の開催だったので、お客さんからの参加希望を断らなければならないことが多かったらしいのですが、今年からは月2回になったので、今のところ余裕があるそうです。
さて、第27回目の夕食会となる今回のテーマは『東京湾の魚・顔見せ』です。本当は、『東京湾の魚特集』としたかったらしいのですが、ここ数日の強風の影響で、東京湾での本格的な漁が行われなかったため、「顔見せ」になったのだそうです。
その「顔見せ」の中でも、メインとなる食材は三崎港であがった金目鯛(キンメダイ)です。三崎港といえば、三浦半島の最先端。「かろうじて東京湾ってとこですかねぇ」と店主。「この金目鯛は、みなさんに姿を見ていただいてから調理しようと思いますので、みなさんがそろわれるまで待ってくださいね」。たしかに、見るからに立派な金目鯛ですよねぇ。東京湾でも、こんなのが獲(と)れるんですね。
そんなわけで、金目鯛は置いておいて、まず出てきたのがキスとサヨリの天ぷらです。なにしろ、ここ「竹よし」は、看板に「天ぷら・すし」と書かれているぐらいで、天ぷらは名実ともに看板商品なのです。サクッと歯応えのいい衣の下に、ホクホクのキスの身。こたえられませんねぇ。
事前に用意されていた中骨の唐揚げは、とてつもなくビールに合う一品。「こりゃ、いくらでもいけますねぇ」とポリポリかじります。
野菜の天ぷらも出てきます。タラの芽はわかるけど、こっちはなに? へぇ~っ、これがギョウジャニンニクですか。はじめて食べました。たしかにニンニクっぽい香りがしますねぇ。
ギョウジャニンニクは、ネギの一種なんですが、強いニンニク臭があり、行者がこれを食べて修行したという伝承からこの名がついたのだそうです。
おかみさんからは、薄緑色も鮮やかなフキの青煮と、それとは対照的に濃い緑色で、味も濃いフキの葉煮が出てきます。フキの青煮の上品な味もいいし、フキの葉煮の、ひとつまみでお酒がクイクイいけちゃいそうな味もいいですねぇ。
ここの店主がいかにも職人さん風のきっちりとした味つけだとすれば、おかみさんのほうは感性の料理人といった感じ。味つけも適当にやってるように見えるのに、ぴしゃりとツボにはまった味になるのです。「本当はフキの青煮だけの予定だったんだけど、葉っぱも美味しそうでもったいないから、フキの葉煮も作ってみたのよ」と、まったく事もなげなのです。
このあたりで出席者がそろい、いよいよ金目鯛がさばかれます。まず出てきたのはにぎり寿司。キンメが2貫に、なんとカマトロが2貫です。これはまた、見た目にもおいしそうですよねぇ。ホワンとあったかい酢飯の上に、ピリッと冷えたキンメとカマトロ。どちらも口に入れると、トロリととろけます。
そして、金目鯛の刺身。普通の刺身(平づくり)が3切れに、松皮(まつかわ)づくりが2切れ。うわぁ。松皮づくりのほうは、甘みがあってすごいですねぇ。皮のすぐ裏側の脂がきめ手なんですね。
あれ!? 横に添えられてるのは、これノレソレじゃない!? やったぁ~っ。私にとって、今シーズン初のノレソレです。
ノレソレは穴子の稚魚。高知あたりでドロメ(イワシの稚魚)の漁をするときに、そのドロメの上にのったり、それたりしながら地引網の底のほうに滑っていく様子からノレソレと呼ばれるようになったのだそうですよ。
ノレソレが出たとなると、高知のお酒「酔鯨(すいげい)」に切り替えかな。
刺身になった残りの金目鯛が、あら煮として出てきます。わぁ~お。このあら煮がまたすごいじゃない! ん~。目のまわりのもトロットロ。「煮ても焼いても食えない」なんて言葉がありますが、キンメダイはまったく逆で「生でも煮ても美味い」ですねぇ。
イサキは切身の塩焼きで出てきます。なにしろ、今日のイサキはでかい。金目鯛に近い大きさなのですから。
そのイサキの塩焼きもさることながら、びっくりしたのは残ったあらをさらに焼いて作ったお吸い物。いい味が出てますねぇ。これだけで、お酒が何杯かいけちゃいそうです。日本人に生まれてよかったなぁ、と思う瞬間ですねぇ。
そうそう。この店の焼酎は亀甲宮(きっこうみや。キンミヤとも言う)なのです。「開業したとき(平成5年3月)から、ずっとこれですよ」ですって。知らなかったなぁ。キンミヤは、もつ焼き屋か下町酒場の専売特許のように思い込んでました。灯台下暗しとはこのことですね。
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