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2004年4月

ホタテの肝はプリンプリン … 居酒屋「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

昨日(土曜日)、図書館帰りにいっぱいだった「川名」に再挑戦です。しかし、今日も思い立つのが少し遅れてしまい、店についたのは4時半。ど~れ。

わ。今日も、もう満席じゃないですか。カウンターの7席はおろか、テーブルB卓、C卓も2人ずつ。A卓も「予約」という札が立っている状態。店主が、「う~ん。予約の××さんには、座敷に入ってもらうか。じゃ、そこにどうぞ」と、かろうじてA卓に入れたのでした。

この時間、やはりまだ今日のおすすめメニューのボードは出てないですねぇ。タネケースを見てみると、赤々とおいしそうなマグロが目に飛び込んできます。ちょうどそこへ、「いらっしゃいませ」とおねえさん。「ホッピー(336円)とマグロ(294円)ください」「は~い」。今日もお通しは2切れのオレンジです。

ホッピーを2口、3口飲んだところで、マグロブツが出てきました。おぉ。今日はまた一段と大盛りですねぇ。あとで、メニューボードが出てからわかったことなのですが、今日はマグロの山かけもあって、こちらもマグロブツと同じく294円。この両者の差をはっきりさせるためにマグロブツのほうは、特に大盛りにしたのかなぁ。

その量の多さといったら、ホッピー1杯飲み干す間に、まだ3分の2ぐらいしか食べられないぐらい。「ナカ(336円)くださぁい」。ちょうどカウンター1番さんの注文を取りにきたおねえさんに、焼酎のおかわりをお願いします。

そこへ、年配のひとり客がやってきて、「はい、ごめんよ」と私の向かい側に相席です。これで、カウンターのあるこちら側の部屋は満席。あとは奥の小上がり部屋だけです。そのおじさんは、燗酒の大徳利(504円)と竹の子を注文しますが、「今日は竹の子ないんです」という返事に、冷奴(294円)に切り替えます。

このおじさんも、ここの常連さんのようで、カウンターに座っている他の常連さんたちと、「昨日のアジは、アブラがのっててうまかったねぇ。今日はないの」なんて会話を交わしています。ちなみに、この時点(4時45分ぐらい)でも、まだメニューボードは出ていない状態です。これだけ満席になると、5時過ぎぐらいでしょうか。ボードがでるのは。

「はい。ホッケ焼きお待たせぇ」とカウンターのお客さんにホッケ焼きをのせた大きな丸皿が出されます。「おぉ。ホッケは生かぁ!」とまわりのお客さんたちから声があがり、「じゃ、オレもホッケもらおう」「オレも」「コッチも」と、一気に3~4尾分のホッケの注文が入ります。いや、生といってもね。焼いていないんじゃなくて、「干物ではなくて、生のホッケを焼いた」っていう意味ですよ。念のため。

「生のホッケは、今日獲れたヤツが、今日しか食べられないんだよね。明日になるともうダメになる」と事情通らしきカウンターのお客さん。へぇ、そんなもんなんだ。

おかみさんからは、「焼き台に2つずつしか乗らないから、順番に焼きますからねぇ」と、注文したみなさんに声がかかります。

私も思わず心をひかれた一品だったのですが、1尾のあまりの大きさに、このあとの家族との楽しい夕食(笑)のことも考えて断念したのでした。

しかし、ちょうどここでメニューボードが出され、もう一度びっくり! なんとこの大きな生ホッケ。189円なのです! 生というだけでも貴重品らしいのに、こんな値段で出すとは! やるなぁ、「川名」。

さあて。私のほうも、次をたのみますか。今度は焼き物にするかな。このシーズン、貝類が出ていて、以前も食べたサザエつぼ焼き(189円)のほか、今日はホタテ貝焼き(294円)もあります。ちょうど、おねえさんが近くの注文を取りにきたので、ホタテをお願いしました。

しばらくして、カウンターの中から店主の「ホタテは刺し? 焼き?」という声が聞こえてきます。「刺しです!」 きっぱりとおねえさん。そうかぁ。ちょうど同じときに、カウンターからはイサキ刺し(294円)の、そして私の前に座っているおじさんからはイワシ刺し(294円)の注文が連続して入ったために、「ホタテ」としか言わなかった私の注文も、「刺し」としてとらえられちゃったんですね。しかし、結果としてはこの「刺しです!」というおねえさんの判断(?)がよかったのです。

出てきたホタテは、長方形の刺身皿の上に、大きな貝柱は8つぐらいの縦切りに、ヒモは分けてかたわらに、そしてなんと肝(きも)はさっとゆでて、3つぐらいに切り分けられて添えられているのです。とても294円とは思えない! しかも、これでホタテは終了(売り切れ)となったのでした。

絶品は、なにしろこの肝! まだ熱々の湯気が立っている状態で、見た目も、箸先から伝わってくる感触もプリンプリン。オレンジ色も鮮やかです。口に含むと、表面のプッツンと破ける弾力に続いて、トロォ~リと肝の甘さが口の中いっぱいに広がります!

「すみません。お酒。小さいほう(273円)でいいですよ」。あまりのホタテのおいしさに、思わず燗酒を注文。まだホッピーも少し残っているのですが、これはやっぱり日本酒でしょう!

縦に切った貝柱もいい弾力です。以前、「ためしてガッテン」(NHK)で、「漁師直伝! ホタテの極意」という放送があり、「ホタテの貝柱の筋肉繊維は縦に走っているため、その繊維にそって縦に切ったほうが弾力が出る」ということが紹介されていたのですが、まさにそのとおりですね。これはうまい!

私の前に座っているおじさんも、すでに大徳利(504円)が3本目。強いですねぇ。つまみも、冷奴からイワシの刺身に移っています。酒場での相席の常で、なんとなく、どちらからともなく話しはじめます。

このおじさんも常連さんで、普段はカウンター4番の席に座ることが多いらしいのですが、「土日はダメだねぇ。普段の席順(!?)じゃなくなっちゃうよ。(すぐ横の、カウンター2番のお客さんを背後から指差しながら)このイトウさんだって、普段は7番だからねぇ。役者(6番)や棟梁(5番)は、だいたいいつもと同じかな」なんて教えてくれます。

みなさん、席順が決まってしまうほど毎日毎日いらしてるんですねぇ! それはそれですごいことです。「店主が一所懸命だからね。だから通ってんだよ」とおじさん。たしかに。ここの店主は、仕事も一所懸命だし、値段を下げようという努力も一所懸命ですからねぇ。この値段だから、毎日通っても大丈夫ってなところもありますよね。

この点が、年に数回行くかどうかという料理屋と、できれば毎日でも行きたい居酒屋との大きな違いだろうと思います。毎日でも行けるぐらいの値段の中で、おいしさと量のバランスを上手にとっていくことができているというのも、いい居酒屋の条件のひとつだと思います。「毎日行ける値段なんだけど、料理は少なくてまずい」なんてところは、あまり人気店にはなりませんもんね。

このおじさんは、現在67歳で、去年の11月に胃がんの手術をしたそうなんですが、実にお元気。とてもおいしそうに酒肴を楽しんでいます。こういう飲みっぷりの方と同席すると、こちらも気持ちよく飲むことができますね。

おっと。楽しんでいるうちに、もう6時です。今日は1時間半も長居してしまいました。どうもごちそうさま。お勘定は1,533円。「それじゃ、お先に失礼します」とおじさんにも声をかけて、店を後にしたのでした。おいしかったなぁ、ホタテ。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年4月18日(日)の記録》

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アッツアツの串カツで … 居酒屋「バクダン」(高円寺)

阿佐ヶ谷図書館のあと、自転車で「川名」に向かいます。ところが、土曜日午後5時の「川名」は、外からちょっと見てもわかるぐらいの満席状態。いやぁ、これは入れませんなぁ、残念ながら。

この場所から、次に向かうとすると、一番近いのは阿佐ヶ谷駅界隈。しかしながら、阿佐ヶ谷駅界隈に、「川名」に匹敵するほど、「サッと飲んで、スッと帰れる」お店が発見できてないんですよねぇ。となりの荻窪駅界隈には「やき屋」「カッパ」「鳥もと」という、まさに“サッ・スッ”の代表格のようなお店がひしめいているんだけど、自転車で行くと(車が多い道を通らないといけないので)帰りが危なそうだしなぁ。

よし。逆どなり、高円寺に向かいますか。高円寺も、立ち飲みの「七助」や「」のほか、私自身はまだ行くことができていませんが、もつ焼き「四文屋」の高円寺店や、やきとり「大将」(南口の1号店、ガード脇の2号店、北口の3号店)なども軒を連ねる“サッ・スッ”どころなのです。

しかし、結局今日は、帰りの楽(らく)さを優先して、早稲田通りにほど近い大衆酒場「バクダン」にしたのでした。

「こんばんは」と入った店内。この店もテーブル席は全部埋まっている状態です。この時期、飲みに出かける人口が増えてるのかなぁ。気候がいいので、土曜日の夕方、フラッと近所の居酒屋に出かける人が多くなるのかもしれませんね。

店の奥にあるカウンター席(8席程度)には先客がひとりいるだけですので、私もそのカウンター席に座って、ホッピーをお願いします。

この店は、入口側のフロアに4人掛けのテーブル席が5卓と2人掛けのテーブルが1卓並んでいて、常連さんたちはこのテーブル席に入れ込み状態で入っていくのです。(「入れ込み」: 飲食店などで、別別に来たお客をいっしょの大部屋に入れること。また、その大部屋。-新明解国語辞典より-)

さて、ホッピー。以前は、サワーグラスいっぱい(←ホッピーが入るすき間がないぐらいの量)の氷入り焼酎と、それとはべつにホッピーのビン(いわゆる“ソト”)というスタイル(メニュー上では「ホッピー酎(350円)」という表記)で出てきていたのですが、最近は氷だけ入ったサワーグラスと、1合のコップに入った焼酎(いわゆる“ナカ”、250円)にホッピー瓶(“ソト”、200円)というセットで出てくるようになりました。

現在の“ナカ”+“ソト”のスタイルは、合計450円ですので、一見、以前より100円高くなっているような感じがするでしょうが、実は“ナカ”+“ソト”のセットからは、サワーグラスに2杯分のホッピー割りが作れるのです。したがって、必ず“ナカ”をおかわりするぐらいの量を飲むのであれば、現在のスタイルのほうが向いてるのかも…。

最初のつまみは、そら豆(380円)をもらいましょうか。ここのそら豆も、一般的な大衆酒場のそら豆や枝豆同様に、あらかじめ作り置きしているものを、注文に応じて器に盛ってくれるもので、注文から出(で)までが早いのです。

ほ里乃家」のそら豆のように、注文してから茹でてくれる熱々のそら豆も大好きですが、この店のように、注文したら、待つことなしにすぐに食べられるというのも、それはそれでまたいいもんですね。そら豆の出はじめの時期なら圧倒的に前者が、もうほとんど枝豆の季節に移りつつある今の時期なら後者でもいいかな、私としては。

今日はねぇ。テレビ下にあるおすすめメニューの中に「ミンククジラ刺し 800円」というのがあって気になっているのです。ほとんどのものが250~500円ぐらいの範囲内におさまっているこの店にあって、800円というのは破格の高値に感じてしまいますが、逆に考えると、他のメニューと同じぐらいにおさめようと思っても、どうしてもこの値段をつけなければやっていけない仕入れ値だったんでしょうねぇ。

他の店でもそうですが、その店の通常レベルを超えるような価格設定のものを見ると、「仕入れの段階で、うちの価格設定でいけるかどうかずいぶん悩んだ挙句に、どうしてもメニューに載せたくてふんぎったんだろうなぁ」なんて感じてしまいます。以前、太田和彦さんが、メニューの中にふっと高い一品があったりすると「心意気を感じて注文してしまうことが多い」というお話をされてましたが、なんとなくその感覚がわかるような気がします。

でもなぁ。実は「竹よし」の来月の夕食会のテーマが、30回突破を記念して、クジラになりそうな雰囲気でしたからねぇ。久々のクジラの感動は、そのときにとっておきましょうか。

ちなみに、他のおすすめニューはというと、赤貝、ミル貝、シメサバ、タコ刺し、マグロ刺しといった刺身類が400~500円。カニサラダ 350円などが、いつもと違うところでしょうか。タコブツ、マグロブツ(それぞれ刺身より50円安ぐらい)は定番メニューとしていつもあるようなのですが、タコ刺し、マグロ刺しは、それ用のタネが入ったときにしかメニューに出てこないんでしょうね、きっと。

そこへ、テーブル席の常連さんから「串カツね!」と注文が入ります。串カツは1本が200円。私も、夕食前の散歩なので、それぐらいにしておきましょうか。「じゃ、私も串カツ」と便乗注文します。

1杯目のホッピー割りを飲み干し、2杯目を作ったところへ、串カツが出てきました。ウスターソースをどどっとかけて、まずは一番先っぽのカツをかじります。アチッ、ハフ、ホフ。口中に空気を送り込みながら、アッツアツの豚肉を転がします。

こちら(東京方面)の酒場で「串カツ」というと、通常はこの豚肉・玉ネギ・豚肉・玉ネギ…と、順番に刺されたものに、まるごと衣をつけて、『串に刺さっていて、肉の間に玉ネギがついてるトンカツ』風に揚げたものであることが普通のようです。大阪方面で言うところの「串カツ」は、こちらでは「串揚げ」と呼ぶのが、これまた普通のようなのです。最初から、「大阪風」あるいは「関西風」を標榜するお店では、大阪方面と同じ呼び方をしているようですが…。

この串カツの豚肉は、やわらかくてジューシーで、いいですねぇ。そういえば、もつ焼き(内臓肉)や焼き鳥(鶏肉)はよくいただくのですが、豚肉そのものをつまみとして食べたのは久しぶりのような気がするなぁ。豚肉そのものがつまみになるようなものって、他に何があるだろう。ハム、ソーセージ、スペアリブ、焼き豚など?

お。そろそろ6時だ。夕方の居酒屋散歩は、だいたい6時過ぎには家に帰るようにしているので、ボチボチと腰をあげますか。グイッとホッピーの最後のひと口を飲み干して、お勘定をお願いします。約45分の滞在で、今日は1,030円。「毎度どうも」という声に見送られながら、店を後にしたのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年4月17日(土)の記録》

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今夜はたっぷり鯛尽くし … 居酒屋「鳥八(とりはち)」(鷺ノ宮)

やってきました金曜日。明日が休みなので、心おきなく飲めるのがうれしいですよねぇ。今日は鷺ノ宮界隈で魚でもつまみましょうか。

鷺ノ宮駅の南口(阿佐ケ谷側の出口)を出て、橋を渡って右折。そのまま川の左岸づたいに、中杉通りも通り越して進むと、左手には焼き肉の「ジュージュー苑」、そしてさらにその先左手にあるのが、目指すお店「魚がし」です。

都立家政の「魚がし寿司」と、鷺ノ宮の「魚がし」。まぎらわしい名称ですが、前者は寿司屋さん、後者は魚料理屋さんなのです。

ガラリと引き戸を開け、「こんばんは」と店内へ。あれ? まだ9時半過ぎなのに、店の中がすっきりと片づいている。すぐに奥から店主が出てきて、「すみません。急な予約が入ってしまって、タネが全部なくなったんです」。えぇ! そんなことがあるんだ。まぁ、小さいお店なので、何人前かの急な予約が入っちゃうと仕方ないんでしょうねぇ。

店主はちょうど店内を片づけ終わって、これからのれんなどを片づけるところのようです。残念ですが、また次の機会にしましょうか。

川沿いを、今来た方向に後戻り。再び鷺ノ宮駅を通り過ぎて、そのまま川に沿ってまっすぐまっすぐ進みます。そのまま歩くこと約15分。右手にポツンと現れる赤ちょうちんが、次の目標地点である居酒屋「鳥八」です。

なあに。鷺ノ宮駅からこっちの川沿いには他にお店はありませんから、赤ちょうちんが見つかるまで川沿いを歩けば、間違えることなく必ずたどりつけるお店なのです。

店の造りは、どっから見てもガタがきている風情のオンボロ家(失礼!)。私自身、店の存在は知っていましたが、かかりつけの医院の先生にご紹介いただくまでは入れませんでしたからねぇ。でも、一歩中に入ると、店内は掃除が行き届いていて、ピシッとしたムードなんです。これがいい店の条件のひとつですよね。

「こんばんは」。たてつけの悪い入口引き戸をあけて店内へ。「いらっしゃいませ」と迎える店主夫婦はなにやら忙しそう。見れば奥の小上がりいっぱいの団体客です。その数は10人ぐらいでしょうか。手前側カウンター席は、男性客がひとりだけ。しかもお勘定をすませて席を立ったところです。

そうかぁ。4月中旬の金曜日なので、どことも宴会が多いんですね。

お勘定をしていた男性ひとり客が店が出るのを待って、カウンターの中央に陣取り、まずはビールをお願いします。「ビンのほうね」。ビールはサッポロ黒ラベルの中ビンが500円。奥の団体さんたちはアサヒスーパードライの中ビンをたくさん空にしています。へぇ。スーパードライも置いてるんだ。

そしてお通し(500円)は「魚の子煮付け」の小鉢です。私、これも大好物なんですよねぇ。しかし、これは相当大きい魚の子(魚卵)ですねぇ。ドカン、ドカン、ドカンと大きな3切れが、盛り上がるように盛りつけられています。毎度のことながら、いい味の煮付けです。

さて、つまみ。なにを食べるかなぁ。振り返って、カウンター背後の壁にかけられた黒板を確認します。や。真鯛(マダイ)があります。春は鯛ですね。これをいただきましょう。「真鯛の昆布ジメ(980円)をお願いします」。「はい」と返事したおかみさん、「その卵も、同じ鯛のものなんですよ」と教えてくれます。そうだったのかぁ。この卵をもった鯛となると、相当な立派さですねぇ。

それじゃ、鯛の登場の前に、お酒をもらっておきますか。大徳利(690円)で、ぬる燗でお願いします。

この店には、特に専用の燗付け器はなくて、注文を受けるたびに、昔家庭でやっていたように、ヤカンに沸かしたお湯の中で燗をつけてくれるのです。

「このくらいの温度でどうでしょう」と、おかみさんが最初の1杯をおしゃくしてくれます。ん。いいですねぇ。いわゆる人肌燗(ひとはだかん)です。

「この徳利。外に『菊千歳(きくちとせ)』と書かれてるんですけど、そうなんですか」と聞いてみると、「お酒は『菊正宗(きくまさむね)』なんです。前は『菊千歳』だったんですが、神戸の震災で全壊して…」とのこと。

そして! 出てきました「真鯛昆布ジメ」です。丸いお皿に海草が敷かれ、その上、透き通るような真鯛の刺身が10切れ。見た目もとっても美しい。まずひと切れいただきましょう。ほぉ。ほわんと感じる昆布のうまみ。この鯛はおいしいですねぇ。「いいサクラダイですよね」とおかみさん。

3~6月の産卵期の真鯛は特においしくて、季節柄「サクラダイ」と呼ばれて珍重されるのだそうです。「サクラダイ」と言えば、ハナダイの一種で、「ウミキンギョ」とも言われるほどの派手な色彩の魚もいますが、これはまったく別物です。

それにしても、この鯛は美味いですねぇ。ほかにないかな。背後の黒板を再確認。あったあった。真鯛のカブト焼き(1,200円)をお願いします。「ごめんなさい。さっき、こちらの団体さんからご注文があって、終わっちゃったんです。同じ鯛のハラスの部分があるので、それを焼きましょうか」。おぉ。そのほうがすごいじゃないですか! じゃ、それをお願いします。

真鯛のハラスが焼きあがってきたタイミングで、お酒もおかわり(690円)です。

さて、このハラス。肉厚で、パリッとした皮のしたは、ジューシーでとろとろの、たっぷりと脂ののった白身です。かぁ~っ。たまらんなぁ、こりゃ。

「ハラス」は、鮭(シャケ)でよく使う言葉ですよねぇ。マグロなら「カマトロ」ってとこか。真鯛の場合はなんていうんだろうなぁ、本当は。なにしろ、胸びれの周辺で運動量が多いにもかかわらず、内臓を冷たい海水から守るために脂ものっている。引き締まったトロ状態なんですね。

それにしても、この季節のものだけ「サクラダイ」と呼ばれるほどの高級品であるというのが、身にしみて納得できますねぇ、この鯛は。焼きたての熱いうちに、腹の骨までしゃぶるように食べつくしてしまいました。

そんなわけで、この間、お酒をほとんどいただいていないので、もう1品、おつまみをいただきましょうか。「竹の子木の芽和え」(580円)にしようかな。え。これも売り切れ。そうかぁ。10人近くの団体さんがいると、注文量も半端じゃないもんなぁ。「自家製のワサビ菜(550円)がありますけど、それはいかがでしょう。ワサビ菜も今が旬ですよ」。それをいきましょう!

ワサビ菜は、醤油漬けのものが小鉢で出てきます。ピリピリ辛くて、お酒が進みますねぇ、これは。

こうして、午後11時20分まで、ゆっくり楽しんで、今日は4,700円。たっぷりの鯛づくしに大満足でした。どうもごちそうさまでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年4月16日(金)の記録》

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そばをつまみにもう一献 … そば「庵(いおり)」(阿佐ケ谷)

もつ焼き「カッパ」を出て自宅へ向かうものの、まだ時刻は午後6時過ぎ。もう少し飲みたいし、ちょっとそばでも食べて帰りましょうか。

荻窪からわが家に向かう途中にあるのが、別名・ソバ街道とも呼ばれている「中杉(なかすぎ)通り」沿いにあるソバ屋群の1軒、「庵(いおり)」なのです。(実際には、中杉通りからちょっと入ったところにありますが…。)

「こんばんは」と店内に入ります。「いらっしゃいませ」とホールを担当するおかみさんの声に迎えられますが、平日のこの時間帯、左側のテーブル席にも、右側の小上がりにも先客はなし。左側テーブル席の一番手前側に陣取ります。

「お銚子(ちょうし)をお願いします」。まずは飲みものですよね。

この店は、燗酒は「菊正宗」(520円)で、普通にお酒をたのむとこれが出てきます。他に、菊姫、雪雀、天狗舞、久保田などの地酒も840円、940円ぐらいで置いています。

「お待たせいたしました」とお酒が出てきます。今日のお通し(サービス)は竹の子の煮物。やぁ。竹の子は大好物なのでうれしいですね。さっそく竹の子をつまみに、お酒をチビチビとはじめます。ここのお猪口(ちょこ)は、小ぶりで上に広がったタイプのもの。とっても飲みやすくて、好みのタイプです。

この店は、本などでは「玉子焼き(730円)がおすすめ」と紹介されていますが、前回(今から1年半ぐらい前)訪れたときには、玉子焼きは平日しかたのめないことになっていました。今回、メニューを見てみたところ、その制限はなくなり、かわりに「玉子焼きはひとつひとつ作りますので時間がかかります」という注意書きの付箋紙(ふせんし)がついています。

とそこへ、年配の女性客の登場です。「いらっしゃいませ」と迎えられながら、テーブル席の一番奥側へ。そして「今日は“ひなどりそば”をいただこうかしら」と言いながら、席につきます。

ほぉ。そんなそばがありますか。今日はなにしろ雨模様。いつもは“せいろそば”をつまみに燗酒をいただくことが多いのですが、あったかいそばもいいですねぇ。私も「ひなどりそば」(1,050円)をいただいてみましょう。ちなみに、このそばがこの店のあったかそばの中では一番安いもののようで、普通の“かけそば”はメニューにはありません。

「すぐにお出ししてよろしいですか」。そばを注文すると、おかみさんから確認が入ります。「ええ。すぐに出してください」。

チビリチビリとやりながら待つことしばし。向こうのお客さん、そして私と、順番に「ひなどりそば」が出てきます。おぉ。“ひなどり”といいつつも、これは脂がたっぷりと浮いた立派なもんですねぇ。

まずはそばを4~5本分つまみ上げ、ズズズゥ~ッとたぐります。この「たぐる」という言葉も、そば独特の用語ですよねぇ。他の食べ物に対してはあまり聞かない。ズズゥ~ッと、空気といっしょにすすり込むことによって、そばの香りをより楽しむことができるんだそうです。利き酒の人たちが、ヒョロヒョロと空気といっしょにお酒を回しているのと同じような意味合いなんですね。今日のようなあったかいそばの場合には、香りのためというよりは、そうやってたぐることによって、食べやすい温度になるということのほうが大きいように思いますが…。

「そばそのものと日本酒とは合わない」というような話もよく聞くのですが、個人的にはそばをつまみにお酒をいただくのは好きなんですよねぇ。特に、今日のそばのように具が付いていると、それもそれでつまみになる。そしてまた、汁そのものも、もちろんつまみになりますよねぇ。

鶏肉をつまんでチビリチビリ。そばをたぐってチビリチビリ。そしておつゆをすすってまたチビリ。「すみません。お酒、おかわりください」。

いやいや。のびたっていいんです。おつゆを吸ってフワッとふくらんだそばもまたうまいのです。よく「抜き」といって、具と汁はそのままで、そばだけ抜いてもらったものを注文してつまみにされる方もいらっしゃるとのことで、一度そういう食べ方もしてみたいなぁ、なんてことも思ってはいるんですけどね…。でも、つまみとしての「のびたそば」の誘惑にも抗しがたいのでした。

ゆっくりと時間をかけて、1杯の「ひなどりそば」を、それこそツユの1滴までしっかりといただいて、今日は終了です。どうもごちそうさまでした。お勘定は2,090円。約50分間のソバ屋酒となったのでした。う~。満腹じゃ。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年4月14日(水)の記録》

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店情報: そば「庵(いおり)」(阿佐ケ谷)

  • 店名: そば「庵」(いおり)
  • 電話: 03-7373-6631
  • 住所: 167-0031 東京都杉並区本天沼1-1-4
  • 営業: 11:00-20:00、月休
  • メモ: 普通のせいろ(730円)のほか、白い「さらしなそば」(840円)と、黒い「いなかそば」(840円)などもあります。種ものとしては「鴨せいろ・南蛮」(1,470円)、「天せいろ・そば」(1,570円)、「穴子天せいろ・そば」(1,680円)など。酒は菊正宗(500円)のほか、各種地酒(800円)など。14:00まではランチタイムとして、プラス530円で親子丼。
  • HTML版(2003年以前): (02.11.24)(00.11.03)(99.11.28)

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今日はもつ焼き12本 … もつ焼き「カッパ」(荻窪)

四谷界隈での仕事が終わり、中央線で荻窪駅に降り立ったのがちょうど夕方5時。この時間なら「カッパ」に入れるかな!? しかも、今日は雨だし…。

もつ焼き「カッパ」は、「鳥もと」「やき屋」などとともに、荻窪駅北口人気店の一角を形成しています。他の2軒が立ち飲みということもあって比較的入りやすい(ギュッとつめればなんとかなる)のに比べて、「カッパ」はコの字カウンターのみで椅子12席分程度しかないので、入れないことが多いのです。

店は荻窪駅北口商店街のもっとも奥まったところ(阿佐ケ谷方面側)にある路地のまん中にあります。ラーメンの「春木屋」の裏路地といった場所です。

うわっ。5時を回ったばかりなのに、すでに店内は8割方ぐらいお客が入ってるではありませんか。この店も、「やき屋」と同様に入り口が開けっ放しなので、店の表に立つだけで店内の様子がよくわかるのです。

しかし、入れないことはない。傘をたたんで、「いらっしゃいませ」の声に導かれながら店内へ。入り口から見て左側のカウンターの一角に腰をおろしつつ「ビールをお願いします」と飲み物を注文です。

「はい。ビールっ!」と、店主が注文を復唱しているような調子で、奥の厨房に声を掛けます。すぐに奥の厨房から、小窓越しにビールが出てきます。それを店主が受け取って、クイックイッと腰のところでリズムをとるような体勢でポンッと栓を抜き、グラスとともに「ハイッスゥ~ッ!」と出してくれるのです。

あぁ。そうでした、そうでした。この軽快でリズミカルな動作、そして「ハイッスゥ~ッ!」と元気よく出てくるところ。これが「カッパ」の特徴でしたよねぇ。

ちなみに、この「ハイッスゥ~ッ!」というのは、たとえば「はいっ。ビールですぅ~っ!」「はいっ。レバ刺しですぅ~っ!」と言いながらお客に出す言葉の、まん中の商品名のところが省略されたものなんじゃないのかなぁ、と個人的には思っています。

ビールはキリンラガーの大瓶(540円)ですが、「一番」と指定すれば、一番絞りも出てきます。小瓶(370円)もあります。

いつもは、このあとまずレバ刺しをたのむところなのですが、今日は普通に焼いたレバーを食べてみましょうか。コブクロももらおかな。味(塩、タレ)を指定しなかったら、どっちで出てくるかなぁ。「レバーとコブクロお願いします」。まずは、このところの自分の定番となっている2品から入ります。

この店は、焼き物はすべて1本90円。特に本数を指定したりすることなく注文すると、2本1セット、つまり180円分ずつ出てきます。にぎり寿司と同じような感じですね。

「ハイッスゥ~ッ!」と、まずは4本が皿にのって出てきました。タレ焼きですね。まずはレバーから。うん。生のレバ刺しもさることながら、焼いたのもいいですねぇ。歯応えがよくなり、レバーの甘みもより広がる感じがします。そしてコブクロ。タレはあまり甘すぎることはなく、どっちかといえばサッパリ系かな。

次にもらったのはオッパイ。これもタレ焼きです。

どこの飲み屋もそうなのですが、この早い時間帯は、常連客の比率が多いようです。さっき入ってきて、私のふたつ右ぐらいに座った年配のお客さんなんて、なにもしゃべってないのに一番絞りが出され、追っかけるようにレバ刺しとお新香が用意されている。他のお客さんも、だいたい似たり寄ったりで、手短に「チレ塩」とか「ガツ!」などと、1~2品ずつ、タイミングよく注文している。なんか店内の空気も、いい意味でピシィ~ッと締まってて、気持ちのいい緊張感があります。

じゃ、次はリンゲルね。あと焼酎(280円)をください。お新香(200円)ももらっとこうかな。

リンゲルは、なんと豚の膣(ちつ)です。これは「カッパ」以外ではあまり見かけないですよねぇ。コブクロの食感(歯応え)をより強力にした感じ。脂が少ないんだけど、焼酎に合う一品なのです。

お新香はキュウリ。爪楊枝が1本刺さって出てくるところは「ホルモン」(沼袋)と似てますね。

次はトロ(直腸)をもらいましょうか。今度は塩でお願いします。

アブラがあれば欲しかったところなんですが、さっき他の人が注文したときに「今日はアブラはないんです」と言ってたのでした。なにしろ、コの字カウンターだけの店で、店主がそのまん中でみんなの話すため、会話の内容が他のみんなにもよく聞こえるのです。

トロの塩は、ちょっと炙っただけという超レアな状態で出てきました。へぇ。これぐらいで食べられるんだ。

この店は、飲みものの種類も多いのです。ビール、日本酒、焼酎は当たり前として、電気ブランや老酒のほか、五加皮なんていう、聞いたことがないようなお酒なども壁のメニューに並んでいます。ただし、「焼酎は3杯まで」という制限もあります。

さて、これまでズゥ~ッと下半身系のモツばっかりもらってきたので、最後に上半身系をもらって終わりにしますか。カシラとナンコツを1本ずつお願いしますね。

そして、この2本を食べ終わったところでお勘定です。店主が皿の上の串を全部まとめて片手にとって、もう一方の手でシャッシャッと串を数えます。で、飲みものを確認して、ちょっと彼方(かなた)を見るような表情で暗算の後、「2,100円です」。は~い。どうもごちそうさま。午後5時過ぎから、午後6時前まで、1時間弱の滞在でした。

今日食べたもつ焼きは全部で12本。1本1本のボリュームは多いほうではないのですが、それにしても12本食べるとけっこう食べた感じがしますねぇ。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年4月14日(水)の記録》

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店情報: もつ焼き「カッパ」(荻窪)

    081108z2
  • 店名: 大衆酒蔵・もつ焼専門店「カッパ」
  • 電話: 03-3392-5870
  • 住所: 167-0043 東京都杉並区上荻1-4-3
  • 営業: 17:00-22:30、日祝休
  • 道順: JR荻窪駅北口をおり、線路沿いの道を新宿方向へ進み、突き当たりを道なりに左折して、ラーメン屋の先の路地を左に入った先、右手。
  • メモ: 昭和32(1957)年創業。店内はコの字カウンター15席。客が多い場合は、店外に臨時テーブル席も設置される。ブログあり。
    〔飲みもの〕ビール(大)600・(小)410、黒ビール410、お酒320、白鶴380、冷酒730、老酒410、五加皮320、焼酎330、デンキブラン410、泡盛380、ウィスキー380、ウーロン茶250、ジュース250、コーラ250、サイダー250。
    〔食べもの〕レバ(肝臓)100、カシラ(頬肉)100、軟骨(喉笛)100、タン(舌)100、ハツ(心臓)100、ヒモ(大腸)100、ガツ(胃袋)100、チレ100、トロ(直腸)100、コブクロ(子宮)100、リンゲル(膣)100、ホウデン(玉)100、オッパイ(乳房)100、マメ(腎臓)100、ネギ100、ピーマン100、オシンコ220。(2016年8月調べ)

    飲物:白鶴350、お酒290、冷酒700、ビール大570、ビール小380、黒ビール380、焼酎300、老酒380、五加皮290、泡盛350、サイダー180、ジュース180、コーラ180、ウーロン茶180、デンキブラン380、ウイスキー350。
    もつやき(1本100円、通常は2本ずつ):レバ、カシラ、軟骨、タン、ハツ、ヒモ、ガツ、チレ、トロ、コブクロ、リンゲル、ホウデン、オッパイ、マメ、ネギ、ピーマン。おしんこ200。(2008年10月調べ)

    ビール大瓶 540円、小瓶 370円。黒ビール 380円。日本酒1級 330円、2級 270円。焼酎 280円。ウイスキー 350円、サイダー 160円。ほかに老酒、デンキブランなどもある。もつ焼きは1本90円で、何も指定しないと1種2本ずつ出てくるが、本数や味つけは指定できる。
  • HTML版(2003年以前): (03.06.12)(03.05.10)(02.08.27)(02.06.28)(01.05.09)(01.02.15)(01.01.24)(00.12.26)

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いいですねぇ、鳥スープ … 焼き鳥「鳥久(とりきゅう)」(阿佐ケ谷)

あったかい季節になってくると、なぜか食べたさ度合いが盛り上がってくるのが焼き鳥です。もつ焼きにはどことはなしに冬のイメージがあるのですが、焼き鳥のイメージは夏なのです。私の中では…。

明日の都内での仕事に備えて自宅に帰ろうと、阿佐ヶ谷駅に着いたのが午後9時。さぁ、焼き鳥をつまむぞ。横浜からここまでの電車の中で、「焼き鳥食べたい」という思いがむくむくとふくらんでいたのです。

阿佐ヶ谷といえば、以前は「バードランド」が有名だったのですが、その「バードランド」も現在は銀座に移転。しかしながら、この地にはそれ以外にも、昭和37年創業の南口一番街の「鳥平」(03-3315-3607、阿佐谷南2-17-1)や、焼き鳥好きな会社の先輩おすすめの「鳥正」(03-3316-3276、阿佐谷南2-16-9)。そして北口側では「鳥○(とりまる)」(03-3336-2486、阿佐谷北1-27-4)、「鳥一」(03-3336-7677、阿佐谷北1-37-6)と、意外と焼き鳥店が多いのです。

そんな中、今日向かったのは阿佐ヶ谷駅北口から徒歩2~3分のところにある焼き鳥屋さん、「鳥久(とりきゅう)」です。店正面の焼き台前はガラス張りながら、ずらりとメニュー短冊が並び、入口引き戸にも酒・鳥と筆書きされた障子紙が張られているため、店内の様子をうかがうことはできないのですが、かすかに見える焼き鳥の煙や、人影の動きから、いつもにぎわっているらしき雰囲気が感じとれるのです。

ガラリと引き戸を開けて、店内に入ると、外で感じたとおり、お客さんがいっぱい入ってにぎわっています。左手の8席程度の直線カウンターには、女性ひとりをふくむ、サラリーマンらしき人たちがずらりとならんでおり、かろうじて一番奥の2席が空いているといったところ。「いらっしゃいませ」の声に導かれながら、私も奥の2席に向かってすすみます。

店内右手はテーブル席が2卓ありますが、店の幅方向の広さもそれほどないために、テーブル席のお客さんも、テーブルの奥側の席に並んで座り、カウンターのお客さんたちと同じ方向を向いている状態です。テーブル席は、2卓とも男女のふたり連れが使っている常態です。

店はメガネをかけたサラリーマン風の店主と、かわいらしい感じ(←私より年上だろうと思うのですが、そう見えない感じ)のその奥さんらしき女性(以下、いつものように「おかみさん」と書きますね)の2人で切り盛りされているようです。

すぐにおかみさんがおしぼりを出してくれ、まずはビールを注文します。「生とビンとがございますが」という問いかけに、いつものごとく「ビンをお願いします」。生ビールは、なんだか店によってあたり・はずれがあるようで、店の状況がつかめるまではなかなか注文しにくいのです。ビアホールなどのビール専門店は別ですが…。

ビールはサッポロ黒ラベルの大瓶(550円)、お通しは短冊に切った山芋にトンブリをのせた小鉢です。店主は、先客たちからの注文をさばくべく、焼き台に向かって奮闘中。しばらくは、山芋をシャクシャクといただきながら、ビールです。

「はいっ。なんにしましょう」。焼き台が一段落したのか、店主が目の前に来て、笑顔でたずねてくれます。やぁ。こんなやさしそうな笑顔なんだ。焼き台にきびしい表情で向かっていたときとはうって変わった表情です。私も、さっきからカウンター奥の壁にずらりと並んだメニューを見ながら、注文するものを決めていたので、「それじゃ、焼き鳥、つくね、レバー、しんぞうを1本ずつお願いします。あと、くび肉があればそれも1本」「はい。くび肉も大丈夫です。タレ・塩は?」「全部塩でお願いします」。

本格的な焼き鳥屋さんにしては、価格設定は安いですね。「本格的な焼き鳥屋さん」と書いたのは、鶏肉だけのお店ということです。じゃ、本格的じゃないのは何かというと、いわゆるひらがなの「やきとり屋」さん。こちらは焼き鳥と焼きとんとを混ぜて出すお店です。本格的じゃないのがだめなのかというと、そうでもなくて、駅前の1杯飲み屋などは圧倒的にこのタイプが多い。オヤジの味方、オヤジ酒場の代表格的な存在なのが「やきとり屋」さんなのです。

逆に、鶏肉はやめて、豚・牛などの臓物だけに特化したのが「もつ焼き屋」さん。こうなると、これもこれでまた逆の方向に本格的になっていきます。足のはやい臓物だけに、鮮度が命ってとこがありますからね。極めればきりがない品のようなのです。

そろそろ焼き鳥もできてきそうなので、お酒をいきますか。「お酒をぬるめの燗で。大きいほうでお願いします」。お酒は、背後のテーブル席後ろの壁にずらりと短冊が並んでいて、そこに「久保田」「八海山」「北雪」「黒龍」などなどの地酒も並んでいます。店内を見渡してみると、これらの地酒を飲んでいる人も多い。ちょうど私の奥側の陳列用のガラス製の冷蔵庫に、一升瓶がずらりと並んでいて、注文のつど、おかみさんが注ぎに行っているのです。

燗酒のほうは「菊正宗」の上撰。小さい徳利が350円で、大きいほうは650円です。「お待たせしました」と出てきた燗酒。さっきたしかに一升瓶から注いでいたのに、口に含むとフッと樽の香りがする。

さあ出てきました。焼き鳥です。まずはその名も「焼き鳥」(110円)という串からいってみましょうか。これは、他の店では正肉(しょうにく)とかネギ間(ねぎま)という名前で出されていることが多いですよね。肉2切れと、ネギ2本を交互に刺して焼いた、焼き鳥屋さんの定番メニューです。

その「焼き鳥」を食べながら、このネーミングは、もしかすると考え抜かれたネーミングなのかもしれないなぁ、なんて思えてきました。たとえばグループで来るお客さん。メニューなんて何も見ないで「ビール2~3本と、焼き鳥を10本ほどね」なんて適当に注文して、会話に夢中になっているケースをよく見かけます。このとき、細かい名前設定をしているお店だと「お客さん。焼き鳥といっても、これだけ種類があるんだけど、何にしましょう?」なんてことになり、聞かれたお客の側も、たいていの場合は「適当に盛り合わせて」なんて答えたりしている。

ところが! ここに「焼き鳥」という名称の品物が1品あると、状況はまるで変わってきます。「焼き鳥10本ね」と適当に注文されても、「はい。焼き鳥10本ですね」と、まさに注文どおりに出していくことができるのです。すばらしいネーミングですね。(…って、深読みしすぎかなぁ。)

続いて「つくね」(110円)。カリッといい焦げ目がついたツクネが3個並んで1串です。ツクネ自体にはほとんど下味はつけていないようで、非常に淡白な味わい。これはタレ焼きのほうが合うかもしれません。

「レバー」(110円)がまたいい味わいです。大きな肝が3個、絶妙なミディアムレアの状態に焼き上げられていて、トロリととろけるのです。鶏の肝も、変なところで食べると苦かったり、臭かったりするのですが、このレバーはそんなところがいっさいありません。あぁ。いっしょにいただくお酒もよりうまく感じますねぇ。

そして「しんぞう」(110円)。私は、この鶏のハツっちゅうやつが大好物です。切り開かれた心臓が3個で1串なのですが、なにしろこれも1羽から1つしか取れませんからねぇ。品書きにない焼き鳥屋さんも多い品物なのです。

絶品なのは「くび肉」(120円)です。小さいながらも脂ののった肉がずらりと串に並んで、肉表面の脂もつややかに、まさにジュゥ~ッと音がしそうな感じの外見なのです。口に含めば、まさにこちらの期待どおりに肉のうまみがウァ~ッと広がります。他の品々もそうでしたが、なにしろ焼き加減がとってもいいですねぇ。

鶏肉に続いては、野菜も焼いてもらおかな。カウンター奥のホワイトボードに書き出されているのは、今日のおすすめメニューでしょうか。こちらには菜の花のおひたしなどの、いわゆる居酒屋メニューがずらりと並んでいます。その中から、「筍の子焼」(←メニュー表記どおり、400円)をもらいましょうか。

タケノコは、本当は「竹の子」と書くか、一字で「筍」と書くかのどちらかなんですが、この店のメニューにあるように「筍の子」と表記したほうが、いかにも季節物っぽいし、また若々しさも感じます。

待つことしばし。出てきた「筍の子」はうっすらと照焼風。高さが10センチあるかないかのものを丸ごと焼いて、一番下の部分は半月に切り分け、そして上の三角錐のところは真ん中から縦にふたつに割って、中ぐらいの小鉢に盛り付けられています。なにしろ焼き鳥屋さんならではの炭火で焼かれた「筍の子」がまずかろうはずがない。風味たっぷりで、実にお酒とぴったりマッチの一品です。今の季節しか食べられないというのが悔しいですねぇ。次はまた来年か…。

まん中あたりの2人連れが帰り、入れかわりに入ってきた男性ひとり客。まずは「鳥刺し」を注文しています。生ものとしては、その他に「鳥わさ」「鳥たたき」などがあって各580円。串焼き以外では「皮(大根おろし)」「砂きも」「鳥からあげ」などが各350円などなどで、他にもいろんな品が並び、一番高いのが「もも唐揚」の630円です。内容的には本格的な鶏料理店なのに、値段的にはまさにオヤジ酒場料金ですね。ありがたいお店です。

そのメニューの中に「鳥スープ」(250円)というのがあります。最後にこれをもらいましょうね。こういう汁物で日本酒をいただくというのが、これまた大好きなのです。そば湯で割ったそばつゆしかり、おでんのダシ汁しかり、そしてまた「武蔵屋」の湯豆腐の残り汁しかり…。

きたきたぁ。お椀側の陶器の湯呑みに、きれに透きとおった鳥スープです。浮いている実は干しシイタケを小さく刻んだものと、三つ葉。う~む。スープの表面には、鳥の脂がたっぷりと浮いているのですが、飲むとまったくしつこくありません。ほとんど味付けされてないぐらいの薄味なのに、旨みがありますねぇ。これはいい。

いやいや。どうもごちそうさまでした。とてもおいしくいただきました。お勘定は2,550円。初回の今日は1時間10分ほどの滞在でした。

夜は1時まで開いてるらしいので、かなり遅くに帰ってきたとしても楽しめそうですね。ただ、小さいながら人気があるお店のようなので、席を確保するのが大変かも…。

店情報

《平成16(2004)年4月12日(月)の記録》

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店情報: 焼き鳥「鳥久(とりきゅう)」(阿佐ケ谷)

    鳥久
  • 店名: 炭火焼・鳥料理「鳥久」(とりきゅう)
  • 電話: 03-3310-2606
  • 住所: 166-0001 東京都杉並区阿佐谷北2-12-22
  • 営業: 17:15-24:00(早仕舞いあり)、日祝休
  • 場所: 阿佐ヶ谷駅北口を出て、バスのロータリーを左に向かって(時計回りに)回りながら、松屋、ラーメン屋の先の路地を左折すると、そこが飲食店が連なるスターロード。右手の郵便局を通り過ぎた先の路地を右に入った左手。駅からは徒歩2~3分といったところか。
  • メモ: カウンター8席に、テーブル席2卓8席の小さいお店を店主夫婦と息子さんの3人で切り盛り。福島の伊達鶏、鹿児島のさつま地鶏を丸々仕入れ、ばらして串刺し。つくねはさらに手間をかけ、骨も叩いて自家製ミンチ。それを備長炭でていねいに焼き上げている。濃厚なタレも捨てがたいが、久米島のまろやかな塩で食べれば、鶏本来の味と脂の甘さについうなる。さらに、脂ののった伊達地鶏のガラで取った鳥スープは黄金色に光り、スープ(250円)で鶏の甘さとすっきりとした後味を味わうもよし、ぞうすいや茶漬け(各480円)にして締めるもよし。
    (以下、価格は税別表記)やき鳥120、つくね120、れば120、しんぞう120、かわ焼120、くび肉焼130、なんこつ130、てば先160、しそ焼200、伊達鶏200、砂ぎも1皿350、から揚350、もものから揚650、もも焼600、鶏のたたき580、鳥わさ580、ささみ納豆350、鳥さらだ350、お新香350、鳥ぞうすい500、のり茶380、鳥茶500、梅茶500、きじ丼セット900、鳥スープ250。生ビール(中)480・(小)380、瓶ビール(中)520、菊正宗(上撰)(大)650・(小)350、ウーロンハイ380、サワー380、いいちこ380、心水もとみ(芋)430、なかむら(麦)500、忠孝(泡盛)430、地酒各種650~。
    《季節のメニュー(2018年2月の例)》鳥の煮込み480、ほうれん草のおひたし350、うるいの酢みそ350、栃尾揚げの辛子みそ400、菜の花の辛子和え380、セロリの酢じょうゆづけ250、冷しトマト350、ピーマンやき350、きゅうりみそ300、にんにくやき300。(2018年2月調べ)

    やき鳥120、つくね120、れば120、しんぞう120、かわ焼120、くび肉焼130、なんこつ130、てば先170、しそ焼210、伊達鶏220、砂ぎも1皿350、もも焼、から揚370、もものから揚670、きじ焼600、鶏のたたき600、鳥わさ600、しそ巻350、ささみ納豆350、鳥さらだ370、お新香350、鳥ぞうすい500、のり茶380、鳥茶500、梅茶500、きじ丼セット950、鳥スープ250、ほか。瓶ビール(サッポロ黒ラベル大瓶)550、日本酒(菊政宗)小340・大630、ほか。(2016年3月調べ)

    焼鳥は焼鳥(正肉)、つくね、レバー、心臓などが各110円。さつま地鶏160円、伊達地鶏210円、ももの唐揚げ630円などもある。焼鳥以外のつまみも多い。ビールは大瓶が550円。日本酒は「菊正宗」が小350円、大650円の他、「八海山」「北雪」「黒龍」などの地酒が630円、730円、840円、…という価格帯で出されている。焼酎・サワー(各370円)もあり。

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夕食会の夜は更けて … バー「PURE(ピュアー)」(野方)

竹よし」での夕食会のあと、常連さんたち何人かと向かったのは、近所のスナック「夕遊(ゆうゆう)」(03-3337-0533、中野区鷺宮3-9-28 )です。ここは、ママさん自身がときどき「竹よし」の夕食会にも参加されていることもあって、夕食会の後はひとり2千円の均一価格で二次会を引き受けてくれるのです。

「夕遊」では、ウイスキーの水割りをいただきながら、みんなでカラオケ。最近は、会社の二次会などでも、カラオケボックスに行ったりすることが多いので、こういうスナックでの二次会も、なんだか懐かしい感じがしますねぇ。

その二次会も終えて、Hsさんと「最後にもう1軒」と向かったのが、都立家政商店街を抜けて、ちょっと野方方向に入ったところにあるバー「ピュアー」です。

「こんばんはぁ」「おや。いらっしゃい。おそろいで」なんて迎えられながら店内へ。

もう少しで日付が変わろうかという店内には、若い女性のひとり客。「日登美」もそうですが、このお店も女性客が多いですねぇ。

その女性客から、「こんばんは。お店が違うとわかんない?」と声がかかります。え? あんまり女性をジロジロ見るのもと思って、さっきはチラッと見ただけだったのですが、改めてお顔を拝見。あぁ。先日「竹よし」でお会いした保母さんですね! どうもごぶさたしてます。お元気ですか。

われわれも、カウンター中央付近に座り、さっそく1杯目のカクテルを選びます。4月になったので、新しいおすすめメニューに変わってますねぇ。Hsさんはテキーラ・サンライズ(680円)を注文。私は…と。お。イチゴの入ったカクテルがあるので、これをもらいましょうか。ファースト・ラブ(680円)をお願いします。

このファースト・ラブは、イチゴとジンのカクテル。たくさん飲んだ後のイチゴの甘みがいい飲み心地です。

そしてHsさんのテキーラ・サンライズ。グラスの底から上に向かう赤のグラデーションがとても美しいカクテルです。

「お通しです」と出てきたのは、アボカドとマグロ。これが前回同様トマトをくりぬいた器に盛られて出てきます。カクテルも赤、マグロも赤、トマトも赤という赤づくしの中に、アボカドの淡いグリーンが映えます。

この店は、ショートカクテル600円、ロングカクテル700円というのが基本価格だったのですが、4月からの消費税法改訂を受けて、ショートが630円、ロングが730円になっています。お通しも300円から310円に変更です。ただでさえ安めの価格設定だったのに、10円単位で切り下げたため、事実上の値下げになっちゃったようです。

4月のカクテルは、オレンジ・ブロッサム(オレンジ、ジン他、630円)、スプリングフィーリング(グレープ、桜、ラム、630円)、スカイ・ダイビング(レモン、ウォッカ他、520円)、ゴッド・マザー(アマレット、ウォッカ、520円)、テキーラ・サンライズ(オレンジ、テキーラ他、680円)、エンペラー(ブドウ、ブランデー他、840円)、ファースト・ラブ(苺、ジン他、680円)、ホーセス・ネック(辛口エール、ブランデー、730円)、スコーピオン(オレンジ、レモン、ラム、ブランデー他、730円)、ミント・スマッシュ(ミント、ラム他、630円)、シンガポールスリング(レモン、チェリーブランデー他、730円)の11種類。

それじゃ、2杯目はホーセス・ネック(730円)をいただいてみましょうか。はじめて飲むカクテルです。

このカクテル。日本語に訳すと「馬の首」って名前ですが、グラスにブランデーのジンジャーエール割りが注がれ、そしてなんと、螺旋(らせん)にむかれた丸1個分のレモンの皮が、グラスの上から下までに伸びるように入れられています。へぇ。見た目もおもしろいですねぇ。

Hsさんはシンガポールスリング(730円)を注文。なるほど、先ほどの夜明け(テキーラ・サンライズ)に続いて、今度はシンガポールの夕焼けというわけですね。これまたきれいなカクテルです。

結局、午前2時近くまで楽しく過ごし、今日はHsさんも私も、それぞれ1,720円ずつでした。いや、よく飲んだ1日でした。ごちそうさま、おやすみなさ~い。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年4月10日(土)の記録》

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5キロ超の大ガツオ … 居酒屋「竹よし(たけよし)」(都立家政)

調理中のカツオ。右奥は店主前回の第27回夕食会からはや1ヶ月。今月1回目、第29回となる今日の夕食会の主役は、沼津港であがった、5.1kgもあるという大きなカツオです。このサイズは、築地でも10本も出てなかったのだそうです。キロ当たり2千円だそうですので、これで1万円! 値段的にも立派なカツオですよねぇ!

こうやって、ものすごい素材が入ったときには、なるべくみんながそろってから調理をはじめてくれるので、最初の姿も拝むことができるのです。

そのカツオの調理が進んでいる間にいただくのが、おかみさんが事前に準備してくれたサイドメニュー。今日は新ジャガの煮物と手造りさつま揚げです。さつま揚げは、イシモチ(シログチ)とソイ(キツネメバル)のすり身に、枝豆を混ぜてあげたもので、ビールにもお酒にもよく合います。

カツオのたたきさぁ、出てきましたよぉ。カツオのたたきです。まずは土佐風に玉ネギや刻みネギ、青ジソ、ニンニクなどをたっぷりのっけて、ポン酢醤油をひたひたにかけて混ぜ合わせたたたき。かぁ。うまいですねぇ、これは。身のつややかさも実にいいですよねぇ!

ほかにも、普通の居酒屋風(というのかなぁ??)の、カツオのたたきも出されます。こちらは表面だけを炙ったカツオの身を刺身風に切って、ショウガやニンニクなどの薬味とともにポン酢醤油でいただくタイプですね。

お酒のほうも、高知の「酔鯨(すいげい)」に切りかえます。

たたきに続いては、ナマリの酢の物です。さらには、カツオのアラ煮も。カツオもいろんな食べ方で楽しめますねぇ。

「内臓はどうする?」とおかみさん。食通のTmさんから返った言葉は「おかみさんのセンスにまかせますよ」。店主からも折り紙つきのおかみさんの天才的な調理センス。「その場の思いつきでやるから、同じ味は2度と出せないかもしれないけどねぇ」と店主も笑っています。

そして出てきたのは、カツオ内臓のタレ焼き。お。ヘソ(カツオの心臓)もありますねぇ。やぁ。さすがおかみさん。うまいですねぇ。

岩魚の塩焼きさて、こうやってカツオの料理が続く中、岩魚(イワナ)の塩焼きも出てきました。イワナは、サケ科に属する日本の代表的な渓流魚のひとつです。ワカサギ、ヤマメなどとならんで、イワナも春が旬の魚ですよねぇ。非常にいい脂ののり加減です。貝類も今がおいしいんですって。

ホタルイカの刺身も出てきました。ゆでたホタルイカはよくいただくのですが、生で食べるのははじめてかも! ショウガ醤油でいただきま~す。

今日の食材をひとしきりいただいたところで、おかみさんから「はい。これどうぞ」と出てきたのが、焼きおにぎりならぬ、焼きごはん!? フライパンの上に、お好み焼きのようにごはんを広げて焼いたもの。ごはんの中には、刻みネギなども混ぜ込まれています。

おかみさんの焼きごはん古くからの常連さんたちからは「懐かしいねぇ」の声があがります。実はこの焼きごはんは、おかみさんの得意料理で、元気だったころはよく作ってくれてたのだそうです。昨年の夏、身体を壊して以来、あまり無理をしない生活を続けていたのですが、このところ、見た目にも元気そうになってきて、少しずつ以前のように夕食会の場にも顔を出してくれているのです。

へぇ。そうだったんだ。私自身ははじめて食べますが、飲んだ後にぴったりの食事ものですね。「それじゃ、私はこれで。みなさんはごゆっくりね」とおかみさんが帰宅されます。

そして、最後は例によってMyさんの手打ちそばです。このところ2ヶ月ほど、Myさんがジーマミー豆腐(沖縄の郷土料理で、落花生の豆腐)に挑戦されていたので、手打ちそばは久しぶりです。

こうして、今回もたっぷりと楽しい夕食会となったのでした。次回、第30回の夕食会は4月18日(日)の予定です。(各回、飲みもの付きでひとり4,500円)

店情報 (前回)

《平成16(2004)年4月10日(土)の記録》

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4月から外税!? … 立ち飲み「やきや」(中野)

金曜日です。横浜での仕事を終えて、JR中央線中野駅に到着したのは午後8時。今日は、久しぶりに中野の「やきや」に行ってみようと思っているのです。中野の「やきや」は、荻窪の「やき屋」とは兄弟店です。

おや。今日は店の入口引き戸が開けっ放しになってます。荻窪はいつも開けっ放しなんですが、こちら中野は、今まではガラリと引き戸を開けて入るタイプだったのです。個人的には、こうやって開けっ放してるほうが立ち飲み屋さんらしくていいですねぇ。

店内は、左側に立ち飲み用の大きなテーブルが、そして右側は「つ」の形をしたカウンターがあり、客は左のテーブルのまわりと、「つ」の内側にずらりと立つのです。

この時間帯、先客は7~8人と比較的少なくて、店のキャパシティからみると半分程度でしょうか。私も、ちょうど空いていた入口の真正面のところに陣取ります。

まずは例によってホッピー(300円)をもらいましょうか。焼き鳥(各種1本90円)はレバ、ハツ、砂肝と串焼き(←いわゆる正肉)を1本ずつもらって、焼き上がりを待つ間に、煮込み玉子入り(300円)をお願いします。

店は、店長と焼き台担当のおにいさん、そしてホールを担当するおばちゃんの3人で切り盛りしていて、とてもいそがしいときには、もうひとり女性が加わります。

このホール担当のおばちゃんが、店に入るとすぐに注文を取りに来てくれるのです。込み合っているときには、みんなの立ち位置を調整して、新しいお客さんの居場所を作ってくれるのも、このおばちゃんなのです。

そのおばちゃん。注文のうち、焼き鳥については別の小さい紙に書いて、焼き台のおにいさんに手渡し、それ以外のものは「ニコタマいっちょぉ~っ!」と、その場で店長に注文を通します。ちなみにニコタマというのは、煮込み玉子入りの符丁です。普通の煮込みは250円、玉子が入ると50円アップの300円となります。

荻窪の「やき屋」は、イカがつまみの主体ですが、こちら中野は焼き鳥が主力商品。しかし、どちらにも共通するメニューもあります。たとえばイカミミ刺身(200円)、イカ塩辛(180円)、シメサバ(300円)、冷奴(150円)など。荻窪が150円均一(ただしシメサバは200円)なのとくらべると、こちらは単価がやや高くて、一品一品で価格設定を変えています。それでも、近隣の居酒屋と比べると安いほうだと思いますが…。飲みものについては、どちらも同じラインナップ、同じ値段です。

さあ。焼き鳥も出てきました。この店のいいところは、1本90円という低価格にもかかわらず、ちゃんと焼き台を専門にあずかるおにいさんがいて、きっちりと目配りして焼きあげているところ。材料自体はそれほどいいものではないようなのですが(失礼!)、焼き加減が実にいいのです。

ナカ(ホッピーの焼酎部分のみのおかわり、150円)をお願いします。

先ほども書きましたとおり、飲み物については荻窪と同じなので、ここのホッピーも普通に作るとソト1本に対して3杯。薄めに作ると2杯。濃く作ると4杯となります。今日は、軽く飲もうと思っているので、2杯ペースで作っています。グラスの縁いっぱいまでホッピーを注ぎ込むと2杯ペースになるのです。

ま、薄めとはいえ、焼酎を生(き)で2杯いただくのとアルコール量的にはかわりませんから、これで十分酔ってしまうのです。アルコール量だけで換算すると、日本酒だと3杯(3合)分、ビールだと大瓶3本分に相当しますからねぇ。

店内は、私が入ったあと、続けて何人か入ってきて、それ以降は出たり入ったりで、ずっと6~7割といった込み具合が続いています。店長と常連さんたちが話しているところによると、一昨日(水曜)、昨日(木曜)の両日が爆発的に込んでたのだそうです。「これくらいがちょうどいいよ」と、店長もぜいたくを言っています。

さて。もうすぐ9時なので、私もこの辺で切り上げますか。ごちそうさん。お勘定は1,166円(1,110円+税)。「ごめんねぇ。消費税をもらわなきゃいけなくなったんで、細かい数字になって」とおばちゃん。

そうかそうか。4月1日の消費税法改正で、納税義務が免除される売上高が3千万円から1千万円に引き下げになったので、この店も納税対象店になっちゃったんですね。本当は、外税ではなくて、メニュー上も総額表示しなければならないのでしょうが、そこはお愛嬌かな。おいおいと変えていかなきゃ、ってとこなんでしょうね。荻窪もそうなのかなぁ…。

「ごちそうさん」と店を出て、商店街を中野駅南口へ。駅前の「駅前そばミミ」(03-3383-1551、中野区中野2-25-6 )で、天ぷらそば(290円)を立ち食いです。このそば屋。他にもたぬきそば280円、ちくわ天そば300円のほか、プラス200円で各メニューにカレーライスをセットするすることもできる。手軽に食べられて、コストパフォーマンスがいいので、昼間に中野ZERO(区の文化施設)や中央図書館に行ったりするときにも、ときどき利用しているのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年4月9日(金)の記録》

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店情報: 立ち飲み「やきや」(中野)

やきや中野店

  • 店名: 立ち飲み「やきや」中野店
  • 電話: 03-3381-8184
  • 住所: 164-0001 東京都中野区中野2-27-14
  • 営業: 16:00-23:00(22:40LO)、日休
  • 場所: JR中央線・営団地下鉄東西線の中野駅南口から徒歩3~4分。中野駅南口を出て左へ。バスロータリーに沿ってまわり、南口から見て左手前方にある細い商店街(ファミリーロード)に入り、道成りに進むこと2分ほど、左手。
  • メモ: 平成13(2001)年3月創業。荻窪「やき屋」と兄弟店。焼き鳥の味付けは、塩、タレ、ミソ、正油が選べる。
    ナンコツ100、レバー100、ハツ100、ニンニク100、手羽先100、カワ100、串100、砂ギモ100、ネギ100、シイタケ100、シシトウ100、ツクネ100、ピーマン100、冷トマト220、シメサバ270、イカサシ身200、イカしおから200、オシンコ170、冷奴170、メカブ170、みそキウリ200、煮込280、煮込(玉子入)320、生ビール(中)380、ビンビール(中)380、ホッピー320、ホッピー梅入り380、ホッピー焼酎オカワリ160、酒(コップ)250、にごり酒270、ウイスキー水割(300ml瓶)380、ウーロンハイ280、レモンサワー280、梅サワー280、ライムサワー280。(2017年8月調べ)

    焼き鳥(鳥レバー、鳥ハツ、砂ギモ、鳥串焼き、ツクネ、手羽先、鳥皮、鳥ナンコツ、ピーマン、ネギ、シシトウ)各1串90円。もつ煮込み 250円、煮込み玉子入り 300円、イカミミ刺し 200円、〆サバ 300円、イカ塩辛 180円、めかぶ 150円、つけもの 150円など。飲み物は荻窪「やき屋」とまったく同じ構成、同じ値段(酒 230円、にごり酒 250円、サワー(レモンサワー、ウーロンハイ)280円、ホッピー 300円、ビール(中瓶) 380円、生ビール(中) 380円、ウイスキー水割り(300mlボトル)380円)。
    焼き鳥(鳥レバー、鳥ハツ、砂ギモ、鳥串焼き、ツクネ、手羽先、鳥皮、鳥ナンコツ、ピーマン、ネギ、シシトウ)各1串90円。もつ煮込み 250円、煮込み玉子入り 300円、イカミミ刺し 200円、〆サバ 300円、イカ塩辛 180円、めかぶ 150円、つけもの 150円など。飲み物は荻窪「やき屋」とまったく同じ構成、同じ値段(酒 230円、にごり酒 250円、サワー(レモンサワー、ウーロンハイ)280円、ホッピー 300円、ビール(中瓶) 380円、生ビール(中) 380円、ウイスキー水割り(300mlボトル)380円)。(2004年4月調べ)


  • HTML版(2003年以前): (03.09.16)(03.08.18)(03.02.25)(02.04.04)

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旬を追っかけて … 居酒屋「ほ里乃家(ほりのや)」(鷺ノ宮)

今週は午前中が横浜、午後が東京という日が続いています。昨夜は、以前「鳥芳」だった場所に昨年末オープンした新しいお店に、はじめて入ってみました。外見上は、「鳥芳」のシンボル的な存在でもあった「もつ焼き」と書かれた大きな赤ちょうちんがなくなり、焼き台の前に張り出した台(立ち飲み風に使うのかなぁ?)がついているのが変化の大きい部分でしょうか。

店内は、基本的には居抜き(いぬき)というんでしょうか、ほぼそれまで使っていたままの状態なのですが、壁ぎわのテーブル席はなくなり、かわりに壁に作り付けられたカウンターがもう1本できていて、店内全体としては直線3列カウンターになっています。

残念ながら、もつ焼きは「鳥芳」よりはうんと小さくなり(← 「鳥芳」が他より大きかったので、単に一般的な大きさになったということかも…)、値段もレバ、タンなどが1本120円、カシラ、ツクネなどは220円になってました。もつ焼きを食べると、つい「鳥芳」と比べてしまいますねぇ。

そして今日。午後からの東京での仕事を終えて、鷺ノ宮まで帰ってきたのは午後7時半。今日は「ほ里乃家(ほりのや)」に寄りましょうか。この店は駅から1分以内の場所なんだけど、ちょっと引っ込んだところにある。大きい通り沿いではなくて、そこから「ちょっと入ったところ」という立地条件も、呑んべ心をくすぐるんですよね。

ガラリと引き戸をあけて店内へ。うわぁ。多い。J字型のカウンターだけ(Jの右上が入口)の店内は、すでに先客が10人ほどいて、やわらかく満席といったところ。店主が、「いらっしゃいませ。じゃ、こちらへ」と、Jの字の先っぽ(Jの一番下)のところを指し示してくれて、そのあたりに座っていたお客さんたちが、ズリズリっとずれてくれます。どうもすみませんねぇ。あらあら、そんなにずれてくれたら、私の場所だけがやたらゆったりじゃないですか。申しわけないですねぇ。

ほんじゃ、まずはビールをお願いします。ビールは、アサヒスーパードライの大瓶が550円。今日のお通し(200円)は、なんと枝豆です。枝豆の季節になったんですねぇ。春先の居酒屋は、季節がかけ足です。フキノトウがタラの芽になり、空豆になり、そして夏に向かって枝豆です。ちょうどビールがうまくなる時期に合わせて出てくるんですよねぇ、枝豆は。

私が店に入るちょっと前に、どやどやと人が入って満席近い状態になったんだと、近くの常連さんが話してくれます。どおりで。みなさん続々とつまみを注文していると思ったら、入ったばかりだったんですね。

この店は、おかみさんも一緒にやってるのでまだましですが、「竹よし」や「ピュアー」など、店主がひとりで切り盛りしているお店で、いっときに注文が殺到すると大変なことになるのです。

とそこへ、向こうに座っている常連さんから「飛び魚の刺身をもらえるかなぁ」と注文が入ります。へぇ、今日は飛び魚があるんだ。反対側の席からも「オレも飛び魚」の声。それじゃ、私も飛び魚(450円)をお願いします。

飛び魚も春から初夏にかけてが旬の魚ですよねぇ。九州地方では秋口まで獲れるようですが。

3枚におろすところまで下処理された飛び魚が冷蔵庫から出され、スィ~ッ、スィ~ッと刺身に引かれていきます。

飛び魚が出てきたところで、飲み物も燗酒に切りかえます。燗酒は「剣菱」「剣」「穏」など、何種類かから選べますが、今日は、というか今日も「剣菱」(320円)をもらいます。「剣菱(けんびし)」が甘口、「剣(つるぎ)」が辛口、そして「穏(おだやか)」は純米酒です。

最近は、どうも遠くで飲んでから電車に揺られて帰って来るのが億劫(おっくう)になっていて、すぐに自宅近くの酒場に向かってしまいます。だいたいは、「もうこの後は這(は)ってでも帰れるぞ」ってな場所で飲んでるのでした。ま。自宅近くにいい酒場が多いということもあると思うのですが…。

横浜の単身赴任寮界隈にも、いいところがあればいいのですが、なかなか見つけることができていない状態です。地元の人たちしか知らないいい店があれば、ぜひ教えてくださいね、横浜市磯子区~港南区界隈のみなさん。

さてさて。お酒をおかわりして、次は竹の子煮(400円)をいただきますか。竹の子もまたこの季節ならではの食べものですよねぇ。今日は枝豆からはじまって、旬のものが多くて、うれしいですね。

店のほうは、だれも席を立つ様子はなく、時間とともにますます盛り上がっていきます。店主も、おかみさんも、ズゥ~ッとフル回転状態。おでんなどの、あらかじめ調理が終わっているタイプの料理は少なくて、ほとんどのものは注文を受けてから作り始めますからねぇ。

やきとり(4本が1人前で350円。ひらがなで書いているのは、実際にはもつ焼きだからです。)の注文が入ると、おかみさんが焼き台を担当するのですが、そのやきとりも、今日はひっきりなしに注文が入っている状態です。

できあがったやきとりもおいしそう。私も、枝豆→飛び魚→竹の子と、旬を追っかけながらも、どっちかというとアッサリ系のものばかり食べてきたので、最後に一品、こってりとしたものをもらってしめましょうか。ほんじゃ、やきとりよりももっとこってりとしたところで、トンソク(380円)をお願いします。

トンソクは、冷蔵庫から大きなひと塊が取り出され、それを店主がひと口大に切り分けて、酢味噌ダレといっしょに出してくれます。

う~む。まさにコラーゲン。しかしながら、あんまりコテコテ感はなくて、最後までおいしくいただけました。

やぁ。おいしかった。お勘定は2,620円。午後9時まで、1時間半の居酒屋タイムとなったのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年4月8日(木)の記録》

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刺身も紅白美しく … 居酒屋「竹よし(たけよし)」(都立家政)

都内での仕事を終えて、6時前には自宅近くの居酒屋「竹よし」です。さすがに、月曜日のこの時間には先客はなく、カウンターの奥のほうにゆったりと陣取ります。

まずはビールからいきましょう。あれ? 冷蔵庫にキリンビールがあります。ふだんはアサヒビールなのに。珍しいから、キリンをもらってみましょうね。店主によると、お客さんにキリン派の人がいるので、キリンもそろえているのだそうです。瓶ビールは中瓶のみで500円です。

つまみは、なにはさておき刺身盛り合わせ(1,000円)かな。

今日のお通し(200円)は、ワカサギの南蛮漬け。まるまると肥えたワカサギが、いい味です。

ビールを飲み、ワカサギをつつきながら待つことしばし。刺身盛り合わせができあがりました。ほぉ。今日は白い色合いを中心に、センターにどかんと赤いマグロというアクセントの効いた盛り合わせですねぇ。

「今日の魚は、こちら側がヒラメとサヨリ。サヨリは姿造りにしたいようないいのが入りましてね。そしてこっちが、マダイとミル貝。まん中が本マグロのすき身。今日はすき身をそのまま海苔(のり)で巻いてみました」と店主。

この刺身、質は言うまでもなく、量のほうもそれぞれ2~3切れずつ盛られていて、普通に飲むにはこれだけでほぼ十分だろうというものなのです。

お酒をもらいましょうか。今日は、「高清水(たかしみず)」の冷酒(300ml瓶、600円)を飲んでみようかな。この店で、はじめて飲むお酒です。「辛口で、けっこう人気がありますよ」と、冷蔵庫から出してくれます。

なるほど。しっかりとしたスッキリ系ですね。近ごろはやりのフルーティ路線とはある意味対極にあるような、「いかにも日本酒なんだけど、飲み口スッキリ」という感じです。

「ヒラメはポン酢醤油にしますか」と、醤油皿とは別に、モミジおろしと刻みネギの入ったポン酢醤油皿を出してくれます。ほんじゃまず、そのヒラメからいってみますか。ヒラメそのものもそうですが、横に添えてくれてるこのエンガワ。でっかいですねぇ! 「大きなヒラメだったんで、エンガワも大きいんですよ」と店主も笑っています。

そのヒラメよりも、さらにはかなげに白く、向こう側が透き通って見えそうなのがサヨリです。ほぼ透明な皮目の模様も美しく、店主が「姿造りにしたかった」というのもうなずけます。単品でお願いしたら、きっと姿造りになってきてたんでしょうねぇ。

同じ白身ながら、ヒラメやサヨリと並べると、身の中にもほんのりと朱色が入ってフワッと華やかなのがセレブレーション・フィッシュ(祝い魚)のタイです。

以前、出張でオーストラリアに行ったときに、「とにかく釣り糸をたれるとこの魚が釣れるんだ」と地元の人たちからは“スナッパー(噛みつき屋)”と呼ばれて、徹底的に人気がなかったのがこのタイでした。「どんなエサでも食べる」ということは、タイの味はきっとそのエサの味で決まっちゃうんでしょうね。日本でタイが人気あるのは、見た目の華やかさもさることながら、タイのエサがいいからなのかなぁ。

そして、ミル貝。クルクルっと丸まっています。「活きがいいんでしょうねぇ。たたきつけるとそんなに丸まるんですよ。にぎりにしてもおいしいんだけど、にぎりにくくてねぇ」と店主。これだけ丸まってるとにぎりにくいでしょうねぇ。コリコリと食感もいい。新鮮な貝は本当にうまいですよね。ワサビ醤油ととっても合う感じ。

そこへ若い女性ひとり客の来店です。この店は、外観もちょっとした小料理屋風なので、女性ひとりで入っても、あるいは家族で入っても、まったく違和感がないのです。この女性客も、私は面識はありませんが、店主と話してる様子からは常連さんのようです。さっそく生ビールを注文して、イワシの刺身を造ってもらっています。

「今日はこんなのもあるんですよ」と、店主がカウンターの下から四角いバットを取り出します。こっちはカツオのアラか。おぉ。ヘソ(カツオの心臓)も混ざってる。これは? へぇ。これがマグロのホホ肉ですか。ちゃんとひとかたまり、ひとかたまりになってるんですねぇ。これが、脳天トロの近く。トロっけも入ったきれいな赤身ですねぇ。ほぉ。これが今日のネギマ串、ネギマ鍋になる部分ですか。

このホホ肉を焼いてもらおかな。1人前(ホホ肉2枚分、600円)だと多すぎるので、1枚だけ(つけあわせ等は同じ、500円)にしてください。

しばらくして「これと一緒に食べてみてください」と、焼き上がったホホ肉ステーキとともに、小鉢が出てきます。「辛味大根です」。ほぉ。どれどれ。まず辛味大根だけを食べてみますか。…。ッカッラァ~~ッ。こりゃすごいですね。

ホホ肉は、食べやすいように一口分の大きさでスライスされていて、ミディアムレアな断面は、まさに肉のようです。なぁるほど。そのままでも十分おいしいですが、辛味大根を添えて食べると、また一段とうまみが増した感じになりますねぇ。それにしても、これは食べた感じも肉に近いですね。2枚でもいけたかも。

まだ月曜日なので、なごりおしいけど今日はこのあたりにしておきますか。どうもごちそうさま。お勘定は2,800円。1時間半の滞在でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年4月5日(月)の記録》

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今日はケガニが399円! … 焼き鳥「川名(かわな)」(阿佐ケ谷)

このところ、毎日最高気温が20度を超えるあったかい日が続いていたのですが、今日は朝からどんよりと曇って、小雨まじり。気温のほうも、午前0時が最高気温(10度ほど)で、それ以降はどんどん下がっていってます。

「しまったなぁ。昨日図書館に行っとけばよかった」と反省しつつ、小雨の中を阿佐ヶ谷図書館に向かいます。うぅ。寒い。午後4時現在の気温は5度ぐらいです。

1時間ほど図書館で過ごしたあとは、寒くても「川名」です。ここまできたら、寄らずに帰るというのもちょっとねぇ。

店に入ったのはちょうど5時。うわぁ。いっぱいですねぇ、今日も。カウンター7席はすべて埋まり、カウンター後ろ側のテーブル席はA卓に2人(それぞれひとり客)、B卓に1人で、C卓は空いている状態。あ。3つあるテーブル席は、手前から順にA卓、B卓、C卓と呼ばれているのです。カウンターのほうも、手前から順に1番、2番、3番、…、7番と呼ばれています。

奥の座敷にも、グループ客(地域の大人のサッカーチームの人たちかな)が入っているようです。

ほんじゃ、B卓に相席させてもらいますか。このあとも、2~3人連れの人が入ってくるかもしれないので、C卓は空けたままおいといたほうがいいもんね。

「すみません。ここに座らせてください」と、先客の年配の男性にあいさつして、B卓の奥側に腰をおろします。その男性からも「あぁ。どうぞ、どうぞ。寒いねぇ、今日は」と声がかかります。

「いらっしゃいませ」と、手伝いの女性(名前がまだわかりません…)がお通し(サービス品)のオレンジを持ってきてくれます。「ホッピーをお願いします」。

4月になったので、すべてのメニューが税込み表記になっています。ホッピーは336円です。3月までは320円+税だったので、それをそのまま表記値段にしたんですね。

さあて。つまみはなんにしようかな。あれ? まだ今日のおすすめメニューのボードが出ていない。そうかぁ。開店と同時に、一気に人が入っちゃったので、ホワイトボードを書く時間がとれないんですね、きっと。

それじゃ、タネケースを見てほしいものを選ぶか。どれどれ。いったん席を立って、カウンターの客の後ろ側からタネケースをのぞき込みます。お。白子があるじゃん。あ! 今日もまた、ケガニが入ってる。タネケースの上の大皿に、ゴロゴロと積み上げられてるのです。自分で逃げ出すほどの元気はないものの、口のまわりの触角(?)が動いていて、活きてることがわかります。

ホワイトボードが出てないから値段はわからないものの、前回、580円(+税)だったから、今回もそのくらいでしょう。このケガニをひとつ作ってもらって、ケガニのできるのを待ってる間に白子酢といきましょうか。

白子酢は、今回も残念ながらさっとゆでて冷ましたもの。生の白子というのは、そうちょいちょいは食べられませんね。寒いとはいえ、もう春だし、生で食べられるようなのが出回らないんでしょうか。(参考: 生白子酢の回

え~と。ホッピーのナカ(336円)をお願いします。新しいメニュー(消費税対応のもの)には、ちゃんとナカものっています。ホッピーもナカも同じ値段というのは、これまでと変わってないんですけどね。

店内は、C卓もついに埋まり、奥の座敷にも、サッカーチーム以外のグループ客も入り、もう満席になっているようです。日曜日でも、いつもいっぱいですねぇ。

お。やっとホワイトボードが掲げられましたか。どれどれぇ。白子酢は231円か。ケガニは…。えぇ~っ! ケガニ399円だって! ほんとかいな!?

「はい。ケガニで~す」。ちょうどそこへケガニができあがってきました。注文を受けてから、活きたケガニをゆでて、前回同様、丸皿のまん中に胴体、両側に爪と足がずらりと並び、足には食べやすいように切り目が入れられています。

まずは胴体からいきますか。アチチッ。なにしろゆでたての熱々ですからねぇ。あぁ、うまい。

あ。そうだ。前回の帰り道、「今度ケガニがあったら、甲羅酒(こうらざけ)を飲まなくっちゃ」と思いながら帰ったっけ。すみません。お酒ください。そうそう、お燗でね。え? サイズ? 大きいほう(←大徳利のこと。504円)にしてください。

すぐに出てきたお酒を甲羅に注ぎこみ、箸でグリグリっと、まわりのミソを溶きこむようにかき混ぜます。ん~~。味が濃いなぁ。待てよ。こんなに味が出てるんなら、これがそのままつまみになっちゃうじゃない。よ~し。

ってなわけで、甲羅酒をつまみに、燗酒をチビリチビリ。いやいや。これはいいですなぁ。

足の部分も、スルッと取れる身はそのまま食べて、殻のところにへばりついてる取りにくい身は、殻ごと甲羅酒の中に投入し、箸でしごくようにして甲羅酒の中に入れていきます。ほほぉ。甲羅酒改め「カニミソの日本酒スープ」の中に、カニの身も入って、ますますつまみになってきましたねぇ。

やぁ。おいしかった。今回は、前回にもましてケガニを堪能いたしました。午後6時15分まで、1時間15分の滞在で、お勘定は1,806円でした。

白子を食べて、ケガニを1パイ食べて、ホッピー2杯と日本酒(大徳利)で2千円に届かないとは…。さすが「川名」ですねぇ!!

そうそう。午後6時が近づくと、開店と同時に入ったお客さんたちもじょじょに帰りはじめるので、開店と同時に入れなかった人は、午後6時過ぎをねらうと入りやすいかもしれませんよ。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年4月4日(日)の記録》

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新鮮ホルモン10種盛り … 焼き肉「じゅうじゅうぼうぼう」(都立家政)

今日は娘の誕生日。家族で焼き肉屋です。向かったのは「ここはおいしいよぉ」というおすすめの声も多い都立家政(とりつかせい)の焼き肉屋、「ホルモン本舗 じゅうじゅうぼうぼう」です。この店はチェーン店らしく、都内に何個所か店舗があるようです。

店についたのは午後7時。念のため予約を入れておいたので、すんなりと店内一番奥のテーブル席に座ることができましたが、土曜日の店内はすでに9割方ぐらい人が入っていて、人気の高さを感じさせます。

家族はソフトドリンク(350円)、私は生ビールの大ジョッキ(690円)をもらって、誕生祝いのスタートです。カミサンの誕生日と、娘の誕生日が1週間ぐらいしか違わないので、誕生祝いが続くのです。

店や料理を選ぶ権利は、誕生日を迎える本人にあります。誕生日の少し前から、「今度はこういうところがいいねぇ」なんて、他の家族からの要望が続々と本人に寄せらて、今回はこのお店になったのでした。

基本的には、カミサンと娘はカルビ、ロースなどのいわゆる肉系統が、息子と私とは内臓系統が好きだったのですが、何度か焼き肉屋に通ううち、女性陣もホルモン類もOKに(というか、むしろ好んで食べるように)なってきたようです。

しかしながら、やはりカルビがもっとも好きなメニューであることには変わりがないようで、娘がまず注文したのは骨付きカルビ(950円)とゲタカルビ(850円)です。これに、他の家族から塩タン(650円)、ハラミ(800円)が加えられ、さらに私の強力なプッシュが受け入れられて、新鮮ホルモン10種盛り(5~6人用、2,480円)も注文です。

「お通しキャベツで~す」と、丸いお皿に山盛りになった千切りキャベツ(ドレッシングかけ)が出てきます。このお通しキャベツ(100円)、意外と人気で、このあとサンチュ(350円)を注文するのとともに、おかわりをもらったのでした。

さて肉のほう。まず出てきたのは、塩タンです。この店の価格設定は、ほかの焼肉チェーン店とくらべると高いのですが、さすがに肉の質はいいですねぇ。

焼くのは、テーブル中央にドンと置かれた炭火の七輪。天井からは、各テーブルの上にダクトが降りてきており、煙がどんどん吸い込まれていきます。

そして、骨付きカルビとゲタカルビ。骨付きカルビは、その名のとおり骨がついたまま切り開かれたカルビで、ちょうど七輪いっぱいのサイズです。この長いサイズのまま焼いて、できあがったところで、いっしょに出されているハサミで切り分けるのです。

ゲタカルビは、あばら骨の間についている、希少価値が高い肉なのだそうです。マグロでいうところの「中落ち」みたいなものなんですね。中落ちながら、市販のサイコロステーキぐらいの大きさの肉が並んでいます。はじめて食べましたが、これもなかなかの美味です。

この店は、カルビの種類も多くて、上の2種類に加えて普通のカルビ(750円)、漬込みカルビ(850円)、チョッキンカルビ(ってなんだろう? 930円)、タンドリーカルビ(インド風のスパイシーなカルビなんだって。850円)などがメニュー上に並んでいます。

さあて。飲みものも次をもらいますか。どれどれ。生ビールは大ジョッキのほかに、中(450円)、小(400円)。ウーロンハイ、レモンサワー、巨峰サワーなどのサワー類が400円。焼酎は、美少年酒造製の麦焼酎「とっぺん」がロック、水割、湯割、炭酸割各450円。お酒もあって、モッコリ(600円)というのもある。でも、今日はオリジナルワイン(360ml、1,000円)というのをもらってみようかな。赤、白、ロゼとあるのですが、ロゼは品切れだそうなので、赤をもらいましょうか。

そのワインを飲みながら、ハラミもおいしくいただいたところで、新鮮ホルモン10種盛りの登場です。大きなお皿2つの上に、それぞれ小さなお皿が5つずつ。各小皿には4~5切れずつのホルモンが盛られています。うわぁ。こりゃまた、いかにも新鮮。色合いが透き通るようです。

店のおねえさんから「こちらが、レバー、チレ、ツラミ、リードボー、ヤンです。そして、こちらのお皿はパイ、サンドミノ、ナンコツ、センマイ、Pトロです」と一品一品を説明してくれます。パイはオッパイ。サンドミノは、上ミノの中でもとっても上物(じょうもの)といった感じかなぁ。

レバーも、コリッと硬めの食感で、いつもはレバーを苦手としてるカミサンと娘も「これなら大好き」と大喜びです。

ちなみに、新鮮ホルモンは、今回たのんだ10種盛りのほかに、8種盛り(3~4人用、1,980円)、6種盛り(2~3人用、1,480円)があります。もちろん単品でも注文できて、たとえばレバー、センマイ、コブクロ、ハツなどは500円、サンドミノ、ツラミ、Pトロなどは600円です。レバ刺し、ハツ刺し、ミノ刺し、センマイ刺しなども500円。この鮮度ならば、刺身もうまいだろうなぁ。

最後にもう一度、主役(娘)の希望にしたがって、骨付きカルビをもらって終了。お勘定は、家族4人で11,603円でした。

店情報

《平成16(2004)年4月3日(土)の記録》

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店情報: 焼き肉「じゅうじゅうぼうぼう」(都立家政)

  • 店名: ホルモン本舗「じゅうじゅうぼうぼう」都立家政店
  • 電話: 03-3223-5547 (FAX兼)
  • 住所: 165-0032 東京都中野区鷺宮1-27-8 ギャラリードリーム1F
  • 営業: 17:00-24:00、元旦休
  • 場所: 西武新宿線・都立家政駅改札を出て、都立家政商店街を新青梅街道方面に向かって北上すること約2分。右手。セブンイレブンの手前。
  • メモ: チェーン店らしく、仙川(03-5384-0829、調布市仙川町3-1-3)や明大前(03-3327-2678、世田谷区松原1-38-10)などにも店がある。

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またも魚のうまい店 … 居酒屋「おいらせ」(都立家政)

やっと金曜日。年度をまたいだ今週は、とってもバタバタしていて、平日はまったく飲みに行くことができなかったのです。自宅への帰り道に、近くでちょっと飲んで帰りましょうか。

向かったのは、西武新宿線・都立家政(とりつかせい)駅近くにある居酒屋「竹よし」です。あれっ? 看板に灯りがついていない。どうしたんだろう。

近寄ってみると、なにやら張り紙が。『店主、病気(痛風)療養のため、2~3日休みます』だって! なんとまぁ。私も10年ぐらい前に痛風になったことがあるんですが、痛いんですよねぇ。とても歩けないぐらい。大丈夫かなぁ。(その後の顛末: 結局、「竹よし」は4/1(木)~2(金)の二日間お休みし、土曜日から営業再開したそうです。「その間にいらしてくださった方、どうももうしわけありませんでした」とのことです。)

本当は「竹よし」で軽く飲んで帰ろうと思っていたのですが、この機会に、近くの気になっているお店に行ってみますか。

この近くで行ってみたいなぁ、と思っているのは焼き鳥の「勝久」(03-3336-3663、中野区鷺宮1-28)、焼肉の「じゅうじゅうぼうぼう」(03-3223-5547、中野区鷺宮1-27-8)、洋食系だけどバーボンなども楽しめるという「パインコーン」(03-3223-0020、中野区鷺宮3-6-10)の3軒。これらはいずれも、「竹よし」や「魚がし寿司」をご紹介いただいた、Tdさんご推薦のお店です。特に焼き鳥の「勝久」は、他にも数人の方々からご推薦をいただいていて、とっても気になっているところなのです。そして、「竹よし」の常連さんでもあるTmさんからご紹介を受けているのが、新青梅街道の向こう側の「おいらせ」。こちらは魚がおいしいらしいのです。

「竹よし」に向かう道すがら、身体の中で「魚を食べるぞぉ!」というエネルギーが盛り上がってきてしまっているので、今日は魚の「おいらせ」を目指しますか。

「おいらせ」は、都立家政駅から都立家政商店街を北上し、新青梅街道を渡った先の左手にある居酒屋で、駅からは7~8分ぐらいかかります。最寄り駅は都立家政駅(中野区)ながら、新青梅街道を渡るとそこはもう練馬区なのです。周囲には、他にお店はなく、ポツンと1軒居酒屋がある感じです。

見た目も古そう(ごめんなさい!)で、いかにも私好み。いえね。単に見た目が古けりゃいいというわけではないのです。古い小さいお店は、昔から家族だけぐらいの規模でコツコツとやってきて、地元に根づいて、愛されている場合が多い。愛されてないお店は、店が古くなるほど長続きしませんからねぇ。そういう「古さ」がいいのです。

最近は、昭和ブームだとかで、新築なのに、見た目だけ昭和30~40年代風の古~い感じに仕上げているお店も多い。あるいは、田舎の古い民家を移転してきて、そのまま店にしたりしているものあるようです。しかし、個人的にはこちらのタイプの「古さ」は、あまり好きではないのです。

ガラリと引き戸を開けて店内へ。右手のカウンターの中には店主と思しき男性と、その奥さん(以下、「おかみさん」と書きます)らしき女性のふたり。そのおかみさんから「いらっしゃいませ。こちらにどうぞ」と、カウンター中央部を指し示されます。

直線のカウンターは、店の入口から奥までを貫いているのですが、なにしろ奥行きもそれほど大きくないお店なので、席数は6席程度。その奥のほうに3人の先客がいて、チューハイを飲んだり、食事をとったり(?)しています。3人はそれぞれひとり客らしき男性客です。

私も、おかみさんに指し示されたとおり、その3人の次の席(奥から4番目の席)に腰をおろします。

「飲みものは?」と、おかみさんがいかにも人なつっこそうな笑顔でたずねてきます。「ビールを。ビンでお願いします」「は~い」。出てきたのは、サッポロ黒ラベルの中ビンです。(値段は、どっかに書いてあるのかもしれませんが、見つけられませんでした。)

お通しはワカサギの南蛮漬けが2尾のった小皿です。

カウンターの上に張られたメニューを、ほとんど真上を向くようにして見ていると、おかみさんから「後ろの壁にもメニューがありますから」と声がかかります。後ろを見ると、テーブルが3卓並んでいる壁にもずらりとメニューが出ています。こっちのほうが数が多い。なるほど。後ろの壁が全メニューで、そのうちのおすすめのものをカウンターの上のところにも張っているんですね、きっと。

ほぉ。ヤガラの刺身や、シマアジの刺身、タイのカブト煮などなどの魚メニューが多いですねぇ。値段も600~700円ぐらいのものが多くて、魚を主に扱っている店としては安いと思います。天津丼などの食事メニューもあります。ひとつ奥のおじさんが食べているのがこれですね。現在、午後8時半なので、もう飲み終えて、最後にごはん物を食べてるところなのでしょう。

ん~。それにしても、こんなに種類があると迷うなぁ。迷ったときは、盛り合せにしましょうか。「刺身の3点盛り(1,000円)をお願いします」。

刺身はカウンターの奥側にいる店主が造ります。この店主も、けっこう楽しそうにお話もされるのですが、おかみさんのほうがもっともっとたっぷりと楽しげにお話をするために、全体的なトーンとしては接客がおかみさん、調理が店主といった感じになっているようです。

「このあいだ、この人が酔って帰ってきてねぇ。食卓のところでビール飲みながら寝はじめたんで、『閉店ですよ!』と声かけたら、お金を払おうとするのよぉ」と笑うおかみさんに、店主も調理しながら苦笑いです。

一見(いちげん)さんだろうが、常連さんだろうが、まるで関係ない感じで話すおかみさんに、こちらもはじめてのお店とは思えないぐらいくつろいでいきます。

「はい。お刺身お待たせしました」。メニュー上は3点盛りですが、実際には4種がそれぞれ3切れずつ盛られています。

「魚の種類があまりわからないので、教えてください」と店主にお願いすると、「右上がビンチョウマグロ、その下がシメサバの昆布巻き。左上はシマアジ、その下がハタです」とていねいに教えてくれました。

このシマアジは、見るからにおいしそうですねぇ。これは、飲みものも日本酒に切りかえなくっちゃ。燗でお願いしますね。

お酒は灘の「多聞(たもん)」の生粋辛口。店主がいろいろ飲んでみて、魚に合いそうだということで選んだのだそうです。いわゆる普通酒なのですが、燗もちゃんと湯煎でつけてくれて、なかなかのもんだと思います。

「今日はツクシがあるので、サービスよ」と、店主がさっと揚げたツクシの天ぷらを、おかみさんがみんなに配ります。「ツクシはこの食べ方が一番美味しいと思うの。ゆでると、ツクシらしい味がなくなってしまうから」とおかみさん。どれどれ。熱いうちにいただきましょうね。サクッ。おぉ。なるほどねぇ。ツクシの天ぷらははじめて食べましたが、おいしいもんですねぇ。

ハカマを取った5~6センチぐらいのツクシを、4~5本ずつそろえて、衣をつけて天ぷらにしており、ちょうどひと口で食べられる分量になっているのもいいですねぇ。口の中でサクッと衣を破ると、ツクシの味と、春らしい香りがフワッと広がります。

フキノトウなどではじまった春の味も、今やソラマメ、タケノコと、だんだんと春まっさかりといったつまみが主流になってきましたよねぇ。居酒屋のつまみには、実に季節を感じます。

「フキノトウなんて、もうフキになっちゃたわよね」とおかみさん。「え? フキノトウって、ほっとくとフキになるんですか? ちっとも知らなかった」。お恥ずかしい話、フキノトウはフキノトウという植物かと思ってました。

フキは、地下茎をのばして繁殖し、初春になるとまず花茎(かけい。そこから花だけが出て来る茎)が出てきます。これがフキノトウです。3~5月になると、花茎がのびて、先端に花が咲きます。花が咲いたあと、地下茎から葉が出てきます。この葉の葉柄(ようへい)が、食用の、いわゆる「フキ」なのだそうです。

ここのおかみさんは、青森の出身で、おとうさんは漁師だったのだそうです。「青森。大間(おおま)のほうなんですか」とたずねると、「うちは竜飛崎(たっぴざき)のほうです」とおかみさん。店主は群馬の出身で、最初はあまり魚のことは知らなかったそうなのです。しかし、今ではすっかりベテランになって、「うちは珍しい魚を仕入れてることが多いからね」というお魚自慢のお店になっています。

この近くには、「竹よし」「魚がし寿司」「とっとっと」「魚がし」「魚幸」と、魚が自慢のお店が多いのですが、またまた楽しみなお店が1軒増えましたね。

さて。初回の今日は、これくらいで引き上げますか。とはいえ、もう1時間半近くくつろいじゃいましたが…。お勘定は2,400円でした。

お勘定から推測すると、ビール中ビンが500円、お酒の大徳利が700円、お通しが200円ってとこでしょうか。

店情報

《平成16(2004)年4月2日(金)の記録》

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店情報: 居酒屋「おいらせ」(都立家政)

  • 店名: 居酒屋「おいらせ」
  • 電話: 03-3998-9802
  • 住所: 176-0025 東京都練馬区中村南2-14-13
  • 営業:
  • 場所: 西武新宿線都立家政駅改札口を出て右折。そのまま都立家政商店街を北上し、新青梅街道を渡った先左手。駅から徒歩約5分ぐらい。
  • メモ: カウンター6席、テーブル2卓。群馬出身の店主と、青森(竜飛岬)出身のおかみさんのふたりで切り盛り。おかみさんのお父さんが漁師だそうで、魚料理が自慢。

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鳥鍋で満腹 … 焼き鳥「くしとも」(鷺ノ宮)

今日も、私以外の家族3人は、長女の卒業関連行事の夕食会です。先週は、「魚がし寿司」で寿司をつまんだのですが、今週はどうしましょうか。

「魚がし寿司」以外で、わが家の近くで、日曜日に食事ができて、ちょっとお酒も楽しめるところとなると、魚料理の「竹よし」、定食の「百工房」「乃がた食堂」「サフラン」、そばだと「太平庵」「」といったところでしょうか。

そういえば、焼き鳥の「くしとも」が冬場だけの鳥鍋をはじめたのに、まだ1度も食べてないですねぇ。そろそろ、冬も終わってしまいそうです。よし。今日は鳥鍋でいきましょう。

「こんばんは」と「くしとも」の店内に入ったのは、午後6時半。右手のカウンター席、左手のテーブル席には先客はいないものの、奥の小上がりには8人ぐらいのグループが入っています。週末は家族連れが多いんですよねぇ、ここは。

「瓶ビールをお願いします。食べ物は鳥鍋+串3本のセットで」。鳥鍋は単体だと1人前800円。それに串(焼き鳥)が3本ついたセットが1,200円。5本つくと1,500円なのです。焼き鳥が1本だいたい150円ぐらいなので、セットにするとちょっとだけお得なのかな。

ビール(550円)はキリン一番絞りの中ビン。今日のお通し(たぶん350円)は菜の花のおひたしです。春ですねぇ。

まずは串3本のセットが焼かれます。店主は、とっても無口で黙々と焼き鳥に取り組むタイプなのですが、たまたまここの子供たち(3月時点で、5年、3年とその下にもうひとり)と、うちの子供たち(6年、4年)が同じ小学校ということもあって、ときどきお父さん同士の会話をしたりもするのでした。

「お待たせしました」と長方形のお皿に盛られて出てきたのは、ハツ・レバーと、正肉(しょうにく)、ツクネの3本。

私はこのハツ・レバーがとっても好物なんですよねぇ。串の両端に身のしっかりとしたプリプリのハツ。その間にトロリとやわらかいレバーがふたつ並んでいます。

焼き鳥をほおばっている間に、かたわらには卓上コンロが出てきて、ひとり用の鍋がセットされます。これらのしたくをしてくれるのは店主のおかあさん。通常はふたりで切り盛りしているのですが、最近は(一番下の)子供の手もあまりかからなくなったのか、ときどき店主の奥さんの姿も見かけるようになりました。

目の前のひとり用の土鍋の中には昆布とダシだけが入っている状態。このダシは、別途鶏ガラでとったものだそうです。「このダシが、家庭ではなかなか出せないと思いますよ」と、もの静かな店主も自身ありげです。

丸皿には鶏肉や野菜類、豆腐などが盛られて出てきます。小鉢で出てきたのは鶏のツクネ(の元)です。スプーンがついてきて、これで一口大ずつすくい入れながら、ツクネにしていくんですね。ダシも沸いてきたので、まずはこのツクネから投入していきましょうか。

私自身、まったく鍋奉行ではなくて、会社の人たちと鍋をつつくときも、どっちかというとできあがるのを待って、おいしくいただくだけのほうがいいタイプ。こうやって、ひとりで鍋を作るというのは、これまでにもあまり経験がないですねぇ。

ツミレから大量に出てくるアクを取り、鶏肉も投入。再沸騰を待って、野菜類も入れていきます。

実は、ついさっきまでは、鳥鍋ということで、中野の「竹やぶ」や、私自身は実際に食べたことはないのですが、神田の「ぼたん」などのような、すき焼き風の、割り下で煮込んだ鍋を想像していたのです。こういう、いわゆる水炊き風とは思っていなかったですねぇ。

そういえば、メニューにも鍋のあとの「雑炊セット」「うどんセット」(各250円)というのがあるぐらいですから、少なくとも「雑炊」というところから水炊き風の鍋を想像すべきでしたね。個人的には、どっちのタイプの鳥鍋も好きなのですが。

クツクツと煮立ってきてそろそろ食べられそうかな。最後に春菊をたっぷりとのせて、鳥鍋の完成です。

じゃ、鍋に手をつける前に、冷酒の大(白鶴、300ml、800円)をもらいましょうか。クィ~ッと1杯、まず冷酒をひっかけてから、まずツクネに手を伸ばします。ポン酢醤油をちょいとつけてハフホフと。あぁ。うまいですねぇ。パサつかず、しっとりとしていて、われながら、ちょうどいい火の通し加減です。

この鍋をひとり占めというのが、またうれしいじゃないですか。ひとりで飲んでると、出てくるつまみがすべて自分のものといううれしさがあるのですが、それが鍋だったりすると、よろこびもまたひとしおなのが不思議ですねぇ。湯豆腐しかり、ハマグリ鍋しかり。

けっこう量もあったのですが、鍋をつっつき、お酒を飲んでチビチビやってるうちに、すっかりきれいに食べつくしてしまいました。

最後に雑炊をいただくとして、その前にもうちょっと焼き鳥をもらいましょうか。お酒をおかわりして…、え~と、今度は小さい冷酒(白鶴、180ml、450円)のほうをお願いします。それと、皮と砂肝(すなぎも)を1本ずつ(たぶん150円ずつ)焼いてください。

皮はねぇ。こうやって焼き鳥としてそのまま食べるのももちろん美味しいのですが、焼き鳥として焼きあげた後、串からはずして小鉢に盛り、その上に大根おろしを乗せて、上からポン酢醤油をかけて作る「鳥皮ポン酢」(450円)がまた絶品なのです。

さぁ。それじゃいよいよ雑炊セット(250円)をもらいますか。卓上コンロも再点火してスタンバイします。

いいダシで作った雑炊は、それ自体もつまみになるぐらいの一品ですねぇ。

いやいや。大満足、大満腹です。どうもごちそうさまでした。ゆっくりと2時間の食事で、今日は3,900円でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年3月28日(日)の記録》

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肴も冬から春へ … 食事処「百工房(ひゃくこうぼう)」(鷺ノ宮)

昨日に引き続き、家族で外食です。今日出かけたのは、わが家のごくごく近所にある定食屋兼居酒屋といった感じのお店、「百工房」です。

ここは、女主人と、手伝っている女性という女性2名で切り盛りされていて、以前はうんと居酒屋風でもあったのですが、ここ数年は定食屋風の色合いが濃くなってきているように思います。

かく言うわが家族も、ここで食事をとることを非常に楽しみにしているようですので、そういうお客さんが多いんでしょうね。

店に入ったのは、午後7時ごろ。さっそく奥のテーブル席に陣取り、家族はそれぞれアスパラ肉巻揚げ、ネギトロ丼、鶏竜田揚げの定食を注文しています。定食はそれぞれ800~1,000円程度。

私は生ビール(中ジョッキ、500円)をいただきましょうか。今日のお通し(200円)は、鴨肉の燻製です。

ここの料理は、注文を受けてから一品ずつ、ていねいに女主人が作り上げていくのです。家族の料理がある程度できあがるのを待ってから、つまみを注文します。

テーブル上に定番もののメニューもあるのですが、この店では毎日黒板に書き出される品々がいいのです。黒板は2種類あって、ひとつは定食ものの黒板。そしてもうひとつが酒の肴の黒板です。その酒の肴用のほうから、まず選んだのは「湯豆腐」(650円)です。

飲みものは、日本酒(高清水、400円)を燗でもらいましょうか。ここは、女主人自らも、お酒が好きなのだそうで、おいしいお酒が飲めるんですよね。

湯豆腐を待つ間も、家族の定食についてきた小鉢をつっつきながら、お酒が進みます。なにしろ、山菜の煮物や切干大根、さらには野沢菜漬けなんかが付いてきてますからねぇ。

さぁ、湯豆腐も来ましたよぉ。鱈(たら)の身が数切れ入って、これもおいしそうですねぇ。

身体もあったまったところで、キープしている焼酎(吉四六)に切りかえます。ロックで飲みましょうか。

さらに、これまた黒板メニューから「タラの芽天」(650円)も追加します。「湯豆腐」から「タラの芽天」へ。まさに冬から春へというラインナップですねぇ。

1時間半ほどゆっくりとくつろいで、今日は家族で5千円ぐらいでした。(参考までに、私の分だけの小計は、2,400円でした。)

店情報 (前回)

《平成16(2004)年3月27日(土)の記録》

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生ギターで閉店まで … バー「ペルル」(鷺ノ宮)

沼袋の「ホルモン」を出て、7時半には家族で鷺ノ宮駅に集結。「寿司が食べたい」ということで、駅前の回転寿司屋に入ります。本当は、先日も行った「魚がし寿司」あたりにしたいところなのですが、週末のこの時間帯、「魚がし寿司」に家族4人というのは、まず入れないですからねぇ。

駅前の回転寿司屋は、生ビールとサワーしか置いていないのが難点。仕方ないのでウーロンハイをもらいます。にぎりは2貫で一皿ですが、つまみで造ってもらうと、刺身3切れで一皿なのです。家族3人が次々とお寿司をつまんでいる横で、刺身をつまみにチビチビと。あぁ。燗酒がほしいなぁ。

1時間程度でお食事タイムは終了し、家族は自宅へ。少し飲み足りないお父さん(私)は、もう1軒ハシゴしてから、遅れて帰ることにします。

「それじゃぁね!」「飲み過ぎないようにね!」と駅前で別れ、向かった先は鷺ノ宮駅の北側の住宅街の一角にあるバー「ペルル」です。この店は「笑うセールスマン」に出ていた「魔の巣(まのす)」というバーのモデルになったお店なのです。(詳細な経緯はこちら

「こんばんは」と店内に入ると、L字(左右は逆)カウンターだけの店内には、すでに先客が3人。それぞれ男性ひとり客ですが、この店ではよくお見かけする常連さんたちです。特にL字の短辺のところに陣取っているTgさんは、座る場所もいつもこの席と決まっているのです。

私も、カウンター長辺の中央あたりに腰をおろし、水割り(ブラックニッカ、350円)を注文します。

そこへ、新しいお客さんが入ってきます。この人も常連さんらしき男性客。なるほどねぇ。9時が近くなったあたりで、徐々に常連さんたちが集まるんだ。

このお客さんは、最初にビールを注文したあと、チリのワインをボトルで注文。ここのマスターがワインがとっても好きなようで、常連さんがボトルを入れると、マスターや手伝っているお店の女性もご相伴です。

「ひとりじゃ飲みきれないので、他のお客さんもどうぞ」と、みんなにもワインがふるまわれます。やぁ。どうもありがとうございます。

このあたりで、入口近くに座っているSzさんが、店のギターを持ってくると、おもむろに演奏を始めます。うわぁ、うまい。演奏そのものも上手ですが、他の人が「これやって」とリクエストするとなんでも演奏できちゃう。すごいレパートリーですねぇ。

常連さんも、ひとり、またひとりと増えてきて、店内もほぼいっぱいに。知ってる歌は、みんなで大合唱。こんな雰囲気も久しぶりですねぇ。カラオケだとこうはならない。やっぱり生ギターならではですね。

明後日の日曜日に、「ペルル」の常連さんたちでお花見をやるということで、(まだとても常連とは言えない状態ではありますが)私もお誘いいただきました。ところが、今度の日曜日の昼間は、仕事の関係でちょっと外出できない予定なのです。残念だなぁ。

こうして、「もう少しだけ飲んでから帰るね」とやってきたにもかかわらず、結局、閉店時刻となる午後11時半まで、なんと3時間もの間、常連さんたちと一緒に大盛り上がりとなってしまったのでした。

水割り(350円)4杯と、ミックスナッツ(400円)で、今日は1,800円でした。どうもごちそうさまでした。おやすみなさ~い。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年3月26日(金)の記録》

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白物・赤物とりまぜて … もつ焼き「ホルモン」(沼袋)

金曜日です。今日も今日とて、都内での仕事を終えて、午後5時40分には西武新宿線・沼袋(ぬまぶくろ)駅で途中下車です。行こうとしているのはもつ焼き「ホルモン」です。

沼袋界隈には、ほかにも「やっちゃん」(至高のはらわた居酒屋大好き)や「四文屋」。さらには「奥様公認の店」と看板に掲げた大衆酒場「萬両」をはじめとする大衆酒場や大衆食堂の数々が並び、それぞれ心惹かれているのですが、なかなか新規開拓にこぎつけられずにいるところなのです。

さあ到着。手前側のカウンターに空きがあるみたいなので、こっちの入り口から入りましょうね。こんばんは。

焼き台のところから「いらっしゃいませ」と振り返った店主、いつものように奥にいるおかみさんに向かって「お客さんよぉっ!」と声をかけます。するとおかみさんが「いらっしゃいませ」と言いながら、おっとりとあらわれるのです。どんなにお店が忙しそうなときでも、おかみさんは常にゆったりと構えていて、見ているこっちもフッと肩の力が抜けるんですねぇ。これもこの店がくつろげる一因かも…。

そのおかみさんに、いつものようにビールの小瓶(310円)とおしんこ(100円)を注文します。ビールはサッポロ黒ラベル。今日のおしんこはキュウリです。

焼き物も、これまたいつものようにレバーとコブクロのちょい焼きを2本ずつ(もつ焼きは1本100円)お願いしますか。レバーの赤、コブクロの白の対比も鮮やかに、醤油味でプリプリと楽しめるのが、このちょい焼きです。

この一連のセット(ビール小瓶、おしんこ、レバーとコブクロのちょい焼き2本ずつ)は、このところ来るたびにズゥ~ッと注文している品々です。この一連のセットで810円ですからねぇ。これで、ビールを大瓶(490円)に変更すれば、このセットだけでも十分に楽しむことができるぐらいです。この場合、全部で990円。まさに千円札1枚でOKという感じですね。

しかし、今日は週末。もちろん、これだけでは終わりませんよぉ。となりに入った新しいお客さんに、おかみさんが焼酎を注ぎに来たついでに、私も焼酎(210円)をもらいます。

そして焼き物はオッパイにアブラ、テッポウを1本ずつ、塩で焼いてもらいます。これらは、どっちかというと白い系統のモツで、「白物(しろもの)」とも呼ばれます。

このあたりで、お店は満席。さすが金曜日の午後6時過ぎですねぇ。焼き台の上にも、串がいっぱい並んでいます。

焼き台があくまで、ちょっと焼き物は後回しにして、ここらで「月見」(250円)でももらいますか。

「月見」は、山芋の千切りに、ウズラ玉子の黄身、青ノリをのせて、醤油をかけた小鉢です。これを、グリグリとかき回して、トロトロの状態にしてから、ズズゥ~ッとすすり込むようにしていただくのです。全体的にねっとりしているものの、口の中でかむと、千切りの山芋のシャキシャキとした食感。実にいいつまみです。

焼酎のおかわりをお願いしますね。出てきた焼酎は、上の表面張力の部分をすすった上で、カウンター上に用意されている梅シロップを注いでいただきます。

と、ここでうちのカミサンから、携帯へメールが入ります。実は今日はカミサンの誕生日。なんだか忙しいらしくて、「明日、土曜日にお祝いしようね」ということにしていたのですが、予定が変更になったので、今日もこれから出かけられるとのこと。とはいえ、この店は満席で合流できないので、7時半に鷺ノ宮駅で待ち合わせとしました。

そうやって、ちょっとメールのやり取りをしたりしている間に、焼き台の上も少しは空いてきたようです。ほんじゃ、カシラ、ナンコツ、タンを1本ずつ。今度も塩でお願いします。

さぁ。今度のもつ焼きは、見た目も赤く、「赤物(あかもの)」と呼ばれます。(実はナンコツは分類上「白物」なんだそうですが、見た目は赤いですよねぇ??)

やあ、おいしかった。どうもごちそうさま。お勘定は2,080円。午後7時まで、1時間20分ほどのもつ焼きタイムでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年3月26日(金)の記録》

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毛蟹1杯580円!! … 居酒屋「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

天龍」を出て、自宅に向かって歩きはじめますが、まだ7時前。こりゃもう1軒かな。ちょうど都合がいいことに、阿佐ヶ谷駅と自宅との中間地点に「川名」があるんですよねぇ。

「こんばんはぁ」と店内へ。「いらっしゃいませ」と店主が、カウンター奥から2番目の空いている席を指し示してくれます。いやぁ。平日の7時も、お客さんが多いですねぇ。カウンター後ろ側のテーブル席も、各テーブルにお客さんがついているし、奥の小上がりにもお客さんが入っています。カウンターも、空いていたのはこの席のみ。

お通し(サービス)のブドウ(3粒)を持ってきてくれた女性(まだ名前を知らないのです…)に、さっそくホッピー(320円)を注文します。

ホッピーが来るまでに、つまみを選びますか。え~と。今日のつまみはと。マグロ、イナダ、イカ、山かけが各280円か。さっきも刺身の盛り合せを食べてきたしなぁ。

おろ。タネケースの上に、活きた毛蟹(けがに)がいるじゃない。さっそくホワイトボードを確認します。あぁ。あったあった。一番上に、「毛蟹 1パイ 580円」って。ぬわにぃ。これが580円というのは、爆発的に安いんじゃないかなぁ。

さっそくまわりを見渡してみると、カウンターには1パイ、後ろのテーブル席には3バイの毛蟹が出ていて、先客たちがもくもくとつっついています。…とすると、このタネケース上の1パイで終了ってこと!? 急いでたのまなくっちゃ。「これください!」

やっぱりこの1パイが最後だったようで、「はーい」と返事が返ってくるなり、ホワイトボード上の毛蟹の欄が消されました。

毛蟹ができあがるまで、キュウリのお新香(140円)をもらっときますか。ポリポリとキュウリをかじりながら、ホッピーをちびりちびり。

カウンターの上に、定番ものの短冊メニューがずらりと並んでいるのですが、この表示が、「マーボ豆腐 399円」「煮込み 231円」といったように、消費税込み表示になっている。ははぁ。この4月から、消費者に対する「値札」や「広告」などにおいて価格を表示する場合には、消費税相当額を含んだ支払総額を表示しなければならないという、「総額表示方式」になるので、その準備なんですね。「週の途中で4月に入るから、ボチボチと切りかえていかないと、急には間に合わないんですよ」と店主。

さぁ。来ましたよぉ。毛蟹です。丸皿のまん中上側に裏返った甲羅(こうら)。カニミソの姿も見えますねぇ。まん中下側には胴体の部分。そして両側に爪と足の部分が1本ずつずらりと盛り合わされていて、見た目もとっても豪勢です。足は1本1本に、包丁で切り目が入っていて、割りやすくなっている。値段が安いんだから、こんなに手間ひまかけて盛り付けなくても…、とこっちが心配してしまうほどです。

ホッピーのナカ(320円)をおかわりしておいて、まずは、足からいってみますか。切り目にそってパキッと割って、中の身をチュチュゥーッと吸い出すようにしていただきます。あぁ。甘~い。活きてる状態からさっと湯がいてあるだけなので、身のうまみがぜ~んぶ残ってますねぇ。

ひとりで、この1パイをまるまるいただけちゃうと思うと、思わず顔がゆるんでしまいます。いやぁ。お土産に家にも持って帰りたいぐらいですねぇ、これは。

胴体のナンコツ部分までじっくりと食べつくして、本日は終了。どうもごちそうさまでした。お勘定は1,428円(1,360円+税)。ここもまた、1時間強の滞在でした。

自宅への帰り道に思ったのですが、燗酒を注文して、甲羅酒(こうらざけ)も楽しんでおけばよかったよなぁ。「川名」にいくと、つい(ほとんど無意識のうちに)ホッピーをたのんじゃうんで、その場で「日本酒を飲もう」という考えが浮かばなかったのが実に残念です。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年3月25日(木)の記録》

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人気に様子にひかれて … 居酒屋「天龍(てんりゅう)」(阿佐ヶ谷)

都内での仕事を終えて、午後5時半ごろに阿佐ヶ谷駅に到着。まだ早いので、1軒寄って帰りましょうね。

阿佐ヶ谷駅界隈というと、「善知鳥(うとう)」や「与っ太(よった)」といった、お酒そのものがおいしいお店が多いのですが、いわゆる大衆酒場風のお店をあまり知らないのです。居酒屋密度は高い地域なので、いいお店もありそうなんですけどねぇ。

そんな中、このところ、近くを通るたびにちょっと気になっているお店があるのです。店自体はとっても古びていて、お世辞にもきれいとは言えない(失礼!)のですが、なぜかいつもお客さんが多くて、盛り上がっているのです。

駅からは歩いて1~2分といったところ。中央線ガードのすぐ横に、その店はあります。へぇ、「天龍」という名前だったんだ。ガラリと入口引き戸を開けて、店内に入ります。「いらっしゃいませぇ」。店を切り盛りしている店主とその奥さんらしきふたりから、いっせいに声がかかります。

先客はおらず、私が本日第1号の客になったようです。

店内は、左手に店の奥に向かって6席分の直線カウンターが。そして右手には一番手前に4人掛けのテーブル席があり、そこから2人掛けのテーブル席が4卓ほど奥に向かって並び、一番奥がまた4人掛けのテーブル席になっています。テーブル席の壁際の席は、入口から一番奥までを結ぶベンチシートになっているようです。グループの人数に応じて、2人掛けのテーブル席をくっつけて調整できるようにしてるんでしょうね。

「おひとりですか。カウンターのお好きなところにどうぞ」と、おかみさんから声がかかります。一番奥あたりに陣取りますか。椅子が自然木の丸太でできてるのもおもしろいですね。重~い。

カウンターの上には、作りつけの棚っぽいものもあるので、カウンターに座って、中の店主としゃべったりする感じのお店ではないようです。逆に、そういうお店だったら一見(いちげん)でいきなりカウンターというのは遠慮したほうが、店も客も、お互いにくつろげるんですけどね。

おかみさんがお通し(たぶん100円)のキノコ(シイタケやシメジなど)のソテーの小皿とおしぼりを持ってきてくれます。じゃ、まずはビールをもらいましょうか。ビン(500円)でください。

つまみは何をもらおうかなぁ。こういうとき、先客として常連さんがいると、この店で何をたのめばいいのかがわかりやすくていいんですけどねぇ。ん~と。カウンター中央付近に、魚のメニューがたくさん出てるのは、これがおすすめってことかな。活じめシマアジ(780円)、マグロ(850円)、シメサバ(580円)などなどが、ずらりと並んでいます。ん~。ひとまず「お刺身セット」(1,000円)をいただきましょうか。

注文が終わったところで、常連さんらしき50代の男性二人連れが入ってきて、「あとひとり来るからね」と、一番奥のテーブル席に陣取ります。彼らは生ビールを注文し、「セットとポテトサラダ、トマトをもらおうか」とつまみも注文。彼らが注文した「セット」というのは、「お刺身セット」の略のようです。そうか、そうか。常連さんも真っ先にたのむぐらいだから、「お刺身セット」の注文は間違ってなかったようですね。ちょっと安心。

さあ。丸いお皿にたっぷりと盛られた「お刺身セット」が出てきました。

いやぁ。これはまた見た目もきれい。右上から時計回りにマグロ(赤身5切れ、ややトロ2切れ)、生ダコ(単品だと450円)、ホタルイカ(単品だと400円)、シャコツメ(単品だと400円)、そしてシメサバの5品です。ひとりだったら、これだけ注文しておけば十分ぐらいですねぇ。

後ろのテーブルの遅れていたもうひとりもやってきました。なんと、店の一番奥にも入口があって、そこからいきなり入ってきたのでした。なるほどねぇ。ガード下に近い通りと、それより1本奥を並行して走る通りのどちらからも店に入れるようになっているんですね。

そのお客さんから、「ハートランドちょうだい」という注文が入ります。へぇ。ハートランドビールも置いてるんだ。これは珍しいですよねぇ。

私のほうは、お酒にしましょうか。「大きいの(480円)と、小さいの(300円)どちらにしましょう」とおかみさん。じゃ、大きいのでお願いします。

お酒は「菊正宗」です。

6時を過ぎると、次々とお客さんが入ってきますが、そのほとんどは中年以上のグループ客。女性が混ざっているグループもいます。刺身や天ぷら、やきとりなどをずらりと注文して、話に花を咲かせているようです。

やきとりは、レバ、シロ、ハツ、タン、カシラが各120円、ツクネが150円です。そのほかでは、ハラミ(焼き、580円)、ポテトサラダ(350円)、ゴーヤ玉子炒め(380円)なんかが気になったかな。

1時間強の滞在で、お勘定は2,080円でした。お刺身、おいしかったです。刺身のケンが、大根の千切りだけでなくて、中にキュウリの千切りと、ニンジンの千切りが入り混じった状態(ほとんどは大根ですが)なのも(味も見た目も)よかったですね。ケンまですべていただいちゃいました。

店情報

《平成16(2004)年3月25日(木)の記録》

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店情報: 居酒屋「天龍(てんりゅう)」(阿佐ヶ谷)

  • 店名: 大衆酒場「天龍」(てんりゅう)
  • 電話: 03-3337-1291
  • 住所: 166-0001 東京都杉並区阿佐谷北2丁目2-6
  • 営業: 17:00-23:00(22:00LO)、土は -21:00、日祝休
  • 場所: JR阿佐ヶ谷駅北口を出て左折。そのままJRガードにそって荻窪方面へ進むこと1~2分、右手にある。(T字路になった突き当りからは3軒くらい手前。)
  • メモ: 店内はカウンター6席、テーブル17~8席。お刺身セット(1,000円)がお得でおすすめ。瓶ビール500円。菊正宗(小)300円、(大)480円。

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2番人気はジャガバター … もつ焼き「秋元屋(あきもとや)」(野方)

今日は、業務終了後に会社関係のちょっとしたパーティー。その席に出てきたのは、なんと「越乃寒梅(こしのかんばい) 超特撰」です。これは「越乃寒梅」の大吟醸酒で、500ml入りが7,500円。その値段もさることながら、品物そのものがほとんど出回っていない逸品です。

私も「越乃寒梅」の大吟醸酒ははじめて飲みますが、まさか、こういう立食パーティーの場で飲もうとは…。たしかに美味しいんだけど、欲を言えば、もっとじっくりと腰をすえて、本気で味わいたかったなぁ。しかし、そうこう言いつつも、そのうちの1瓶を自分の近くに確保して、たっぷりといただいたのでした。

そのパーティーも終え、明日の仕事に備えて、都内の自宅に移動します。会社から自宅までは、1時間半ぐらいかかりますので、その間に「越乃寒梅」の酔いも、余韻も薄らいでいきます。最後に1軒寄ってから帰ろかなと、途中下車したのは西武新宿線・野方駅。

野方界隈は、未開拓の名店がひしめくゾーンではありますが、今日は手堅く「秋元屋」です。

「こんばんは」と店に入ったのは、午後9時前。考えてみると、平日にこの店に来るのははじめてですねぇ。店は火曜日にもかかわらず大にぎわいで、コの字カウンターの、右上隅の部分に若干空きがある程度。さっそくそこに陣取って、まずはホッピー(380円)を注文します。

お客さんは多いものの、焼き台には若干余裕があるようで、すぐに店主から「なにを焼きましょうか」と声がかかります。「え~と。レバーとハラミをお願いします」「ん。ハラミは売り切れたかもしれません」と店主。「ハラミがなかったら、カシラにしてください」。

焼く前の(生の)やきとんは、別室の冷蔵庫の中に置いているようで、注文が入るとそこに取りに行きます。帰ってきながら「すみません。やっぱりハラミが切れてました」と店主。「じゃ、レバーは塩で、カシラは味噌でお願いします」。

ここのやきとんは、それぞれ2本が1セットで180円。今回の私の「レバーとカシラ」という注文は、レバーが1セット(2本)、カシラが1セット(2本)ということです。

「それと、ガツ酢もください」。「は~い」と若いおかみさん。前回、この「ガツ酢」(150円)のおいしさにびっくりしましたからねぇ。「ガツ酢」はあらかじめ漬け込まれているビンから取り分けるだけなので、出も早いのです。値段が安いということもあって、やきとんが焼けてくるまでの間、チマチマとつつきながら待つのにちょうどいいつまみですね。

右どなりの中年の男性ひとり客は、キュウリを食べていますが、このキュウリが1本を縦方向に2つに切って、味噌を添えたもの。この姿はどっかで見たぞ。「『やき屋』さんとおなじでしょう?」と店主。あぁ。そうだそうだ。

その男性は、しきりと「この近くには、こういう店がなかったからなぁ。本当に良かったよ」と言いながら、チューハイをやっています。「今までは、ションベン横丁(新宿・思い出横丁の俗称)でもつ焼きを食べてから帰って来てたからねぇ」と、近所にもつ焼き屋さんができたことが、とてもうれしそうです。

近くのお客さんからお新香の注文が入ります。おや。お新香をつける器が、ずいぶん大きくなってますねぇ。「しばらく前までは、お新香が1番人気になってて、前の小さい容器だと間に合わなくなったんです」と店主。

そこへ、向こうのお客さんからキャベツ(100円)の注文が入ります。「今は、このキャベツが1番人気なんです。2番人気がジャガバタかな」とのこと。じゃ、私はそのジャガバタ(150円)をお願いしましょうか。ホッピーのナカ(240円)もお願いしますね。

1番人気のキャベツは、生キャベツに味噌を添えて出されるようです。そして2番人気のジャガバタは、あらかじめ茹でられたジャガイモがカウンターの上の段にある器に盛られていて、注文を受けてから、そこから3個串に刺して、焼き台の上で焼いてくれるのです。

焼きあがったところで、横にバターが添えられて出てきました。おぉ。たしかにホコホコとおいしいなぁ、これは。

ガツ酢しかり、ジャガバタしかりと、やきとん以外のメニューもいろいろと充実しているようですので、これから毎回1~2品ずつ試していかなきゃね。

さあて。今日は火曜日なので、このくらいで引き上げましょうか。ちょうど1時間の滞在で、1,280円。「どうもごちそうさまでした」とにぎわいの続く店をあとにしました。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年3月23日(火)の記録》

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平貝を塩焼きで … すし「魚がし寿司(うおがしずし)」(都立家政)

ピュアー」を出て、再び「魚がし寿司」へ。もう午後10時前だから、今度は大丈夫でしょう。のれんをくぐり、ガラリと引き戸を開けます。こんばんは。わぁ。それでもまだ5人ぐらいのお客さんたちが、お寿司を楽しんでいる。私もL字カウンターだけの店内の奥のほうに陣取ります。

すぐにお手拭をもってきてくれたおかみさんに、燗酒(550円)を注文します。燗酒は、徳利(とっくり)+猪口(ちょこ)というスタイルと、湯呑みで出してもらうスタイルとを選ぶことができます。今日は湯呑みでもらいましょうか。

子供のころ、うちの親父が冬場になると大きな湯呑みに燗酒を注いで、美味しそうに飲んでいた姿を覚えています。最近は、親父もどっちかというとビールのほうが好きなようで、たまに田舎に帰っても、いっしょにビールを楽しむことが多い。しかし、こうやって湯呑みで燗酒を飲むと、いまだにそのころの光景が浮かんでくるのです。

「なにをおつくりしましょうか」と、カウンターの中の店主から声がかかります。そうそう。つまみたのまなくっちゃ。えぇ~と。カウンターの左側(店の入口から見ると突き当たり)の壁に張り出されているつまみのメニューを確認してと…。お。平貝(たいらがい)があるじゃない。じゃ、この「平貝」(500円)をください。「焼きますか」と店主。焼いてください。塩でね。

焼くとはいっても、そこは生でも食べられる平貝のこと。5ミリ程度にスライスされた貝柱の部分が、中まで火が通ったレアといった焼き加減で出てきます。クゥ~ッ。うまいよなぁ。平貝。

以前食べた、磯辺焼き風の平貝もうまかったのですが、こうやって単純に塩焼きで食べると、平貝の甘みをより感じることができます。

平貝ですが、タイラガイといったり、タイラギといったり。どうしてなんだか調べてみました。すると、なんと貝としての名称が「タイラギ」なんだそうです。そしてその「タイラギ」という貝の貝柱を「タイラガイ(平貝)」と呼んで、刺身や酢の物、すし種として使うのだそうです。う~む。今まで逆の認識でいました。

さて、それじゃ、いよいよ「特上にぎり」をお願いしますか。なにしろ、この店は「並にぎり」が500円、「上にぎり」は700円という安さ。そしてなんと「特上にぎり」でも、1,200円なのです。並・上の値段と相対比較すると、たしかに特上という値段の開き(並を1としたときに上が1.4なのに対し、特上は2.4ですから!)があるものの、世間相場で考えるとやっぱり安い。

その「特上にぎり」の内容ですが、マグロが赤身とトロ。それにヒラメ、カンパチ、ホタテ、甘エビ、ウニ、イクラ、玉子と続き、カッパ巻が1本分。飲んだ後のシメとしては、この量で十分です。

この値段なのに、タネもしっかりしているところがこの店のいいところですよねぇ。安いお店に行くと、向こうが透けて見えそうなぐらい薄く切ったタネがのってたりするのですが、ここはそんなことはありません。

なお、カウンター正面の壁には「今日の白身」という短冊もあります。「特上にぎり」にも入っているヒラメ、カンパチの2品に、タイを加えた3品が、今日の白身のようです。

タネケースの端っこのほうに、生ダコの大きな足がおいてあって、それもおいしそうなんだけどなぁ。ま、今日のところはこれで終了としましょうか。なにしろ日曜日ですからね。本気で飲んで、週明け早々からつらくなると困るで…。(苦笑)

どうもごちそうさま。約30分の滞在で、2,250円でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年3月21日(日)の記録》

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店情報: すし「魚がし寿司(うおがしずし)」(都立家政)

  • 店名: すし「魚がし寿司」(うおがしずし)
  • 電話: 03-3336-3711
  • 住所: 165-0033 東京都中野区若宮3-19-8
  • 営業: 平日18:00-23:00(22:40LO)、祝日17:00-22:00(21:40LO)、日曜12:00-15:00&16:30-22:00(21:40LO)、水と第2・4火休
  • 道順: 西武新宿線都立家政駅の改札を左(南)側に出て、都立家政商店街に入った右側(旧・一貫堂書店の場所)。改札を出て30秒かかるかどうかという近さ。
  • メモ: 平成22(2010)年5月22日から新店舗で営業中。にぎりは並600円、上800円、特上1,300円。お好みは1貫50円~350円で、2貫ずつ出される。つまみは刺身各種800円ほど、シャコなどが400円ほどなどいろいろあり。飲み物はアサヒ生ビール500、ビール中瓶(各種)550、日本酒(大関金冠)500、ウーロン割り500、お茶割り500、梅酒500、ワイン(赤・白)ハーフボトル1,600、地酒(八海山本醸造)650、地焼酎(芋焼酎のこく紫、薩摩宝山、麦焼酎の一粒の麦)各500など。
    〔お好みにぎり(1品2個以上から)〕《50円》玉子。《100円》たこ、いか、こはだ、いわし、とびっこ、えび、げそ、のり巻、かっぱ巻、おしんこ巻、梅しそ巻、納豆巻。《150円》まぐろ、たい、あなご、サーモン、しゃこ、かんぱち、あおやぎ、しめさば、はまち、とり貝、あじ。《200円》赤貝、ほたて貝、みる貝、たいら貝、つぶ貝、ほっき貝、甘えび、いくら、子持ち昆布、ひらめ、かに巻、きんめ鯛。《250円》中とろ、うに。《300円》ねぎとろ手巻、鉄火巻、あわび。《350円》大とろ。《450円》とろ鉄火巻、ねぎとろ長巻、とろたく巻。〔つまみ等〕しじみ汁200、とりそぼろ玉子焼300、かんぱちのお刺身800、車子のおつまみ450、かつをのお刺身800、北海 生だこのお刺身800、くりから(うなぎの串焼)1本250。(2011年5月調べ)
  • HTML版(2003年以前): (03.07.27)(02.12.15)(02.10.04)(02.08.14)(01.12.13)(01.10.19)(01.08.05)(01.07.06)(01.06.28)

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モントリオールの霧 … バー「pure(ピュアー)」(野方)

長女が今月で小学校を卒業するとあって、なにかと関連行事が多くなっています。日曜日の今日も、その関係で私以外の家族3人は外出中。私ひとりでの夕食です。

久しぶりに、寿司でもつまみながら一献かたむけるかと向かったのが、近くの「魚がし寿司」です。

店についたのは午後7時半ごろ。どうかなぁ。ガラリ。うわぁ。いっぱい。本当にひとり分のすき間もない満席状態です。店主からも「すみません」の声がかかります。一番お客さんが多そうな時間帯ということもありますが、相変わらずの人気店ですねぇ。

この店に向かいながら、私の心の中では、まず寿司を食べて、そのあとにバーでゆっくりとくつろごうかという計画が着々とできあがってきていたのに、実に残念です。しかたない。順序を変更しますか。最初がバーで、シメがお寿司だ。

ここから徒歩6~7分のところにあるのが、先日来ちょこちょこ顔を出しているバー「ピュアー」です。

「こんばんは」と店内へ。「あ。いらっしゃいませ」と笑顔を見せながらも、店主(マスター)はなにやら忙しそう。見れば、直線カウンターだけの店内の奥のほうに、夫婦連れ2組と思しき4人連れが座っていて、それぞれカクテルのほか、グラタンやパスタなどをつついています。私も、カウンターの入口近くに座ります。

どうやら、この4人からの料理の注文がまだたくさん入っていて、その準備に店主は手いっぱいの様子です。なにしろ、ひとりで切り盛りですからねぇ。

すぐに出されたおしぼりで、手を拭いたりしていると、4人組の中の女性から「マスター、カリフォルニアフィズ(700円)2つちょうだい」と注文が飛びます。「じゃ、私もカリフォルニアフィズお願いします」と便乗注文。

これだけ忙しい状況でも、きっと店主は入ってきたばかりの私のために、なにはさておき1杯目の飲み物を用意しようとするでしょうから、それなら同じものにしておくかという選択です。もちろん、ジン系のロングカクテルはもともと好きですし、なにしろ食前酒なので、「カリフォルニアフィズ」のような軽めのものがいいですね。

この2組のご夫婦も、バーにしてはまだ早い時間帯なので、ゆっくりと食事を楽しみにきたんでしょうね。

しばらくして出てきたお通し(300円)は、新ジャガのサラダです。真っ赤なトマトをくりぬいて作った器に盛られて、見た目も鮮やかです。こんなに忙しそうでも、けっして手を抜いていない。さっそく細切りのジャガイモを口に含むと、シャキシャキと実にいい歯応えです。

入口扉が開いて入ってきたのは、この店にはじめて来たときにとなりの席にいた沖縄出身のお客さんです。「やぁ。こんばんは」とあいさつを交わして、となりの席へ。例によってバーボンのロックを注文です。というよりも、だまって座ると、自然と出てくるといった感じ。

このバーボン。銘柄は「オールドセントニック(Old St. Nick)」といって、細長い、キリンビールの大瓶風のビン(つまり、ビンの肩の部分がいかっていなくて、なだらかなビン)に入っていて、封はメーカーズマーク風にロウ付けされています。ラベルにはおじいさんの横顔。「オールドセントニック」は、日本語にすると「ニックじいさん」ってことなので、このラベルのおじいさんがニックさんなんでしょうね。

4人連れが席を立ち、あらたに男女2人連れが店に入ってきます。さらには若い女性のひとり客。あぁ。先日も、この店でお会いしたEさんですね。こんばんは。みなさん、けっこう足しげく通ってらっしゃるんですねぇ。女性がひとりで入っても、あまり違和感がないというのもバーのいいところですね。大衆酒場なんかだと、どんなに静かにされてても、女性の存在自体がとっても目立ってしまうこともあるようなんですが…。

そのEさんは、生ビールからスタートです。へぇ。生ビールも置いてるんだ。

私のほうは、「ギブソン・ロック」(600円)をくださいな。

「ギブソン」は、ジンとベルモットをステアして作るカクテルです。そうです。「マティーニ」と同じ組み合わせ、同じ作り方なのです。違っているところは、「マティーニ」のオリーブの代わりに、「ギブソン」にはオニオン(玉ネギ)が入っていることぐらいでしょうか。昔は、「マティーニ」よりもドライ(ジンが多め)という特徴もあったらしいのですが、最近は「マティーニ」自体がどんどんドライになってますからねぇ。

私自身、「マティーニ」や、それを氷とともにロックグラスに入れて時間をかけて飲んでもいいようにした「マティーニ・ロック」はよく飲むのですが、「ギブソン」はめったに注文しないですねぇ。カウンター内の上部に張り出されている「今月のカクテルリスト」を見て注文した一品なのでした。

沖縄出身の男性客も帰り、次に入ってきたのは若い男性2人組。席につくなり、店主から「今日はバナナがあるよ」と声がかかります。ふたりは「じゃ、例のやつお願いします」とうれしそうに注文。「はいよ」と店主がバナナをミキサーに入れて、準備をはじめます。そのミキサーには、生玉子や生クリームも入れられて、みるからに濃厚。

「はい。どうぞ」と出てきたカクテルは「バナナ・エッグノッグ」といって、このおふたりは、バナナが置いてあると、好んでこのカクテルを飲むのだそうです。「スタミナ・ドリンクですな」と店主。

私ももう1杯もらうかな。今度は「モントリオール・ミスト」(500円)にしてみましょうか。

この「モントリオール・ミスト」。カクテルと言えばカクテルなんですが、単純に言うとカナディアンウイスキーのロックです。ただし、そのロック用の氷が、クラッシュドアイスを使うのが特徴です。よく冷えたロックグラスの表面が、サァ~ッと白く曇り、まさにモントリオールの霧ですね。

食前に、ちょっとだけ飲む予定が、腰をすえて2時間も楽しんでしまいました。どうもごちそうさま。今宵はカクテル3杯で2,200円(2,100円+税)でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年3月21日(日)の記録》

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