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全身これエンガワ … 居酒屋「竹よし」(都立家政)

先日「竹よし」に行ったときに、「30日に小平にある魚市場に行ってみる予定なので、よかったら来てみてください」と常連のTmさんがおっしゃってたその日になりました。いい魚は手に入ったかなぁ。

「こんばんは。どうでした?」「やあ、いらっしゃい。いいのがありましたよぉ」と店主。店内には、Tmさんもいらっしゃってて、カウンター中央で刺身をつつきながら、冷酒をチビチビやっているようです。

「見てください、このキンメダイ。オコゼもいいのがありました。こっちはハッカク。アジもいいのがありましたねぇ」と仕入れた材料を次々に見せてくれます。ほぉ。これはまたきれいですねぇ。いかにも新鮮そう。

さぁ。なにはともあれ、まずはビールをいただきましょうか。今日はビン(スーパードライ中瓶、500円)のほうでお願いしますね。今日のお通し(200円)はメカブの小鉢です。

ハッカクTmさんがつついているのはハッカクの刺身(1,200円)のようです。「これはすごいですよ。全身がヒラメのエンガワのような…」というTmさんの言葉にひかれ、私もハッカクを造ってもらうことにしました。

ハッカクというのは、身体が八角形のように角張っていることから付けられたあだ名(市場での呼び名)のようで、正式名はトクビレ(カサゴ目トクビレ科トクビレ属)といいます。

皮はまるで鎧(よろい)のように硬いみたいで、ペロリンとその形のまま剥(は)げています。おもしろいですねぇ、これは。その鎧の下にあらわれるのは、まっ白で見るからに脂ののった白身です。

「お待たせしました。ポン酢でも、醤油でもお好みでどうぞ」。竹を二つに割った器に盛られたハッカクの刺身が出てきます。

どれどれ。まずはワサビ醤油のほうでいってみますか。醤油皿に刺身をちょんとつけた瞬間に、醤油の表面にサァ~ッと広がる脂(あぶら)。ものすごい脂ののりです。口に入れると、身はコリッとしっかりしていて、脂の旨みが口の中に広がります。ん~。これはたしかにエンガワの感触に近い。おいしい魚ですねぇ!

これはお酒だ。今日もまた菊正宗をぬるめの燗(400円)でください。

今日行った小平の魚市場は、新潟県に本社がある角上魚類というところなのだそうです。小平以外にも、都内では赤羽と南千住にも店舗があるそうです。「日本海が丸ごとやってきた!!」というのが謳い文句で、普通の魚屋さん風に、一般の人にも広く販売している店のようです。

行ったついでに、いろいろとお試し用の品々も仕入れてこられたそうで、それらもちょっとずつ味見させてくれます。

まず出てきたのは、マグロの切れ端。身のところをサクにしてとっていた残り、つまり尾の部分と、頭の部分からとった細切れの身です。細切れとはいえ、なにしろマグロですから、刺身といっても十分通用するぐらいの大きさの身なのです。

「キンメダイの刺身(700円)1人前を、ふたりで分けて食べようか」という提案がTmさんから出てきました。大賛成です。これからひとりで1人前食べるとなると、すっかり満腹になっちゃって、お酒も飲めないぐらいになってしまう。ちょっとずつってのがいいですね。

キンメダイは、皮もついたままのものに、サッと湯をかけた、いわば松皮作りの湯引きといった状態で出てきました。ど~れ。あぁ。これも脂がのった白身なんですが、ハッカクとはまったく違いますねぇ。ハッカクのあとに食べただけに、キンメの身はせつないぐらいにやわらかく感じます。そのやわらかさの中からジワァ~ッと脂の旨みが出てくるんですねぇ。皮が付いてるから、旨みがより強い。

ぬはは…。思わず笑いがこみあげてくるほどのうまさです。お酒、おかわりお願いします。Tmさんも、冷酒(酔鯨)のおかわりをもらっています。

ハッカクも、キンメダイも、同じ白身ながらそれぞれ違う方向にうまさを発揮していて、実にいい。ちなみに、オコゼは唐揚げ(750円)になるんだそうです。これもうまそうですよねぇ。

「珍味もいろいろと買ってみました」と店主。「珍味といえば、ホタルイカの黒造りは召し上がりましたか」「いや。食べたことがないと思います」「そうですか。これも人気があって、もう1人前は残ってなくて、ひと切れ、ふた切れぐらいしか残ってないんですけどね。食べてみてください」と、小鉢に出してくれます。真っ黒な中から、ドロッとホタルイカをすくい上げて、チュルンといただきます。はぁ~っ。刺身のような、塩辛のような。そんでもってワタの濃厚さもある。たしかにこれは人気あるでしょうねぇ!

さらには、ホヤ味付けや、ホタテヒモの塩辛など、これから新たに登場する珍味類をちょっとずつ味見。やぁ。ちょうど仕込みの日に来てみて実にラッキーでした。お酒もさらにおかわりです。

え! と思うぐらいおいしかったのは、なんと普通の焼き海苔。今まで、料理の脇役的に食べることはあっても、主役として食べることはなかったですからねぇ。チビリとかじったときに、口の中に広がる風味が濃くて深い! 鼻の奥から、ふわりと磯の香りが広がります。こんな海苔を使ってたんですねぇ、「竹よし」では!

Tmさんと店主は、さっそく次の仕込みの相談です。「今度は5月3日に行こう」と、すでに日程まで決まってきています。う~む。5月3日は、家族で外出予定なので、来られそうにないのが残念です。

わいわいと飲み進むうちに、もう午後8時過ぎ。2時間半近くも腰をすえてしまいました。どうもごちそうさま。お勘定は3,250円。ぜ~んぶ美味しかったです!

店情報 (前回)

《平成16(2004)年4月30日(金)の記録》

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今月もまた、近所の居酒屋「竹よし」の夕食会の日がやってきました。今年から、第2土 [続きを読む]

受信: 2004.05.23 14:01

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