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「やっこ」も人気! … もつ焼き「金ちゃん(きんちゃん)」(練馬)

都内での仕事のあと、営団地下鉄改め東京メトロ・丸ノ内線から、中野坂上で都営地下鉄大江戸線に乗り換えて着いたのが練馬です。久しぶりですねぇ、練馬も。向かうのは、この界隈ではおそらく随一の大衆酒場、「金ちゃん」です。

実は今までにも何度か「金ちゃん」の前まで来たことがあるのですが、そのたびに店内は満席。やむなく素通りとなっていたのでした。現在の時刻は午後5時45分。この時間なら大丈夫でしょう。

おっ。のれんが新しくなってる。以前はくすんだ感じのよれよれののれんだったのに、濃紺の真新しいものに変わっています。しかし、大きさは以前と一緒。この大きなのれんが、いかにも大衆酒場ですなぁ。さてと、のれんをくぐりますか。

…。えっ!? こんな時間なのに、もうお客がいっぱいじゃないの!

なかば呆然と、大衆酒場としては広めの店内を見渡していると、すぐ右手、焼台のところにいる大将から「ひとり? カウンターの一番奥のところに入って!」と大きな声で指示が飛びます。この指示は、客である私にはもちろん、奥で働いている店の人たちにも聞こえるように出されたもので、さっそく一番奥にかろうじて空いていた、この時点ではまだ一人分とはいえないぐらいのせまい空間周辺をパタパタと片づけて、となりのお客さんの飲みもの、食べものもちょっとずつ寄せて、無事にひとり分の空間ができあがりました。

その席に腰をおろし、まずはホッピー(350円)を注文します。

店は路地の角地にあって、先ほど入った大きな路地側の入り口から見ると、正面から左手にかけて、ずらりとテーブル席が並んでいます。右手には向かい合った2列のカウンターがあって、その両カウンターにはさまれた一番手前のところに焼台が、カウンターの奥側に厨房があるのです。沼袋の「ホルモン」や、今はなき鷺ノ宮の「鳥芳」をご存じの方は、あの形をそのまま大きくしたものと考えていただければ近いと思います。カウンターが長くなって、テーブル席側の面積がうんと増えて、もちろんテーブル自体の数も多いというイメージですね。

私が今座っているのは、内側カウンターの一番厨房側。この席は本来は飲みものを作るための場所のようで、店中の飲みもののすべてがここで支度されている。私のホッピーも準備が始まりました。まずは「源氏」という銘柄の焼酎が、サワーグラスにトトトとつがれ、横のザルに山とつまれた氷が、手づかみでガラガラと入れられます。そして、別途用意されたビン入りホッピー(いわゆるソト)の栓がポンッと抜かれて、さっきほどのサワーグラスとともに「はいどうぞ」。

この店は、男性は焼台を受け持っている大将ひとりしかいないようで、そのほかはみんな女性。カウンターの受け持ちは、ほかの店員さんからも「ママ」と呼ばれている年配の女性の様子。そしてフロアにもベテランらしき女性がひとり。それ以外の3人は、外国の女性のようですが、ひとりは完全に厨房、もうひとりは厨房兼フロア、もうひとりはフロアと、役割分担が決まっているようです。

店内はなにしろお客が多くて、しかもテーブル席側は若者のグループ客がほとんど。大衆酒場の早い時間は、年配のお客さんが多いという光景が普通だと思うのですが、ここはちょっと違いますねぇ。さすがにカウンター席は年配のお客さんが多いようです。

さて。つまみですね。まずは刺身をもらいましょうか。魚の刺身もありますが、「金ちゃん」に来たら、やっぱりモツでしょう。レバー刺し、コブクロ刺し、ハツ刺しが各300円。ほかであまり見かけないハツ刺しをもらいますか。

注文のタイミングがむずかしい。大量のお客さんから次々に注文が入っているので、店員さんが5人居てもテンテコマイの状態なのです。しかし、なにしろこの場所は「飲みもの作成場」。ちょうど飲みものを作りにきたママさんに「ハツ刺しをお願いします」と注文します。口にボールペンを横ぐわえにして飲みもの作りをしているママさん、ボールペンをくわえたまま、目だけをこっちにむけてコクンとうなずきます。

そのハツ刺しを、厨房を担当しているちょっと太めの(失礼!)外国人女性が作りはじめます。すぐ横の冷蔵庫から大きなハツのかたまりを取り出して、スィ~ッ、スィ~ッと薄めにスライスしていきます。うまいもんですねぇ。これを角のところに醤油入れがついた長方形の皿にきれいに盛って、上に刻みネギをのせてできあがりです。

どれどれ。ほぉ。これはおいしい。薄切りなのに、筋肉のしっかりとした食感がしっかりしている。逆に、この薄さが食感の決め手なのかもしれませんね。私自身、ハツ刺しを食べるのは、おそらくこれが生まれてはじめてだと思います。

またまた、ちょうど目の前にきたママさんに、「ホッピーの焼酎だけおかわりください」と注文します。焼酎だけは250円です。この店では、特に計量用のコップはなくて、店員さんたちが目検討で一升瓶からつぎます。2杯目のホッピーを作っても、ソトの部分がまだ1杯分余ってる状態ですので、ナカの量はほぼ「やき屋」程度でしょうか。

それじゃ、ちょいと焼いてもらいますか。レバーとコブクロ、カシラ、それとナンコツ。「もしかして、1本ずつ?」とママさん。「ダメ?」「いいよ。味は?」「塩で!」。ママさんは、おもむろに焼台の方向に向き直り「レバー、1本。コブクロ、1本。……」と、ひとつずつ区切って注文を通します。「もしかして…」と聞かれたところをみると、普通は2本1セットでたのむのかな。

もつ焼きは1本80円と、数あるもつ焼き店の中でも、もっとも安い価格設定だろうと思います。しかし、出てきたもつ焼きは、大きさは普通なものの、鮮度は立派です。塩焼きが実にうまい。

もつ焼きはほとんどの人が注文している品物ではありますが、もつ焼きだけを食べ続けているという人はそんなにいないみたいです。なにしろ、テーブル席側の壁の端から端まで、ずらりと短冊(たんざく)メニューが並んでて、そのほとんどが200~300円なので、もつ焼きもたのむけど、短冊メニューのつまみもたのむという人が多いのです。

私も、その短冊メニューの中からガツホルモン(250円)をもらいましょうか。「はい。ホルモンひとつぅ!」と、ママさんから厨房へ(といっても、1mあるかないかぐらいの距離ですが)注文が通ります。

ガツホルモンは、味をつけて煮込んだガツを冷まし、細(ほそ)くスライスしたものが小鉢で出てきます。味も食感も楽しめる一品で、つまみとしてとてもいいですね。お酒も進みます。

カラン! 飲み干したグラスの氷の音が響きます。ちょうど目の前にきていたママさん、くわえてたボールペンを手に持って、 「ナカ?」。はいお願いします。なんだ。この店でもやっぱりナカで通用するんだ。

これでちょうどソト(瓶入りのホッピー)がなくなります。なるほど、ちょうど3杯分なんですね。

店内はずっと満席状態が続いています。前にも書いたとおり、2列あるカウンターは年配の常連さんが多いようです。しかし1列8席程度、2列合わせても16席しかないので、カウンターはすぐに満席。あふれた常連さんは、カウンター後ろ側のテーブル席に入れ込み状態で座ってるみたいです。

そのカウンターで人気があるのが「やっこ」(150円)。私もひとついただきましょう。実は、これが「やっこ」であると認識できるのにやや時間がかかったのです。カウンター上にはたくさん出てるのですが、なにか別の料理かと思っていたのです。まず外観が特徴的。長方形のお皿に、平べったい感じの豆腐がどかんと置かれ、それが8等分ぐらいに切り分けられています。それが見た目には豆腐よりもずいぶん硬そうな品物に見えるのです。いや、実際に食べてみても、かなりしっかりとした豆腐なのですが…。ちょうど向かい側の人が「やっこ」と注文したら、これが出てきたので「やっぱりこれがやっこなんだ」と改めて認識し、私も注文した次第です。

沼袋の「ホルモン」の冷奴は高さがあるしっかりさなのですが、こちら「金ちゃん」は幅広いしっかりさですね。「ホルモン」同様、醤油皿は「やっこ」ののった皿とは別に、小皿で出てきます。しかし、ここの「やっこ」は、ショウガこそ豆腐のてっぺんに乗っているものの、刻みネギやカツオブシは豆腐の横っちょに添えられていて、いかにも「刺身風に小皿の醤油をちょいとつけて食べてね」と言わんばかり。実際、そうやって食べている人のほうが多いようです。もちろん私もそうやっていただきます。

大将は、6時半ごろまでは焼台のところでもつ焼きを担当してたのですが、ふと気づくと、今はママさんではないベテランの女性が焼台を担当しています。なるほど。この人ももつ焼きを焼くことができるんですね。

さてと。豆腐も食べ終えて、ホッピーもちょうど飲み終わったので、今日はこの辺にしておきますか。まだ月曜日だしね。今回は1時間強の滞在。ホッピー3杯と、つまみが3品。それにもつ焼きが4本で、お勘定は1,770円でした。どうもごちそうさま。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年5月10日(月)の記録》

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土曜日です。夕方、たまたま練馬近辺にいたので、開店時刻の5時ジャストをねらってふらりと「金ちゃん」です。店に到着すると、5時2~3分過ぎ。店内は2本の直線カウンターで右側と左側に仕切られています。この造りは「ホルモン」(沼袋)や「満月」(鷺ノ宮)、さらには閉店した「鳥芳」などと共通するものですね。いずれも古くからある酒場なので、これらの店ができた時代に流行った造りなのでしょうか。 2本の直線カウン... [続きを読む]

受信: 2005.11.27 10:12

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