鯨づくしの前夜祭 … 居酒屋「竹よし(たけよし)」(都立家政)
今月もまた、近所の居酒屋「竹よし」の夕食会の日がやってきました。今年から、第2土曜日と第3日曜日の2回ずつ夕食会を行っている(*1)ので、サラリーマンの私としては第2土曜日の会に参加していたのです。しかし、今月は第2土曜日が5月8日のため、大型連休に引っかかる人もいるだろうということで、第3日曜日である今日の1回だけに集約されたのでした。(注1: 第2土曜日の会と第3日曜日の会は、それぞれ独立した別々の食事会で、もちろんテーマ食材も変わります。)
1回に集約したかわりにということで、「夕食会30回(*2)記念特別企画としてテーマ食材をクジラにしよう!」という話が、前回の夕食会のときから出ていたのです。(注2: 実際に第30回だったのは、4月18日(日)の夕食会で、残念ながら、この会には私は出席できていません。したがって、今回は回数で言うと第31回の夕食会だったのでした。)
しかし、肝心の尾肉が入手できなかったということもあり、今回はその「前夜祭(準備会)」ということになりました。
とはいえ、店主(マスター)の尽力により、尾の身以外の部分はほとんどそろっている状態。HsさんやTaさんご夫妻ら、参加メンバーのみなさんと生ビールを飲みながら待つうちに、まず出されたのは生ミンク鯨の刺身です。
これはまた、ツヤツヤときれいな赤身ですねぇ。生姜醤油でまず1切れ。ん~。やわらかい。昔の鯨は、やたら筋っぽいイメージがあったのですが、高級品になった最近は、本当にやわらかくておいしい。
これは日本酒をいただきましょうか。なにしろ食べるものが鯨だけに、合わせるお酒は高知の「酔鯨(すいげい)」。今日のは特別純米酒です。ッカァ~ッ。うまい。思わず舌鼓を打ってしまいます。
続いて登場したのは、同じ生ミンク鯨のステーキ。アスパラが添えられ、上にはたっぷりと大根おろしがのっています。これもまた、やわらかさが際立っていて、すばらしいですねぇ。明らかに、私が子供のころによく食べていた鯨とは別物です。
いや、昔の鯨だって好きだったんですよ。それ以外の肉類が今ほど豊富にはなかったので、鯨の日は、「やったー、今日は肉だ」という喜びがあったものです。しかし、今食べているこの鯨ステーキは、牛や豚など、他のいろんな肉と並べても負けないぐらいにうまいと思うのです。牛肉の赤身だって、マグロのほほ肉だって、これほど上品ではない。極上の赤身といえるのではないでしょうか。
ミンク鯨も、調査捕鯨で捕獲できるのは年間500頭のみ。1頭あたり約1千万円程度するのだそうです。1頭の重さが5~8トンぐらいといいますから、その半分ぐらいが食用に使えるとして、単純計算でも100gあたり250~400円ぐらい。これに加工コストや流通コスト等も加算されていきますから、高いのもしかたないですよねぇ。
生ミンク鯨の刺身とステーキを堪能した後は、鯨の珍味類。ベーコンと、さえずり、百尋の3品が出されます。
まず鯨ベーコン。これは畝須(うねす)赤ベーコンという、鯨ベーコンの中でも、最高級といわれているものです。鯨の腹部の白いアコーディオン状の白皮を畝(うね)、その内部の赤身の部分を須の子(すのこ)と呼ぶことから、畝須というのだそうです。まわりが赤いのは、食紅による着色。これがなんとひと塊(100g強)で4千円もするのだそうです! 本日の最高級食材ですね、きっと。
さえずりは、鯨の舌。これも薄~くスライスして、ベーコンと同じようにいただきます。脂身の部分がとっても多いのがさえずりの特徴かもしれません。その昔、脂を抽出するために利用された事も多いというのもうなずけます。トロリとした感じと、しっかりとしたシコシコ間とが両方味わえる、おもしろい食材ですね。これもけっこう高級でひと塊(100g位)が2千円です。あ。赤ベーコンもそうですが、今書いている値段は、すべて仕入れ値ですからね。念のため。
そして、百尋(ひゃくひろ)。これは鯨の腸(小腸)をボイルしたもので、これも断面方向に薄くスライスされています。ソーセージのスライスっぽくもあるのですが、その断面はまさに腸。へぇ、腸の輪切りってこんななんだと納得できる(?)品物です。これはなにしろ、プリッとした歯応えがいい。これまたひと塊(100g位)が2千円程度と高級品です。
百尋の「尋(ひろ)」というのは、水深などを測るのに用いられた長さの単位だそうで、1尋は6尺(=約1.8m)。鯨の腸がとっても長いことから付けられた名称なんでしょうね。ちなみに、同じく珍味として食されることのある鯨の胃袋。こちらは百畳(ひゃくじょう)と呼ばれているのだそうですよ。
遅れていた食事会メンバーも、ひとり、またひとりと増えていきます。ItさんとMyさんは、昨日から山菜取りに出かけていたのだそうで、山菜のお土産をたくさん持っての帰還です。ウドやワラビの鮮烈な野の香りもいいですね。(残念ながら、運転していたMyさんは夕食会には不参加でした。山菜どうもありがとうございました。)
これらのほかにアン肝やアン肝豆腐といった店主の隠し玉も出てきます。さらにはおかみさんの手料理、そしてなんとTaご主人の特製手料理(?)も登場です。
そして、最後のシメは鯨汁。塩がピシッときいたお吸い物は、日本酒をたくさんいただいた舌に心地よい。これ1杯で、またお酒が進んでしまいますねぇ。これはいかん。(苦笑)
今回は、「前夜祭(準備会)」ということで、食事会の会費はいつもと同じ(飲みもの付きで4,500円)だったのですが、これだけの鯨料理をそろえるとなると、いつもと同じ会費では相当厳しかったに違いありません。どうもありがとうございました。>マスター
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