皐月(さつき)の最後はトリハイで … バー「ブリック」(中野)
久しぶりですねぇ。今日は中野のバー「ブリック」です。
昨日に続いて、今日も30度を超える夏日。ここに着くまでの道すがらも「うぅ~っ。ビールが飲みてぇ~っ!」なんて思いながら、やっとたどりついたのでした。
6時前の店内は、L字のカウンターに1席ずつ間に空けながら5人の先客が座っている状態。L字の短辺のところが、ちょうど空いたばかりのようで、先客のグラスなどを片づけています。今日はここに座らせてもらいますか。
「ビールください」。銘柄もなにも指定せずに注文したら、なにが出てくるかなぁと興味津々だったのですが、カウンターのおにいさんはメニューのビールのページをおもむろに広げて「ビールはこちらです」。そうかぁ。やっぱりちゃんと指定しなきゃダメなんですね。
どれどれ。モルツが450円。バドワイザーやハイネケン、レーベンブロイなどが500円ですか。え~と。それぞれ大きさは小瓶相当(350ml位)なんですね。あ。生ビールもあるではないか。中ジョッキが500円、小ジョッキが300円ですか。じゃ、生の小ジョッキをお願いします。
生ビールはカウンターの背後、ちょうど2階への階段の下あたりにサーバーがあって、そこで用意されます。小ジョッキとはいうものの、実際はグラスですね。いっただきまぁ~す。ッタァ~ッ。こうやってゴクゴクゴクッと一息にたくさん飲むには生ビールがいいですねぇ。しかもこのビール。さすがはバーのビールですね。つぎ方も上手でおいしいです。
すっと出されたお通しは枝豆。やぁ。生ビールに枝豆か。すっかり夏ですねぇ。
さて、つまみは何にしようかな。ポテトサラダ、野菜スティック、チーズ(以上、各400円)、さらにはグリルドサンド(450円)なんかにも惹かれるんだけどなぁ。今日はマカロニサラダ(400円)にしましょうか。
飲みものはトリハイ(200円)をいただきましょう。
トリハイというのは「トリス」のハイボールのこと。「トリス」は、戦後、まだ闇市がにぎわっていた昭和25(1950)年、「サントリーウイスキー」の弟ブランドとして「うまい、安い」のキャッチフレーズで登場したウイスキーです。そして昭和30(1955)年前後から、全国津々浦々に「トリスバー」という名称のハイボールスタンドが広まり、ブームとなったのだそうです。トリハイやジンフィズなどの洋酒の飲み方を教える道場としての役割も持っていたそうですよ。
ところで、上の文中に出てきた「トリス」の兄ブランドとしての「サントリーウイスキー」。なんだかわかりますか。これは「ホワイト」や「角瓶」のことなんです。
まず、国産ウイスキー第1号として昭和4(1929)年に誕生したのが「ホワイト」です。当時のブランドネームは単なる「サントリーウイスキー」だったのですが、白いラベルから人々には「白札」とか、通称として「シロ」とか呼ばれるようになった。その人々からの呼ばれ方を追いかける形で、昭和39(1964)年から、現在の「ホワイト」にブランド名も切りかえたのだそうです。
「角瓶」のほうは、昭和12(1937)年に誕生。以来、60年を超えて不動のブランドになっています。手元に「角瓶」がある方は、確認してみていただきたいのですが、今だにこのウイスキーのラベルには「サントリーウイスキー(Suntory Whisky)」という表記しかなく、どこにも「角瓶」という名称は登場しないのです(瓶の裏側に張られている販促シールなどには「角瓶1点」なんて表記がありますが…)。したがって、現在は、この「角瓶」がまさにザ・「サントリーウイスキー」なんですね。
ちなみに「オールド」や「リザーブ」は、ちゃんとラベルの中に「Suntory Old Whisky」だとか、「Special Reserve」という表記があり、正式名称自体がそれであることがわかります。
出てきました。マカロニサラダです。マカロニサラダというと、穴の開いた短いマカロニのサラダが一般的ですが、ここのマカロニサラダは、もうちょっとぺったりとしたパスタのサラダといったもので、色合いもいろいろでおもしろい。横にちょいとカラシが添えられているのも「ブリック」風ですねぇ。
トリハイ。おかわりをお願いします。
この月曜日の早い時間帯、店内は常連さんが多いようで、一番奥に座っているおにいさんは、文庫本片手に、キープの角瓶をハイボールで飲んでいる。その次の年配のお客さんは、飲みものはハイボールをもらったり、ジンリッキーをもらったりと次々に変化させていっていますが、つまみをつっつきながら菊地店長(チーフ・バーテンダー)と親しげに会話を交わしています。次のお客さんは、キープのホワイトを水割りで。私が来てからでも、もう4杯目ぐらい。それなのに態度も呂律(ろれつ)もまったく変わんないのがすごいですねぇ。
その次の男女2人連れは、ちょうど今お勘定をすませて席をたち、それと入れかわるように、いかにもワーキングウーマン風の30代ぐらいの女性ひとり客です。最近、バーでも居酒屋でも、女性のひとり客をよく見かけます。ま、仕事の内容が男女であまり差がなくなってきていることもあって、女性がひとりで飲んでてもあまり違和感はない時代になってますよね。トリハイにスモークサーモン(600円)、野菜盛り合せ(450円)をシャキシャキっとした口調で注文して飲みはじめます。このおねえさんも相当お強いようで、最初のトリハイはほとんど一気に飲み干して、なにやら違うお酒をもらっています。
さて。私のほうは2杯目のトリハイを飲み干したところで終わりにしましょうか。お勘定は1,540円。1時間弱のバー・タイムでした。
そうそう。「ブリック」には、店内があまり込み合っていない時間帯には扉番のおにいさんがいて、お客さんが店に近づくと、中からスッと扉を開けてくれるのです。
この時間、入口の扉番は、以前、1階手前側でバーテンダーをやっていたおにいさんです。「この席、ポールポジションって呼ばれてるんですよ」なんて教えてくれたのもこのおにいさんです。今は2階を担当されてるんでしょうね、きっと。そのおにいさんに、「お久しぶりです。またよろしくお願いします」と笑顔で見送ってもらいました。こういうところも、さりげなく気持ちがいいところですね。
店を出てみると、さっきまでの青空はどこへやら。まさに「一転にわかに掻き曇り」といった感じで、黒々とした雲が広がっています。う~む。これはいかん。雨になる前に家に急がなくっちゃ。今日で5月も終わりですねぇ。
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